暗躍のV.V.   作:ヒアデス

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エピローグ

 一か月後 ブリタニア皇宮 玉座の間

 ここには新皇帝の呼びかけで皇族のみならずブリタニアの大貴族そして各メディアの記者が集められていた。

 しかし皇帝オデュッセウスは玉座に座らずその側で直立不動で待機していた。玉座が落ち着かないなら別室で休むように勧める廷臣の呼びかけにも耳を貸さない。

 そんな兄にギネヴィアは語り掛ける。

「お兄様…いえ皇帝陛下、このたびは何用で私たちを集められたのでしょう。もちろん陛下の召喚とあらば旅行中でも喜んで駆けつけますわ」

 ギネヴィアがオデュッセウスへの呼称を間違えたのに悪意はなかった。だがオデュッセウスは首を横に振り、

「いいんだ。私にはやはり皇帝は荷が重すぎた。シュナイゼルがいない一ヶ月間政務がたまりっぱなしでね。ある方に代わって頂いてたんだ。私はそれを眺めているだけだったよ」

 突然の弱音にギネヴィアだけでなくそばで談笑していたカリーヌや周囲の貴族にもどよめきが走る。

「貴君らに集まってもらったのは他でもない。私より皇帝にふさわしいある方の紹介と戴冠式を行いたい。皇帝陛下どうぞ!」

 オデュッセウスの呼びかけの後現れたのは日本との戦争後死んだと思われていた元第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとナイトオブセブン枢木スザクだった。

 オデュッセウスが皇帝と呼んだルルーシュは当たり前のように玉座に座りそればかりかぞんざいに足を組む。

「私が第100代ブリタニア唯一皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」

 鬼籍に入っていた皇子の生還、そして皇帝即位宣言。玉座の間は混乱に陥っていた。

 ギネヴィアは衛兵に金切り声をあげる。

「あの痴れ者を処刑しなさい! 玉座に座るなど不敬の極みです」

 そう言われたところで衛兵は動けない。オデュッセウスが認める新皇帝を問答無用で殺害していいはずがない。

 周りの貴族は下手なことを言ってさらなる怒声を言おうとするギネヴィアを遮るわけにいかず静まり返るしかなかった。

 それによってかえって場が静まったのを見て新皇帝はスザクをナイトオブワンより上位のナイトオブゼロに任命したことを告げる。

 それでもなおも動揺したままの貴族たちを見て新皇帝は嘆息しながら、

「やはり前皇帝の推薦だけで即位できるほど甘くはないようですね」

 そう言いルルーシュは目元に手をかざす。

「我を認めよ!」

 そして玉座の間はまた騒がしくなる。ルルーシュへの非難ではなく「オール ハイル ルルーシュ」といった服従の斉唱に、

 

 C.C.は玉座近くの廊下に隠れながら新皇帝の誕生を眺めていた。

「ゼロレクイエムか…、世界中の悪意を集めて死ぬ覚悟ができたところ悪いがお前にはまだまだ生きてもらうぞ。少なくとも私との約束をかなえてもらうまで。ナナリーにもいずれ会えるさ。シュナイゼルがルルーシュへの最大の武器を簡単に見捨てるとは思えん」

 


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