インフィニット・ストラトス~天空を翔る白き花~   作:妖牙

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かなり更新が遅れてしまいました。尤も、誰も待ってはいないでしょうが・・・。今回はようやくあの二人が登場します。



第二章 学年別トーナメント
「転校生」


洋一side

 

瀬川重工の本社ビルの中の社長室で俺はとある書類に目を通していた。

 

今この部屋に居るのは、俺と涼子だけだ。

 

「ふむ・・・やはりおかしいな。」

 

そう言って、見ていた書類をデスクの上に落とす。

 

「何がだよ?」

 

すると涼子が俺にそう質問してくる。

 

「ん?ああ、何がおかしいかって事か。」

 

「ああ。」

 

俺がそう聞き返し、涼子が肯定したのを見て、俺は見ていた書類を投げ渡した。

 

涼子はそれを受け取ると、面倒臭そうに読み始める。

 

「お、おい、これって・・・!?」

 

しかし、全てを読み終えると涼子はかなり驚いているようだった。

 

「だが、これの一体どこがおかしいっていうんだ?」

 

しかし、涼子はまだ分かっていないようだった。

 

「一つ聞くが、お前はこの書類に書かれた内容を見るのは今日が初めてだよな?」

 

「ああ・・・だがそれが何だって言うんだ?」

 

俺の質問にそう返す涼子。

 

「・・・それはおかしい。」

 

しかし、俺は涼子の答えにそう返した。

 

「は?どういう意味だよ、そりゃ?」

 

涼子は疑問の表情を浮かべつつ、そう聞いてくる。

 

「もしそこに書かれている事が本当なら、お前はもっと早くこの事を知っていた筈だ。更に言えばお前以外の世界中の人間もな。」

 

「・・・・・!」

 

「もう分かるな?俺の言いたい事が。」

 

「・・・ああ。そういうことなら確かに変だな。」

 

俺の問いに涼子はそう言って答えた。

 

俺の読んでいた書類の中身はヨーロッパ・・・特にフランスで起こった出来事をまとめたものだった。

 

更に細かく言えば、フランスのとある企業関連の情報も含まれている。

 

「んで?これをどうしようって言うんだ?」

 

涼子がそう聞いてくる。

 

「俺の予想が正しければ、ちょっとした交渉材料に転用できないかと思ってな。」

 

涼子の質問にそう答える。

 

「もしお前の予想が正しかったとして、これだけで足りるのか?」

 

涼子は疑問の視線を向けながら、そう聞いてきた。

 

「別にこれだけって訳じゃない。他にも保険は探せてるところだ。」

 

「・・・小町にか?」

 

「ああ、アイツなら上手くやるだろう。」

 

俺はそう涼子に言った。

 

因みに小町とは俺の秘書の事で、フルネームは滝沢小町だ。

 

名前の通り、性別は女だ。

 

尤も、その名前は訳あって俺が名付けたものだが・・・。

 

「とにかく、いずれ俺は動くことになる。場合によってはお前も一緒に行くことになるだろうから一応そのつもりでいてくれ。」

 

「ああ、分かった。」

 

そう返事をして、涼子は社長室を退室していった。

 

「ふぅ、さてと・・・。」

 

一息吐いた後にもう一度書類に目を向ける。

 

「果たして鬼が出るか蛇が出るか・・・だな。」

 

誰も居ない部屋の中でそう呟いた。

 

洋一sideend

 

 

 

一夏side

 

部屋割りが決まった翌日、俺はいつも通り教室に居た。

 

「それではSHRを始めますね。まず最初に皆さんにはお知らせすることがあります。」

 

「・・・?」

 

何だろうと心の中で想像する。

 

「実はですね、このクラスに転校生がやって来ました!しかも二人!!」

 

山田先生が言うと、教室にどよめきが広がった。

 

(また転校生か、仲良くできるといいんだけど・・・。)

 

俺は内心でそう思った。

 

この前は鈴だったからよかったが、今回は全く知らない人物が来るから少し不安だ。

 

「では、入ってきてください」

 

「失礼します。」

 

「・・・・。」

 

そして教室に二人の生徒が入ってきた。

 

そのうちの一人を見て、女子生徒一同は驚く。

 

それもそうだ。その一人は、男子であったからだ。

 

「初めまして。シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなところがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。」

 

と、シャルルと呼ばれる男子は礼儀正しく挨拶をする。その一つ一つに気品があった。

 

(まるで貴公子みたいだな。)

 

俺は内心でデュノアをそう評価した。

 

「お、男?」

 

そして一人の女子が聞いてきた。

 

「はい。僕と同じ境遇の方がいらっしゃるとお聞きしたので。」

 

そして・・・。

 

「き・・・。」

 

「え?」

 

(これはヤバい!)

 

そして俺はとっさに耳を塞いだ。

 

「「「キャァァァァァァァァァァァ!!」」」

 

そしてどっかで聞き覚えのあるような女子たちの叫び声が教室を揺るがした。

 

「男子よ!これで二人目よ!!」

 

「しかもうちのクラスに!!」

 

「美形だし!しかも守ってあげたいタイプ!!」

 

「地球に生まれてよかった~!!」

 

(なんか以前よりボリュームがグレードアップしてないか!?)

 

耳を塞いでも叫び声が耳に入ってくる。

 

これじゃあ、耳栓は全く使い物にならない。

 

「・・・。」

 

そしてデュノアの隣で冷たい威圧感を放っていた生徒が居た。

 

背丈はデュノアより低く、銀色の髪を腰の位置まで伸ばしているが、

 

どちらかといえば伸ばしっぱなしという感じであった。

 

左目には黒い眼帯をつけていて、その雰囲気から軍人という感じが溢れ出ていた。

 

「ラウラ、せめて挨拶ぐらいはしろ。」

 

「教官がそうおっしゃるのであれば。」

 

「私はもう教官ではない、ここでは織斑先生と呼べ。」

 

「・・・。」

 

そしてラウラはようやく固く閉じていた口を開いた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

 

「えぇと、これで終わりですか?」

 

そして山田先生は恐る恐る聞いてきた。

 

「・・・。」

 

そしてまた口を閉じた。

 

(ラウラ・ボーデヴィッヒか・・・。)

 

彼女の事は予めデータで確認していたため、ある程度は知っていた。

 

ドイツ軍特殊部隊『シュバルツェ・ハーゼ』の隊長で階級は少佐。

 

彼女の年齢を鑑みれば、極めて異例の昇進である。

 

だが、噂によれば彼女がその頭角を現すようになったのは、

 

千冬姉が教官としてドイツ軍にやってきた時からで、それ以前は

 

落ちこぼれの扱いを受けていたという。

 

(無愛想って言うか、一匹狼っていうか・・・。)

 

正直、ボーデヴィッヒの第一印象がそんな感じしかしない。

 

そして俺とボーデヴィッヒの目が合った。

 

「そうか、貴様が・・・。」

 

そうしてボーデヴィッヒは俺の前にやってくる。

 

「・・・。」

 

そして右腕を上げて平手打ちをしようとしてきた。

 

「っ!?」

 

しかし振り下ろされた瞬間に、俺はその右腕を掴んで平手打ちを回避する。

 

「挨拶代わりに平手打ちか?ドイツも随分と過激な国になったもんだ。」

 

「貴様!」

 

ボーデヴィッヒはすぐに掴まれている腕を引き抜き、左腕を振るってくるが。

 

「遅い。」

 

それも腕を掴んで止めた。

 

この程度の動きは洋一さんのものと比べれば、遅く見える。

 

「クッ・・・!」

 

「この程度か?なら出直してくる事だな。」

 

俺がそう言うとボーデヴィッヒは悔しそうな表情を浮かべながら俺を睨んでいた。

 

「貴様等、そこで睨み合っていないで席に着け。」

 

千冬姉のその一声でボーデヴィッヒは渋々といった感じで引き下がった。

 

「瀬川一夏・・・いや織斑一夏。」

 

ボーデヴィッヒが昔の俺の名前をあげた。

 

「ボーデヴィッヒ、今の俺は瀬川だ。織斑じゃない。」

 

俺はボーデヴィッヒの言葉にそう返す。

 

「織斑ってどういうこと瀬川君!?」

 

女子の一人がそう言うが、ボーデヴィッヒはその声を無視して言葉を繋げる。

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか。」

 

ボーデヴィッヒはそう言った後、そのまま席に向かった。

 

「えぇ!?瀬川君って、織斑先生の弟だったの!?」

 

「それって本当なの瀬川君!?」

 

「織斑先生!それは本当なんですか!?」

 

周りからそんな質問が聞こえてくるが、

 

「・・・少し静かにしろ。」

 

千冬姉のその言葉で周りは一気に静まった。

 

教室内で不穏な空気が流れる。

 

「では、これでSHRを終わる。この後各自着替えて第二グランドに集合。二組と合同でISの模擬戦闘を行う!」

 

だが、千冬姉が手を叩いてその空気は緩和された。

 

「それと瀬川、デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子同士だろ。」

 

「分かりました。」

 

そして俺は席から立って、デュノアの元に行く。

 

「君が瀬川君?僕は・・・。」

 

「悪いけど、話は後だ。」

 

そして俺はシャルルの手を取り、一緒に教室を出た。

 

すると、シャルルは若干顔を赤らめていた。

 

一体何故だ?

 

「ねえ、どうしてこんなに急いでるの?」

 

デュノアからそんな質問が飛んでくる。

 

「ん?ああ、デュノアは初めてだよな。俺達みたいな男子はアリーナの更衣室でしか着替えることができないからな。だから急がないと授業に遅れてしまうんだ。」

 

「あ、そうなんだ」

 

デュノアは納得したようだ。

 

「それと、遅れれば織斑先生のキツイ一撃が飛んでくるから、こういう実習の時は気を付けろよ。」

 

俺がそう言うと、デュノアは青い顔をしながら走るスピードを上げ始めた。

 

多分、千冬姉の一撃を食らいたくないからだろうな。

 

そんな調子で急いでいると。

 

「あぁ!転校生発見!!」

 

「しかも瀬川君も一緒だ!!」

 

「者共!であえであえ!!」

 

そう言いながら、アスリート顔負けのスピードで女子達が群がってきた。

 

(おいおい!今日はなんかいつもより多くないか!?)

 

多分、デュノア目当てだったのだろうが、そこに俺も巻き込まれてしまったようだ。

 

「この数は厄介だな。」

 

「えぇと、どうして?」

 

「どうしてって、俺達しかISを動かせる男は居ないからな。」

 

「あっ、そうだね。」

 

そう話しているうちに女子生徒の数はどんどん増えていく。

 

(仕方がないか・・・。)

 

「デュノア、少し我慢してくれ。」

 

「え?・・・って、うわぁ!?」

 

そして俺はデュノアをお姫様抱っこのようにして抱え、そのまま走り出して

 

床を蹴ってジャンプし、壁を蹴って上に上がって女子の大群を飛び越した。

 

「えぇ!?」

 

その光景を見て女子陣は驚きの声を上げる。

 

そして、女子達が驚いている隙にデュノアを降ろし、更衣室に向けて走り出した。

 

 

 

 

「ふぅ・・・、到着っと。」

 

急いで走ったお陰で予定よりも早く更衣室に着く事が出来た。

 

何よりデュノアの足が速かった事も大きかった。

 

「さてと、自己紹介がまだだったな。俺は瀬川一夏、一夏って呼んでくれ。」

 

俺はデュノアに向き直りそう言った。

 

「うん、僕のことはシャルルでいいよ。」

 

「分かった、シャルル。じゃ、自己紹介も済んだし着替えるとするか。」

 

「う、うん。そうだね。」

 

そうして、俺とシャルルは更衣室で着替えを済ませ、グランドに向かった。

 

 

 

 

 

 




今回は二人の転入までを書かせていただきました。途中でオリキャラの名前が挙がりましたが、後で登場するので詳しい説明はその時にします。次回は実習風景を書きたいと思います。相変わらず悲しい完成度で泣きたいです・・・。



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