インフィニット・ストラトス~天空を翔る白き花~   作:妖牙

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第2話です。


第2話

一夏side

 

「おい、一夏こっち手伝ってくれ。」

 

「はい、洋一さん。」

 

あの事件の後、俺は洋一さんに助けられ、洋一さんの立ち上げた会社でお世話になっている。

 

『瀬川重工』・・・それが、洋一さんの会社の名前だ。

 

当初は様々な企業向けの工業製品や精密機器等を中心に扱っていたらしいのだが、

 

今では、家電製品や旅客機等の製造・・・果てはISまで扱うようになった。

 

ここまでの急成長を見せるようになったのは、洋一さんの尽力もあるが、やはり彼の人望の厚さだろう。

 

ここの社員の人達は全員過去に何かしらの形で洋一さんに救われているらしく、かなりの恩を感じているそうだ。

 

それこそ、社員全員が彼の下以外では働かないと口をそろえて言う程だ。

 

それだけの団結力が、この会社を大きくした最大の要因の一つでもあるのだ。

 

俺はこの会社の仕事を手伝いながら、洋一さんの下で体術や戦闘の基礎を学んでいる。

 

洋一さんが言うには、俺にもう指導は要らないらしいが・・・。

 

はっきり言って、洋一さんには毎回振り回され、あっさりと敗北している。

 

(いつかは越えたいとは思っているけど・・・果たしていつになることやら。)

 

そんなことを思っていると、

 

「なあ、一夏。お前本当に良かったのか?」

 

と声を掛けられた。

 

「何がです?」

 

「名前だ。確かに今までの生活を捨てることになるとは言ったが。何も名前まで捨てろとは言ってないぞ?」

 

そう、俺の今の名前は『瀬川一夏』となっている。

 

あの事件の後、俺は洋一さんに頼んで養子にしてもらった。

 

何も前の名前を捨てたわけではないし、嫌っているいるわけでもない。

 

「良いんですよ。あくまでも、覚悟の表れみたいなものですし。それに・・・。」

 

「それに?なんだ?」

 

「洋一さんと家族として暮らしたかったからです。」

 

これは偽りのない俺の心意だった。

 

「・・・そうか。」

 

俺の言葉を聞いた洋一さんは、いきなり俺の頭を乱暴に撫でまわし始めた。

 

「えっ!?ちょっ・・・。」

 

「あはは。嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか、一夏。」

 

どうやら、照れ隠しのようだ。少し痛いが・・・。

 

そして、そんな光景の中に割って入るかのように、声が聞こえてきた。

 

「オイ、じゃれ合ってねぇで、仕事しろ!」

 

「んだよ、涼子。家族なんだからスキンシップは当然だろうが。」

 

今声を掛けてきたのは、高橋涼子さんだ。男口調だが、れっきとした女性で、ISのテストパイロットをしている。

 

「涼子さん、どうしてここに?」

 

「あぁ、新型機のテストで得られたデータを持って来たんだよ。」

 

なるほど。そういうことか。洋一さんは既に資料に手を付けていた。

 

「んで、新型の出来映えはどうだ?」

 

洋一さんが、データに目を通しながら涼子さんに聞いた。

 

「んなもんデータで分かんだろ。」

 

「実際に動かした奴の意見も聞きたいんでな。」

 

洋一さんがそういうと、涼子さんは渋々といった表情で報告を続けた。

 

「はっきり言って、燃費が悪い割には動きも性能もクソだな。いっそ、特殊装備取っ払って、凡用性重視にしちまったほうがいいな。」

 

「そうか・・・参考になった。」

 

そう言うと、洋一さんは手元にあったデータの書かれた資料をシュレッダーに放り込んだ。

 

「いいんですか?折角作ったのに・・・。」

 

「良いんだよ。現場での評価がボロクソなら残しておく必要はねぇ。」

 

確かに、評価の低い物を置いておくよりも再利用した方がコストも抑えられるだろう。

 

「用はそれだけか?ならもう下がっていいぞ。」

 

洋一が涼子さんにそう言うと。

 

「ああ、邪魔したな。」

 

そう言って退室しようとした涼子さんだったが、急に思い出したかのように俺の方を向いた。

 

(なんだろう・・・?何か用かな?)

 

そう思っていると。

 

「そういえば、一夏。お前今から大丈夫か?」

 

そんな事を聞かれた。午後からすることもないし、暇なのは事実だ。

 

「ええ、大丈夫ですよ。何の用ですか?」

 

といっても、言いたいことは分かっていた。

 

「ああ、最近忙しくてやり合ってなかったからな・・・久しぶりに付き合え。」

 

(やっぱりか・・・。)

 

涼子さんは事あるごとに、俺と戦いたがるのだ。理由を聞くと。

 

『オレと張り合えるのがお前だけだからだよ。』

 

・・・だそうだ。因みに、戦うと言っても格闘技だとかそんな奴では無い。

 

それならば、洋一さんと戦った方が良いだろう。

 

・・・まあ、何で戦うかは言わなくても分かるだろう。

 

(でも、自分の力量を図りたかったし、丁度いいな。)

 

「ハァ・・・。分かりました。良いですよ。」

 

「よしっ!んじゃ行くか!」

 

そう言って、上機嫌で部屋から涼子さんが出て行き、俺もそれに続いた。

 

(せめて引き分けに持ち込まないとな・・・。)

 

そんなこと情けないことを思いながら・・・。

 

一夏sideend

 

 

 

洋一side

 

涼子が一夏を連れていった後、俺は物思いに耽っていた。

 

いつのことだっただろう。一夏がISを動かせると知ったのは。

 

あれは確か、古くなったISの回収をしていた時だったか。

 

俺の会社では、古くなったISを一旦引き取り、修復を行ったりしている。

 

その時、一夏も手伝わせていた。本人の強い希望もあって、連れていくことにしたのだ。

 

そしたら、一夏がISに触りたいと言い出したのだ。

 

『ISには興味が有るし、動かないなら触っても良いよね?』

 

その時の俺は、どうせ動かせないなら触らせても問題ないと思っていたから、快くそれを許した。

 

『良いぞ。好きなだけ触れ。』

 

『ありがとう!洋一さん。』

 

そして、一夏が触れた瞬間、ISが光り始め、いつの間にか一夏がISを纏っていた。

 

それを見た瞬間、俺は唖然とした。まさか、男が・・・ましてや、一夏が動かすとは思ってもいなかったからだ。

 

しばらく唖然としていると、すぐに我に返り冷静にその時の状況を整理した。

 

このままだと、一夏はモルモットにされるのは明白だった。

 

だからこそ、俺は外部に漏れないよう徹底的にその時の事を隠蔽した。

 

社員達にも事情を説明し緘口令を敷き、カメラの映像等も全て消去した。

 

その甲斐あってか、一夏の事は世間には知られていないようだ。

 

だが、いつまでも隠し通せるわけじゃない。いつかはボロが出る。

 

だからこそ、俺はある場所に一夏を通わせることにした。

 

「IS学園・・・か。」

 

IS学園・・・ISのパイロットを育成する為の養成機関。

 

そこならば、一夏の安全は確実に守られるだろう。

 

「問題は・・・一夏だな。」

 

無論、一夏が行きたくないと言えば、それを尊重するつもりだ。

 

俺も出来れば留まってほしいが・・・アイツの事を思えば、そんなことも言ってられない。

 

「さてと、あとは・・・。」

 

一夏の事を公表する準備と入学に必要な書類等の準備は既にできている。

 

このことに関しては、後は一夏の返事次第だ。

 

となれば、あと用意するものは・・・。

 

俺は、部屋の中の電話である部署に連絡を入れる。

 

電話を掛けたのは、ISの研究・開発を行う部署だった。

 

「俺だ。頼んでいたものはできたか?」

 

『ええ。後は細かい調整だけです。』

 

「ご苦労だった。ほかの皆にもそう伝えておいてくれ。」

 

『いえいえ。貴方から受けた恩に比べれば、これ位は喜んでお受けしますよ。』

 

「・・・・・そうか。」

 

『それでは、私はこれで・・・えっ?分かりました。伝えておきます。』

 

「どうした?」

 

『一夏君と高橋さんの模擬戦が終わったようなので、それをお伝えしてほしいと、一夏君から言われたので。』

 

アイツ、勝てたのか?後で聞いてみるか。

 

「そうか、じゃあ一夏に後で社長室に来るように伝えておいてくれ。」

 

『分かりました。それでは。』

 

そうして電話が切れ、受話器を戻す。

 

「さて、一夏が来るまでに仕事を片付けるか。」

 

そして、まだ残されている仕事に手を付けるのだった。

 

洋一sideend

 

 

 

 

 

 

 

 

 




取り敢えず、次回は戦闘シーンを書くことになりそうです。登場人物のプロフィールは、近いうちに書くと思います。
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