インフィニット・ストラトス~天空を翔る白き花~   作:妖牙

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第三話です。


第3話

一夏side

 

社長室で涼子さんにISの模擬戦に誘われた後、俺は会社の中にあるアリーナの控室に来ていた。

 

元々はISの性能テストのための場所だが、ここを模擬戦で使う人も多い。

 

俺は、涼子さんとの模擬戦の為に準備をしていた。

 

涼子さんは、この会社のテストパイロットの中では一番の腕を誇っている。

 

どれ位かというと、国家代表と互角以上に張り合える位だ。

 

現に、代表候補生クラスの実力を持つ人達を相手に、一撃も貰わず勝ったこともある。

 

俺は、これまでに何度も戦ってきたが、はっきり言って勝ったことはまだない。

 

(はぁ・・・しっかりしないとな。)

 

そんなことを思いながら、準備をしていると。

 

「ここにいたんだね。一夏君。」

 

後ろから声が聞こえた、俺はその声のした方に身体を向ける。

 

「ああ、優花か。何でここに?」

 

「用が無いと来ちゃいけないの?」

 

「いや・・・そうは言ってないけど。」

 

今声を掛けてきたのは、山口優花という少女だ。

 

俺と同い年でありながら、ISの研究・開発においてはこの会社の中でトップの地位にいる。

 

俺が今使っているISの調整も彼女が行っている。

 

「そういえば、これで何回目だっけ?」

 

そう優花が聞いてきた。

 

「えっと・・・。もう数えてないよ。」

 

少なくとも二桁になった頃からもう数えていない。俺がそう答えると、優花がクスクスと笑いながら。

 

「一夏君は、余程気に入られちゃったみたいだね。」

 

こう言ってくる。

 

「それ、喜んでいいのか?」

 

「少なくとも、認められてはいるってことだから、喜んでいいんじゃないかな。」

 

そんなやり取りをしている間に、時間になっていた。

 

「そろそろ、時間だな。」

 

そう言って、俺は席を立つ。

 

「うん、頑張ってね。」

 

「ああ。行ってくる。」

 

優花にそれだけ伝えて、俺はアリーナに向かった。

 

一夏sideend

 

 

 

優花side

 

私は一夏君を送り出した後、試合を見るために、アリーナの観覧席に向かっていた。

 

(一夏君・・・大丈夫かな?)

 

本人の調子は良かったし、彼のISもこの前点検したばっかりで、異常は無い筈だ。

 

それでも・・・何故か胸の中は、モヤモヤしていた。

 

(一夏君・・・頑張れ。)

 

私はそう思いながら、観覧席のシートに腰を落とした。

 

優花sideend

 

 

 

一夏side

 

俺は、優花に見送られた後、アリーナの入口で最後の点検をしていた。

 

(ISに異常は無し・・・。いけるな。)

 

そして点検が終わり、これからの模擬戦に意識を集中させる。

 

「準備完了・・・。よし、行くか。」

 

そして俺は、アリーナの中に入った。

 

アリーナの中観覧席は、ほとんど満席状態だった。

 

(これは・・・緊張するな。)

 

そう思っていると。

 

「オイ、随分待たせてくれたじゃねぇか。一夏。」

 

涼子さんにそう言われた。今の彼女の顔は、かなり不機嫌そうだ。

 

(さすがに待たせすぎたかな・・・。)

 

「仕方ないですよ。心の準備とかありましたから。」

 

「チッ・・・まあいい、さっさと始めんぞ。」

 

彼女のその声で、お互いに機体を呼び出す。

 

「来い!ラファール!」

 

俺がそう叫ぶと同時に、ISが展開されていた。

 

俺が今使っているISは、世界中で使われている、ラファール・リヴァイヴのカスタム機だ。

 

一応この会社も独自の機体を出しているが、他の企業に比べるとコアの数が圧倒的に少なく、

 

実質専用機としての調整を施した上でロールアウトしている。

 

その影響で、俺の機体までは用意できなかったらしく、今の機体になっている。

 

「その機体を見るのも久々だな。」

 

一方、涼子さんが乗っている機体は、デルフィニウムと呼ばれる機体のカスタム機だ。

 

デルフィ二ウムはこの会社のISで、社員達の間で少数配備されている機体だ。

 

何でも、涼子さんの機体は出力が一般機の倍近くはあり、

 

特殊なバリアのようなものがあるらしいが、実際に見たことは無い。

 

因みに、今彼女の機体はレールカノンをかまえている。

 

「涼子さんの機体も相変わらずですね。」

 

「まぁな。さて、無駄話もここまでにして・・・。」

 

その言葉と同時に試合開始までのカウントダウンが始まる。

 

3、2、1・・・そして、0になりブザーが鳴った。

 

「「行きます!(行くぜ!!)」」

 

ブザーが鳴った瞬間、俺はブースターを全開にして、間合いを一気に詰める。

 

彼女が今かまえているレールカノンは、威力が高い上に精密射撃も可能な代物だ。

 

そんなものの餌食になるわけにはいかない。ならば、接近戦に持ち込むしかない。

 

「そう来ると思ってたぜ!」

 

どうやら、俺の考えはあっさり読まれていたようだ。

 

涼子さんは、ブースターで後退しつつレールカノンを撃ってくる。

 

一向に間合いが詰まらず、俺は追撃しながらも相手から放たれる攻撃を避けていた。

 

(このままじゃ、埒があかない・・・!)

 

俺は接近戦に持ち込むのを一旦諦め、右手にライフルを呼び出した。

 

そして、左手からスモークグレネードを射出し辺り一帯に煙幕を起こした。

 

「この程度でッ!!」

 

やはり、涼子さんは煙幕から簡単に抜け出してきた。そしてこちらにレールカノンを向けてくる。

 

しかし、それを狙っていた俺は、既に涼子さんを捉えていた。

 

後は、引き金を引くだけ・・・その瞬間だった。

 

突然、機体の右腕が動かなくなった。それだけでなく、ブースターの調子も悪いようで、

 

空中での姿勢制御もままならない。

 

(クソっ!こんな時に・・・!)

 

どうやら、機体に異常が生じたようだ。

 

(最後の点検じゃ、異常なんてなかったのに・・・なんで?)

 

突然のアクシデント・・・だが、相手は待ってくれない。レールカノンの一撃が飛んでくる。

 

それを、おぼつかない動きで何とかかわすが、右手にあったライフルは被弾してしまった。

 

そして、それを好機と見たのか一気に涼子さんは俺に接近してくる。

 

(ヤバい!今近づかれたら・・・!)

 

今はとてもじゃないが、接近戦なんてできる状況じゃない。

 

俺は左手にマシンガンを呼び出し、弾幕を張って涼子さんを近づけないようにするが、

 

「その程度で、オレを止められるか!!」

 

涼子さんは弾幕を掻い潜って間合いを詰めてくる。

 

(クッ・・・!やるしかない!)

 

俺はマシンガンを戻し、接近戦用のブレードを左手に装備する。

 

そして涼子さんも、ナイフを展開し俺に斬りかかってきた。

 

何とかそれを受け止めるものの、やはり押し負けてしまい、腹部に蹴りを入れられる。

 

「グハッ・・・!」

 

シールドエネルギーが減らされ、腹部に衝撃が襲ってくる。

 

いくら絶対防御があっても衝撃までは防げない。

 

(このままじゃ、何も出来ずに負ける・・・。)

 

それだけは、嫌だった。機体の不調で負けたなんて言い訳はしたくない。

 

(一か八か・・・掛けるしかない!!)

 

そして俺は、ブースターを空中での姿勢制御にだけ費やし、

 

左手にはこの機体の最大の切り札であるパイルバンカーを呼び出していた。

 

それを見た涼子さんは警戒したのか、真っ先にレールカノンをこちらに向ける。

 

「何考えてるかは知らねぇが・・・次で決めさせてもらう!」

 

そう言って、彼女がレールカノンの引き金に指を掛けようとした瞬間。

 

(今だ・・・!)

 

俺は、今まで姿勢制御だけに費やしていたブースターを無理矢理全開にし、特攻を掛ける。

 

涼子さんは、流石にこのタイミングで突っ込んでくるとは思っていなかったようで、

 

一瞬驚いたような表情をしたが、体勢までは崩れていなかった。

 

「突っ込むだけじゃな!」

 

そういって、引き金を引こうとする涼子さん。

 

そして俺は引き金を引こうとする彼女の指の動きに注目していた。

 

(まだだ・・・。)

 

俺はギリギリまで、照準を引きつける。

 

そして・・・。

 

「終わりだ!」

 

俺の待っていた瞬間が来た。

 

(・・・今だ!!)

 

指の動きを見て、そう確信した瞬間、身体を僅かに反らせ飛んでくる一撃をかわした。

 

尤も、完全にいなしきれたわけではなく、シールドエネルギーも減っていた。

 

「なっ・・・!」

 

唖然とした表情を浮かべる涼子さん。その動きは完全に止まっていた。

 

(動きが止まってる・・・。今しかない!!)

 

「ウオォォォォォォ!!」

 

そして、そのまま接近し、機体ごとタックルをかまし、アリーナの壁に激突させた。

 

「グッ・・・コイツ!」

 

俺を引き剥がそうとする涼子さんだったが・・・。

 

「くらえぇぇぇぇぇぇ!!」

 

それに構わず、パイルバンカーを彼女の機体の腹部に押し付け、

 

これでもかという程にパイルバンカーを撃ちこんだ。

 

そして・・・。

 

『デルフィ二ウムカスタム シールドエネルギーゼロ 勝者 瀬川一夏』

 

俺の勝利を告げるアナウンスが鳴り、試合が終わった。

 

一瞬、沈黙していた観客達だったが。すぐに大歓声を上げ始めていた。

 

(終わった・・・。俺、涼子さんに勝ったんだよな!!)

 

そう思いながら勝利の余韻に浸っていると・・・。

 

(そういえば・・・何か大事なことを忘れてるような・・・。)

 

そう思った瞬間、機体のブースターが突然停止し、俺は真っ逆さまに落ちていた。

 

(そういや、故障してたの忘れてたー!)

 

元々動かすのでさえままならなかった機体を、無理矢理動かしたのだ。

 

それだけ機体にも負荷が掛かってしまう・・・こうなるのは当然だろう。

 

試合の最後は、勝者である俺が真っ逆さまに落ちていくという何とも締まらないものであった。

 

一夏sideend

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は戦闘シーンを書かせていただきました。戦闘描写は苦手で、分かりづらいものができてしまいました・・・。本当ならもっと一夏が善戦していたところで突然のアクシデント・・・にしたかったのですが・・・。今回、一夏のカスタム機やオリISが出てきましたが、説明は下のほうに書かせていただきます。



ラファール・リヴァイヴ I《イチカ》カスタム

搭乗者 瀬川一夏


武装・近接ブレード×2、マシンガン、グレネードランチャー、ショットライフル、パイルバンカー改、スモークグレネード(左腕部に内蔵。)、ナイフ形小型ブレード×4

一夏がISを動かせると判明した後、一夏の訓練用に取り寄せたラファール・リヴァイヴに様々な
改修を施した機体。色は白を基調としている。基本性能の底上げが行われており、武装も全て、訓練によって見出された一夏の戦闘スタイルに合わせた物に一新されている。また凡用性の高さも残しており、機体の拡張領域が一般機に比べ大幅に広くなっている。(ただし、ラファール・リヴァイヴカスタムⅡには及ばない。)
バランス的には、やや格闘戦向きの万能機のような立ち位置にいる機体である。
なお、デルフィ二ウムの特殊装備も取り付けることも可能だが、現在ロールアウトされているデルフィ二ウムの数だけしか特殊装備がないため、実質使用できないのが現状である。


デルフィ二ウム

武装・マシンガン、近接戦闘用ナイフ×2、レールカノン

特殊装備・バリア

瀬川重工製のISで、社員の中でも少数の精鋭だけに配備されている機体。その性能は、専用機にすら匹敵するほどで、現行の一般的なISを凌駕している。武装はシンプルで、取り回し等に優れている。この機体の最大の特徴は、単一仕様《ワンオフアビリティー》ではなく特殊装備《スペシャルウエポン》を搭載していることである。これは、デルフィ二ウム全てが共通して持っているもので、単一仕様さながらの能力でありながら、状況によって能力の変更も可能である。瀬川重工内では、様々な改修が施された機体が多く存在している。なお、レールカノンは手で持てるように小型化されている。

因みに余談だが、本来なら一夏はこの機体に乗る予定だったが。ISを動かせると判明した時期には既にパイロットの選考が終わっていたことと、当時の一夏の実力が低かったため、結局ラファールのカスタム機を与えることになった。



以上です。
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