Q.ひとは自分の同人誌が売られたい、という理由でヒーローになれるか答えよ 作:ピコッピコ
──寒い。
北条はコスチュームを長袖にしていて良かった、と心底思いながら、氷漬けにされたビルに入っていく、轟焦凍を眺めていた。
2人組だと1人余る、と言及してしまった北条は、特別にくじが免除された。
北条が入るチームはBチーム。ヒーロー側だ。
メンバーは轟焦凍と、障子目蔵という二人。
いくら秋波を送ろうが靡かないであろうイケメン2人に、北条はウキウキしていた。何せ、イケメンである。
「よろしくね。 障子くん、轟くん。」
「よろしく。」
逞しく大柄な肉体。口全体を覆った青い布。
障子目蔵。彼は、恐らく異形型の個性だろうか。
威圧的で、少し怖い容姿とは反し、なんだか優しげな声と態度で、北条は安堵した。
「はいはい!提案があるの、先ず最初に障子くんが複製腕で──」
「必要ない。」
──えっ????
我ながら名案だ!と意気込んで語ろうとした計画、それは轟焦凍に切り捨てられた。
「轟、それは何故だ?」
「俺だけで勝てる。」
お前達など要らない、そういうことだろう。
自信満々、にしては何だか味気ない。そんな轟焦凍の言葉に、北条は首を傾げた。
障子目蔵は轟焦凍の言葉自体に首を傾げる。
──轟くんに任せるだけで大丈夫そう。
北条は面倒くさくなってきていた。
轟焦凍が個性把握テストで上位だったのもあり、北条には何かいけんじゃね?という自信が出来る。ダメだったらどうするつもりだ。
「それは──」
障子目蔵が轟焦凍に説得を試みようとした時、オールマイトの声が響く。
障子目蔵は早かった。
素早く耳の複製を作り出し、ビルの中の尾白猿夫と葉隠透、二人の居場所を突き止めた。素晴らしい手腕である。複製腕だけに。
そして、轟焦凍は黙ってビルに触れた。
──いや、ありえない。ありえないから。
「ね、ねぇ、障子くん。私、夢見てる訳じゃないよね…」
「……信じられないだろうが、現実だ。」
「だ、だよねー…………マジかぁ…」
ヒーローチームの勝利だというのに、北条は浮かない気持ちだった。
他のチームの戦いをモニタで眺めながら、先程の戦い…いや戦いと言うには一方的。
それこそ、蹂躙という言葉が似合う出来事を思い出していた。
轟焦凍、彼の個性は余りに強力すぎた。
下手なプロヒーローよりも強いことは確かで
「ひょっとしたら……ポフレより強いかも…」
「ポフレ?……聞いた事ある気がするな。」
「私のお父さんの個性だよ。お父さん、元サイドキックだから…その関係かな。」
北条は何故か障子目蔵と仲良くなり始めていた。
「そういえば、障子くんって何で青い布なんて付けてるの?イケメンなのに勿体なくない?」
きゅるるん!
北条と障子目蔵の身長差を考慮した表情、目線、仕草。
愛らしく、しかしくどくない。そう愛玩動物じみた可愛らしさではない、思わずキュンっと来てしまう人間のそれ。
完璧だった。
「……そ、うか?」
「絶対そうだって。」
「……ありがとう。」
──落ち……たか?
純情な少年の心を弄ぶな
障子!!俺だーーー!!結婚してくれえええええ!!!!