Q.ひとは自分の同人誌が売られたい、という理由でヒーローになれるか答えよ 作:ピコッピコ
なんでDead or Aliveにしたんだろう……
「まさか…こんな所にワープさせられるなんて…」
セントラル広場に突如と現れたヴィラン。
相澤先生が自身の個性【抹消】で足止めをし、北条達は13号先生先導の元その隙に逃げ出そうとした。
だが、それはワープ系の個性を持った者に阻まれ。
気づけば、炎が布を焦がすUSJ内の火災ゾーンに飛ばされていた。
クラスの算を乱され、互いに行方知れず。
そんな状況にも関わらず、意外にも、北条は冷静であった。
──あのモヤの人は…そこまで遠い所に飛ばせないのかな。
できるのだったら、粉砕機の上にでも送る筈だ。
「にしても…弱いのばっかり。チンピラの寄せ集め?」
北条は、地に伏せたヴィランを眺めながら呟く。
降りた瞬間に変身をした北条。
瞬きをする程度の刹那。花弁が地に落ちるよりも圧倒的な速さで北条は敵を片付けた。
伏せた
昔は酷かった。
変身した直後に高熱で倒れたり、
相手の目を見て頭痛で倒れたり、
ビームを撃って死にかけたり。
とにかく死にかけていた。
諦めた方が良いと、もっと他の夢を見つけろと、何度も諭され。
それでも諦めず、ずっとずっと自身を追い込み続けた。
それが、ついに実を結んだのが雄英高校合格である。
そして現在。
昔だったら有り得ない程に強力になった個性に、感激しない方が可笑しい話だ。
全ては「R指定の同人誌を発売されたい」という夢を叶える為の努力。性欲は物事を超えるのだ。
余談だが、最近
──こんなに弱いなら、みんなも大丈夫だよね。
最初に感じた不安は杞憂だったらしい。
いとも簡単に倒せた敵に、北条は安堵した。
この程度の敵しか送ってこないのだ、なら、リーダー側もさしたものでは無いだろう。そう考える。
そして、一つの作戦を立てた。
題するなら…そう、
ドキドキ!☆先生助太刀大作戦!
これほど弱くとも、数多ければ中々面倒だ。
それを助太刀しにいき、アピールしよう。
という物。
勿論、心配の気持ちもある。
あるには有るが、どうにも、ここまで弱ければ大丈夫だろうと思えた。
…どんな相手にも油断するな、と口を酸っぱく言れていた筈なのだが。
ポフレが聞いたら怒髪天を衝くこと間違いなしだろう。
──それに、先生でなくともクラスの人達にアピールできる!……もし、私の勇姿に憧れなんかしたら……
北条は脳が、ジュワジュワ呑まれそうな液で満たされた器であるように思えた。
背筋を液が垂れ、痛みなく溶かされるような感覚に、北条は思わず笑みを浮かべた。
それが普通の、純粋な少女の笑みだったのだから手に負えない。
思い立ったが天赦日。
事程左様に、北条は全力疾走で広場へと向かった。
北条は数分前に戻れるなら、間違いなく自分を殴ってでも止めることだろう。
─なんなの…あれ……
異形系の個性か。脳の露出した、正しく人間離れした体。大きく、真っ黒で、見るのも憚られる姿。
それが、相澤先生の腕を折った。
それが、相澤先生の頭を打ち付けた。
それが、相澤先生を痛めつけている。
手を体中に貼り付けた、不気味な男。
その男が相澤先生の肘を砕いた…否、崩壊させた。
怖気を震う余りにも悍ましい光景に、北条はへたりこむ。
広場の近くのジェットスライダーの上で観察していた北条の手は震え、目からは雫が垂れていく。
無意識に北条は、コンパクトを掴み、まるで小鹿のように震え上がった。
………ふと、目が、あった。
──あ…
北条の鼓膜の後ろで警鈴が鳴り響く。
このままでは、殺される。
露出した脳ミソに沈んだ、ギョロリと死んだ魚のような眼球と、目が合った。
──あの人、生きてない
「ショットォ!!!!!!」
反射的に北条は手をかざした。
その手の平は少し赤く光ると、赤色の輝く球が飛び出す。
淡く、鮮烈な光が猛烈な速さで光の玉は、悍ましいソレに直撃した。
「──は?」
その光の球にさしたる攻撃力は無い。
だが、隙を作るには十分であった。
手のひらに光が集まり、肥大化していく。
「レーザアアアアアア!!!!」
苛烈で激甚な眩しい光は、1本の線となり、やがて北条の腕程の大きさとなり、放たれた。
光の球……【ライトショット】は大した攻撃力では無いが、2回連続となると流石に堪える筈だ。
こうなれば、もう後には引けない。
戦えば死、ここに居ても死。
なら、戦って散華したい。
そう思うのは、魔法少女を冠する個性を自称する者としての、プライドだった。
北条は自慢の脚力で、ウォータースライダーを駆け下り……ウォータースライダーの上から飛び降りると、素早く相澤先生の前に、悍ましいソレと不気味な男に立ちはだかる。
「……おまえ…何して…」
「その状態で、喋って体力を消耗するなんて…合理的ではありませんよ。イレイザーヘッド先生。」
酷い怪我の相澤先生に、北条は笑いかけた。
まるで花に笑いかけるような、優しい、自然な笑み。
こんな危機的状況。まだ生徒でしかない。その笑顔は何故か、とても安心出来るように感じられた。
──飛び出したのは叱られるよなーー!!
北条はそう心の中で叫びながら、目の前の2人を睨みつけた。
「はぁ……何なんだよ……!!何奴も此奴も…!ヒーローはいっつもそうだ…!……【脳無】。」
男の命令に瞬時に【脳無】は反応した。
一瞬にして間合いを詰められ、筋肉質な右手を腹に喰らわせようと拳を捻る。
「ッ!ショット!!!!」
北条はそれを間一髪で回避し、脳にショットを打ち込み、相澤先生と共に間合いを開いた。
──余りにも速い…それにアノ感じ……まさか
「効いてない……?」
唖然と呟く。
「ソイツは対平和の象徴、怪人脳無だ。」
「…オールマイトのことだよね。なんで貴方たちはオールマイトを殺そうとするの。」
「憎いからだよ、オールマイトが。……だから殺す。それだけさ。」
──説得は無理。隙を稼ぐのも難しそう。
恨み骨髄に徹す敵には、説得など通じない。
そんな者が、対話などする気がしない。
ましてや……こんな…不気味で、悍ましい者だ。
──こんな奴を相手するだなんて、絶対に
「………辛いよね。」
「……は」
この先起こるかも知れない、グロテスクで悍ましい想像に、北条は身震いをした。
絶対にコイツら道連れにしてやる。
そう決心し、拳を握る。
「ふざけんなよ…!なにが辛いよねだ……決めつけやがって……これだからヒーロー志望は嫌なんだ…これだから
男の悲鳴にも似た、脳無への命令を聞いた瞬間。
北条は腹部に激烈な痛みが走った。
目玉が弾き出されそうな勢いと、心臓も肋骨もアバラも弾けそうな痛みに、北条は目を見開くことしか出来ず。
ただ判断出来たのは、その痛みと、視界が
それを脳が解析するよりも早く、北条の頭は地面に叩きつけられた。
鈍く血まぐさい音が北条の耳の裏、少し上から鳴った事に気がついたのは、脳無の動きが止まった時であった。
息を吐くことも、瞬きすら制限される程の刹那に起こった出来事。
それを視界に収めてしまっていた、3人は、凄惨な光景に息を呑んだ。
「ァグッ……!!」
「……脳無、ソイツの頭を潰──」
「死柄木弔、少し宜しいでしょうか。」
死柄木弔の命令が途中で止んだからか、脳無の動きは止まり少し弱まる。
後頭部及び脳髄にまで響く激痛。
先程とは別の、甲高い警鐘が脳裏で鳴り響く。
だが、地面を染める血液が脳ミソにまで浸透し、溢れ、満たす感覚が…不思議と気持ち──
──…あぶねぇ!!!Mに目覚める所だった!!!
良くは無かった。
北条は別の扉を見つけるという驚きと、その扉への恐怖心により、何とか脳無を突き放した。
流石にMはマズイMは。
──超ノーマルな私でさえも目覚めさせかける……ヴィラン、なんて恐ろしい……!!!
死柄木弔の命令を待つばかりの脳無。
対峙するように、北条は拳を握っていた。
それを横目で見やった死柄木弔には、先程の鬼気迫る勢いは無く。
何処かぼんやりとしたように北条を見つめると、直ぐに視線を黒いモヤへと戻した。
「……黒霧、13号はやったのか。」
「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」
「…………は?……はーー……はぁーーー……」
ガリガリガリガリ
猫が爪を研ぐときのような音を、男は首を掻きながら出していた。
「黒霧おまえ……おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ。…さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ。あーぁ……今回はゲームオーバーだ、帰ろっか。」
北条は、グラグラ揺れる視界と覚束無い足取りで立ち上がる。
だが、思考は止まず絶えず続く。
──帰る…かえる……変える…?……まさか!!
北条は死柄木弔の視線が、1人の女子生徒へ向いていることに気がつく。
──アイツ、梅雨ちゃんお持ち帰りするつもりかよ!!!
多分違う。
「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでも………へし折って帰ろう!」
北条は気がつけば走り出していた。
死柄木弔の手が、蛙吹梅雨の顔に触れる寸前。
北条は腕を滑り込ませる。
この距離では追いつくことで精一杯。
だから、北条は、自身の腕を犠牲にすることを選んだ。
北条は目を瞑り、次にくる痛みに備える。
だが、痛みなど一向にこなかった。
「……ほんとカッコイイぜ……お前もイレイザーヘッドも……!!!」
イレイザーヘッド 個性 【抹消】
倒れていた相澤先生の髪は逆立ち。瞳は、真っ赤に朗々と輝いて、死柄木弔を睨みつけていた。
──相澤先生を傷物にしただけに飽き足らず。相手の同意なく、しかも、顔を傷つけてとは………やっぱヴィランはアブノーマル!!許さんぞ死柄木弔ァ!!!!!!!!!!!
北条は怒りに燃えていた。
血の海に沈み、生きているのか、死んでいるのかも判断出来ない相澤先生。
顔を崩し、その体に手を付けられそうになった蛙吹。
乱暴、屈辱、そんなもの許せる訳が無い。
北条は、ヒーローとしても、梅雨の友達としても、相澤先生の生徒としても、腹だだしいこと、この上ない!!!!
あと北条は、自身に対してじゃないのが悔しかった。
「手っ……離せェ!!!!!」
緑谷出久は飛び出した。
「…脳無。」
「SMAASH!!」
緑谷出久は死柄木弔へ個性の殴りを御見舞…
「え……」
出来なかった。
緑谷出久の放った殴りは、死柄木弔の命令により、飛んできた脳無へ。
「いい動きをするなぁ……スマッシュって……オールマイトのフォロワーかい?まぁ、いいや、君。」
「み、緑谷!!!」
北条は手をかざす。
もう満身創痍に近い状態で、
北条がライトショットを放ち、気絶するまで
4...3...2..─
「もう大丈夫。……私が来た。」
北条はショット!と叫ぼうとし、止めた。
USJの扉は開け放たれた。
危機的状況なのは変わらない。死柄木弔が地に伏せたわけでも、脳無が爆裂四散し塵芥と変わった訳でもない。
だというのに……
──あぁ……助かった……!!
もう助かった、という絶対的な安心があった。
「嫌な予感がしてね…校長の話を振り切りやって来たよ。来る途中で飯田少年とすれ違って……何が起きているか、あらまし聞いた。
────もう大丈夫、私が来た。」
「オールマイトォォ!!!」
「あーー……コンテニューだ。」
2人が飛び出した時は興奮しました。
その時隣(作者姉)の部屋から壁ドン喰らいましたね。
人生初の壁ドンでした。
嘘です。姉なんて居ません。