Q.ひとは自分の同人誌が売られたい、という理由でヒーローになれるか答えよ   作:ピコッピコ

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なんでDead or Aliveにしたんだろう……


17 それは希望か絶望か

 

「まさか…こんな所にワープさせられるなんて…」

 

セントラル広場に突如と現れたヴィラン。

 

相澤先生が自身の個性【抹消】で足止めをし、北条達は13号先生先導の元その隙に逃げ出そうとした。

 

だが、それはワープ系の個性を持った者に阻まれ。

 

気づけば、炎が布を焦がすUSJ内の火災ゾーンに飛ばされていた。

 

クラスの算を乱され、互いに行方知れず。

 

そんな状況にも関わらず、意外にも、北条は冷静であった。

 

──あのモヤの人は…そこまで遠い所に飛ばせないのかな。

 

できるのだったら、粉砕機の上にでも送る筈だ。

 

「にしても…弱いのばっかり。チンピラの寄せ集め?」

 

北条は、地に伏せたヴィランを眺めながら呟く。

 

降りた瞬間に変身をした北条。

瞬きをする程度の刹那。花弁が地に落ちるよりも圧倒的な速さで北条は敵を片付けた。

 

伏せた(ヴィラン)の数に、北条は自分のことだが感動した。目頭が、炎の性ではなく熱くなり、思わず押さえる。

 

昔は酷かった。

 

変身した直後に高熱で倒れたり、

相手の目を見て頭痛で倒れたり、

ビームを撃って死にかけたり。

 

とにかく死にかけていた。

 

諦めた方が良いと、もっと他の夢を見つけろと、何度も諭され。

それでも諦めず、ずっとずっと自身を追い込み続けた。

 

それが、ついに実を結んだのが雄英高校合格である。

 

そして現在。

昔だったら有り得ない程に強力になった個性に、感激しない方が可笑しい話だ。

 

全ては「R指定の同人誌を発売されたい」という夢を叶える為の努力。性欲は物事を超えるのだ。

 

余談だが、最近NTR(ネトラレ)とかやられるのも良いんじゃないか、とか思い始めてる。因みにNTR(ネトラレ)される側だ。ドMか?

 

──こんなに弱いなら、みんなも大丈夫だよね。

 

最初に感じた不安は杞憂だったらしい。

いとも簡単に倒せた敵に、北条は安堵した。

 

この程度の敵しか送ってこないのだ、なら、リーダー側もさしたものでは無いだろう。そう考える。

 

そして、一つの作戦を立てた。

 

題するなら…そう、

 

 

 

ドキドキ!☆先生助太刀大作戦!

 

 

 

これほど弱くとも、数多ければ中々面倒だ。

それを助太刀しにいき、アピールしよう。

という物。

 

勿論、心配の気持ちもある。

あるには有るが、どうにも、ここまで弱ければ大丈夫だろうと思えた。

 

…どんな相手にも油断するな、と口を酸っぱく言れていた筈なのだが。

ポフレが聞いたら怒髪天を衝くこと間違いなしだろう。

 

──それに、先生でなくともクラスの人達にアピールできる!……もし、私の勇姿に憧れなんかしたら……

 

北条は脳が、ジュワジュワ呑まれそうな液で満たされた器であるように思えた。

背筋を液が垂れ、痛みなく溶かされるような感覚に、北条は思わず笑みを浮かべた。

 

それが普通の、純粋な少女の笑みだったのだから手に負えない。

 

思い立ったが天赦日。

事程左様に、北条は全力疾走で広場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北条は数分前に戻れるなら、間違いなく自分を殴ってでも止めることだろう。

 

 

─なんなの…あれ……

 

異形系の個性か。脳の露出した、正しく人間離れした体。大きく、真っ黒で、見るのも憚られる姿。

 

それが、相澤先生の腕を折った。

それが、相澤先生の頭を打ち付けた。

それが、相澤先生を痛めつけている。

 

手を体中に貼り付けた、不気味な男。

 

その男が相澤先生の肘を砕いた…否、崩壊させた。

 

怖気を震う余りにも悍ましい光景に、北条はへたりこむ。

 

広場の近くのジェットスライダーの上で観察していた北条の手は震え、目からは雫が垂れていく。

 

無意識に北条は、コンパクトを掴み、まるで小鹿のように震え上がった。

 

………ふと、目が、あった。

 

──あ…

 

北条の鼓膜の後ろで警鈴が鳴り響く。

このままでは、殺される。

 

露出した脳ミソに沈んだ、ギョロリと死んだ魚のような眼球と、目が合った。

 

──あの人、生きてない

 

合ってしまった(わかってしまった)

 

「ショットォ!!!!!!」

 

反射的に北条は手をかざした。

 

その手の平は少し赤く光ると、赤色の輝く球が飛び出す。

淡く、鮮烈な光が猛烈な速さで光の玉は、悍ましいソレに直撃した。

 

「──は?」

 

その光の球にさしたる攻撃力は無い。

だが、隙を作るには十分であった。

 

手のひらに光が集まり、肥大化していく。

 

「レーザアアアアアア!!!!」

 

苛烈で激甚な眩しい光は、1本の線となり、やがて北条の腕程の大きさとなり、放たれた。

 

光の球……【ライトショット】は大した攻撃力では無いが、2回連続となると流石に堪える筈だ。

 

こうなれば、もう後には引けない。

 

戦えば死、ここに居ても死。

なら、戦って散華したい。

 

そう思うのは、魔法少女を冠する個性を自称する者としての、プライドだった。

 

北条は自慢の脚力で、ウォータースライダーを駆け下り……ウォータースライダーの上から飛び降りると、素早く相澤先生の前に、悍ましいソレと不気味な男に立ちはだかる。

 

「……おまえ…何して…」

「その状態で、喋って体力を消耗するなんて…合理的ではありませんよ。イレイザーヘッド先生。」

 

酷い怪我の相澤先生に、北条は笑いかけた。

まるで花に笑いかけるような、優しい、自然な笑み。

こんな危機的状況。まだ生徒でしかない。その笑顔は何故か、とても安心出来るように感じられた。

 

──飛び出したのは叱られるよなーー!!

 

北条はそう心の中で叫びながら、目の前の2人を睨みつけた。

 

「はぁ……何なんだよ……!!何奴も此奴も…!ヒーローはいっつもそうだ…!……【脳無】。」

 

男の命令に瞬時に【脳無】は反応した。

一瞬にして間合いを詰められ、筋肉質な右手を腹に喰らわせようと拳を捻る。

 

「ッ!ショット!!!!」

 

北条はそれを間一髪で回避し、脳にショットを打ち込み、相澤先生と共に間合いを開いた。

 

──余りにも速い…それにアノ感じ……まさか

 

「効いてない……?」

 

唖然と呟く。

 

「ソイツは対平和の象徴、怪人脳無だ。」

「…オールマイトのことだよね。なんで貴方たちはオールマイトを殺そうとするの。」

「憎いからだよ、オールマイトが。……だから殺す。それだけさ。」

 

──説得は無理。隙を稼ぐのも難しそう。

 

恨み骨髄に徹す敵には、説得など通じない。

オールマイト(平和の象徴)への恨みは、世間への恨みに直結している部分がある。

 

そんな者が、対話などする気がしない。

ましてや……こんな…不気味で、悍ましい者だ。

 

──こんな奴を相手するだなんて、絶対に

 

「………辛いよね。」

「……は」

 

この先起こるかも知れない、グロテスクで悍ましい想像に、北条は身震いをした。

 

絶対にコイツら道連れにしてやる。

そう決心し、拳を握る。

 

ふざけんなよ…!なにが辛いよねだ……決めつけやがって……これだからヒーロー志望は嫌なんだ…これだからヒーロー(偽善者)は!!!!やれ、脳無!!!!!

 

男の悲鳴にも似た、脳無への命令を聞いた瞬間。

北条は腹部に激烈な痛みが走った。

 

目玉が弾き出されそうな勢いと、心臓も肋骨もアバラも弾けそうな痛みに、北条は目を見開くことしか出来ず。

 

ただ判断出来たのは、その痛みと、視界が黒いもの(大きな手)に掴まれたことのみ。

 

それを脳が解析するよりも早く、北条の頭は地面に叩きつけられた。

 

鈍く血まぐさい音が北条の耳の裏、少し上から鳴った事に気がついたのは、脳無の動きが止まった時であった。

 

息を吐くことも、瞬きすら制限される程の刹那に起こった出来事。

それを視界に収めてしまっていた、3人は、凄惨な光景に息を呑んだ。

 

「ァグッ……!!」

「……脳無、ソイツの頭を潰──」

 

「死柄木弔、少し宜しいでしょうか。」

 

死柄木弔の命令が途中で止んだからか、脳無の動きは止まり少し弱まる。

 

後頭部及び脳髄にまで響く激痛。

先程とは別の、甲高い警鐘が脳裏で鳴り響く。

 

だが、地面を染める血液が脳ミソにまで浸透し、溢れ、満たす感覚が…不思議と気持ち──

 

──…あぶねぇ!!!Mに目覚める所だった!!!

 

良くは無かった。

 

北条は別の扉を見つけるという驚きと、その扉への恐怖心により、何とか脳無を突き放した。

流石にMはマズイMは。

 

──超ノーマルな私でさえも目覚めさせかける……ヴィラン、なんて恐ろしい……!!!

 

死柄木弔の命令を待つばかりの脳無。

対峙するように、北条は拳を握っていた。

 

それを横目で見やった死柄木弔には、先程の鬼気迫る勢いは無く。

何処かぼんやりとしたように北条を見つめると、直ぐに視線を黒いモヤへと戻した。

 

「……黒霧、13号はやったのか。」

「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」

「…………は?……はーー……はぁーーー……」

 

ガリガリガリガリ

猫が爪を研ぐときのような音を、男は首を掻きながら出していた。

 

「黒霧おまえ……おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ。…さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ。あーぁ……今回はゲームオーバーだ、帰ろっか。」

 

北条は、グラグラ揺れる視界と覚束無い足取りで立ち上がる。

だが、思考は止まず絶えず続く。

 

──帰る…かえる……変える…?……まさか!!

 

北条は死柄木弔の視線が、1人の女子生徒へ向いていることに気がつく。

 

──アイツ、梅雨ちゃんお持ち帰りするつもりかよ!!!

 

多分違う。

 

「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでも………へし折って帰ろう!」

 

北条は気がつけば走り出していた。

 

死柄木弔の手が、蛙吹梅雨の顔に触れる寸前。

北条は腕を滑り込ませる。

この距離では追いつくことで精一杯。

 

だから、北条は、自身の腕を犠牲にすることを選んだ。

 

北条は目を瞑り、次にくる痛みに備える。

 

だが、痛みなど一向にこなかった。

 

「……ほんとカッコイイぜ……お前もイレイザーヘッドも……!!!」

 

イレイザーヘッド 個性 【抹消】

 

倒れていた相澤先生の髪は逆立ち。瞳は、真っ赤に朗々と輝いて、死柄木弔を睨みつけていた。

 

──相澤先生を傷物にしただけに飽き足らず。相手の同意なく、しかも、顔を傷つけてとは………やっぱヴィランはアブノーマル!!許さんぞ死柄木弔ァ!!!!!!!!!!!

 

北条は怒りに燃えていた。

 

血の海に沈み、生きているのか、死んでいるのかも判断出来ない相澤先生。

 

顔を崩し、その体に手を付けられそうになった蛙吹。

 

乱暴、屈辱、そんなもの許せる訳が無い。

 

北条は、ヒーローとしても、梅雨の友達としても、相澤先生の生徒としても、腹だだしいこと、この上ない!!!!

 

あと北条は、自身に対してじゃないのが悔しかった。

 

「手っ……離せェ!!!!!」

 

緑谷出久は飛び出した。

 

「…脳無。」

「SMAASH!!」

 

緑谷出久は死柄木弔へ個性の殴りを御見舞…

 

「え……」

 

出来なかった。

 

緑谷出久の放った殴りは、死柄木弔の命令により、飛んできた脳無へ。

 

「いい動きをするなぁ……スマッシュって……オールマイトのフォロワーかい?まぁ、いいや、君。」

「み、緑谷!!!」

 

北条は手をかざす。

もう満身創痍に近い状態で、消費する技(ライトショット)を行うなど、馬鹿げている!!

 

北条がライトショットを放ち、気絶するまで

 

4...3...2..─

 

「もう大丈夫。……私が来た。」

 

北条はショット!と叫ぼうとし、止めた。

 

USJの扉は開け放たれた。

危機的状況なのは変わらない。死柄木弔が地に伏せたわけでも、脳無が爆裂四散し塵芥と変わった訳でもない。

 

だというのに……

 

──あぁ……助かった……!!

 

もう助かった、という絶対的な安心があった。

 

「嫌な予感がしてね…校長の話を振り切りやって来たよ。来る途中で飯田少年とすれ違って……何が起きているか、あらまし聞いた。

 

────もう大丈夫、私が来た。」

 

「オールマイトォォ!!!」

 

「あーー……コンテニューだ。」

 

 

 




2人が飛び出した時は興奮しました。

その時隣(作者姉)の部屋から壁ドン喰らいましたね。
人生初の壁ドンでした。



嘘です。姉なんて居ません。
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