Q.ひとは自分の同人誌が売られたい、という理由でヒーローになれるか答えよ 作:ピコッピコ
ストックが全部消去されました。
「すごい………」
オールマイト先生の驚異的な速さと、猛烈な強さを目の当たりにした北条は、ただ唖然とオールマイトを見つめていた。
オールマイトが来てからは、あっという間に事が進んだ。
気がつけば相澤先生と北条は、広場からは遠い場所へ。しかも緑谷出久、蛙吹、峰田実も共に。
「なぎさちゃん……肩を貸すわ。」
「ありがとう梅雨ちゃん。でも大丈夫。……それより、梅雨ちゃん、緑谷くん、実くん。速く入口へ行こう。………緑谷くん?」
「っそうだね。行こうか。」
「オールマイトが来たからにはもう安心だぜ!緑谷ァ!!!早く担いで行くぞ!!!!」
ボロボロの北条は、首を傾げた。
オールマイトを見つめる緑谷出久の目が、ひどく心配そうであったからだ。
──あんな強いのに、なに心配してるんだろ。
ただの心配性か。はたまた、オールマイトについて、
「何でバックドロップが爆発みてーになるんだろうな……!!やっぱダンチだぜオールマイト…!!」
「授業はカンペ見ながらの新米さんなのに。」
「ほんっとうにスゴい……格が違うよ…」
「なぎさちゃん……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫。こう見えて私、すっごい頑丈なの。」
心配そうな蛙吹を見て、北条は安心させようとニコニコ笑いかける。
だが、蛙吹の不安そうな顔は全く変わらない。
後頭部が血濡れ、露出している腹部には痛々しい痣が大きく現れている北条。
明らかに危険であり、大怪我であるかのように見えるが……実はそうでもない。
変身系【魔法少女】。
昔に流行ったアニメや本に描かれていた彼女たちは、こんな程度でへこたれるような者たちであったか?
否。この程度、爪楊枝が刺さったようなもの。
体力を消耗しているだけで、直ぐに治る。
こういう所は母親の個性似なのだ。
オールマイトがバックドロップを脳無に仕掛け、爆発のようになった後。
舞った砂埃…否、もはや砂嵐だった物が晴れた時。
脳無がオールマイトを掴み、自ら黒いモヤの中へ入っていた。
「蛙す……つ、ゆちゃん!」
緑谷出久が蛙吹を呼ぶ。
す、まで言って直したのは、蛙吹が梅雨ちゃんと呼んで欲しいからだろう。
「頑張ってくれてるのね。なぁに緑谷ちゃん。」
「相澤先生担ぐの変わって……!!」
「うん…けど、何で」
蛙吹が言い切る直前。
緑谷出久は飛び出した。
生き急いだように、全速力で
「オールマイトォ!!」
広場へと飛び出していった。
だがしかし、黒いモヤがそんな事許す訳がないのだ。すぐさまに緑谷出久を飲み込まんと広がる。
北条は顔色変えて緑谷出久を追いかけようとし、峰田実に止められた。具体的には足に張り付かれた。
「どっけ邪魔だ!!デク!!!」
BOOOOOON!!!
オレンジとレッドの入り交じった爆炎を纏った拳が、突如モヤの持ち主の腹を横殴りにした。
そこをすかさずと地に伏せ、押さえつける。
轟焦凍が現れ、オールマイトを避け、脳無の半身のみが氷漬けに。
「だぁー!!」
切島鋭児郎は、果敢に死柄木弔に殴りががかった。見事に避けられたが、その勇気は賞賛すべきものだろう。
「くっそ!!いいとこねー!!」
「スカしてんじゃねえぞ、モヤモブが!!!」
脳無の半身が凍ったことで、脳無の手が緩んだのだろう。
オールマイトは素早く抜け出した。
「なぎさちゃん、大丈夫よ。みんなも強いわ。……信用してあげて、みんななら大丈夫よ。」
「そんなボロボロで行った所で、どうにもなんねぇよ!!大人しく皆のとこ戻ろうぜ!?」
北条の再生能力等は、常人のそれを遥かに凌ぐ。
だが、所詮は学生。
あの中で足でまといにならず、動ける自信など、北条には無かった。
何も出来ないことの、何と歯痒いものか。
「………そうだね。みんなは、強いよね。」
北条はそう独りごちた。
ドッガアン
脳無が吹き飛び、USJの強固な天井ガラスを破り、何処か遠くへ飛んでいった。
「マジかよ…」
蛙吹と峰田実と相澤先生の4人で辿り着いたUSJの入口付近。
北条は体を休めながら呟いた。
脳無とオールマイトの戦いは、小さな台風の中心で行われているのかと見まごう様な物だった。
小細工無しの殴り合い。
それが、如何して台風を巻き起こすのか。
それが、如何してここまで胸を打つのだろう。
北条は、これが命を脅かす恐ろしい戦いであることも、先程自分がMに目覚めそうな程の激痛を食らったのも忘れ、ただ、見惚れていた。
──これが、
胸から滲む悔しさ。
海馬に染み付こうとする絶望感。
胸打つ興奮。
──あぁ、もし、もしも、ああ成れたなら!
北条は、そう考えるだけで幻覚すら見そうな程に、どうにか成りそうだった。
頭が沸騰して、グラグラ瞳が
緊張すらせずに、オーガズムの紛い物を身近に感じ始めていた。
そんな北条は、気づく事が遅れた。
穏やかに眺めていた北条は、突如形相を歪め、手をヴィランに翳す。
緑谷出久が、黒霧に飛びかかる。
目にも止まらぬ速さ、これがもう少し遅ければ北条もショットを打って止める事程度なら出来ただろう。
これだと、間に合わない。
黒霧のモヤから、死柄木弔の手が現れ、緑谷出久に近づく。
「ショット!!」
北条の手のひらから、淡い光の球が作られ……消えた。
死柄木弔の手が、緑谷出久に触れようとしたその時。
「ごめんよ皆」
「遅くなったね。すぐ動ける者をかき集めてきた。」
優しい声が、後ろから聞こえる。
北条は振り向いた。
「1-Aクラス委員長、飯田天哉!!」
「ただいま戻りました!!!」
ストック………(´;ω;`)ブワッ