Q.ひとは自分の同人誌が売られたい、という理由でヒーローになれるか答えよ 作:ピコッピコ
修正箇所
・読みやすくしました
・説明の足りない箇所の補足をしました
・最後のオリ主とオリ主母の会話を削除しました
・〃〃オリ主と心操人使の会話を追加しました
・話の展開を少々変更しました
気づいたら騎馬戦が終わっていた。
訳が分からないだろうが、当の本人も分かっていない。
ただ分かっているのは、目の前の
そして、この元同級生の
──油断した。まさか洗脳されるなんて……
元同級生……心操人使 個性 洗脳
油断したのだ。まぁ別に大丈夫だろ、と根拠も無く。
とんだ学習能力の無さである。
北条は己の不甲斐なさと、洗脳への怒りに頭を抱えた。
ふつふつと湧き上がる感情の行き場など無い、ただ抑えることしかできない。
──どうしよう……騎馬戦………
それに加え、胸を占めるのは後悔。
歯を食いしばって涙を流したいほどの衝動に突き動かされる事も出来ないのは、最終的には決勝へ上がることが可能だったからに過ぎない。
もし、そうでなかったら泣いていただろう。
──個性使ってないんだけど!!!!!!!
【目立ててない】
そう実の所、北条は洗脳されたこと自体に対する怒りはそこまで無い。
何なら同人誌宜しく展開やったぜ!と浮かれ気分にノリノリだった。そういう展開には成って無いので安心して欲しい。
というか、曲がりなりにも元同級生なのだからその感想はどうかと思う。
怒りの矛先は、個性をつかえてないこと。
──目立ててない!目立ててない!!なんの為に第一種目で抑えたと思ってるのよ!!!
ムイーー!!と地団駄踏み暴れたい位には怒り狂っている。
残念な事に、北条は悲しい位に
現に「あの時の子何処行った?」と騒がれているのも怒りの要因の1つ。
怒りを沈めようと文句の1つでも言いに行くにも……
「ねぇ心操くん。」
「なに、なぎさちゃん。」
「……何でもないよ。」
話しかけた瞬間、花も綻ぶ笑顔で振り向いた心操人使に、北条は何も言えなかった。チキンか。
──こんなキャラじゃないでしょ!?
キャラ崩壊も良い所すぎる。
本来…というか、他に対してというか。何時もの心操人使はもっと刺し刺ししく、世の中への希望を捨てきれない厭世家じみた少年であった筈だ。
それが北条を前にしたらどうだ。
こんな幸せを体現しようと躍起になる幸せ者も目が眩む笑顔で、北条を出迎えるではないか。
原因は分かっている。
昔、北条と心操人使はヴィランに絡まれた事があった。
押し付け紛いに決められた委員会が同じで、その備品の買い出しに出かけた時のことだ。
心操人使と北条はヴィランに出会った。
ヴィランの目は心操人使を見つめており、その目は……喜色が悪いぐらい、色に沈んでいた。
その目を見た瞬間、北条はヴィランをぶっ飛ばしたのを覚えている。
──なんで私じゃないんだよ!!!!!私の方がエッチだろうが!!!!!!!
そうじゃないだろ。
『ヒーローに成れる訳ないなんて誰が言ったの、充分成れそうだけどな、ヒーロー。』
反吐が出るほど言われてきた言葉だった。
無責任な甘言に、砂糖をこれでもかと掛けたような言葉。こういう人も影では言っているのだ。悪口陰口を散々と。
北条なぎさもその1人……その筈だった。
ヴィランみたいな個性。
等と叩かれ、しかし、本物のヴィランなど見たことも無かった心操にとって、あの出来事はあまりに鮮烈な物だった。
足が竦むほどの恐怖、血の匂いすら感じる程に脈動する心臓は、たかだか中学生になったばかりの心操には……一般人には馴染みない。
それは北条なぎさでも同じことだった。
なのに動いた。個性すらも使わずに。
か弱い、個性以外の強みなど無いような少女が立ち向かい、そしてヴィランを沈めた。
それは個性に確執のある心操に取ってしてみれば、余りにも鮮烈。余りにも苛烈で刺激的な体験であった。
『ヒーローになりたいんだったよね。個性で、とか何とか言ってたよね。……こんくらい強くなってから言いなさいよ。』
気絶するヴィランから目をそらさず放ったこの言葉を、心操は未だ忘れることが出来ずにいる。
心操は後に知ったのだが……彼女の母親はヴィランに襲われ、それを助けたのが北条なぎさであったらしい。
ヴィランはサイドキックである父親へ強い恨みを持っていたらしい。
そしてその事件の直後、離婚したらしい。
これは心操が聞いた噂の内の1つ。
曰く、ヴィランに恨まれ続ける事に疲れた。
曰く、ヒーローにならない事に痺れを切らした。
曰く、
───強すぎる娘の個性に、恐れた。
ヴィランになっては困る、まるで化物のような個性だ、と言われていた事に心操が気づいたのは、その一件の後。
そして、それを全て己の行動で黙らせた事を知ったのも。
それ故に皆が憧れ、尊敬することを知ったのも、その一件の後。
──カッコイイ。
心操は柄にも無く憧れたのだ。
その強さに、その高潔さに。
「……なぎさちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ごめんね、ぼーっとしちゃったの。」
「ならいいんだけど…。具合悪くなったら言えよ。一緒に保健室行くから。」
「ありがとう。」
──ありがたいんだけど、白米調査*1出来ないから離れて欲しい。
北条はエッチな目を気にしすぎて、エッチな目と純粋な好意の見分けがつくよ!
心操の好意に対しての対応はそれが原因です。純粋がすぎる。