光の巨人になりたかったのに、なっていたのは……   作:特撮SS

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 ハァ…ハァ…や、やっとこさ…ハァ…やっとこさ新しいのを更新出来たぜ。

 お久し振りです。新入りの特撮SSです。
やっと2話目を投稿出来ました。最後に更新したのいつだっけか?
遅れている間にXV始まるし、令和ライダー始まるし、タロウの息子はパワーアップするし、色んな事がありました。

 これからも亀更新ではありますが、お付き合い下さい。


《ZWEI WING》?

 

 

 

 も、モチつけ…モチつくんだ…………あ、違った。

 落ち着くんだ…兎に角落ち着いて状況を把握するんだ。

 

 確か俺が女神様に頼んだのは"ウルトラマンティガ"の筈だ。決して“キリエル人”になりたいとは言っていない。言っていない筈……だ。

 別にキリエル人が嫌いと言うわけではない、いけ好かない奴らだがキャラクターとしては大好きだ。“ティガの中で一番好きな怪獣は?”と聞かれれば"ゾイガー"と“ゴブニュ”そして“キリエル”、と迷い無く言えるほど好きだ。

 だからってそれとコレとは話は別だ。

 

 

 宙で腕を組みウンウン唸る。今現在俺の姿はキリエル人の本来の姿とも言える精神生命体ーエーテル体ーの姿だ。

このエーテル体は有り体に言ってしまえば幽霊のような物なので自身以外の何かに触れることもできなければ、話すことすらできない。

 劇中でイルマ隊長やダイゴ隊員に使っていた念力のような力は一応使用可能だ。

試しに使ってみたら、近くを飛んでいたカラスに直撃したらしく、カラスが鈍い音を出して真っ逆さまに落ちていってしまった。

 

 なんとも言えない状況に固まってしまった俺は、ただ静かに両手を会わせていた。………ほんとごめんな。

 

 

 

 

 

 

 

 移動方法は至って簡単で、行きたい方向に体を傾ければその方向に移動するようで、上下左右自由自在に動くことができるだろう。

 

 

 ーーーこ、これは…なかなか……難しいな…ーーー

 

 

 ただ、常時ふわふわ浮かんでいるような感じで姿勢を安定させるのがなかなか難しく最初は上手く出来なかったが、何度か空中を浮遊しているうちにコツを掴んできた。

未知の感覚に最初は戸惑ったが、馴れれば案外快適だ。

 

 

 さて、自分の体の事大体わかった。次は自分が何処にいるのかを調べないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼下の街に降下し、しばらく街中を移動(浮遊)して気付いたが、道を行き交う人々の顔立ちや通りに出ている看板に書かれた文字を見る限りここは日本のようだ。流石に日本のどことまではわからないが、おそらく東京であろう。

 怪物がいると聞いたから、てっきりファンタジーな異世界かと思ったが、自分が居た世界とあまり変わらない現代日本だ。しかし街の風景やあちこちにある映像で出来た垂れ幕や変わった形の信号機など、科学技術はかなり進んでいるようだ。

 

 

 街中をぶらりとしていてふと気になったのは、街を歩く人々の中に稀に俺に気付いたようにこっちを見てる人がいることだ。しかし直ぐに気のせいだと思ったのか、首を傾げながら視線を外す。

 

 

 ーーーあの人達って確実に見えてるってこと…だよね?そもそも、“エーテル体"ってこの世界の人から見たらどういう風に見えてるんだろう?ーーー

 

 

 やっぱりテレビ本編のようなぼんやりとした見た目なのだろうか、それとも全く違う物なのか…

そんな事をぼんやりと考えながら俺は散策を続けた。

 

 

 

 

 散策してしばらく、港に近い所に奇妙な建物が幾つか見えた。

まるでオブジェのような形の土台にミラーを張り詰めたドームのような物が乗っている。

近付いて見ると、遠目からもわかったがかなり大きい。俺のいた世界にはこんな大きな建物は無かった。

そのドーム状の建物の一つに更に丸いドームが建っていた。

何の建物のか気になった俺はドームに接近してみた。入り口付近には作業服を着た人達が柵やら機材やらを忙しなく運んでいる。

 

 

 ーーー何かのイベント会場……かな?ーーー

 

 

 生まれてこの方イベントなんて行ったことが無かったので、物珍しそうに辺りを見て回っていた。

 

 

 「電気入りまーす!!」

 

 

 ふと後ろで作業をしていた人が声を上げた。

街にもあった街灯のような物に電気が入る。その街灯に映像が流れ始めた。

思わず振り返った俺は、その街灯を見上げた。

 

 

 ーーーツヴァイ……ウィング?ーーー

 

 

 その映像には蒼い髪の少女と橙色の髪の少女、そして《ZWEI WING》の文字が移し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場内に入った(無断で)俺は、その広さに驚愕した。

入ってくる道中で知ったのだが、この会場は先程見た《ZWEI WING》と言うボーカルユニットのライブ会場らしい。

何十人もの作業員が席やステージの設備をセッティングしている。会場の中は機材の音や作業員の声などでとても活気がある。

 

 

 ーーーおっ!すげぇライブ会場ってこうなってるのかぁーーー

 

そんな人達を観察しながら会場内を漂う。こう言うのを見ることなんて生前では絶対に無かっただろう。人に見えないと言うもの存外悪く無いかも知れない。

 そんな事を考え始めた時、ふと会場の一角から女の子らしき高い声が聞こえた。

作業現場に女の子がいるのだろうか?気になった俺は、その声が聞こえた方に飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………?」

 

 

 ふと何かの気配を感じ蒼い髪の少女“風鳴翼"は視線をステージの天井部に向けた。

だが、視線の先に写るのは天井内側の鉄骨やそこで働く作業員ばかりで何ら不審な物は無い。

 しかし、翼はほんの微かにだが確かに感じた。“装者"として彼女達が戦っている“奴ら"とは違う、しかし同じ程異質な何かを……

 

 そんな事を考えながら天井部を注視していると______

 

 

 「何ボーッとしてんだ_____よっ!」

 

 

 後ろから声が聞こえて来ると同時に翼の後頭部を衝撃が襲う。

すぐに自分が叩かれたと悟った翼は驚いて振り向くと、自身の無二の親友にして“戦友”でもある少女、“天羽奏”が呆れた様に翼を見ていた。

 

 

 「か、奏……」

 

 

 「さっきからボーッとしてんぞ?見学してきていいって言われたけどまだあちこち骨組みなんだから気を付けろよ。」

 

 

 「あ、うん。ごめん…奏。」

 

 

 まだ少しヒリヒリする頭を擦りながら翼は奏に謝罪する。

しかしどこか心ここに有らずといった感じで、返事も生返事だ。

 そんな様子の翼を心配してか、奏が翼の顔を覗きこむ。

 

 

 「……どうした?なんかあったのか?」

 

 

 「えっ?」

 

 

 「翼、さっきから様子が変だからよ。」

 

 

 奏の様子に、翼も我に返り自分が奏に心配をかけていた事を悟った。

 

 

 「えっとごめん。初めての大きいステージだから珍しくて…」

 

 

 「そうか?なんか天井ばかり見てたようだけど?」

 

 

 「あ…いや、そんなことないよ。ほ、ほら!そろそろ戻らないと緒川さんも心配するし!」

 

 

 翼は強引に会話を打ちきり奏の横を通りすぎる。明らかに何時もと様子の違う翼に奏は訝しげに翼を見るが、翼から何も言ってこない以上深く追及する事はしなかった。

 

 

 翼自身も奏に相談するか否か迷ったが、奏が気にしてる様子もないようだし、あくまで“そんな気がする”だけで何の確証も翼にはない。

 

 それに折角の親友との晴れのステージなのだ、楽しみにしている友の顔を妙な事で曇らせたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーあ、アッブネェェェェ!ーーー

 

 

 下にいた少女達が居なくなったのを感じ、天井の照明器具からニュッと顔を出すキリエル人(エーテル体)。

 

 

 ーーー何なんだ青髪のあの子!?近付いた途端にこっちガン見してきたぞ?!今まであんなに熱烈(?)な視線向けられたことなかったのに!!?ーーー

 

 

 再び照明の中に隠れ頭を抱えたキリエル。今まで自分を見ていた人間は結構いたが、そのすべて気のせいだとあまり気にしている様子はなかった。

 

 だが彼女は今までの人間とは違い、視線を外さずキリエルのいる辺りを怪しそうに凝視してきた。

視線を向けられる寸前、某新人類のような感覚が走り、近くの照明器具の内部に入り込み事なきをえた。     

 

 

 ーーーやベーなぁ、あの子みたいな霊感(?)高い子もいるのかぁ。あんまり此処に長居しないほうが良さそうかも。ーーー

 

 

 照明から抜け出たキリエルは周りの視線にビクビクしながらコンサート会場を後にした。

 

 




 随分前にリア友がこのSSを読んでたらしくて驚きました。激励という名の文句を言ってきました。

 おんどれ、今度会ったら覚悟せいよ。


 どうでもいい独り言でした。

 ※誤字があったので修正しました!報告していただき有り難う御座います。

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