光の巨人になりたかったのに、なっていたのは……   作:特撮SS

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 お そ く な り ま し た

 いや本当遅くなりました。
待っていてくださって(そんな人いるか?)ホントに有り難うございます。
シンフォギアも終わり、生きる糧がなくなりつつある今日この頃。
必死に生きています。


“炎”を継ぐもの

 

 

 

 燃え盛る炎の中、倒れる二人に少女は手を伸ばす。

もうあの二人は目覚める事は無い、そんなこと小さいながらも理解している。理解しているが認めたくなかった。

 

 今にも炎の中に飛び込まんとする少女の肩を一人の女性が掴む。少女がこの地で出会い、まるで姉のように接してくれた優しい人だ。

 自身を引き留めようと掴むその手が、今の少女には無性に腹立たしかった。自分の事を思っている彼女の心を少女は無視し彼女に言葉をぶつける。

 

 

 ーーーソーニャのせいだ!!!ーーー

 

 

 その言葉を聞き女性は後悔の表情を浮かべ涙を流す。

少女の言っている事は正しい。自分が持ち込んだ荷物の中にあった爆弾のせいでこんな事になってしまったのだから。

 そんな後悔の為か少女の肩を掴んだ手の力が緩んでしまった。

 その隙に女性の手を逃れ炎の中に走りだした。

 

 

 ーーークリスッ!!駄目、戻って!クリスゥゥ!!!!ーーー

 

 

 彼女の叫びも空しく、少女の背は炎の中に消えていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー何だってこんな所に来ちゃったんだよ…オレ……ーーー

 

 

 例の少女から逃れる為に日本を離れ、方角や距離など考えず雲の上を浮遊する事約数日、そろそろかと地上に降りて見れば何処ともわからない場所に到着。

 此処は何処かと辺りを散策。ようやく町らしき場所に着いたかと想ったが、市街地は戦闘の跡地のような廃墟になっていた。それも自分が到着する数分前のようだ。辺りに立ち込める煙や人の鳴き声呻く声、叫び、怒号。

 紛争か内戦であろうか、エーテル体の自分には全く問題無いのであるが………

 

 

 ーーーマジかよ…人間どうしでこんなーーー

 

 

 目の前に広がる戦闘の余波によって倒壊した民家や建物、巻き添えになり身体のあちこちがバラバラになったり穴だらけになった住民の死体。その亡骸にすがり付く子供。

 転生前の世界でもニュースやインターネットで余所の国々で起こっている戦争は知っていた。だが知っていただけで自分とは違う世界の出来事のように思っていた。

 それが今自分の目の前で起きている。

 

 

 ーーーでも……俺には…どうしようも無いし…俺がこの世界に来たのは怪物からこの世界の人間を守る為だしーーー

 

 

 そう自分に言い聞かせ市街地から逃げるように離れる。第一、自分はまだエーテル体の姿で巨大化はおろか実体化する方法もわかっていないのだから。

 そんな言い訳を頭の中で繰り返しとにかく離れる。飛んで飛んで、一秒でも早くこの場所から離れようとした。

 どこまで飛んだだろうか、町を抜けて舗装されてない道を浮遊しながらふと振り返り、もう見えないあの町を見つめる。

 

 

 ーーー“ウルトラマン”だったらどうしたんだろう…ーーー

 

 

 ふと、光の巨人達はあんな光景を見たらどうするだろうかと考えた。

 彼ら光の巨人達はどんな事があろうとも人の善性を信じて人同士の争いに干渉することなく邪悪な怪獣や宇宙人達と戦った。子供の頃はその考えはとても美しく尊いものであるとなんとなくだが理解していた。

 そんな彼らならあの惨状を見てどうしただろう?簡単だ。迷わず怪我人を手当てしただろう、泣いている子供に寄り添ってあげただろう、困っている人間に手を差し伸べて“諦めないで”と言うのだろう。

 

 でも、それで解決するのだろうか?

弱い者達に寄り添い、救いな手を差し伸べるだけでよいのだろうか?

 原因を野放しにすれば同じ悲劇が何度となく繰り返され、その度に罪の無い人々が苦しみ続ける。

 

 

 ーーーだったら……いっそのこと……あの人達苦しめるその原因を…滅ぼしてしまったほうが……ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーッ?!なに考えてんだ!?俺?!ーーー

 

 

 嫌な考えが頭に浮かんだ途端にその思い付きを頭から排除する。第二の命と共に与えられた使命を果たし、前世で犯した罪を償う為にこの力を授けられたのだ。

 たとえ与えられた力が望んだ光で無くとも、心は光の巨人と同じ物でいたい。

 

 

 ーーー此処に居ると変な事ばかり頭に浮かぶ…どこか違う場所に……ーーー

 

 

 そう思い移動しようとしたとき、後ろから数台のトラックが向かってくるのが見えた。

道の真ん中にいる状態だが、エーテル体なので特に避けることなくそのまますり抜ける。

 

 トラックが自分の身体を通り抜けるその瞬間にキリエルは見た。いや、見えてしまった。

 そのトラックの荷台に動物用の檻が数個あったこと、その中には本来入っているはずの動物はなく、“数人の子供”がその檻の中に押し込められていた。

 

 

 一瞬とはいえキリエルにはハッキリその子供達が見えた。

 全員が膝を抱え泣いているようで、その表情や容姿すらもハッキリと見えてしまった。

 その光景を見てもキリエルはすぐに理解できなかった。何故子供がいるのか?そもそも何故檻に入れられているのか?それに何故そんな顔をしているのか?

 頭の中の情報が整理された時には既にトラックは遥か彼方に行ってしまった。

 

 

 そうだ。彼らはこれから“売られるんだ”。

 一人の人間としてではなく、“一つの商品”として。

 

 

 その答えに辿り着いた時には、キリエルは既にその場から消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パパとママが死んだ。

 訳がわからないまま大人の人達に捕まって、車の中にあった箱に入れられ、同じ年の子達と一緒に連れていかれた。

 揺れる箱の中でようやくパパとママが死んでしまった事を理解し、泣いた。

 

 揺れが止まり、私達は全員車から下ろされ鎖を繋がれて集落の中にあった小さな小屋の中に入れられた。

 逃げようとした子、泣いて座り込んでしまった子は大人に殴られた。何度も何度も何度も、大人の言うことを聞かない子は全員殴られた。

 泣いていた私も「うるさい」と、殴られた。

 

 夜が来た。殴られた場所はまだヒリヒリしている。

 あの後色々な事をされた。身体を触られたり、何かを調べられたりした。他の子達もそうだった。

 泣いてやめてと言っても大人達はやめてくれずまた殴られた。

 もう嫌だ…パパとママに会いたい。そう思い足を鎖で繋がれた足を抱え、外の大人に聞こえないように静かに泣いた。

 

 

 

 

 どのくらいたっただろうか。

 外の騒がしさに気付き顔を上げる。他の子達も外の様子に気付いたのか皆小屋の戸を見ている。しかし鎖で固定されてしまっているので外を見ることが出来ない。

 

 暫くすると軽い破裂音が外から聞こえてきた。此処にくる前に何度も聞いた大人達が持っている銃の音だ。その音が何度も外から聞こえてくる。

 私は耳を塞いだ。あの音が響く度に人が一人死んでしまう。

 それが嫌で私は耳を塞ぎ小屋の中で震えていた。

 

 するといきなり、小屋の中に銃を持った数人の大人が入ってきた。

 全員汗だくで酷く怯えているようだった。私達には訳がわからなった。大人達は怯える私達を見て「静かにしろ!」と小声で言ってきた。

 私達は従うしかなく、黙って頷いた。すると大人達は戸を少し開け銃を構えながら外の様子を見ていた。 

 暫くして大人達は銃を下ろし、何かを言い合っていた。何を話しているのかは聞こえないが、話をしていて大人達は気付いていないようだが、私には聞こえた。

 

 

 

 

 ナニかが、地面を揺らしている音を……

 

 

 

 “ソレ”は小屋の天井を引き剥がし、私達に姿を見せた。

 乳白色の顔のような物に橙色の光を発する物がくっついている。その光が小屋の中にいた全員を照らす。大人達は最初は呆然としていたが私達が悲鳴をあげると大声で叫びながら手に持った銃でその光を撃ち出した。

 その顔のような物は一度小屋から離れた。離れた事で“ソレ”の全体が少し見えた。

 “巨人”だ。その巨人は膝をつき小屋の中をまるで品定めをしているかのように覗いている。

 私は銃の音、大人の叫び声、目の前の巨人、全てに怯えガチガチと震えていた。

 

 “ソレ”は黒い手を伸ばしその指先で私達の鎖をまとめて器用につまみ上げる。壁に繋がれた鎖が千切れ私達は持ち上げられた。

 中に浮く感覚に戸惑いと恐怖を感じ叫びを上げることすらでできず、自分を繋ぐ鎖にしがみつく。

 しがみついている間に浮遊感が消えた。ゆっくり瞼を開けると白い地面の上に全員下ろされていた。

 いや、地面と思ったソレは巨人のもう片方の手の上だった。

 他の子達は皆既に気を失っている。巨人から逃れようとその指先まで這い、指の隙間からその光景を私は見た。

 

 私達が連れてこられた集落が、燃えている。一つ一つの小屋から炎があがり、あちこちで大人達が悲鳴を上げ逃げ回っている。

 その有り様に言葉を出せずただ呆然としていると巨人の足下から銃声が響いた。

 先程小屋に入ってきた大人達が巨人を撃っているのだ。しかし弾は巨人の顔に命中しているが、巨人には全く効いていない。

 

 

 《キリ》

 

 

 巨人から声のような物が聞こえ、巨人が足下を見下ろす。

そして足を上げ、そのまま大人達を踏み潰した。ヒトが足下の虫を潰すように、念入りに爪先で踏みつける。

 

 ふと巨人が何かに気付いたように振り返る。集落の中を逃げ回っていた大人達が全員さっきの人達よりも大きな武器を持って集まっていた。

 巨人はゆっくりと立ち上がり白い手で私達を優しく包む。私は僅かに空いた指の隙間から再び外を見ている。

 

 巨人は大人達にゆっくりと黒い手を向ける。何をするかと気になったが変化は突然現れた。

 集落を燃やしていた炎が全て巨人の黒い手に集まっていく。黒い手が炎で赤く染まり、手から発せられた熱気が指の隙間からも感じられた。

 炎が全て巨人の手に集められた瞬間ーーー

 

 

 《キリッ!!》

 

 

 巨人が先程よりも大きな声を出し、収束した炎を眼下の大人達に向けて放った。

 炎は黒い手から火炎放射のように真っ直ぐ伸び、武器を構えていた大人達は悲鳴を上げる暇もなく放たれた炎に燃やされた。

 私は熱風と人が焼かれた恐怖で目を背け、巨人の手の中でうずくまる。

 

 暫くしてそよ風を感じ、ゆっくりと顔を上げ辺りを見てみる。

 私達を包むように握られていた手は広げられ、外の様子を見ることができた。

 しかし外には何もない。私達が連れてこられた集落も、怖かった大人達も、あるのは未だに燃え続けるナニかと焼け野原。

 そしてソコに立つ巨人と自分達だけ。

 

 呆然しながら恐る恐る振り向く。この場の何もかもを焼き払った巨人は何も言わずただ立っていた。

 すると巨人は私の視線に気付いたのか、手に乗る私に顔を近づけ私を見返す。

 その白き顔はゆらゆら揺れる炎に照らされて、さきほどよりもハッキリと見えた。

 光る結晶を額に宿した白い顔。その顔は泣いているかのような歪んだ顔をしていた。

 その顔を、姿を見て私は震える口でポツリと呟いた。

 

 

 「あ………悪…魔」

 

 

 その声が巨人に聞こえていたかどうかはわからない。巨人はゆっくりと顔を離し、私達を手に乗せたまま歩き出す。

 歩く巨人の横顔は変わらず泣いているように歪んでいるが、笑っているようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 あたしにはその後の記憶は無い。恐怖で気絶してしまったのか、あの場所から解放された事で安心して寝ちまったのか、気が付くとあの巨人は消え私達は別の町の近くで目を覚ました。

 夢かとも想ったが、手足に付けられ途中で契れた鎖があの場で起こった事を証明していた。

 

 あの巨人の顔…炎に照らされたあの悪魔のような顔、何年たった今でもあたしは忘れられない。忘れる事が出来なかった。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 最近の一幕
 オディッセウスPUか……石はエレちゃんに使い果たしたが、なんとか手にいれたい。( ・`д・´)
 え?!じいじPU?!そ、そんな!もう石が無いって言うのに!?(゜ロ゜;)

 うああああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!(0M0≡0M0;)


※3月19日 深夜テンションで書いていたので色々見返し、後半や後書きを大幅修正いたしました。
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