IS 革新の為に   作:伝書鳩

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第15話 クラス対抗戦、開始

 朝。背中越しに自身へと向けられる、突き刺さるような視線を数多に感じながら刹那は教室へと向かう。その視線の割合を大雑把に分けると1年が五割、2年と3年が二割ずつで、残りの一割はその他だ。教室が刹那の視界に入る距離になった所で、これまでに見かけていない人物がドアの所に立って教室内へと何か喋っているのを確認した。

 

「――――中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

 わざわざ会話の邪魔をするという、空気の読めない行動はしない。後ろのドアから教室に入る。数人のクラスメイトは刹那に気が付いたが、その優先事項は突如現れた謎の人物の方が上らしい。視線は直ぐに教室前方へと戻された。

 

「おっす。今日も時間ギリギリだな、刹那」

「俺は女の敵らしいからな、どうしてもこうなる。それで、あれは?」

 

 視線の先にいるのは例の如くこのクラスの担任お得意の出席簿による打撃を受けている凰鈴音。そして千冬から有り難い言葉をもらった彼女は、一夏と軽く言葉を交わすと教室へ向かいダッシュで戻っていく。隣のクラスだから走る必要は無さそうだが、言葉には出さない。

 

「アイツ、IS操縦者だったのか。初めて知った」

「小5から中2までの幼なじみだよ」

「成る程な」

 

 流石双子である。話すタイミングは完璧だ。だがその後に二人を待っていたのは、箒やセシリアを初めとしたクラスの多くの女子からの質問の集中砲火だ。その女子達も即座に千冬の出席簿の一撃を受け、沈んだ。……骨は拾わん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前にいるのは一夏を中心とした十人前後の集団。その後ろを刹那は秋二と並んで歩いていた。

 

「…………俺がお前達と一緒に学食に行く必要は無いと思うんだが」

「お前は教室であれを見たのにそう思えるか? 俺は今、切実に味方が欲しい」

 

 そう言われた刹那は、昼休みになるや否や一夏に詰め寄った箒とセシリアの姿を思い浮かべる。その原因は授業中に注意されても直さなかった結果の出席簿だ。

 

「自業自得としか判断出来ないが」

「それは正論だがな。……たまにはお前も一緒に飯食おうぜって事だ」

「だったら最初からそう言ってくれ。それにしても、女子とは食べないのか? お前達なら黙っていても向こうから寄ってくると思うんだが」

「俺は所詮小市民、並の人間なんだよ。一夏みたいに女子に囲まれて平然を貫く事は出来ない」

「女性恐怖症か?」

「流石にそこまでじゃないさ。だが俺の両手で守れる範囲は狭い、すぐに満員になっちまう」

「俺と比べればお前は十分立派だよ」

「慰めてくれんのか? お前にしては珍しいな」

 

 今の言葉は刹那の本心だ。自分よりも秋二の方が人として正しい在り方を貫いているのだから。

 

「――――俺はもう手遅れだからな」

 

 自嘲気味に、誰にも聞こえない声量でそう呟いた。

 

 

 

「……やっと券売機の順番が来たか。俺は和食ランチにするけど、刹那は何を食うんだ?」

「五目炒飯。今日はそんな気分だ」

「それって絶対、朝に見た鈴が影響してるだろ」

「秋二、呼んだ?」

「うおっ!?」

 

 噂をすれば影。凰鈴音がそこにいた。

 

「危ないわねー。もしぶつかって汁がこぼれたらどうすんのよ」

「悪い。けどお前それ、ラーメンだろ? いつまでも立ってると麺がのびるぞ」

「一夏にも同じ事言われたわよ!」

「んで、一夏は放置でいいのか?」

「言うことがあって来たに決まってるわ。アンタの事だから『男二人で~』とか屁理屈を捏ねて、少し距離を離して過ごすつもり魂胆だったんでしょうけど……。秋二とその連れのアンタ、私達と同じ席で食べましょう。まさか、私からの誘いを断るとか……無いわよね。返事は?」

「お、おう」

 

 どもつきながら肯定した秋二の返事を聞くと、鈴は一夏の方へ戻っていく。

 

「まるで嵐のような女だな」

「直情型で感情の起伏が激しいんだよ。対応を誤ると一瞬で噴火するぞ」

「経験者は語る、か」

「自爆気味だが、思い出させるな……!」

 

 刹那と秋二は注文した料理を受け取ると、先にテーブルに向かった一夏達と合流した。

 

「邪魔するよ」

「同じく」

 

 大人数用のその場所で一夏の隣に秋二、その隣の端部分に刹那が座った。刹那の近くをを通った見知らぬ女子生徒の顔は、見るからに怯えている。これでは放し飼いの狂犬の扱いと変わらない。黙々と食事を続ける刹那に、それまで一夏達と会話をしていた鈴が話しかけた。

 

「そういえばアンタ、上級生6人を相手にして大立ち回りしたんだって? 人気者は大変ね」

「上級生と一括りにしても、その実力や意識といった諸々の要素は個人差がある。それはあの場に見学に来た生徒達にだって該当する。これは俺の憶測だが、代表候補生を筆頭とした実力上位者に名を連ねる上級生は出ていない。自分の実力に自身があるなら一対一で勝負した方が得る利が多いからだ。向こうが数的優位に依存した消耗戦を選択した時点で、あの模擬戦に価値を感じない人物が現れるのは必然だろう」

 

 それだけ言うと刹那は自分の食事を再開する。同様に再開された箒、セシリア、鈴の三つ巴の口論はガン無視だ。クラス代表決定戦以降、刹那は織斑兄弟の特訓には滅多に参加していない。基礎は文字通り叩き込んだので、これから必要なのは各種経験を積む事だ。幸いな事に箒とセシリアという得意な戦法の異なる二人が意欲的に特訓に参加しているので、大きな心配は無いと刹那は判断していた。これに鈴が参加するか否かという論点は、刹那からすれば不毛な言い争いでしかない。

 

 残っていた炒飯を手早く食べ終えると、刹那はこの場から立ち去る事を選択する。それを察した秋二が視線で刹那を止めようと試みるが、残念ながらそれは叶わない。この時の秋二の背中には哀愁が漂っていた、とクラスメイトの一人が後に証言した。これが広まり『織斑秋二=苦労人』のイメージが定着するのは、もう少し先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラス対抗戦、その当日となった。この日を迎えるまでの間に一夏と鈴が険悪な雰囲気になっているが、刹那からすればそんな事は些細な問題でしかない。事情を知るらしい秋二からは『イケメン爆発しろ!!』、同様に箒からは『あいつは一度馬に蹴られて死んだ方がいい』とのコメントを強制的に聞かされた。だからどうした。それから、一夏の特訓に顔を出す真似はしないように刹那は徹底していた。クラスメイトの女子、その大半が一夏に期待している優勝賞品。それは学食デザートの半年フリーパス。現状では刹那がその最大の障害と見なされているからだ。千冬曰く、特別枠である刹那が優勝した場合はフリーパスは無しとの言葉が拍車を掛けている。一夏は特訓について刹那からアドバイスを受けたそうにしていたが、クラスの雰囲気がそれを許さなかった。更に鈴の登場に何かしらの危機感を感じたらしい箒とセシリアが特訓内容を従来よりもハードモードに変更。一夏は空いた時間を授業の予習と休息に追われていたらしい。

 

 

 

 

 

 1年1組の教室。現在この場には刹那と千冬だけしかいない。一夏は試合の準備をしているし、他のクラスメイトは観客席の場所取りに四苦八苦している最中のはずだ。クラスの実力指標を見定める為のイベントらしいが、クラス代表の試合だけで決定していい内容なのだろうか? という刹那の疑問は千冬に一蹴された。どうにもクラス単位での交流やクラスの団結が主な目的らしい。

 

「――――俺の記憶が正しければ、このイベントはトーナメント形式で行っていたはずだが」

「建前としては『対ガンダムの機会が不公平にならないように』との事らしい。実際はこういった場合にお前がどの様に動くのかを見るテストケースだな」

 

 刹那が疑問に挙げたのは急遽変更となったクラス対抗戦の内容。それは各クラスの代表と刹那、計五人によるサバイバル戦だった。

 

「セイエイ、今回はどのガンダムで出る気だ?」

「白式を相手にする可能性がある以上、ダブルオー以外の選択肢は無い。答えが出ている事を今更問うなんて貴女らしくもない」

 

 セシリアの専用機、ブルー・ティアーズ。その機体との試合で白式の零落白夜は収束レーザーをも無効化した。恐らく十中八九で、ガンダムの各種ビーム兵装も無効化されるだろうと刹那は見ている。白式のエネルギー切れを狙うという手もあるが、そんな消極的な戦法はこの場では却下だ。故に、実体剣を装備しているダブルオー以外の選択肢は無い。ツインドライヴには一抹の不安が残されているが、トランザムさえ使わなければ問題は無いはずだ。

 

「お前が何を以て私らしいと判断しているのかを聞きたい所だが、今は止しておこう」

「そうですか」

「お前が行った最初の模擬戦。アヘッドとジンクスⅢを解析した結果、ダブルオーのデータは既に知られているぞ。対策を練っている者もいるだろう」

「残念だがそれは無駄なので」

「どういう意味だ?」

「その時が来れば自ずとわかります」

 

 これ以上言う事は無い、と刹那は教室を出てアリーナへと向かう。それを見ていた千冬は刹那の背中にとある存在を思い浮かべた。根拠の無い愚かな推論だと否定したい自分と、それが事実ならば諸々の疑問が解決する事に納得している自分が両立する。

 

「――――ガンダムエクシア。セイエイ、やはりお前なのか?」

 

 千冬がそう呟いた瞬間、携帯電話が着信を知らせる。それは覚えのない番号からの着信だった。

 

「織斑ですが」

『もしもしちーちゃん? 束さんだよ! いきなりだけど、そろそろアレが必要になるんじゃないかと思って連絡させていただきました~!!』

「アレ?」

『――――トランザムシステム搭載機。それもちーちゃん専用のね』

 

 

 

 

 

 どうしようもない悪寒を感じながらも手早く準備を終えた刹那は機体を展開する。ダブルオーがピットから発進すると既に他の四人は待機していた。送られてきたデータに従って刹那も配置場所へと移動する。

 

「…………」

 

 指定場所は前後左右を四人に囲まれる中心地だった。現在、一夏を正面に時計回りで各クラスの代表が順に並んでいる。各々の様子を探ると、一夏は鈴と何か言い合っている。3組の代表はこの場で唯一の訓練機での参戦者だ。それを痛感してか悲壮感が漂っている。4組の代表、打鉄弐式という機体名だけが情報としてハイパーセンサーから知らされる。その搭乗者は鈴とは違い、感情を表に出さないタイプの様だ。

 

 多くの視線がダブルオーに突き刺さっている。理由は一目瞭然だ。今アリーナ中央で堂々と待機しているダブルオーは、生徒達が事前知識として調べていたデータとは異なっていた。GNビームサーベルは通常のダブルオーと同様だが、腰に装備しているGNソードⅡはロングとショートと区別されて異なる役割を持たされている。両膝部に増設されたハードポイントにはクリアグリーンの刀身の実体剣、GNカタールが設けられている。そしてそれらを凌駕する圧倒的な存在感を主張するのが左側のGNドライヴにマウントされている大型実体剣、GNバスターソードⅡだ。エクシアから更なる進化を果たしたセブンソード、ダブルオーガンダムセブンソードがそこにはいた。

 

(何あれ、超カッコイイ……!)

 

 その姿は裏で4組のクラス代表、更識簪の心を鷲掴みにしていた。アリオスの試合を見た4組のクラスメイト達は簪に注意を促していた。例え代表候補生といえど、あの様な戦法を躊躇無く実行出来る存在が相手にいるからであろう。それを聞いた簪は参考程度に許される限りのガンダムの各種データを閲覧した。結果、彼女はガンダムという存在に興味が湧いていた。そんな中で現れたのが過剰と思われる程に剣を装備したガンダムだ。過半数の武器がビームサーベルで構成されていてスマートな印象が残っていたエクシアとは異なり、今のダブルオーは7本中5本が実体剣という無骨さが目を引く。異なる武装を切り替えながら戦うという戦法はハマれば確かに強い。けれども、その使い手には相応の腕が要求される。それが近接武器というのならば、さらにその倍率は上がるだろう。簪はガンダムの姿を見てテンションが上がっていく一方で、その搭乗者の刹那自身も油断ならない相手だと冷静に評価していた。

 

 

 

 

 

 ブザーが鳴り響き、試合開始の合図が知らされる。それと同時に各々が瞬時に行動を開始した。一夏は鈴からの初撃を展開した雪片で防ぐと、そのまま1対1に入る。とはいえ、周囲への警戒を怠る事は無い。刹那やセシリアによるオールレンジ攻撃を幾度も受けてきた経験から、一夏には無意識に試合範囲全域をチェックする癖がついていた。残った三人はというと変則的な三つ巴の戦いになった。それはダブルオー対クラス代表組、という形式になっている。右手にロング、左手にはショートのGNソードⅡを持ったダブルオーは射撃戦を強いられている。

 

(従来の打鉄よりも高機動……弐式とは言ってもこれでは別物だな。このラファールはシールドとスラスターを併用した生存性重視のセッティングか)

 

 打鉄弐式を操る簪がダブルオーが接近戦を仕掛けようとする瞬間に牽制の射撃を放つ事で、その気勢を潰す。ただ彼女にとって誤算だったのは、GNソードⅡロングが射撃戦を念頭に開発された存在であった事だ。粒子消費量は増えるがより高威力なビームをコンスタントに撃つことが可能なそれは、簪だけでなくラファールを駆る3組の代表にとっても十分に驚異な代物だった。

 

(見るからに接近戦を重視しているのに射撃戦に十分に対応する。倒すには面倒な機体)

 

 牽制と平行作業で簪はダブルオーの分析を行う。この打鉄弐式には当然、近接武装が存在する。世界最強、ブリュンヒルデ――――織斑千冬の影響か学園ではブレードタイプの武装を選択する者が多い。訓練機に打鉄が存在するのも要因の一つであろう。しかし、簪が自分の機体の近接武装に選択したのは薙鉈だった。使い手が限られる武器というのは、対策も取られにくい。現にクラス内での模擬戦で優位に立てたという実績もある。ジンクス、ジンクスⅢ、アヘッドの三機。それとガンダムのデータを省みれば、基本的にビームサーベルをメインの近接武装にしている機体が多い。篠ノ之箒の機体はその亜種と推測可能な、ビームが日本刀の如く発生するビームサーベルだった。これらの情報を統括すれば、ガンダムの搭乗者と言えど薙鉈を相手にした経験はほぼ皆無だと推測出来る。だが、どうしても簪は自分から近接戦を仕掛ける気が起きない。それを考える都度、脳内で警鐘が鳴り響くのだ。大型化の弊害で取り回しに難が出るであろう長剣。小型化し薙鉈相手ではリーチが足りない小剣。汎用武装以上にも以下にも評価されないビームサーベル。先の小剣同様にリーチ不足と思われる見慣れない形状の剣。現状、驚異なのはドライヴ部分にマウントされている大剣だけ。そのはずなのに自分は何を警戒しているというのか。

 

「――――!」

 

 簪が思考にリソースを割いていた間に戦局が動こうとしていた。GNソードⅡショート、その先端部分がアンカーとしてラファールに向けて射出された。この手の武装を嫌ったのか、ラファールは近接ブレードを呼び出すとそのワイヤーを切断する。一瞬だけ足が止まったラファールに対してダブルオーはGNソードⅡショートのグリップ部位を投げつけると、自分でそれをライフルモードにしていたGNソードⅡロングで――――射線の延長上にいたラファールごと撃ち抜いた。そのままラファールに接近戦を仕掛けたダブルオーだったが、剣を振り下ろそうとした瞬間に横殴りを受けた様に吹き飛んだ。

 

 それまで三人から放置される形で距離を離され、一夏との1対1をしていた鈴が衝撃砲での攻撃を行ったのだ。それも途中に存在していた白式をロックする事で、ダブルオーに攻撃を悟られない様に手を打っての攻撃だった。無防備な体勢で衝撃砲を受けたダブルオーはアリーナ外壁に衝突すると地面へと落下。落下した衝撃で砂煙が舞ってダブルオーの姿を隠すが、そのポイントへ打鉄弐式とダメージを受けながらも戦線復帰したラファールが即座に追撃を叩き込む。この状況を生んだ立役者の鈴は再び一夏との戦闘に移行しており、ダブルオーに追撃する気は無いらしい。

 

 両者が手持ちの武装を一通り撃ったが、ハイパーセンサーに表示させたダブルオーのデータからは想定以下のダメージしか与えられていないのが確認出来た。

 

(装甲で受けたにしては異常なまでに強固すぎる……)

 

 簪がそう思った瞬間、砂煙の奥からそれまでとは異質の斬撃のような形状のビームがラファールに向かって放たれる。その正体は発射までにチャージが必要なワイドカッタービームだった。幸か不幸かラファールはシールドでガードに成功するが、直撃したシールドは大破。誰が見てもシールドはこれ以降、この試合でその役割を果たす事は不可能だと判断を下すだろう。煙が晴れ、その場に姿を見せたのは――――緑。

 

(あれがGNフィールド)

 

 GNバスターソードⅡ。そのシールドモードの機能であるGNフィールドをダブルオーは展開していた。無論、無傷で済んだという事は無い。しかし大半の攻撃をカットしたと思われるその防御性能は十分以上に驚異であるという事実は変わらない。簪は現状のまま射撃戦を続行することのリスクを考慮するが、どう考えても状況は不利だ。ラファールは落ちこそしなかったが、あの威力を身を以て知っている。回避に注力すればその分、攻撃密度は落ちる。それは当然ながら簪自身も変わらない。接近戦重視の機体に射撃戦で翻弄される――――まるで詐欺にでも遭った気分だ。

 

(覚悟を決めろ)

 

 もしもの為に、と倉持技研の人員から渡された特殊弾頭ミサイル。この試合で使う必要は無いだろうと思っていたが、どうやら早とちりだったらしい。多連ミサイルポッドに装填するミサイルを通常弾から特殊弾へと変更、着弾ポイントを即座に設定する。

 

「山嵐、起動――――発射!」

 

 打鉄弐式から20発以上のミサイルが発射され、アリーナ全域に一直線に飛んでいく。その不可解な攻撃に選手や観客を問わず怪訝な思いをする者は多かった。発射されたそれは一定距離まで飛ぶと破裂し、内部から緑色の『何か』を巻き散らす。アリーナ全体の空間が緑の靄の様なモノで満たされるが、肉眼でも奥が見えるので煙幕の類では無い。ではその効果は何かと誰もが思うが、それは直後に発揮された。ダブルオーが放った二度目のワイドカッタービーム。それは敵に届く前その半ばで霧散した。その事実にざわめく会場。少し離れた場所で激しい戦闘をしていたはずの一夏と鈴もこの事態には驚いている。

 

「粒子撹乱か……!」

 

 刹那はそれだけ呟くとGNソードⅡロングを領域内に格納し、空いた右手にはGNカタールを装備する。左腕は変わらずにGNバスターソードⅡをシールドとして装備したままだ。この状況は良いとは言えないが、受け入れるしかない。将来起こるはずだった出来事がこのタイミングで起こっただけでしかない。GNドライヴを機体背部に向けたダブルオーが手近な場所にいたラファールに狙いを定め、この機体の本領である接近戦を仕掛ける。GNバスターソードⅡを機体正面に掲げたダブルオーはラファールから放たれた銃弾を無視して強引に距離を縮めると、その手に持ったGNカタールを振り抜いた。事前に近接ブレードを展開して迎撃に出たラファールだったが、二機が打ち合ったその瞬間に勝敗は決した。ラファールの近接ブレードがGNカタールと接触した箇所は、バターの様に両断された。振り抜いたGNカタールを手早くハードポイントに戻したダブルオーは両手でGNバスターソードⅡを持つと、叩きつけるようにそれを振り下ろしラファールのシールドエネルギーを削り切る。

 

 脱落者が生まれた事で、ギリギリの所で保たれていた戦局のバランスは崩れた。この先の戦いはより激しさが増していくであろう事は、会場にいる誰もが予感していた。




 投稿が遅れてすみません。どうも私はオリジナル要素を詰め込もうとすると、難産になってしまう傾向がある様です。
 今回は予定通り登場の鈴ちゃんと、簪ちゃんが前倒しで登場です。それに伴ってクラス対抗戦はサバイバル(デスマッチ?)形式に。
 ダブルオーセブンソードについては趣味全開です。/Gでないのはわざとです。
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