GNビームサーベル「解せぬ」
GNロングブレイド「解せぬ」
GNショートブレイド「解せぬ」
ブリュンヒルデ……織斑千冬とは異なるタイプだが、並のISでは耐えられない近接攻撃力。半端な攻撃ではダメージを与えられないであろう防御力。従来のISでは搭乗者に負担を強いる程の運動性能。これらは1回戦でガンダムが見せたパフォーマンスであり、見る者を圧倒させた。
だが、この大会は世界の頂点を決めるモンド・グロッソ。大会出場者の実力は相応に高く、故に脅威となりそうな相手は即座に対応されてしまう。
――濃い弾幕を張ることで接近そのものを封じようとする者。
――スラスターを増設して機動力を向上させ、逃げ撃ちに徹する戦法を検討する者。
――超高威力の砲撃の使用を真面目に視野に入れる者。
――いつも通り瞬時加速(イグニッション・ブースト)で近付いて零落白夜の一撃で勝負を決めるだけ、と割り切ってる剛毅な者。
実に様々な対策が検討されている。そしてその成果は2回戦以降のガンダムとの試合で見事に発揮され…………ることは残念ながら無かった。
――2回戦(2日目)
「試合開始!」
「ふっ、いくらガンダムであろうとこの弾幕を前にすれば……」
「敵ISを射撃型と判断。機体をエクシアからデュナメスへと変更」
「へ?」
相手と対峙するエクシアの全身が光り、その後に現れたのは前面をGNフルシールドで覆った緑色を基調としたガンダム。近接戦闘を重視したエクシアとは対極的に、射撃型として注力されたコンセプトを持つ機体。――――ガンダムデュナメス。
「武装展開」
宣言と同時に展開されたのは右手にGNスナイパーライフル、左手にGNビームピストルだ。……相手からはGNフルシールドが死角となるので確認できない。
「デュナメス、目標を狙い撃つ!」
GNビームピストルから連射されるビームが相手を追い詰め、GNスナイパーライフルからはGN粒子を収束した高威力のビームが相手を襲う。相手から反撃の射撃がデュナメスに放たれるが、いずれもGNフルシールドの防御を突破することは出来ない。
(射撃で弾幕を張り圧倒するつもりが、それを逆手に取られた……!)
デュナメスと射撃戦を繰り広げている相手の顔が苦汁を舐めたかの様に歪む。ガンダムは手の内を全くと言って良い程晒していなかった。初戦に見せたあの『セブンソード』も布石、それに対応した相手にその分野に適した形態でケリを着ける魂胆など性格が悪いにも程がある。
「この試合は私の負けね。だけどこれからが大変よ? 世界はガンダムを越える事を目標に血眼になってISを開発していくんだから」
「そうなるだろうな」
「覚悟の上ってわけね」
止めとなる一撃がシールドエネルギーを削り切り、試合終了を告げるブザーが鳴る。スタジアムの至る所からカメラがガンダムへと向けられ、フラッシュの光が発せられる。
試合中を彷彿とさせる様にデュナメスを光りが包み、再度エクシアの姿へと戻る。この試合を見ていた全ての者がアレの登録名が『ガンダム』であることの意味を理解した瞬間だった。
――3回戦(2日目)
「試合開始ぃ!」
宣言と共に2機のISがスタジアム内を縦横無尽に使いドッグファイトを繰り広げる。しかし、追いかける側のエクシアが右腕のGNソードをライフルモードのまま射撃を行っても相手に当たる様子は無い。エクシアの射撃戦における能力の欠如が露見した形になった。
「高機動型のISか」
「……逃げ撃ちに徹すれば接近戦と射撃戦のどちらにも対応可能と結論付けた」
だが悲しいかな、ガンダムはこの様なケースも当然想定してあった。
「高機動型はコチラにもある――――キュリオス!」
光が収まり現れたのはガンダムキュリオス。両腕のGNハンドミサイルユニットに加え、右手にはGNビームサブマシンガン、左腕にはエクシアとは異なる形状のGNシールドを装備している。
キュリオスの両腕からミサイルが次々と放たれる。相手がそれを回避・迎撃している間にミサイル全弾を撃ち終えると、キュリオスは役目を終えたGNハンドミサイルユニットを収納し、機体の各スラスターやGNバーニアからGN粒子を放出しながら相手に襲いかかる。2機によって繰り広げられるドッグファイトは更に激しさを増していく。
「データ収集……このタイプはミサイルや連射に優れたサブマシンガンを携帯」
高機動型へ変化したガンダムの武装の内、ミサイルによる被弾は無い。ビームサブマシンガンの連射力は厄介だが、威力は低い。…………威力が低い? これまでの2回の戦闘であれ程までに圧倒的性能を見せつけてきたガンダムの武装が?
「ガンダムは意図的に出力を抑えている――――何故?」
疑問を抱かれている当の刹那は原因不明の頭痛に苛まれていた。全身装甲の下、外部からは見られない彼の瞳の虹彩は金色に変化している。それが意味する事実は――――
(くっ……キュリオスに変更と同時に頭痛が。その上俺の意図とは別にGNビームサブマシンガンの出力調整が行われている……! 一体何が起こっている!?)
『キュリオスで戦うんなら相応の戦い方ってのがあるだろう? お前も楽しもうぜ!』
(……バカな、まさか頭痛の原因は脳量子波だとでも言うのか!? それにその声、何故お前がこの世界で俺に干渉出来る――――ハレルヤ!!)
『この世界は色々と狂っていてなぁ! 想定外の事が誰にでも平然と起こる。お前はその中でも飛びっきりの『バグ』として存在してるわけだ!!』
(俺がバグだと!?)
『……その話は気が向いたら話してやるよ。それより今は目の前の敵をぶち殺せよ、刹那ァ!』
(頭痛が収まった? だが――――)
相手を追跡しながらGNビームサブマシンガンを撃つだけだったキュリオスの挙動が変化する。推進力に回す粒子量を増加させ、同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用することで得た驚異的な加速で距離を詰める。
「――――殺したらダメだろうが!!」
「何を言ってるのかわからないけど、私だって近接戦は!」
ブレードを展開し応戦しようとした相手に対し、キュリオスはGNシールドを突き出す。
「そんなシールド如きで、無謀な!!」
「その盾如きによってお前は敗れるんだよ! 女ァ!!」
GNシールドの先端が開き、別の姿を晒す。
「シールドがクローになった!?」
「まだだ!」
キュリオスは相手のブレードを持つ腕をクローで押さえ、加速した勢いをそのままに相手を地面に叩きつける。そして追撃で右手のGNビームサブマシンガンの連射を本来の威力で浴びせ、相手のシールドエネルギーを削り切った。
「……何故途中で出力を抑えた? それに2回戦までと戦闘中の雰囲気が違っていた」
「…………」
無言を貫き、試合終了の合図と同時にキュリオスは待機室に戻っていく。周囲から発せられている歓声やカメラのフラッシュがいつもより煩わしく刹那には感じられた。
――準々決勝(3日目)
格闘型、射撃型、高機動型とこれまで複数の姿を見せてきたガンダム。この試合ではどんな姿を見せるのか、それともこれまでに見せたいずれかの姿で戦うのか、各所で論議されていた答えが明かされる瞬間がやってきた。
しかし、現在会場中の視線を釘付けにしているのはガンダムではない。その対象はこの試合でガンダムと戦う1機のISなのだが、その機体はこれまでの大会史上でも類を見ない特殊な武器を装備していたからだ。
それは、次世代試作型超高出力レーザー砲……通称【ロマン砲】
次世代以降のISに搭載が検討されている光学兵器。複数存在するそれら試作型の中でもこれは一撃の威力を追求していった結果生まれたという、開発者の狂気の産物である。
競技用として調整はされているが、その威力は他の追随を許さない浪漫がある。だが発射の為には機体が接地されていなければならず、その上発射時の反動に負けないようにアンカーで機体を固定しなければならない。急激な射角の変更や連射は不可能で、圧倒的な機動性を有するISにはまず当たらない。
だがこのISに搭乗する彼女たち一行は考えた。最初はこの武器を使用する事は博打に近い行為だと思っていた。だがガンダムがそれぞれの分野で正面から対抗してくるというのなら有効な手段ではないだろうか、と。そして実行に移したのだ。
「笑いたければ笑えばいいよ。ガンダム、アンタはどうする?」
「無論、正面から撃ち破る」
「本気で言ってるの? だとしたら最っ高よアンタ! 良い感じに狂ってるわね」
「好きに言えばいい」
この会話のやり取りはリアルタイムで公開されており、様々な場所でどよめきが走った。知る人ぞ知るロマン砲、これに対してガンダムは同じ土俵に立つというのだ。
「機体を変更。――――ヴァーチェ」
試合開始の前に、ガンダムは新たな姿を現した。これまでの3機にはあったスマートさは欠片もなく、ずんぐりとしたソレは一目でわかる重装甲。右手にはGNバズーカ、両肩にはGNキヤノンが装備されている。
「メタボ……だと?」
「ヴァーチェだ。せめてデカブツと言ってくれ」
両機は戦闘準備を完了させ、審判の合図を待つ。この試合の決着はすぐにわかる。単純明解、火力が上の方が勝つからだ。
「試合開始!!」
合図と同時にガンダムの対戦相手のISはロマン砲発射シークエンスに入る。ヴァーチェの方もGNバズーカをバーストモードへと変更させ、バレルを展開しGN粒子をチャージする。それと同時にGNキヤノンも発射準備を終わらせる。
「固定用アンカーを射出、機体体勢固定完了。エネルギーチャージ40%……60%……80%……100%! ターゲットロック、発射っ!!」
直撃すれば、直撃さえすればどんなISでさえも落とすと言われている一撃が砲撃準備のまま動いていないヴァーチェに対して発射される。
「分の悪い賭けだったけど、私の勝ち――」
「勝手に判断されては困る。……GNバズーカ、バーストモード。高濃度圧縮粒子、解放」
ロマン砲からの砲撃が直撃する寸前に、ヴァーチェから極太のビームが放たれた。余りの威力にヴァーチェ自身も後ずさりながら発射されたその一撃は、ロマン砲の砲撃を飲み込みながら逆に対戦相手に向かっていく。
「ガンダムには勝てなかったよ……」
地面に打ち込んだアンカーによって身動きが取れない身体が粒子の奔流に巻き込まれ、機体のシールドエネルギーが文字通り消滅する。
試合終了のブザーと同時にヴァーチェはエクシアへと姿を変え、待機室へと戻っていった。
――準決勝(3日目)
これまで4つの異なる姿を見せたガンダム。この試合では一体どのような姿を――――
「試合開始!!」
互いに近接武器を持った2機のISが空中で幾度も交差する。ガンダムの方はエクシアのままであり、初戦では両腰のラッチに固定したままで活躍の機会がまるで無かったロングとショートのGNブレイドを持っている。GNソードとGNシールドは収納しているようだ。
「どうしたのさガンダム! 今回は新しい姿のお披露目はしないのかい?」
「ああ」
「……マジで?」
「マジだ」
「ガンダムは4種類で終わり?」
「そうだ」
正確には、現状で見せるべき機体はこれまでの4機で打ち止めである。
「だからと言って剣だけで勝てる程私は甘くないよ!!」
「なら剣以外の攻撃を行うだけだ」
エクシアは鍔迫り合いのまま相手に向けて腕のGNバルカンを撃ち込む。
「っ! そんな所にも武器があったのね」
バルカンによるダメージを嫌って離脱した相手に、エクシアは上空から急降下で踏みつける。そのまま身体を横回転させ、両手に持った2本のGNブレイドの連撃で追撃をしかけた。これが俗に言う『無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き』である。つまり無駄なわけだが、しっかりとシールドエネルギーを削っているのが憎たらしい限りである。
「バカにしてんの!?」
「失礼な、コチラは至って真面目に戦っている」
エクシアがGNドライブ搭載機特有の流れるような機動で、相手を翻弄しながら非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)に両GNブレイドを突き刺す。爆発によってシールドエネルギーが削られるのを確認する最中に、相手はこれはエクシアが初戦で見せたパターンだと瞬時に判断する。
(これまでの試合から高速切替(ラピッド・スイッチ)が無い事はわかってる! 大型ソードの展開前に攻撃させてもらうよ、ガンダム!!)
煙の向こうに居るエクシアに斬りかかろうと振りかぶったその時、何かによって逆にクロスに斬られた。それはガンダムが用いるビームと同じ色を発していた。
「ビームサーベル!?」
型に嵌らずに複数の剣を次々と変えながら攻撃する、それが――――
「セブンソードってわけね、参ったわ」
シールドエネルギーが尽き、勝敗が決した。そしてそれは翌日に行われる決勝の対戦カードが決まった瞬間でもある。初代ブリュンヒルデ、第1回モンド・グロッソ優勝者である織斑千冬と今大会に緊急参戦しダークホースとなったガンダム。この対戦カードを知った誰もが、この試合で起こるであろう激戦を予感した。
まさかのハレルヤさん出演決定。どうしてこうなった。
準々決勝の対戦相手はクラリッサさんとは別方向で日本文化を学んだ結果があれだよ!
第3世代のガンダムのお披露目が完了。……ナドレ? 粛清対象がいないじゃないですかー
ラジエルは情報収集型なのでオリジナルのGNドライブさんにリストラされました。ゴメンね。
・対戦相手:どこの国かは想像次第です。カンガエルノガメンドウダッタトカハナイヨー。
・ロマン砲:ベ○ターキヤノンは漢の浪漫!!
・直撃~:大事なことなので2回言いました。
・準決勝:悪いけど各ガンダムのお披露目は4人用なんだ。
・剣だけで~:お前その台詞、織斑千冬を相手にして言えんの?
・無駄に洗練された無駄の無い無駄な動き:OPでクルクル回ってるエクシアのイメージ。