ヴェンはソラの繋がりを探して世界を回っていた。そして、とある世界に辿り着く。
「何だここ?」
目に入ってきたのは燃え盛る研究室の中のような場所。そこに倒れ込んでいた栗色の髪の少女。ここから脱出するのも優先だが、まずはこの少女を助けるのが先だろう。仕方ない、あんまり魔法が得意じゃないから使いたくはなかったが(まあ、使ってたかどうかも怪しいけど)虹色の液体の入った小瓶、エリクサーを少女に飲ませることにした。
「…ケホッ!」
「大丈夫か?」
少女は自分を見やると怖がるように身体を震えさせていた。ふと、近くにあったガラスの破片に映った自分の姿を見て納得した。
そう言えば、鎧を着たままだった。とりあえず少女を安心させるため、鎧を解いて自分の姿を見せる。
「怖がらないで。俺は敵じゃないから」
「あの、何で私生きてるですか?姉さんは?切歌や調は無事ですか!?」
敵じゃないと分かるやいなや、質問攻めしてくる少女。だが、そんなことよりもここを脱出する方が優先。そう考えたが、ハートレスがいつの間にかヴェン達を包囲していた。
「ア、アンノウン…」
(ここではハートレスはアンノウンって呼ばれてるのか)
そんなことを思いつつ、ヴェンは少女を庇うように自身のキーブレード・
「動かないで」
それだけ言い残すと押し寄せてくるシャドウの群れを片っ端から斬り捨てる。だが、これ以上戦うと恐らく自分達がいる建物がもたないと推測したヴェンはキーブレードを船に変えると、
「ゴメン」
「はい?キャア!?」
少女をそのまま、所謂お姫様抱っこの要領で抱えてキーブレードに乗り、
「
盛大な置き土産を放ち、その場を離脱した。後に、その竜巻により研究所は大爆発を起こし、3人の少女の運命を決定づけるハメになる。
その研究所から離れた場所にある森の中、ヴェンは助けた少女からある程度の事情を聞いた。結論を言えばここがソラがいる世界で間違いないようだ。だが、
(ソラの繋がりが薄い…)
彼の心は長い間ソラの中で眠りについていた。自分がソラの繋がりを忘れるはずがない。ヴェンは一つの仮説に辿り着く。繋がりを感じるから世界は合っている。ならば、ソラの繋がりが薄い理由は?同じ時間にいるならその繋がりを辿ってソラに会うことも出来るはずだ。
つまり、時間。世界は同じだが、時間軸が違う。
「ところでヴェントゥスさんは、どうしてあの場所に?」
助けた少女の名前はセレナ・カデンツァヴァナ・イヴ。長いので本人もセレナで構わないと言っていた。
「俺の事もヴェンでいいよ。俺がこの世界に来たのは、俺と同い年くらいの男の子を探すためだ」
「『この世界』って、何だか並行世界とかから来たとかそんなオチじゃないですよね?」
「多分、その認識で合ってるよ。俺はこの世界とは違う、別の世界から来た人間だ」
セレナはしばらく放心状態に陥った。数分後、落ち着きを取り戻したセレナにある質問をした。その時だった。
人型の何かに、囲まれてしまった。
ハートレス?ノーバディ?それともアンヴァース?どれにも該当しない。コイツらは…。
「ヴェンさん下がって。私がアガートラームで…!?」
セレナが首から下げた何かを使おうとしたが、まだ満足に戦える状態では無いようだ。策はないのか、モグの言ってた事に何か手掛かりは!?
『そう言えば、キーブレードがある限り持ち主がノイズの攻撃で炭化することはないクポ』
「そうだ!セレナ、これを持ってて!」
ヴェンはセレナに自身のキーブレードを手渡す。そして、もう一つ思い出す。
『ノイズはこちらの物理攻撃を全て受け流すクポ。だけど、魔法はどうやら例外のようだクポ』
「マグネ!からの、トルネガ!!」
キーブレードなしでも魔法は使える。マグネでノイズ全てを引き寄せた後、トルネガで全て消し飛ばすことに成功した。
ノイズ全てを退けた後、腹部に物凄い衝撃を感じた。セレナが泣きながら抱きついてきていた。ちなみにキーブレードはセレナから離れ、本来の持ち主であるヴェンの元に戻った。
「下手すると、死んでたかもしれないんですよ?それなのに…、それなのに…!!」
「あー、えっと…」
困った。ヴェンはこういう時にどうすれば良いのか分からない。だから、
「ゴメン、心配かけたね」
「は、はう!?///」
アクアがしてくれたことを真似するしか出来なかった。マスター・エラクゥスの元に来て間もなかった頃、アクアにしてもらったようにセレナの頭を撫でてやるしか出来なかった。ただ、その時にセレナが赤面した理由を彼はまだ知らない。
さて、どうしたものか。セレナを元の家族の元に帰すことも出来る。だが、あの大爆発。もしかしたら、死亡扱いになっている可能性がゼロではない。すると、
「ヴェンさん、お願いです。私を連れていってください!」
「うーん。どうしよう」
「迷惑はかけません!私は、強くなります!!」
キン!
あれ?
何かが光ったような音がする。しかも、ヴェンは日頃から聞き覚えのある音がした。恐る恐る、セレナを見やる。すると、セレナの右手にロクサスのキーブレードの一振り・約束のお守りに酷似したキーブレードが握られていた。と言うか、色以外の特徴は約束のお守りと同じである。
ヴェンはこの時に悟ってしまう。キーブレードを渡したあの時、無意識のうちに継承の儀が行われたのだと。
「仕方ない。とりあえず、ディスティニーアイランドに戻るか」
ポータルを開こうと試みる。モグの言った通りなら、恐らくポータルは開かない。そう思った。だが、意外とあっさりポータルは開いた。ヴェンは最初のうちこそ困惑したが、ある結論に辿り着いた。
(そうか!ソラはこの世界の決められた時間軸に閉じ込められてるんだ!)
記憶喪失と相まってその可能性が濃厚になる。キーブレードを変形させて、黒コート(何かあった時のために)をセレナに着せてディスティニーアイランドに向かうことにした。
そして、アクアにめちゃくちゃ叱られた。
今回の要約
ヴェントゥス、うっかり継承の儀をやってしまう。
セレナ、奏者から鍵使いに転職する。