我が心と行動に一点の曇り無し!……多分!   作:☆桜椛★

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No.11 合理的虚偽

入学初日からマズイ事になった。まさかのテスト最下位が除籍処分。自由な校訓が売り文句と言っていたが、流石に自由過ぎる気がするのは俺だけじゃあない筈だ。

それにあの顔はマジだ。最下位で見込み無しと判断された奴を、この先生はマジに除籍処分にする気だ。

てな訳で、除籍処分にならない為に、クラス全員は全力でこの“個性”把握テストに挑んだ。当然、俺と響香もな。

 

 

 

【第1種目:50m走】

 

(“ザ・ワールド”の俺からDISCを回収出来たら楽だったんだがなぁ……)

 

 

“ザ・ワールド”なら4秒も時を止めれば後はスタンドのパワーで1秒以内には完走出来るだろうな。

そう思っていると、響香の番がやって来た。

 

 

『位置ニ着イテ、用意……《パァン!》』

 

「“ダイバー・ダウン”!!」

 

 

響香はスタートの合図と共に地面に潜った“ダイバー・ダウン”に敢えて出させた腕に捕まってそのまま一気にゴールまで“ダイバー・ダウン”を潜行させた。

響香の奴、考えたな。俺の“D4C”と“ダイバー・ダウン”のスピードは同じ『A』だが、潜行している“ダイバー・ダウン”のスピードは俺の“D4C”のスピードを超える。

で?結果は………?

 

 

『《ピピッ!》2秒58!』

 

「よっしゃ!自己最高記録!!」

 

 

3秒切りやがった。やるなぁ響香の奴。1番最初に3秒台出してた眼鏡の奴がショック受けて座り込んじまったぞ?

それから次々と走って行き、俺の番が回って来た。

 

 

「響香に負けてらんねぇ〜からな!“D4C”!!」

 

 

俺はスタートラインに立つと、“D4C”の足を自分の足に憑依させる。

 

 

『位置ニ着イテ、用意……《パァン!》』

 

オラァ!!!

 

 

俺は“D4C”のパワーで一気にゴールまで走り切った。さて、俺の記録は?

 

 

『《ピピッ!》3秒47!』

 

「クソッ!負けたぜ畜生!!」

 

「いや十分過ぎるだろ!!」

 

「さっきからなんなのお前の“個性”!?」

 

 

 

【第2種目:握力】

 

これは“D4C”に握力計を持たせて握らせる。響香の奴も“ダイバー・ダウン”にやらせていたので問題はない。

まぁあるとしたら、響香はこれで握力計をブッ壊したから、同じパワー『A』の“D4C”がやるとなると……。

 

 

「“D4C”!」

バキャッ!!

 

 

・・・やっぱそうなるよな。

 

 

「またブッ壊したか……測定不能ね」

 

「マジかよ!?2人目!?」

 

 

この後行われた【第3種目:立ち幅跳び】と【第4種目:反復横跳び】でもスタンド能力をフルに使った俺と響香は他者の記録より高い記録を残した。で、今は【第5種目:ボール投げ】を行なっている。俺は最初に1回投げてるので、今回投げるのも1回だけだ。

 

 

「狭間奪、今度は分身を出さずに1人でやってみろ」

 

「りょ〜かい……“D4C”!!」

 

 

俺はボールを“D4C”に持たせ、全力で流させる。記録は『723.5m』だった。響香より10m高い記録だ。

よっしゃ勝った!

 

 

「あぁ〜……やっぱり幽義には負けるかぁ」

 

「50m走はお前に負けたけどな」

 

「俺達はお前等にほぼ全て負けてんだよ!!」

 

「ホントになんの“個性”なんだよお前等!?」

 

 

なんか周りの生徒達が騒がしいが気にしない。俺が響香と話をしていると、俺の次の番であるあの緑色の縮毛の少年……確か緑谷(みどりや)って言ったな。そいつが投げる事になった。

 

 

「ねぇ、あの緑色の髪の人。さっきからなんか記録が普通過ぎない?」

 

「それは俺も思った。……もしかして、デメリットがデカいから使わないでいるとかか?」

 

 

そう思っていると、緑谷がボールを投げた。だが、結果は『46m』だ。この記録を聞いて緑谷は驚いた表情になる。どうやらようやく“個性”を使おうとしたらしいが、使えなくなったらしい。

驚いて固まっている緑谷に相澤先生が指導をしに行ったのかは知らねぇーが、何やら話をしていると、緑谷が何かハッとした表情で叫んだ。

 

 

「あのゴーグル……!そうか、見ただけで相手の“個性”を抹消する。“抹消ヒーロー”イレイザーヘッド!!」

 

 

ほぉ?見ただけで“個性”を無力化する“個性”か。“個性”に頼り切った戦い方をする連中相手にとっちゃ天敵だな。なんか首に巻いた布や髪が逆立ってるから、そうなっている間は“個性”を消せるのか?

その後相澤先生…イレイザーヘッドが緑谷と何か話をして、イレイザーヘッドが元の位置に戻った頃には、緑谷は何やら覚悟を決めた様な表情になってボールを投げた。ボールは先程とは桁違いのスピードで空高く飛んで行き、やがてイレイザーヘッドの端末に記録が出た。

 

記録は『705.3m』。

 

俺の前に投げたボンバー○ンとほぼ同じ記録だ。だが投げた手の指が1本だけ痛々しい程腫れ上がっている。あれがあいつの“個性”のデメリットか。

その後なんかボンバー○ンがブチ切れて緑谷に襲い掛かったが、イレイザーヘッドに“個性”を無力化された上に首に巻かれた布に拘束された。“個性”凄いのにドライアイって……なんか、勿体ねぇなぁ〜…イレイザーヘッド。

 

 

 

【第6種目:上体起こし】

 

これは起きる時に“D4C”に体を起こしてもらった。響香も同じだ。

 

 

 

【第7種目:長座体前屈】

 

これは自分が普通にやってから、更に“D4C”の腕を伸ばしてもらった。響香の奴は自分の“個性”【イヤホンジャック】で俺の倍以上の記録だした。個人的にそれはどうなんだと思ったが、イレイザーヘッドがOKだしたので気にしない。

 

 

 

【第8種目:持久走】

 

『位置ニ着イテ、用意……《パァン!》』

 

「“ダイバー・ダウン”!!」

 

 

スタートの合図と共に響香は50m走と同じ方法で走り?出した。他の生徒達も“個性”でバイク作ったり、両手から爆発を起こしてその力で飛んで行くなどやって走り出した。

だが、俺はまだ動かない。

 

 

「おい狭間奪。もう全員スタートしてるぞ?何やってる?」

 

「おっと、今の俺に近寄るんじゃあ〜ないぜ。危ねぇ〜からなぁ……」

 

「?何を言って……ッ!?」

 

 

お?気付いたみたいだなぁ。俺の体が一気に凍り付いて(・・・・・)行く事に。最後尾を走る緑谷も十分離れた。それを確認した俺は“平行世界”で回収したスタンド能力を発動させた!

 

 

“ホワイト・アルバム”!!

 

 

俺がそう叫ぶと、俺は白いスピードスケートのスーツの様なスタンドに身を包み、スピードスケートの選手の様にグラウンドを滑走(・・)しだした。

 

“ホワイト・アルバム”は第5部『黄金の風』に登場するギアッチョのスタンドで、自分の身に纏うタイプの珍しいスタンドだ。超低温を操る能力を持ち、この力で空気中の水分を凝結させ、装甲の様にしたのがこのスーツだ。そして足元の地面を一時的に凍らせる事で、氷じゃない道路の上などでも滑走する事が出来る。

この能力を回収するのにはかなり苦戦した。片腕を氷漬けにされた上に砕かれたからなぁ。

 

 

「うわ!?寒ッ!!」

 

「え!?え!?地面の上を滑ってる!?」

 

「ッ!?この“個性”……俺の右側と同じ!?」

 

 

漫画やアニメでもギアッチョはこの能力で車に追い付けていた。俺もかなり特訓を積んだので同じ様な事は出来る。だからただ走ってるだけの生徒達を俺は次々と追い抜いて行く。そしてやがてトップ争いをしている響香とバイクに乗った少女に追い付いた。

……バイクってありなんだな。

 

 

「ッ!?じ、地面を滑っていますの!?」

 

「ッ!ゆ、幽義!“ホワイト・アルバム”はズルくない!?」

 

「これは俺の能力だ!別に使っても問題ねぇーだろぉーがよぉー!!」

 

 

俺はそのまま2人を追い抜き、持久走で1位を取った!これで全てのテストは終わったので、全員が戻って来るのをゆっくり待つ。

あ、因みに2位はコンマ数秒でバイク少女の勝ちだった。

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、パパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

 

イレイザーヘッドが持った端末から今回のテストの結果が空中に投影される。意外に最先端だなぁオイ!

因みに順位は俺が1位。響香は3位だった。

 

 

「因みに除籍は嘘な?君等の“個性”を最大限に引き出す合理的虚偽」

 

「「「「「はぁぁぁぁ!!?」」」」」

 

「あんなの嘘に決まってますわ……」

 

 

髪をポニーテールにした2位のバイク女…確か八百万(やおよろず)って名前の少女が呆れた表情でそう言っている。だがイレイザーヘッドのあの目は本気で見込みが無かった生徒を除籍処分にする気だったのが分かる。つまり除籍処分が無いって事は………。

 

 

「このクラスは見込みありって事か……」

 

 

やれやれ……どうやら俺達の担任はかなり厳しい様だぜ。

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