最下位除籍処分が懸かった“個性”把握テストのあった日の翌日。雄英で行われた授業は教師が現役のプロヒーローである事以外は至って普通の授業だった。別に何かを求めていた訳じゃあねぇ〜が、なんか思ったより普通過ぎて拍子抜けした。
お昼は良かった。実に良かった。“クックヒーロー”ランチラッシュだったか?その人が作る一流の美味い飯が安価で食べる事が出来たからな。でもまぁ……まさか石釜で焼いた本格的なピッツァが出て来るとは思わなかったがよぉ。
まぁそれは置いといて、午後の授業。午前中の普通の授業とは打って変わって、午後からはヒーローになる為の授業……“ヒーロー基礎学”が行われる。
そしてこの教科の担当教師は……。
「わ〜た〜し〜がぁ〜〜!!!………………普通にドアから来たァァァァ!!!」
(何やってんだこの人?)
この引いてしまう程の満面の笑みが特徴的な金髪マッチョ、No.1ヒーローのオールマイトだ。そんなテレビでもよく見る有名人の登場に、教室は大盛り上がりだ。
「オールマイトだ!!!」
「スゲェ〜や!ホントに教師やってるんだな!!」
(なんか生で見ると滅茶苦茶画風違うな)
「幽義、あんた今変な事考えてない?」
おい響香?なんでお前俺の考えてる事分かったんだ?俺そんなスタンド能力与えてねぇ〜よな?
そんな下らない事を考えている内に、オールマイトの話はどんどん進んで行く。
「早速だが、今日はコレ!!戦闘訓練!!!そしてそいつに伴ってぇ〜!!……こちら!!」
ビシッとオールマイトが指を差した壁が動き出し、それぞれの出席番号が書かれたアタッシュケースが出て来た。なんかもうなんでもありだなこの学校はよぉ?
「入学前に送ってもらった“個性”届けと、要望に沿って誂えたコスチューム!!」
「「「「「おおぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
そういやそんなもん出したな。ちゃんと要望通りに作られているのかちょいとばかり心配だぜ。
「着替えたら順次、グラウンド・βに集合だ!!」
俺達は頷いて返事をすると、オールマイトの指示通りにそれぞれの出席番号の書かれたアタッシュケースからコスチュームを取り出し、身に纏った。
俺のコスチュームは生前やっていた【ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン】というゲームにあったヴァレンタイン大統領のスペシャルコスチュームとほぼ同じ見た目のものにしてもらった。ただ説明書みたいなものには防御力を上げる為に防弾防刃耐火耐水耐熱その他諸々の機能をブッ込んだらしい。
因みに俺の腰には大統領が使っていたものと同じ拳銃もある。こっちは普通の弾と即効性の麻酔弾が撃てるようになっているらしい。よくこんなものを用意出来たもんだ。
着替えたので他の生徒達と一緒にグラウンド・βに向かうと、既にオールマイトが待っていた。相変わらず引くぐらいの笑みだ。
「格好から入るってのも、大切な事だぜ!?少年少女!!自覚するのだ、今日から自分は……ヒーローなんだと!!」
オールマイトは俺達のコスチュームを見て満足そうに頷いた。
「いいじゃないか!格好いいぜ!!さぁ、始めようか!有精卵ども!!」
俺は周りにいるクラスメイトのコスチュームを観察する。皆思い思いのコスチュームを身に纏っているな。黒い外套の様なものを纏っている奴、柔道着の様な服を着ている奴、なんかごつい甲冑みたいなものを着ている奴もいる。
「あ!幽義!それが幽義のコスチューム?」
「あん?おぉ、響香じゃあねぇ〜か」
しばらく観察していると、コスチュームを着た響香がやって来た。黒をベースにしたパンキッシュなものに、足にはスピーカーの様なものが埋め込まれたブーツを履いている。彼女の“個性”からしてあそこから爆音を放つように出来ているんだろうな。全体的にロックな感じで、響香らしいコスチュームだ。
「似合ってるじゃあねぇ〜か。格好いいぜ響香」
「幽義もね!なんかどっかの国の大統領が着てそうだよ」
なんでお前はそんなピンポイントで当ててくるんだよ?
俺は響香の勘の良さに顔を引き攣らせていると、オールマイトが今回の戦闘訓練の内容を説明し始めた。
「いいかい!?状況設定は
設定滅茶苦茶アメリカンだな。後カンペ読んでんじゃあねぇ〜よ。前もって暗記しとけオールマイト。
「ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事。敵は核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。2対2に別れた対人戦闘だ。コンビの設定及び対戦相手はくじだ!!」
「適当なのですか!?それと、クラスは21人なので1人余るのですが、残りの1人はどうすればよろしいのでしょうか?」
え!?その声もしかしてあの眼鏡……確か
「ヒーローは状況に応じてコンビを組むヒーローが変わるからね!それと残りの1人についてだが……狭間奪少年!君には最初に2対1で対戦を行なってもらいたい!」
「あん?俺1人で2人を相手にするのか?」
「君の“個性”は別々の“個性”を持った分身を作れるみたいだからね。もちろんハンデとしてヒーローチームは互いに通信するのと、開始前に互いに相談して作戦を立てる事を禁止とする。どうだい?」
成る程な。確かに“平行世界”から俺を連れて来ればこっちの方が戦力は上になる。足りない分だけ増やせばいいからな。
「俺は別に構わないぜ。で?誰が俺とやり合うんだ?」
「そうだな……君達の中で、彼と戦ってみたい者はいるかい?」
オールマイトが皆に聞いてみた所、3人の手が挙がった。挙げたのは俺の事をずっと見ていた金髪ヤンキーの
「響香も俺とやりたいのか?」
「この間の模擬戦のリベンジもしたいし、何より今回は普段とは違う状況で戦えるみたいだから、ウチも参加しときたいんだ」
確かに普段俺達は公園で波動先輩と一緒にトレーニングや模擬戦をやってるから、室内戦はやった事がなかったな。
「うーん……3人だから、誰か1人は諦めてもらわないと」
「俺は別に構わないぜ?3人同時に相手してもよぉ…」
どうせ“平行世界”から2人連れて来れば数は同じになるからな。
「うむむ……狭間奪少年がいいなら別に構わないけど、3人はそれでもいいかい?」
「あぁ、ブッ潰してやんよ」
「俺も構わない」
「ウチもそれでいいッス」
「そうか……ならそうしよう!じゃあ他の皆はくじを引いてくれ!4人はくじが決まったらすぐに戦闘訓練を開始するから準備しといてね!」
オールマイトはそう言うと俺達4人以外の生徒にくじを引かせた。そしてチーム分けが決まり、俺達はオールマイトに連れられて訓練場内のとあるビルの前にやって来た。
「ここが今回の舞台だ。それじゃあ狭間奪少年は中に入って準備してくれ。他の3人はここで待機だ。それと、今回はほぼ実戦!怪我を恐れず、思いっきりやれよ!」
オールマイトの話を聞いた後、俺は早速ビルの中に入って準備を始めた。今回はほぼ実戦って事らしいから、いつもより本気でやりに行くとするか。