仕事の都合で、今後投稿ペースが有り得ない程下がります。誠に申し訳ありません。
俺がスタンド使いになってから数年の月日が経過し、現在俺は中学2年生になった。今は
「幽義、一緒に帰んない?」
「あぁ、いいぜ」
今日も全ての授業を終え、帰る用意を済ませて下駄箱で靴を履き替えていると、響香に誘われて一緒に下校する。あの事件の日から、響香との仲は更に良くなった。今ではこんな風に互いに名前で呼び合うくらいには仲が良くなっている。
「あ、そうだ幽義。今
いつも通り通学路を歩いている途中、響香がそう聞いてきた。彼女には俺のスタンド能力について話している。俺のスタンド能力について知っているのはこの世界で響香と俺の両親だけだ。
因みにこのスタンド能力は書類上では、“個性”【守護霊】となっている。
そして響香の言っているDISCとは、もちろん俺の“ホワイトスネイク”の能力の事だ。俺はこの数年間、ずっと“D4C”と“ホワイトスネイク”とは
一応言っておくが、この世界では未だにスタンド使いに会った事はない。ならどうやってスタンドのDISCを手に入れているのか?
答えは『“平行世界”の俺から能力を貰っている』だ。
漫画の中ではヴァレンタイン大統領が、本来のスタンドとは全く違うスタンド能力を持った人物を“平行世界”から連れて来た場面がある。この事から、“平行世界”には“基本世界”とは違う能力を持った自分も存在する可能性があると俺は考え、その日から幾つもの“平行世界”を移動して別のスタンドを持った自分を捜し始めた。
そして約2ヶ月後、遂に俺は別のスタンド能力を持ったもう1人の俺に出会った。
………が、ついでに人生最大の恐怖を味わった。
その世界の俺は“ザ・ワールド”を持っていたんだが、性格や強さ、更には殺気などなどまで全てDIOみたいになっていた上、その世界を既に完全支配して闇の帝王の如く好き勝手やってたんだよな。だからいきなり殺気満々で背後から話しかけられた時は生きた心地がしなかったぜ。
なんとか“基本世界”に逃げ帰れたが、あれ以来どんな事にもビビッたり怯えたりしなくなっちまったよ。今なら凶悪な連続殺人犯が全力の殺気放ちながら殺しに掛かって来ても、鼻で笑ってから“D4C”で殴り飛ばすくらい簡単に出来るだろうよ。
まぁ取り敢えず他のスタンドを持った俺がいるって事は分かったから、その後はスタンドのDISC集めを開始した。“ホワイトスネイク”によれば普通は無理だが俺なら複数のスタンドを持つ事が可能らしいからな。
因みにスタンド能力を抜き取っているのは、スタンド能力を悪用している俺からだけだ。会う確率は非常に低いし普通に強いが、あの“ザ・ワールド”の俺に比べたらどうって事なかったので、なんとか倒してDISCを回収した。
「今はまだ3枚だけだ。やっぱスタンド能力を悪用している俺を見つけるのは難しくてなぁ……戦闘時に協力してくれる奴なら12人は見つかったが」
「へぇ〜?やっぱり幽義は別の世界でもいい奴の方が多いんだね」
響香はどこか嬉しそうな表情でそう言ってくれたが、俺としてはスタンドDISCは出来るだけ集めたい。自分が色んなスタンドを使ってみたいってのももちろんあるが、もしもの時の手札は出来るだけ増やしておきたい。
「そう言ってくれるのは嬉しいけどよぉ〜?DISCが全然集まらないのはなぁ」
「でも協力者が出来たのはいい事じゃない?それにスタンド使いなら、
響香がそう言うと、彼女の背後にダイバーの様にアクアラング・シュノケールを装備し、体中のあらゆる所に『D』の文字がデザインされている人型が現れた。
“ダイバー・ダウン”。第6部『ストーンオーシャン』に登場するナルシソ・アナスイのスタンドだ。人や物の中に潜り込む能力を持っており、内部から操ったり組み替えたり力を解き放ったりする事で攻撃する事が出来る。
響香はヒーローを目指しているんだが、彼女の“個性”はあまり近接戦闘に向いていなかったので、“平行世界”で銀行から金を盗みまくっていた俺から回収した近距離パワー型の“ダイバー・ダウン”のDISCをプレゼントした。
因みに俺も彼女と同じくヒーローを目指していたりする。
「まぁ、響香もそいつの操作には慣れて来たみたいだしな。だが“平行世界”の俺はいつでも呼べる訳じゃあない。あいつ等はあいつ等で自分の生活があるからな」
「あ、そっか。あくまで別の世界の幽義だもんね」
「あぁ………っと、着いたな」
話をしている内に響香の家の前に着いた。彼女も気付いていなかったのか、少し驚いた表情をしている。
「うっわ!話し込んでて全然気付かなかった」
「んじゃ、また明日学校で会おうぜ」
「うん、また明日。あんまり無茶しないでよ?」
「善処するよ……」
俺はそう言うと響香と別れて自分の家を目指した。
★
俺の家から少し離れた場所に、とあるそこそこ広い公園がある。数年前まではそれなりに人がやって来る公園だったが、ある日を境に公園のあちこちで血が飛び散っていたり、時々誰かの苦しげな声が聞こえて来たり、いきなり目の前に落ちていた物の下から人の手がにょっきり出て来たりなどなど……その様な噂が広まって皆が気味悪がり、誰も寄り付かなくなった。
だが、俺はこの公園には今も通っている。それも毎日だ。
何故って?
噂の原因、全部俺だから。
血は俺が今持っている3枚のスタンドDISCを回収する際に俺が負った怪我によるもの。苦しげな声は同じく怪我した時の俺の声。最後のはもちろん“D4C”の能力で“基本世界”に戻って来た時に偶々通行人が見た俺の手。
いやぁ……まさかこうなるとは思わなかった。最初は申し訳なく感じてすぐに真実を打ち明けようとしたが、その時既に人が寄り付かなくなり、ネットでは悪霊が出る公園で有名になってしまっていたので諦めた。
今では俺が“平行世界”へ行く時に利用している。
「……はぁ。またハズレだった」
そして俺は今日もまた、公園に落ちていた古新聞と地面の間から“平行世界”から帰って来た。
別のスタンドを持った俺がいる世界見つけるのは難しく、更にそこまで遠い世界へ行くにはかなりの時間とエネルギーが必要になる。だから何度も連続で探しに行かないのが欠点だ。一度行った世界へ次からは1発で行けるってのはラッキーだったがな。
「ふぅ……少し休憩してからもう1回だけ行くとするか。…………あん?」
ふと視線を感じたので振り返ってみると、水色の捻れたロングヘアが特徴的な美人の女性がなんかキラキラした目でこっちを見てた。
・・・え?誰?