我が心と行動に一点の曇り無し!……多分!   作:☆桜椛★

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No.8 試験終了

ここは、各実技試験会場の様子を観察出来るモニター室。巨大なモニターの前には多数の椅子が設置されており、そこに試験官及び雄英高校の教師勢が各試験会場の様子をモニターで観察していた。

だが、今このモニター室にいる教師や試験官達はある1人の少年……狭間奪 幽義に注目していた。

 

 

「このD試験会場の子、いったいどんな“個性”なんですか?」

 

「コートの下に消えたかと思えば、服装こそ違うが全く同じ顔の人間を4人も連れて再びコートの下から現れて、別々に行動しだした。分身の類の“個性”なのか?」

 

 

巨大なモニターには現在、“基本世界”の幽義と、“平行世界”から連れて来られた4人の幽義達が映し出されている。皆それぞれ自分のスタンドを使って仮想敵をブッ壊しまくっているが、スタンドはカメラに映っていないので、教師達は幽義が破壊している事は理解出来ているが、どうやっているかが分かっていない。

 

 

「確認取れました。彼の“個性”は【守護霊】。特殊な能力を持った守護霊を操る事が出来るそうです」

 

「特殊な能力……という事は、この分身?みたいなのもその守護霊の能力って事になりそうね」

 

「うん、しかもこの分身達もそれぞれ別の守護霊を持っているようだね」

 

 

最前列のど真ん中にチョコンと座っていた真っ白な毛並みの服を着た犬…いや、ネズミ?が興味深そうに5人の幽義達の映像を見る。

 

 

「本体らしき1番の映像の彼は近付く仮想敵をおそらく守護霊に殴らせたりしているんだろうけど、この2番の映像の彼は仮想敵の腕や足を止める…いや、この場合は固定する(・・・・)が正しいかな?そうして動きを止めてから1番と同じ様な攻撃をしている。3番の彼は仮想敵を空気が抜けた風船みたいにしているし、4番の彼は他の映像の彼等より一度に多くの仮想敵を粉々に破壊している。5番の彼は仮想敵を()に閉じ込めているみたいだね」

 

「なんと…ッ!?では彼は複数の“個性”を持っていると言っても過言ではないではないですか!!」

 

 

ネズミ…雄英高校の校長、根津(ねず)校長の言葉を聞いて、モニター室にいる全員が驚き、幽義達に視線を向ける。

 

 

「うん。それにスタートの合図に反応出来た2人(・・)の内の1人……それにおそらく分身同士で戦う訓練をしているのか、戦い慣れている感じがするね」

 

「だとすると、今年はかなりの豊作になりそうじゃない?」

 

「いや、まだ分からんよ?」

 

 

そう言ったのは根津校長の隣の席に座っている金髪のミイラの様な男性教師だった。彼は映像を見ながら目の前にあるボタンに手を置き、そのボタンを押した。

 

 

「真価が問われるのは、これからさ」

 

 

 

 

 

 

ズズンッ!!!

 

「ッ!?なんだ……?」

 

 

“D4C”で視界に入った仮想敵を片っ端からブッ壊し続けていると、突然地響きと共に巨大な粉塵が上がった。“D4C”を側に戻してその粉塵を警戒していると、粉塵の中から試験会場の建物よりも高い巨大な仮想敵が現れた!

 

 

「こ、こいつは……まさか0P敵か!?デカ過ぎだろ!!」

 

 

俺はあまりのデカさに驚いた。だが俺の周りにいた受験生達は全員、その巨大な仮想敵がこちらに向かってくるのを見て、身の危険を感じて一目散に逃げ出した。

 

 

「や、やべぇ!逃げろ!」

 

「0Pであのデカさ!あんなのに構ってられっか!」

 

(おいおい、将来ヒーローになりたいからこの雄英のヒーロー科を受験しに来たんじゃあねぇーのかよお前等?……待てよ?)

 

 

俺は走り去って行く他の受験生達の後ろ姿を見ながらやれやれと頭を振るが、ふとある事に気付いた。

 

 

「(もしかして、あの0P敵はこの為(・・・)に用意されているのか?圧倒的脅威に対して、俺達受験生がどう行動するのかを見る為に)………なら、アレはこの場でブッ壊す!」

 

 

俺はそう決めると周囲を見回す。流石にあのデカ物をブッ壊すのに“D4C”のパワーだけだと時間が掛かる。残り時間も少ない今では一撃で仕留めるのが望ましいからな。

しばらく周囲を見回していると、近くの建物の屋上に設置されている巨大な看板を見つけた。そうだ!アレを使えば1発で終わる!0P敵もちょうどその看板がある建物の真下に差し掛かった!やるなら………今だ!!

 

 

“エアロスミス”!!

 

 

俺がそう叫ぶと、俺の体からラジコンくらいの大きさの1機のプロペラ戦闘機が飛び立った!

 

“エアロスミス”。第5部『黄金の風』に登場するナランチャ・ギルガのプロペラ戦闘機と本体の片目に追従するレーダーの2つで1つの遠隔操作型のスタンドだ。二酸化炭素を探知する事が出来、両翼に搭載されている機銃での攻撃は勿論、真下に搭載されている爆弾による強力な攻撃が可能だ。

こいつは“平行世界”で暴れていた俺を倒して回収したスタンドで、こいつの他に現在俺が使えるスタンドは“D4C”と“ホワイトスネイク”を含めて6体にもなる。

 

 

「行け!!“エアロスミス”」

 

 

俺は“エアロスミス”を操作して、巨大な看板を支えている柱を“エアロスミス”の機銃で破壊させる。支えを失った看板はゆっくりと0P敵に向かって倒れ始め、やがて0P敵の真上に落下した。

そして、“エアロスミス”を戻した俺は同じく落ちて来る看板の下に向かって“D4C”を出して能力を発動させた!

 

 

「光栄に思うがいい!!」

 

 

看板と地面に挟まれて俺と0P敵は隣の世界へやって来た。そしてそこで暴れ回っている“平行世界”の0P敵と、引き摺り込んだ“基本世界”の0P敵が出会い、世界は同じ場所に同じ存在が2つ存在している事を認識した!

 

 

「この“隣の場所”に自由に入って来れるのは、この俺の能力だけだ…!!」

 

 

2つの0P敵は互いに磁石な引き合う様に重なり合い、ボディが千切れたメンガーのスポンジの様にバラバラになって行く。

“D4C”の能力にはあるルールがある。それは、『同じ存在が同じ世界に2つ存在する事は出来ず、その2つが出会うと消滅する』というものだ。

 

 

「ゆっくり味わえ……」

 

 

俺は0P敵が完全に消滅するのを見届けてから近くに落ちていた仮想敵の破片を使って“基本世界”に帰還した。俺が帰還したと同時にプレゼント・マイクによる試験終了の合図が会場全体に鳴り響いた。

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