一周した世界線 作:Achoo!
ソルサクの『リブロム』の日記形式で、主人公の過去を『ある魔法使い』の視点から語ります。
なるべくソルサクと同じ様に5章くらいの構成で書きたい。
神喰いの旅路 1-1
「やあ。キミが幻影に悩まされているという、今噂の魔法使いかな?」
グリム教団が情報交換に使用するという酒場。
自分はニミュエの呪いを解く方法を探す為に、幻影を見せる『
だがー
「へぇ〜...普通の魔法使いとそう変わらないけどねぇ...」
胡散臭い男だ。
年は自分より少し下に見える。
なのに男の纏っている、魔法使いとしてのオーラは並大抵の物では無い。
言うなれば...そう、かつて『アヴァロンの模範』とも言われたモルドレッドと同じ...いや、それ以上だろうか。
「キミ、名前は?」
男はそう聞いてきた。
今まで自分が逢ってきた、どの魔法使いとも違う...そんな存在。
いや...彼らとは全くもって異次元の存在だろう。
『人の名前を聞くときは、先に名乗るものだ』と男に伝えると、酒場の席を立ち出口へ向かおうとする。
「ふーん...なるほどね。見たところ【憎しみ】を取り込んじゃった訳か...それもとびっきりの澱んだやつを...」
自分は、その声が聞こえた瞬間に男の方へ振り向いていた。
—なぜ、そう言い切れる?
「多分今のキミには、僕の姿が歳下に見えるだろうね。でも、それなりには人を見てきたつもりさ。その経験ってところかな?」
—なるほど。やはり先程感じたオーラは間違いではなかったらしい。
「僕の名前はイオン。アヴァロンのしがない魔法使いさ」
男はそう自己紹介する。
しかし、『しがない』というのは間違いだろう。
その証拠に彼のその右腕は、明らかに度を逸して魂を取り込んでいる。
普通の魔法使いならば、とっくに自我は崩壊し魔物に成れ果てているだろう。
しかしイオンは、まるでなんともないかのように振舞っていた。
「僕の興味があるのは、君の右腕に取り込まれた魂だ。大方、【試験】の時の相棒の魂に苛まれているんだろう?」
—完全にお手上げだ。
今の自分では、イオンに一矢報いることすら出来ないだろう。
自分の命は既に握られている。
「まあ...別にキミをどうこうするわけでもないさ。ただ少し、付き合って欲しいんだよ。自分の旅に」
—言っていることが矛盾している。
旅に連行される時点で、どうこうされていると思うのだが...
「そう気にしないでよ...僕が観たいのは、今のキミの生き方さ」
イオンはそう言うと酒場を後にする。
ついて行かなければ、自分の身が危ない。
そう考えると、自分はイオンの後を追いかける様に酒場を出ていった。
それにしてもイオンという名前に引っかかりを感じる。
どこかで聞いたことのある様な、そんな名前を名乗った男。
彼は一体、何者なのだろうか...?
こっちが更新されている時は『本編が行き詰まっているんだなぁ』とでも思っててください...