一周した世界線   作:Achoo!

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またまた今回はオブジェクト、そして企業が出ます。何処の企業でしょうかね...?


2つの報告書

翌朝。

朝4時に起きると1時間ほど鍛錬を行う。終われば朝食を作る。

 

「神洲ー!寝てるうちに何処かから連絡あったー?」

『【THI】から連絡がありました。予定通り【SCP-710-JP】の改修と、専用のCADが完成したそうです』

「マジか!?」

『マジてす。大マジです』

「あいつらちゃんと寝てんのか...?」

『それで暇な時に取りに来て欲しいと』

「りょーかい。学校の帰りに行ってくる」

 

これで一日の予定が決まった。朝食を食べ終わると、すぐに制服に着替えて身仕度を整える。

 

「行くかぁ...」

 

玄関を出る時に認識災害を起こし姿を消す。そのまま特課オフィスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

走っておよそ30分。特課のオフィスが入っているビルに着いた。もはや30分間走り続ける事すら苦でなくなった。

 

「失礼します。響管理官にお会いしたいのですが...」

「お名前は?」

「財田暁です」

「財田様ですね...確認が取れました」

「ありがとうございます」

 

夜間勤務の受付係に連絡をとってもらうと、オフィスへと行く。特課のオフィスがあるビルは普通と呼ばれるサイズのビルよりも大きい。

 

ここには特課以外にも、NHTICDや国家安全保障局 超常関連政策班(NaSAPPT)、国土交通省 緊急災害対策派遣隊特事班(EDC-タスクフォース)などの各官公庁のオブジェクト対策裏部門が入っている。そのため双方の情報共有がしやすくなっており、火急案件が発生しても即座に連携が取れやすくなっているのが特徴だ。

ただし室戸研は例外。彼処は様々な研究を行っており広大な土地が必要なため、かなり遠くに置かれている。

 

エレベーターを7階で降りる。各階はそれぞれの部門専用となっており、7階は特課専用フロアとなっている。その廊下の突き当たりの部屋の前まで来ると、扉をノックする。

 

『はーい?』

「財田です」

『いいわよー。入ってー』

 

部屋から響管理官の返事が出る。随分とゆるい。まあこれがこの人の特徴でもあるんだが...

 

「おはようございます。徹夜ですか?」

「ええ。おかげで随分疲れたわ」

「そりゃ大変ですね」

「まあそんな事は良いのよ。はいこれ」

 

管理官が封筒を二つ手渡して来た。これがその報告書らしい。一つ目を開ける。室戸研からの報告。

 

「...これ本当ですか!?」

「彼らはそう言ってるわ」

「でもこれは疑いたくなりますよ...まさか本当に『一部オブジェクトのNeutralized化』が確認されたなんて...」

「主に常駐型や固定型のketerクラスオブジェクトを中心に確認されたみたいよ。でも...」

「【SCP-1334-JP】のNeutralized化は確認されていない...ですか」

「ええ。引き続き観測を続けるしかないわね」

 

二つ目の封筒を開封する。こちらはNHTICDからだ。

 

「...」

「どうしたの?」

「これが本当なら軍上層部は一体何をやっていたのですかね...」

「どういう事?」

「陸軍の『独立魔法科大隊』は、かつて【負号部隊】のメンバーだったと考えられる者によって設立された可能性が高い、と」

「...本当なら大分ヤバイわね」

「ええ...もしかしたら未だに実験を行っている可能性があるかもしれないわけですからね」

「そうでない事を祈るわ」

 

まさかこんな情報にたどり着く事になるとは思わなかった。

 

「あっそうそう。これがあなた専用の捜査手帳よ」

 

そう言われると手帳型の薄い電子機器が手渡される。裏面には薄く特課のマークが印刷されていた。

 

「電子機器なんですね。何処のです?」

「【THI】製よ。手帳ってだけじゃなくて色々な機能が付いてるわ。かなり高性能な情報端末よ」

「どの位のレベルなんですか?」

「まあ...一つでFLTの『シルバーホーン』に匹敵する位の値段はするわね」

 

そんな物を職員に無料配布しているのか...

 

「他にもここに入っている裏部門は全体的にこれを使っているわ。情報共有しやすい様にね」

「なるほど...」

 

確かに合理的だ。

 

「そう言えばその【THI】から【SCP-710-JP】の改修と専用CADが完成したとの連絡がありました。学校帰りに受領して来ます」

「あらそうなの?なら一応、帯銃許可証も渡しておくわね。でも銃器の取り扱いには気を付けなさいよ」

「了解です。ではこれにて...」

「あっ、これ小野捜査官に渡しておいてね」

 

手渡されたのは茶色い封筒。一体なんだろうか...

 

「中身は見ないでね」

「わかりました。これにて失礼します」

 

そう言うと部屋を出てオフィスを後にした。学校が始まるまであまり時間が無い。急がないと...




今回登場したオブジェクト

・SCP-710-JP 『タイムマシンリボルバー』 yanyan1様
http://ja.scp-wiki.net/scp-710-jp

・SCP-1334-JP 『渚を目指して』 Ikkeby-V様
http://ja.scp-wiki.net/scp-1334-jp

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