一周した世界線   作:Achoo!

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アクセス開いたら、とんでもないことになっててビビった。
何でだろうなとか思って調べたら、日間加点ランキングに載ってた。



みなさんありがとう!これからも頑張ります。


THIに行こう!

学校を出ておよそ30分。都心から少し離れた土地にこの会社は位置している。

 

Touhei Heavy Industry Corporation、通称【THI】だ。ここはかつて要注意団体の1つであった【東弊重工】の流れを組む会社である。

 

時刻は既に午後6時を過ぎている。まだ受付は開いているだろうか...

 

「こんばんは。何か弊社に御用でしょうか?」

「ああ、良かった。まだ開いていましたか?」

「はい。何か御用でしょうか?」

「『先端技術特殊開発部』の柳瀬川部長にお会いしたいのですが...」

「...失礼ですが、お名前を聞かせて貰ってもよろしいでしょうか?」

「財田暁です」

「...確認しました。柳瀬川部長は特別開発室でお待ちしております。場所はご存知ですね?」

「はい。遅くにすみません」

「いえ、これも仕事ですから」

「ありがとうございます」

 

対応してくれた受付嬢に微笑みかけると特別開発室に行く。そこまでは幾つかセキュリティーゲートを通らなければいけないが...

 

「あら、暁くんじゃない。何かこちらに御用かしら?」

「こんばんは犀川主任。例の物が出来上がったらしいので、受け取りに来たんですよ」

「何処まで行くの?」

「特別開発室までなんですが...」

「なら幾つかセキュリティーゲートが有るわね。良ければ私が一緒に行きましょうか?」

「でも、もうお帰りになられるのでは?」

「そう...もしかしてお邪魔だった?」

「いえ、ありがとうございます。お願いしても良いですか?」

「お姉さんに任せなさい!」

 

ここの人は優しいので大抵の事はまかり通る。自分と一緒に来てくれる彼女は『犀川 絢香』技術主任。これから行く特別開発室でチーフを務めている。

 

「柳瀬川さんが特別開発室で待っているんですけど...」

「なるほど...部長が朝から機嫌が良いのはそういう事ね」

 

歩いて、エレベーターに乗って、セキュリティーゲートをくぐること早数分、開発室に着く。

 

「犀川です。財田くんを連れて来ました」

『おう、入ってくれ!』

 

扉を開けると少し狭いが応接間になっており、ソファーが対面にローテーブルを挟んで置かれている。そしてその一方には年齢的には中年だが、まだまだ若々しく見える男性が座っていた。

 

「よく来たな!待っていたぞ!」

「すみません、こんな遅くになってしまって...」

 

彼は『柳瀬川 淳』開発部長。40歳程で現在務めている『先端技術特殊開発部』の部長に抜擢された優秀な人である。

 

「まあ、そう気にするな!こっちも結構お前にこれを見せるのが楽しみだしな!」

「ありがとうございます」

「では部長、私はこれにて...」

「まあ待て犀川くん。君も来たまえ」

「...わかりました」

 

犀川主任は部長と同じソファーに間隔を開けて腰をかける。

 

「まずは...これだ」

 

部長はテーブルに置かれていたジュラルミンケースを開ける。その中には腕輪型の見た事もないCADが入っていた。

 

「これが...」

「君専用に我々が開発したCAD。名称は『ネクロミア』だ。犀川くん説明を頼む」

「...そういう事で私を残したのですね。では暁くん、説明するわ。このCADには君に貸し出している汎用CAD『シグナリオ』と同じ【イノペラティブ(自意識による術式の無動作展開)システム】を採用しているわ。でも術式展開までの時間は遥かに短縮してあるの。君なら使いこなせるはずよ」

「ありがとうございます。では『シグナリオ』を返還したいのですが...」

「なんだ、『シグナリオ』はもう良いのか?」

「今回面倒な事で『シグナリオ』を使ったので、実戦データが集まりましたからね。データを渡すには丁度良いでしょう?」

「そうか...なら受け取っておこう」

 

鞄からケースを取り出し、中から『シグナリオ』を出す。

 

「ではこれにて...」

「確かに受け取った」

 

『シグナリオ』を渡すと同時に『ネクロミア』を受け取る。

 

「で、次が本題だ」

「【SCP-710-JP】はどうでした?」

「そうだな...かなり苦戦したぞ。犀川くん、君はどう思うかい?」

「ええ。かなり苦戦しましたが、とても良い経験になりました」

「そうですか。では予定通りに改装は...」

「ああ。これだ」

 

部長はテーブルに置かれていたもう1つのケースを開ける。中には『S&W M66 コンバットマグナム』が入っていた。

 

「ほれ。一応要望通りに仕上げたぞ」

「ありがとうございます...」

 

これは【SCP-710-JP】。形状は『S&W M66 2.5インチリボルバー』とほぼ同じであり、グリップのダイヤルを弄る事で弾丸を未来や過去に飛ばせるという恐ろしい代物だ。だが今渡されたのは『S&W M66 6インチリボルバー』だ。

 

「普通と同じ様に改造出来たんですか?」

「いや、そういう訳にもいかなかった。第一に弾丸をタイムジャンプさせる銃なんて聞いた事無いからな」

「改造点は

・銃身を2.5インチから6インチへ変更

・マウントレール追加によるレーザーサイトなどのオプションパーツの取り付け可能化

・シリンダー解放時に別空間からの自動装填に変更

よ」

「最後のは要望には出していないのですが...?」

「こんなにいい物を弄らせてくれたお礼よ。みんな感謝してたわ」

「...ありがたく受け取っときます」

 

一応かつてと同じ様に.380スペシャルと.357マグナムは使えるらしい。威力を使い分けるため、かつてと変わらないのはありがたい。

 

「それで改造費なんだけど...」

「来月の出資時に合わせて送ります。それで良いですか?」

「わかった」

 

そして今日THIに来たのはもう1つ理由がある。

 

「それと柳瀬川さん、これを...」

「なんだこれは?」

「今朝、特課に行って来たのですが、その時に貰った報告書です」

「おいおいこんな物を俺が見て大丈夫か?」

「ええ。もしかすると柳瀬川さん達にも手伝って貰うかもしれないので。もちろん響管理官の了承はとってあります」

「そうかい...まあ、ウチの会社も特課には世話になっとるしな...」

 

そう言うと部長は封筒からプリントを取り出し読み始める。すると段々と顔が険しくなっていった。

 

「...部長?どうされました?」

「見たまえ犀川くん」

「一体何が...これって!?暁くん、どう言う事です!?」

「自分も驚きました。これが本当なら少し気をつけた方が良いかもしれません」

「...わかった。少しずつ軍部に売っている武装の量を減らした方が良いかもしれないな。ましてやウチの部門の物なんて売るのはもってのほかだ」

「室戸研究所との連携をもう少し強くする必要がありますね。どうします部長?」

「そうだな...」

「とにかく気をつけてください。奴らはTHIの特異技術をも狙っているかもしれないです」

「了解だ。こちらも独自に対応策を考えておく。近く【会議】を開く事も視野に入れて置いてくれないか?」

「わかりました。響管理官にもそう伝えておきます。では失礼します」

 

そう言って部屋を出る。ようやっと必要な物は揃った。後は時を待つしかあるまい。そう考えると家路についた。




【SCP-710-JP】はメインになったので、あらすじに追加します。
因みに改造した710-JPはMGSPWのフル改造したM66みたいな感じです。


何を見て柳瀬川さん達が驚いたかは、『2つの報告書』を見ればわかる。

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