一周した世界線 作:Achoo!
そのうち平成生まれって言ったら、今の明治生まれの方にする様な反応をされる日が来るのか...嫌だねぇ。
現在、北山と光井をSSボートアスロン部まで護衛している真っ最中だ。彼女らを誘拐したあの方々にそのまま連れて行って貰った方が良かったのでは、などと考えてしまうがしょうがない事だろう。
「それでさっきのは?」
「さっきのって?」
「暁さんが急に距離を詰めたやつですよ!」
「あれか?あれは単なる自己加速術式...」
「嘘つき。あの時起動式なんて出てなかった」
なんで誘拐されてる真っ最中だったのに、そういう所には目ざといのか...
「まあバレるか...」
「で、あれはどうやったのですか?」
「単純に言えば引力場の形成を行なって、無理矢理距離を詰めた」
「引力場の...」
「...形成?」
「なんだ、わからないか?」
「ううん。それについてはわかるんだけど...」
「どうやってそれを行なったのですか?」
「そこは企業秘密だ」
「ケチ」
「ケチで結構」
「あはは...」
そんな事を駄弁っているとボートアスロン部のブースが見えてきた。
「ほいよ。ここまでで良いかい?」
「はい!ありがとうございました!」
「ありがとう」
「ほんじゃ俺は巡回の仕事に...」
『こちら司波。ただいま第2小体育館。逮捕者1名、負傷してますので念の為担架をお願いします』
...次から次へと!追加で依頼を受けるレイブンほどフットワークが軽くないんだぞ!
「こちら財田。応援に向かいます」
『暁か?すぐに来てくれ。ちょっとまずい』
「了解。朱、行くぞ」
朱がすぐさま認識阻害をかけ、その上から認識を書き換える。すると現実が改変し、居場所が第2小体育館前に変わる。
「よし...」
なるべく周囲から目立たない様に認識阻害を解除し、入り口へと入る。
「達也!」
「暁、間に合ったか...!」
達也の周りには、おおよそ剣術部員と見える生徒がいた。
「何で桐原だけなんだよ!剣道部の壬生も同罪だろ!!」「桐原先輩には、魔法の不適正使用の為に同行してもらいますが、壬生先輩は魔法を使用してませんので」
どういう事かは分からないが風紀委員の証言はそのまま証拠になるので、魔法の不適切使用を行なったのは剣術部員の1人だけだったのだろう。だが淡々と答える達也が気に入らなかったのか、剣術部員が達也に殴りかかる。だが達也は反撃もせず攻撃をかわし、終いには剣術部員の同士討ちにまで持って行く。
「クソ!」
その光景を見て頭にきたのか、残りの剣術部員も達也に襲い掛かる。しょうがない...そう思いビデオレコーダーを起動する。
「そこまでです!これ以上は執行妨害と見なします!」
「なんだとっ!?」
注目を集めてターゲットの集中を分散させる。こちらにも何人か注目して襲い掛かって来る。神拳を使うまでもないが人数が多い。
「こうなったら…!」
打撃戦で駄目なら魔法を使うと言う発想は間違ってはいない。何人かの剣術部員はCADを操作する。
「まずいな...」
「暁!少し我慢してくれ!」
達也はそう言うと両腕に着けたCADを起動させる。それと同時に剣術部員の起動式が発動する事無く霧散していく。
「なんだ...これ...」
「気持ち悪い...」
「もう、駄目だ...」
CADを起動させた剣術部員は1人、また1人と倒れていく。最終的にはほとんどの剣術部員が倒れてしまった。
「マジかよ...ん?」
視線を感じる。だがその矛先は自分では無く達也に向けられている。多分まだ居るだろうと思い、なるべく悟られない様に周囲を確認する。
「トリコロールカラーの...ブレスレット?」
こちらを見ていだだろうと思われる男子生徒の腕には特徴的なトリコロールカラーのブレスレットがつけてられていた。
「暁?」
「...ああ。どうした?」
「先輩方が担架を持って来てくれた。搬送するの手伝ってくれ」
「ん、了解」
まったく、これだけでは終わらなさそうだ。
闘技場の事件から数十分後。部活連から呼び出しがかかったため、部活連本部に出頭する事になった。今は本部で聴取を受けている真っ最中で、隣には当事者の達也も立っている。
「仲裁に入らなかったのは、両者が主張している問題の現場を見てなかったからです。それに怪我程度で済めば、自己責任だと判断したからです」
「なるほど...適切な処置だな。それで本当に魔法を使ったのは桐原だけなんだな?」
「はい」
「そうか...それでは財田。その後に発生した乱闘事件について聞こうか」
「提出したレコーダーの映像の通りですが、司波が桐原先輩を確保した後、その裁定に納得がいかなかった剣術部員が司波に襲い掛かりました。自分はそれを風紀委員会の執行妨害と見なしたため、警告の後に適切と判断した対処を行いました」
「なるほど...それで魔法を使用したのは本当に桐原のみだったか?」
「桐原先輩については使用したのを見ていないため、判断しかねますが、その後の乱闘時は使用した生徒はいませんでした」
まあ、使用する前に達也によって無力化されたってのが正しいが。
「それでだ十文字。風紀委員としては桐原を追訴するつもりは無いが、お前は如何だ?」
「俺も風紀委員の処置に従おう。せっかくの温情を無駄にするつもりは無いな」
部活連会頭にして現十氏族の1つ十文字家の御曹司である十文字克人。やはり常人とは全く持って異なる雰囲気を感じる。まるで大きな岩の様だ。
「それで、達也くん達は怪我してないの?」
「ええ、自分は特に怪我などはしてません」
「自分も問題ありません」
七草会長にそう聞かれ、そう答えた。第一に一撃も貰っていないので怪我をする方が無理がある。どこかで転んだなら話は別だが。
「これにて聴取は終了だ。2人とも解散してくれて構わない」
「わかりました、失礼します」
「失礼します」
達也に続いて部活連本部を出る。
「はぁ...初日から面倒続きだな」
「そうだな...」
「まあ時間も過ぎた事だしさっさと帰るか...」
「ああ...」
初日でこれだから明日からどうなるのか。それを考えるだけでも憂鬱になった。
なかなか『あかしけやなげ』が出せませんね。早く出したい。