一周した世界線 作:Achoo!
同じ名前で『エースコンバットx2』の2次創作を書いていますので、そちらもご覧になってもらえると嬉しいです。
では、どうぞ。
事情聴取も終わり帰宅後のこと。
『つまり反魔法団体が第一高校に入り込んでいると?』
「そうですね...あのトリコロールブレスレットをしていたからには、反魔法団体【ブランジュ】の下部組織【エガリテ】で確定ですね」
『なるほどねぇ...確かに公安としては捨て置けない事案ではあるけど』
「特課はあくまでも裏部門、対SCiP部隊ですからね」
『そういうことよ。でももしオブジェクトが絡んでいたら教えてちょうだい?』
「流石にその可能性は低いと思いますが...わかりました」
『何かあった場合、Ω-7の指揮権はあなたにあるわ。上手く使いなさいよ?』
「了解です。それでは失礼します」
そう言って響管理官との通話を切る。
チラリと窓から夜空を見ると、まるでこれからの出来事を暗示するかの様に雲行きが怪しくなっていた。
それから数日。
その間は放課後に行われるクラブ勧誘に対する巡回や業務などの委員会活動に追われていた。特に無理せずこなしてはいたのだが、いくつか気付いた事がある。
「なあ達也」
「なんだ暁?」
「なーんか毎度乱闘を鎮めようとするたびに魔法攻撃食らっている様な気がするんだけど」
「...ああ、間違いないだろうな」
どうやら達也も同じ様だ。別段当たる訳でもないのだが、毎度毎度やられては明らかに違和感を感じてしまう。狙ってやっているんじゃ無いだろうな...
「校門付近で揉め事?分かりました、すぐ向かいます」
「またか...こりゃ確定だな」
「ああ。謀ったかの様に俺達が巡回している近所ばかり起こる」
「どうせ妬んでる上級生、それも一科生だろ?面倒臭い...」
「そうも言ってられない。行くぞ」
「りょーかい...」
業務である以上やらなければいけない。放っておきたいと後ろめたい思いを封じ込めつつ、校門へと走る。
「そこの二人、風紀委員です!今すぐ止めてください!」
「え?」
乱闘していた二人のうち、一人が
達也がそれを躱したのを確認し、周りに影響を与えない様に【量子指弾】で相殺する。
「くっ...!」
さらに背後から声が聞こえたので振り返ると、別の生徒がこちらに
「達也!俺はこっちを捕まえる。そっちは頼む!」
「わかった」
背後から
「オイ、どこ見て...」
「あんた邪魔だ!」
その生徒がこちらにぶつかろうとした瞬間、走り方を一瞬だけ変える。するとぶつかろうとした生徒をすり抜ける。
「なっ...!」
これは【量子歩法】。特殊な歩き方をする事により、量子の縺れを発生させ物体をすり抜けると言う、【財団神拳】の奥義だ。
「ん?財田?」
「沢木先輩!そいつ捕まえてください!魔法の不正使用です!」
「わかった!」
逃げる生徒を沢木先輩に任せ、自分は達也の所へ戻る。
「達也、大丈夫か?」
「暁!あいつは?」
「途中で沢木先輩に代わってもらった。そっちは?」
「追いかけようとしたんだが、別の生徒がぶつかってきて難癖つけられてな...」
「そっちもか...」
そこへ光井さんと北山さん、そして見知らない女子生徒がやって来た。
「達也さん!暁さん!お怪我はありませんか!?」
「達也さん、暁、大丈夫?」
「光井さんと北山さん?大丈夫だ、問題無い」
「まあね。身体が丈夫なのが取り柄だしな」
「えっと...ほのか、雫、この人達誰?」
話に入ってきたのは先程の見知らない女子生徒。どこか赤みがかった髪色をしている。
「こっちは新入生総代、司波深雪さんのお兄さんだよ」
「こっちがその友達」
「えっ!?あの超絶美少女の司波深雪さんの!なるほどね、それならカッコいいのも頷けるわ。それで、三年生?それとも二年生?」
まさに興味津々と言ったご様子。
「「同じ一年なんだが」」
「嘘!?それであの体術を身に付けてるの!?」
「達也、お前何を見せたんだ...」
「何って、お前も見てただろ?」
「空気弾躱したやつか」
「それを瞬時に相殺させる辺り、お前も人の事言えないだろ」
「あらら、ばれてーら。まあ、取り敢えず自己紹介しようか。風紀委員の1年E組の財田暁だ。よろしく」
「同じく風紀委員、1年E組の司波達也だ」
「明智英美です。エイミィって呼んで下さい!」
自己紹介しあうと、すぐに連絡が入る。
『すまない財田!またお前達の近くだ。場所は講堂前、幾つかのクラブが新入生を巡って乱闘騒ぎを起こしている』
「...了解です。すぐに向かいます」
「...またか?」
「ああ。行かねぇと...」
「わかった。すまない3人とも。仕事が入った」
そう言い残すと講堂前へと走る。
いい加減面倒ごとはこれきりにしてくれ...
これから週1か2くらいで投稿する予定です。