一周した世界線 作:Achoo!
多分今日中にもう一話あげるよ。
日間ランキング52位とか嘘やろ...
ありがとうございます!
それからまた数日後の巡回業務でのこと。
「ん?」
頭の上に居座っている朱が、一点を凝視している。
朱は他の物にあまり興味を向けないので、かなり珍しい。
「そっちに何かあるのか?」
そう小声で呟くと朱が頷いた。
そこまで朱が興味を持つのも不思議に思ったのでそこまで行く。
場所は正門から昇降口までの100m程続くストリートから少し逸れた、ちょっとした木々の集まった所だ。
「...何もないぞ?」
粗方探してみたが、あまり目立って特徴的な物はない。一体何が...と考えていたら、朱が飛び立つ。
「あっ、おい!」
朱は木々の間に入っていくと、ある木の上に留まり何かを突き始める。するとその何かが上から落ちてきた。
「うおっと...ってコイツは!」
落ちてきたのはビリヤードのボール。
問題はそれの色と番号だ。色は緑、番号は6。
そう、コイツは【ワンダーテインメント博士の存在論的6番ボール】。オブジェクトクラスはketerのヤベーやつだ。
だがその危険性は今の問題ではない。今の問題は『何故ここにこれがあるのか』、である。
「まさか、ね...」
先日、響管理官の言っていた事が現実になるんじゃないか...?
ーーー
翌日。
朝早くから登校すると学校掲示板に広告を出す。
『落し物を拾いました。
物は緑色のビリヤードのボールです。
心当たりのある方は今日の午後4時に第3実技室まで。
1-E 財田』
とまあ、こんな内容である。
これで持ち主が分かる筈だ。
時は変わり放課後。
風紀委員室に向かうという達也に、委員会業務の参加が遅れる事を伝えて第3実技室に向かう。
「よし...まだ来ていないな」
室内に誰も居ない事を確認すると、目を閉じて口を開く。
「あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみねはみ けをのばせ」
その瞬間実技室は血よりも赤い光に包まれ、しばらくすると元に戻った。
「これでよし...」
そうして待つこと十数分。実技室の扉がノックされる。
『すまない。掲示板の広告を見て来たんだが...』
「どうぞ」
入って来たのは眼鏡を掛けた二科の上級生だった。そして腕には
「3-Fの司甲だ。この度は本当に感謝している」
「1-Eの財田暁です。お気になさらず」
「という事は君が今年の風紀委員に入った二科生の1人か?」
「そうですが何か?」
「そうだね...君は今のこの学校をどう思っているかい?」
何かと思えばエガリテへの勧誘らしい。もう少し搦め手で来るかと思ったら拍子抜けだ。
「はあ...別にどうとも思いませんが?」
「何故だ!?明らかに一科生と二科生では差別があるじゃないか!」
「それは二科生自身もそう思っているからなのでは?それよりも僕はあなたに聞きたい事がある」
「なに?」
手に持った6番ボールを弄びつつ、こちらを睨みつけている司先輩を見返す。
「【コイツ】を何処で手に入れた?」
「...どういう事かな?」
「はっきり言ってしまうと、この【6番ボール】はあなたが持っていいものじゃない。あなたは【コイツ】を何処で手に入れたんだ?」
一気に実技室の雰囲気が凍りつく。まるで開けてはならない禁忌の箱を開けたかの様に。
「それは...言えないな」
「そうかい。だがあなたに拒否権はない。洗いざらい吐いてもらおうか」
「くっ...!」
その瞬間司先輩が自己加速術式を起動しこちらを制圧しかかるが、同時に制服の下から【SCP-710-JP M66 タイムマシンリボルバー】を引き抜いて突き付ける。装填されているのは.357マグナム弾だ。人体など余裕で吹き飛ぶ。
「動くな」
「なにっ...!」
「言っただろう?あなたに拒否権など無いと」
「チッ!なんでそんな物を...」
「僕はその筋の人間なので。下調べもせずに勧誘したあなたが悪い」
「そんな情報何処にも...!」
「当たり前でしょう?裏のお仕事なので報告するわけがない」
そう言いつつリボルバーを突き付け、尋問を行う。
「なるほど...それをあなたに与えたのはあなたの兄だと」
「そうだっ...これについては何も知らない!ただ兄からは『無くすな』としか...」
「確かあなたの兄は『ブランシュ』のリーダーでしたね。では現在、この学校に『エガリテ』のメンバーが増えているのもそういう事だと?」
「そこまでは...知らない...」
「ほう...まあ良いでしょう」
そう言ってリボルバーを戻し、拘束を解除する。
「ハァ...ハァ...」
「でも、僕の正体をバラすわけにもいきませんしね」
そう言って【解放礼儀】を済ませると、仰向けに倒れている司先輩の眉間に示指と中指を当てて正確に███Hzの振動を与える。
「がっ!」
これは【神拳型Pクラス記憶処理プロシジャ-A】。
示指と中指を用いて対象の眉間に正確に███Hzの振動を与えることで、シナプスの結合を選択的に分解し、直近10分~1年間の記憶を処理するという【財団神拳】の奥義の1つだ。
今回は短めに振動を与えて、直近10分から20分程の記憶を処理する。
「これでよし...」
手に持っていた【6番ボール】を持って来ていたケースの中に仕舞うと、倒れている司先輩をそのままにして実技室を出ていった。