一周した世界線   作:Achoo!

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フォントって便利だねぇ...


あけのちから

帰宅後。

アベルや朱とハムを食らいつつ、今日起こった事を考えていた。

 

「そういや放送室を占拠メンバーも何人かはあのリストバンド着けてたよな...」

『(´・ω・)?』

「ん?ああ。どうだろうな...響さんが許可してくれたら、かな?」

『(`・ω・´)=3』

 

アベルとそんなやり取りをしつつハムを食べ終え、洗い物を終わらせる。

 

「神州ー」

『どうされました?』

「響さんに連絡を入れてくれ」

『了解いたしました』

 

神州が秘匿ネットワーク回線に入り込み、通信を繋ぐ。しばらくすると...

 

『はい、もしもし?』

「響さんですか?」

『あら暁くん。どうしたのかしら?』

「今週末に機動部隊を動かしたいのですが...」

『何かあったの?』

「現在、うちの学校に反魔法団体の連中が入り込んでいるのは知っていますよね?」

『ええ。確か準要注意監視団体の【ブランジュ】、そして下部組織の【エガリテ】だったかしら』

「先日、そのリーダーの義弟である生徒に接触したのですが...その人の所有物に【6番ボール】がありまして」

 

そう言った瞬間、スピーカーの向こう側から息を飲む音が聞こえた。彼女も言った事が真実になるとは思っていなかったのだろう。

 

『【6番ボール】って、あの?』

「はい。もちろん今は回収してあります」

『彼はその事について何と?』

「《兄から貰った》...としか」

『なるほどね...あなたはそれについてどう思っているの?』

「単純ではありますが、まだ何か持っている様な気がしてならないです。最低でも多分まだ1つ隠し持っているのではないかと...」

 

響さんはしばらくの間黙り込む。

 

『...わかったわよ。機動部隊【Ω-7】と【Ω-11】をあなたの指揮下に組み込むわ。自由に使いなさい』

「まあ元々うちから出向した部隊ですけどね。ありがとうございます」

『機材も必要かしら?』

「明日アベルがそちらに向かいますので、その時に作戦指示書を持参させます。それと作戦時には作戦展開区域周辺を侵入禁止状態にしてもらいたいです」

『それは【EDC-タスクフォース】に依頼しておくわね』

「それと連中のアジトの場所は割れてますよね?」

『当たり前よ。そこは公安を舐めないで。私達が幾ら裏の部門だとしても、そう言う情報は簡単に手に入るわ』

「そうですよね。では失礼します」

 

そう言って振り返るとアベルに告げる。

 

「喜べアベル。仕事の時間だ」

Bene est.(了解だ。)

「ほう...お前が言葉を出すって事は、だいぶやる気だな」

Est natura.(当たり前だ。)

Et quia longo tempore opus.(久しぶりの仕事だからな。)

Quin detrimentum hospitabit.(楽しまなきゃ損だ。)

「今回はなるべく殺さないでくれよ。あくまでも目的は、あると思われるオブジェクトの確保。それと第一高校に過干渉した連中の捕縛だからな」

Et odiosis. (つまらないな。)Erit probabiliter ut occidi seorsum? (別に殺しても構わないのだろう?)

「バカ言え。確かに連中は今の人類の主流から外れた考え方をしているだろう。だが必要ない存在として殺すのはまた別だ。主流から外れた考え方も存在する事で世界は成り立つ。それをお前は見てきたんだろう?」

 

そう言うとアベルは黙り込む。どうやら痛い所を突かれたようだ。

 

『...Bene bonum. (まあいい。)Ego tibi venire praecepit. (俺はお前の指示に従うだけだ。)

「そいつはありがたいね」

 

 

 

ーーー

 

 

 

公開討論会当日。

講堂の各場所に配置を振り分けられ、会場警備に入る。かと言って自分は会場周辺の外部巡回警備に配置されたので、内部の様子は特に伺えないが—

 

「それは、各部の実績を反映した結果です。非魔法師的クラブでも、優秀な成績を収めた...」

 

幾らか漏れてくる音声からしてみて、七草会長が討論会の主導権を確実に握っていることが良くわかる。

もはやそれは討論会ではなく、会長の演説会と化していた。

 

「結局吹っかけてきた割にはこの程度か...」

 

その瞬間、離れた場所で爆発音がした。すぐに朱が飛び立ち場所を確認する。

 

『どうした!?』

「こちら財田、第1実技棟近くで爆発音。即座に向かいます。そちらも警戒強化を」

『わかった!』

 

さて、戦闘開始だ。

【二段解放】で潜在的な枷を外し、道を駆ける。途中、こちらを狙ってくる連中に量子指弾を叩き込んで制圧を行いつつ第1実技棟まで向かう。

 

「くそっ!当たれ!」

「うぉっと...」

 

飛んでくる7.62mm弾を【虚喰掌握】でいなし接近すると、バトルライフルに手刀を叩きつけて一気に振り抜く。すると—

 

「ライフルが真っ二つに!?」

 

銃身が熱によって融解し割れる。これが【摩擦熱切断手刀】だ。さらに遠くから狙ってくる奴には【時間差共振爆砕脚】で足場を崩し妨害を行いつつ進む。

 

「レオ!大丈夫か!?」

 

途中で見つけたレオを囲んでいる連中を【時間差共振爆砕脚】を地面にではなく、直接当てて吹き飛ばす。

 

「暁、何が起こってるんだコレ!?」

「どうやら討論会をダシにして侵入してきた連中がいる。これは陽動で別の狙いがあるんだろうが...

どこかでおかしな奴を見なかったか?」

 

そう言うとレオは少し考える。

 

「そういやオレがここでコイツらとやり合ってる時に、アタッシュケースを持ってた奴を見たような...」

「アタッシュケースだって?ソイツはどっちに行ったんだ?」

「すまねぇ...横目でチラッと見えただけだったからよ」

「そうか...」

 

そこへ達也と千葉さんがやって来た。

 

「レオ、大丈夫だったか」

「レオー!」

「達也!エリカ!」

「達也、講堂はどうした?」

「こっちにも襲撃はあったが既に鎮圧されている。警備の半分はバックアップ、もう半分は襲撃者達の対応に当たっている」

「わかった。しかし連中の狙いは何なんだ...?」

「彼らの狙いは図書館よ」

「小野先生!?」

 

そこへ小野先生が何処からともなくやって来る。図書館が狙い...まさか—

 

「魔法大学が所持している非公開情報...?」

「多分そうでしょうね」

「あそこは接続できるからな。また随分と面倒な...」

「達也たちは図書館に向かってくれ。俺は侵入したテロリスト達を鎮圧する」

「手はあるのか?」

「あるさ」

 

自分がそう言うと達也たちは図書館へ向かって行った。

 

「良かったの?」

「何がですか?小野先生」

「あなたが公安の者っていうのはわかったわ。彼らを行かせて良かったのって聞いてるんだけど」

「彼らなら上手くやります。それよりも1つ言っておきますよ」

「何かしら?」

「ここでの騒ぎが終息し次第、我々は動きます」

「...どういうことかしら?」

「連中は少しやり過ぎました。本当なら夜中に襲撃をかけるつもりだったのですが、作戦変更です」

「この学校の問題に公安が手を出すっていうの!?」

 

小野先生は少し激昂した様子でこちらに詰め寄る。

 

「それも1つの口実に過ぎませんよ」

「どういう意味かしら?」

「彼らは人類を脅かそうとしている。いや、それだけの物を所持している。だから我々【特事課】は動きます」

「【特事課】って...本当に...」

「これは内密にお願いしますよ。では失礼します」

 

そう小野先生に断りを入れると【量子反作用空歩術】で屋上へ駆け上がった。

 

 

ーーー

 

 

「さてここらで良いかな?」

 

第1実技棟はこの学校で最も高い建物の1つだ。その屋上へたどり着くと辺りを見回し、誰もいない事を確認する。

 

「朱、テロリストの連中なら喰っても構わん。準備はいいな?」

 

目の前の手摺に脚をつけている朱にそう言うと、朱は軽く頷く。準備はできた。

一度大きく深呼吸をすると、両手を合わせ【朱の祝詞】を奏上する。

 

 

【あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみ ねはみ けをのばせ 】

 

 

空が血よりも紅い赤色に染まり、周辺が異界化する。

 

 

【なのとひ かさす 緋色の鳥よ とかき やまかき なをほふれ 】

 

 

朱の枷が外れ、《現実の空》と【意識の空】が繋がる。

 

 

【こうたる なとる 緋色の鳥よ ひくい よみくい せきとおれ】

 

 

の姿が【意識の空】の荒々しく恐ろしい姿へ変わり、空へと飛び立つ。

 

 

 

「【緋色の鳥よ 今こそ発ちぬ】ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が世界を、そして精神を喰らい始めた。

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