一周した世界線   作:Achoo!

5 / 37
か け た 。


入学式その2

「おい。見捨てるなんて酷いぞ」

「まあそう言うなよ。席取っといたんだし」

 

自分から遅れる事数分後、達也が隣にやって来た。見た感じかなり参っているようだ。

 

「何を言われたんだ?」

「スクリーン型端末と入試成績と自己紹介。あの人、生徒会長だった」

「かなり言われてんな。更には生徒会長に詰め寄られるとか...大丈夫か?」

「大丈夫に見えるか?」

「すまんな」

 

恨みがましく言って来る達也に軽口を叩いていると、後ろから声をかけられた。女子生徒だ。

 

「あの...お隣、空いてますか?」

「空いてるけど...達也もいいか?」

「構わない」

「ありがとうございます」

 

了承が取れるとその子はホッとした表情を見せた。

 

「良かった〜」

「これでみんな一緒に座れる...」

「4つなんて中々空いていないもんね」

 

改めて周りを見回すと、4席連続で空いている所はここ以外にはなかった。にしても4人とは多い。

 

「あの...私、柴田美月って言います。よろしくお願いします!」

「司波達也だ。こちらこそよろしく」

「財田暁ってんだ。よろしくー」

「あたしは千葉エリカ。よろしくね、司波くん、財田くん」

 

席が近かった2人と自己紹介し合う。千葉さんは名前からして『数字付き』の家柄っぽいし、柴田さんは今の時代では珍しく眼鏡をつけている。霊子放射光過敏症だろうか?何にせよ朱の存在はあまり広まらない方がいい。でないと下手したら大惨事だ。

 

そんな事を考えると、入学式が始まった。達也の言っていた通り、先程話しかけて来た生徒が生徒会長として紹介されていた。名前は七草真由美。よりにもよって十氏族とは...朱の事について少し気をつけた方が良いかもしれない。

 

『続きまして新入生総代による答辞を行います』

 

その間も式は進む。新入生総代の答辞もあったが、差別意識を真っ向から否定する内容に少しヒヤヒヤした以外は変わらなかった。ん?司波だって?聞き間違いじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これを持ちまして、入学式を終了します。この後新入生の方は窓口へ向かい、学生証の発行を行って下さい』

 

...!

いかん。少し眠ってしまった。これも全部、春の陽気って奴の仕業なんだ。何だってそれは本当かい!?

 

 

...茶番はさておき周りを確認すれば、既に生徒は退場を始めたらしい。隣に達也や柴田さん、千葉さんの姿はなかった。

急いで講堂を出ると窓口へと走る。窓口周りは渋滞していたが、そこを難なくすり抜け学生証の発行申請をする。すると後ろから声をかけられた。

 

「暁、遅かったじゃないか...」

「達也ァ...起こしてくれても良かったじゃないかァ...」

「それは置いといて...お前、クラスは?」

 

既に出来ていたのか、直ぐに窓口から呼ばれ学生証を受け取る。

 

「あー...Eだ」

「奇遇だな。俺も一緒だ」

「えっ?そうなの?」

「因みに柴田さんと千葉さんとも一緒だ」

「ちょっとー!?折角驚かしてやろうと思ったのにー!」

「エリカちゃん、落ち着いて...」

 

後ろから急に千葉さんと柴田さんが現れる。いきなり後ろから声をかけないでくれよ。朱までビックリしているんだが...

 

「ねえ、クラスも一緒だってわかった事だし、ホームルーム覗いてかない?」

「それ良いですね!」

「あー、2人とも済まない。妹と約束があるんだ」

 

どうやらあれは聞き間違いではなかった。

それを聞くと千葉さんはむしろノリノリでそっちに首を突っ込み始める。柴田さんも気になるらしい。それを聞けば達也は新入生総代の司波深雪さんとは年子で、達也が4月生まれで深雪さんが3月生まれ、との事だ。答辞の時に何か似ているなと思ったらそう言う事か。

 

「お兄様、お待たせしました!」

 

丁度タイミングよく深雪さんが来た。それも後ろに人を引き連れて。いや、彼女はそれにすら気付いていない。無意識って怖いね。

 

「あら、また会いましたね」

 

しかも七草会長までいる。何の因果だよ。最悪だよ。

 

「お兄様、そちらの方々は?」

「こちらが柴田美月さん、そちらが千葉エリカさん。で、コイツが財田暁だ。3人ともクラスメイトだよ」

 

深雪さんの問いに、達也は当たり障りの無い答えを言う。てか俺だけ丁寧じゃない。

...あれ?何か寒気がする。

 

「そうですか、クラスメイトですか...ではお兄様、早速クラスメイトの方々とダブルデートしていた理由をお聞かせ願っても?」

 

ダブルデートて...俺は良いけど2人が可哀想じゃないか?寒い原因はコレか。達也は溜息ついた。いや、溜息をついている場合ではないです。

 

「別にお前を待つ間付き合ってもらってただけだ。そんな言い方は2人にも失礼だろ?」

「おい達也、俺は?」

「忘れてた」

「ひでぇ」

「そうですか、申し訳ありません!」

 

深雪さんは凄い勢いで頭を下げる。誤解が溶けたならまあいいか。

 

「別に良いですよ。柴田美月って言います」

「そうだって!あたしは千葉エリカ。貴女の事は深雪って呼んで良いかしら?」

「ええ。苗字だとお兄様と区別がつかなくなってしまいますからね。私も貴女の事をエリカって呼んでも良いかしら?」

「もちろんよ!」

 

女子2人は完全に意気投合したらしい。女子のコミュニケーション能力ってすごい(小並感)。

 

「で、あなたは...」

「あ、財田暁です。よろしくお願いしますね」

「はい。よろしくお願いします!」

 

何か他の生徒から睨まれているんだが...俺、何かやった?と思っていると達也が深雪さんに話しかける。

 

「深雪、生徒会の方たちとの話はもう良いのか?まだなら何処かでテキトーに時間を潰してるが...」

「その心配は要りませんよ。今日はご挨拶だけで十分ですし、他に用事があるのならそちらを優先してくださって構いませんから」

「会長!?」

 

七草会長の後ろにいた男子生徒が食い下がっているが、結局言いくるめられたらしく、その後は何も言わなかった。

 

「それでは深雪さん、また後日改めて。司波君も今度ゆっくりと話しましょうね」

「はぁ……」

「それでは会長、また後日」

 

深雪さんはしっかりとお辞儀をしていたが、達也は『後日ゆっくり話す』との事に難しい顔をしていた。そう言えば会長が俺達とは逆の方向に歩き出した時に、後ろにいた男子生徒に睨まれた。

だから朱に喰わせてやろうかと考えてしまった。やらないけど。

 

...やったらどうなるかって?血よりも紅い世界にサヨウナラだ。




わーい、2000文字超えた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。