一周した世界線   作:Achoo!

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今回は繋ぎなので短め。


創作奥義も出てくるよ!


鍛錬その1

「ねぇ。深雪も来たことだし、この後喫茶店に行かない?」

 

七草会長が去ると、千葉さんがそう提案した。

 

「なんだエリカ。学校始まる前からそう言うのは覚えているのか?」

「あったりまえよ!美月は行く?」

「はい。ご一緒させて頂きますね!」

「どうしますお兄様?」

「この後予定はないしな...行こうか。暁はどうする?」

「あー、すまねぇ。この後予定があるんだわ。ここらで失礼するよ」

 

話を切り上げ4人と別れると、家へと帰る。朱も少し疲れているみたいだし、こっちも鍛錬がある。

 

《昨日の自分より二次関数的に強くあれ》

 

何しろ、この『財団神拳』の教えを蔑ろにする訳にはいかない。

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

家に着き玄関の扉を開け、部屋へ行く。制服から柔道着に着替え、朝と同じ様に庭へ出る。庭の中心に立つと【解放礼儀】を行い、自分の集中力を高めると同時に身体の枷を外す。

 

「さて...今日はここからだ」

 

【解放礼儀】を終えると、構えた両手を解き自然体の状態にする。全身から力を抜き、されど姿勢は真っ直ぐにしていつでも動ける状態にすると、特殊な腹式呼吸を始める。それを10秒ほど続けると頭のどこかで何かが切れた様な音が聞こえた。

 

「【二段解放】!!」

 

【二段解放】。『財団神拳』の3つの教えの一つ、《書を捨てよ、己が道を進め》から暁が生み出した独自の奥義である。

 

特殊な腹式呼吸を10秒間行う事により、その呼吸と呼吸の音から脳の一部を一種の催眠状態にして、通常の状態で体にかけられているリミッターを外す。簡単に言ってしまえば『火事場の馬鹿力を火事場なしで発揮する』と言う訳だ。

もちろんデメリットもある。通常の身体の限界を超えたギリギリまで酷使するため、使用後に全身が恐ろしい程の筋肉痛に襲われるのだ。そのため回復に奥義の一つ【元素功法】を使用する事が望まれる。

 

【二段解放】を行うと全身がより軽く、より素早く動く様になる。さて...

 

「...やるか」

 

そう言うと普通に筋トレを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は飛んで夜。

全身を筋肉痛に苛まれている状態でなんとか風呂に入り、ベッドまで這って動く。

 

「痛え...」

 

なんとかベッドに辿り着くと、そのままぶっ倒れて意識を失った。

 

 

ーーー

 

目の前には赤色に染まった草原が広がっている。空は血よりも赤く、そして夕焼けよりも赤い。

 

「あー...」

 

何かやらかしちまったかと原因を考えていると、空の遠くから羽ばたく音が聴こえた。オワタ...

 

バサッバサッ...

 

目の前に緋色の鳥が現れる。精神世界における朱は現実世界より遥かに大きいし、赤いし、そして禍々しい。その眼を見ると何やら不機嫌そうだ。まさか...

 

 

 

 

 

 

「俺が夕飯作らなかったから怒ってる?」

 

 

 

 

 

 

その瞬間、朱が大きく口を開けた。




思ったんだけど、『火事場の馬鹿力』って本当に強いんかな...

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