一周した世界線   作:Achoo!

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主人公の好物、判明。ミーム汚染されている模様。

3/22 指摘された点を修正。


確執その1

翌日。

夢というか寝ている間に、朱に精神世界に引きずり込まれ、むっしゃむっしゃと精神を食われてしまったので非常に気分が悪い。筋肉痛は既になくなっているが...

だがそんな事をほざいて学校に遅れる訳にもいかないので、無理矢理身体を起こすと部屋を出てキッチンへと向かう。途中にリビングを見ると朱が満足そうに寝ていた。そういや、俺の精神が一番の御馳走だったとか言ってたな。すっかり味を占めやがって。そんな事を思いつつ、今日は昨日とは逆にこちらから突ついて起こしてやった。

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございますっと」

「暁、おはよう」

 

そんな挨拶をしつつ教室へ入ると、既に登校していた達也に挨拶を返された。そういやコイツ昨日女子3人(1人は妹だが)とお茶をしに行ったんだよな。なら言うべき言葉はこれだろう。

 

「達也くん、昨夜はお楽しみでしたね」

「勘弁してくれ。ふざけているのか?」

 

そんな軽口を叩きつつ自分の席へ向かう。荷物を下ろすと履修登録をやっていなかったので、履修登録ページを開きキーボードを叩く。

 

「おいおい!?お前もかよ!」

「んあ?誰だ?」

「おっと済まねえ。俺は西城レオンハルト。レオって呼んでくれ!」

「財田暁ってんだ。よろしく」

「おう!にしてもお前もキーボードオンリーかよ?」

「お前もって事は他の誰かもやってた?」

「達也がね」

 

レオはどうやら達也を知っているようだ。履修登録を終えると後ろから声がかかる。

 

「おはよう!暁くん!」

「おはようございます」

「おはよう千葉さん、柴田さん」

「にしても固いねぇ。もっとこう、フレンドリーに呼んでくれていいのに」

 

そこまで固いだろうか?そんな事を考えつつ5人でわいわい話していると、1人の女性が教室へと入ってくる。はて、二科生クラスに担任はいないはずだが...

 

「皆さん入学おめでとうございます。当校の総合カウンセラーを務めています、小野遥です」

 

うーん、スクールカウンセラーと言うには少し無理がある。明らかにまとっている雰囲気が違う。

 

「それでは皆さんの端末にガイダンスを送るので、その後で履修登録をしてください。既に終わっている生徒は退出しても構いませんが、ガイダンス開始後の退出は認められませんので、希望者は今のうちに退出してください」

 

周りを見渡せばある程度の人は既に終わらせているらしい。他の4人もそうみたいだ。

 

 

 

「なあ、これから昼までどうする?」

 

そうレオが切り出した。履修登録が終わっているので昼まで暇なのである。

 

「特に決まってはいないが...何なら付き合おう」

「よっしゃ、それなら工房を見学しに行こうぜ!」

「工房か?」

 

レオが工房とは意外だ。纏っている雰囲気から見れば工房より闘技場だろうに。

 

「硬化魔法は武器術との組み合わせで力を発揮するからな」

「なるほど」

 

納得。『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』か。確かにレオらしい。

 

「あのー、それなら私もご一緒していいですか?」

「柴田さんも?」

「はい。私、魔工師志望なので...」

「俺もだ」

「達也くんって魔工師志望なの?ちょっと意外ね」

「おめぇは如何見ても闘技場だろ。さっさと行ったら如何だ?」

「何よ!」

「あーもう、2人とも喧嘩はやめてくれよ...」

 

レオとエリカが喧嘩をし始めそうになったので何とか止める。

 

「暁、お前はどうする?」

「んー。俺はパス。先に食堂行って席取っといてやるよ」

「いいのか?」

「ああ。行ってこいよ。席の位置は行ったら分かる様にしておく」

「なら頼んだ」

「まかせんしゃい!」

 

 

 

 

工房へ向かう4人と別れると、食堂へと向かう。途中で一科生の連中と鉢合いそうになったが朱の能力を使って切り抜け、食堂へ入る。

 

「ひっろ...」

 

それもそのはず、学生食堂は第一高校の全校生徒600人の半数以上が入る広さを持つ。だがまだお昼時には時間が早いので、誰1人生徒はいない。

 

「取り敢えずここにすっか」

 

なるべく配膳所に近い大テーブルを確保すると席に座り、家から持ってきたプリントを読み始める。

 

「【SCP-403 段階的過熱ライター】、ねぇ...」

 

【SCP-403 段階的過熱ライター】とは、24時間以内に複数回点火するとその度に点火される火の威力が大きくなるという、使用燃料不明のライターだ。多分今は家の金庫の中にしまってある...はずだ。

 

「しっかし使える物が無いねぇ...」

 

SCPオブジェクトはその性質上、有用性のある物は非常に少ない。thaumielクラスの物も日常では役に立たないのがネックだ。唯一の救いはSCP-ES-9999-Jだろう。

何故かって?簡単な事だ。

それが宇宙で最もすごくて最も美味しい物質で、この無限に完璧な存在、偉大にして壮大なるヨーグルトだからだ。当たり前だろう?

 

 

 

 

昼の12時半過ぎ。

 

「待たせたか?」

「いや。大丈夫だ」

 

4人が工房見学から帰ってきた時には、食堂はまあまあの混み具合を見せていた。既に自分の昼飯は持って来てあるし、達也達もお盆を持って来ていた。

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

席につき食事の挨拶を済ませると、一斉に食べだす。自分のは日替わり定食と追加で注文した、偉大なるヨーグルトだ。美味い。

 

「意外と上手いな、此処の学食」

「アンタは口に入れば全部同じなんでしょうけどね」

「だからどうして言い争うんですか!エリカちゃんもレオ君も仲良くしてください!」

 

なんでこの2人は事あるごとに言い争うんですかねぇ...ヨーグルト美味い。ん?あれは...

 

「お兄様!みなさん!」

 

やっぱり深雪さんか。

 

「お兄様って誰だ?」

「アンタの頭じゃ推理出来ないでしょうけどね」

「何だと!」

「おめえら事あるごとに言い争ってんじゃねえ!せっかくこの偉大なるヨーグルトをいただいている最中なのに!」

「えっ?」

「偉大なる...何だって?」

ヨーグルトだっ!!

 

2人が何か呆れた様な顔をしている。達也の方を見ると、達也も似た様な顔をしていた。なんで?

 

「...話を戻そう。俺の妹だ」

「へぇ...達也、妹居たんだな」

 

にしても、なんでこんなに人を引き連れる力が強いんですかねぇ?

 

「ハイ深雪、待ってたわよ!」

「こんにちは、深雪さん」

 

...なんか刺々しい視線を感じる。嫌な予感。

 

 

「それでは皆さん、私はお兄様達と一緒に……」

「君たち、この席を譲ってくれ」

 

...偉大なるヨーグルト様がいっきに不味くなった。こいつマジであっちの世界に送り込んでやろうか?




今回登場したオブジェクト

・SCP-403 『段階的過熱ライター』 gnmaee様
http://ja.scp-wiki.net/scp-403

・SCP-ES-9999-J 『偉大なるヨーグルト』 FattyAcid様
http://ja.scp-wiki.net/scp-es-9999-j

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