一周した世界線   作:Achoo!

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財団神拳、炸裂。


確執その2

「如何してアンタみたいなヤツの言う事を聞かないといけないのよ!」

「そうですよ!私たちはまだ使ってるんですよ!」

「二科が何を言う。ここは魔法科高校だ。実力が全ての世界で、補欠如きが粋がるな!」

「ちょっ!」

「言い過ぎ...」

 

せっかく偉大なるヨーグルトを食べていたのに、これじゃあ台無しだぁ...

 

「どっか行こうぜ。偉大なるヨーグルトが不味くなる」

「暁!?」

「何だレオ?俺は今、猛烈に不愉快だ。こんな場所ぶっ壊したいぐらいにな」

「...みんな行こう。深雪、俺達は失礼するよ」

「えっ、はい...」

「おい達也!?」

「感じ悪い! 私ももう行く!」

「エリカちゃん!」

 

自分が率先してその場を去ろうとすると、後ろから他の4人も着いてくる。レオとエリカは幾分か慌てた様子だ。

 

「おい本当に良かったのかよ!?」

「そうよ!何であっさり席を譲っちゃったのよ!?」

「はぁ...こんな場所で目立つ訳にもいかない。言わせときゃ良いんだ。後で潰してやる...」

「暁は置いといて...彼処で騒がしくするのは周りに迷惑だろう。まあ、あいつらに深雪の相手は務まらないさ」

「どういう事でしょうか...?」

 

にしてもやはり気分が悪い。ああ...無限に素晴らしく完璧なヨーグルトが食べたい。あのプリントに添付された写真の様な...ヨーグルトが食べたい。

 

 

 

 

午後は4人と一緒に各施設や演習の見学に行ったが、その度に一科生と鉢合わせイザコザを起こしかけた。マジであっちの世界に送ってやろうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

昼にヨーグルトを美味しく食べられなかったので一緒に帰ると言う4人と別れ、何処かヨーグルトを食べられる店はないかと探し始める。...なにやら校門が騒がしい。

 

「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと一緒に帰ると言ってるじゃないですか!」

 

4人と森崎とか言う一科生をリーダーにしたグループが揉めていた。どうやら深雪さんが達也たちと一緒に帰ると言っているのに、森崎たち一科生がそれを善しとはせずに、自分たちと話す方が深雪のためになるとか言い出したらしい。

しかし、美月さんが率先して言い争っているのは珍しい。

 

「大体、貴方たちに深雪さんとお兄さんを引き裂く権利があるんですか!」

「ちょっと美月…そんな、引き裂くだなんて」

 

深雪さんが頬を赤く染めている。あなた実の兄に惚の字なんかい...

 

「一科生には一科生の話があるんだ!二科生が口を挟むな!」

 

一気に険悪な雰囲気が増した。嫌な予感がするので、もしものために【解放礼儀】を済ます。そして【量子指弾】をいつでも撃てる様にしておく。

 

【量子指弾】。『財団神拳』奥義の一つである。物質に存在する量子をコペンハーゲン解釈によって指先に圧縮。それを発射する事により遠距離から攻撃が出来ると言うものだ。

 

「同じ新入生じゃないですか!今の段階でどれだけの差があるって言うんですか!」

「そんなに見たいなら見せてやる!才能の差ってヤツをな!」

 

美月さんの言葉にキレた森崎とか言う一科生が腰のホルスターからCADを引き抜く。それと同時に奴のCADに狙いを定め、発射。

 

「なっ!?」

 

結果、奴のCADが吹き飛び宙を舞う。それを確認すると同時に、ゆっくりとその場へ移動した。

 

「全く...そんな近距離で特化型CADを抜くんじゃねぇ。実戦なら死ぬぞ」

「てめぇは...!」

「暁!」

 

いきなり後ろから姿を現したので、数人が驚いた顔をしている。

 

「で?まだやんの?」

「二科生風情が...!」

 

奴がCADを拾ってもう一度構えようとしたので、再度【量子指弾】をCAD撃ち込む。

 

「ぐあっ!」

「てめぇ...二科生の癖によくも!」

 

他の一科生の連中もCADを起動しようとしたので、さらに撃ち込もうとすると...

 

「止めなさい!自衛目的以外での魔法攻撃は、校則違反以前に犯罪ですよ!」

 

何か聞いた事がある様な声がすると同時に、閃光魔法を発動させようとした一科生の魔法式が霧散する。振り返れば七草会長に見覚えのない女子生徒がいた。

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ。君たちは1-Aと1-Eの生徒だな。事情を聞きますのでついてきなさい」

 

はぁ...面倒な事になった。すると達也が発言する。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

「悪ふざけ?」

「ええ、森崎一門のクイックドロウは有名ですので、後学の為に見せてもらったのですが、それを見たコイツが咄嗟に反撃をしてしまったのです」

 

やっぱりコイツ、ボディーガードの名門家の一員だったか。

 

「ではあの女子は?攻撃性の魔法を発動させようとしてたのでは?」

 

達也は一瞬だけ渡辺委員長の腕に目をやり、そしてすぐに視線を戻した。

 

「あれはただの閃光魔法です。威力も抑えてありましたし、失明の危険性もありませんでした。周りを落ち着かせる為に注目を集めようとしたのでしょう」

「ほぅ」

 

達也の言い分に興味深そうな声を漏らす渡辺委員長。

まあ、普通起動式を読み取るなど魔法を発動する本人ですら出来ない。それを達也がやったとなれば当たり前か。

 

「君は、面白い眼をしてるんだな」

「実技は苦手ですが、分析は得意ですので」

「で、この男子生徒は?」

「自分は魔法など使っておりませんが?」

「なにっ!?」

 

自分はCADを腕に巻いていなければ、腰に下げてもいない。第一、CADすら持ってきていない。

 

「なら森崎のCADが弾き飛んだのはどう言う事だ?」

「さあ?全くもって存じ上げませんよ?」

 

適当に出任せを口にして煙を巻く。

 

「もう良いじゃない摩利」

「真由美!?」

「達也君、本当に見学だったんでしょ?」

「え、ええまぁ……」

「分かった。会長がそう言うのなら、この場は不問とします。以後気をつけるように」

 

取り敢えず逃げ切れた様だ。危ねぇ...

 

「君達、名前は?」

「1-E司波達也です」

「1-E財田暁です」

「覚えておこう」

 

会長たちが居なくなった後、森崎に認めない発言をされた。あんまり怖くない。

特に気にする事はないと思い、再びヨーグルトが食べられる店を探そうとその場を離れようとすると、達也に捕まる。

 

「おい暁、あれはなんだ?」

「...黙秘します」

「あの...」

 

達也に詰め寄られると、先ほど達也に助けられた一科生が声をかける。

 

「光井ほのかです! 助けていただいてありがとうございます!」

「いや、本当の事を言っただけだから」

「でも! お兄さんが居なかったら私……私!」

 

おう、達也くんモテモテですな。とか考えていたらもう1人残っていた一科生が声をかける。

 

「ほのかを助けてくれてありがとうございます。お兄さんが居なかったらほのかは風紀委員長に厳重注意をされてたでしょうから、私からもお礼を言わせてください」

「だから気にしなくていいって...えーと?」

「雫。北山雫です」

「光井さんも北山さんもお兄さんはよしてくれ。これでも同じ一年なんだから」

「じゃ、じゃあ何てお呼びすれば!」

「達也でいい。苗字だと深雪と区別がつかないからな」

「はい、達也さん!」

「ありがとうございます、達也さん」

「敬語もいい。同い年に敬語はおかしいだろ?」

「そうですか?達也さんには敬語の方がしっくりきますけど...」

「じゃあ私は普通に話すね。だけどそれよりも...」

 

まさか...

 

「私はこっちに興味がある」

「ああ。暁?喋ってもらうぞ?」

 

やめてくださいしんでしまいます。

よし、逃げよう。

 

「あっこら!勝手に動くんじゃねぇ!」

「HA☆NA☆SE!」

 

動こうとするとレオに取り押さえられ、動けなくなる。

 

「やめろぉ!俺はヨーグルトを食べに行かなければいけないんだぁ!」

「奢ってやるから来い!」

 

結局、近くの喫茶店にドナドナされた。

 




次はお勉強回かも。

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