東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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ちょっと長いです


過去episode《空》戦闘…痛かった

 

「ここがお屋敷です」

 

「ここが紅魔館か」

 

美鈴さんに連れられて来たお屋敷は、とてつもなく大きく、血で塗られたように真っ赤だった。

「どうぞお入り下さい」

 

中に入るととっても広い広間や、長〜い廊下が続いていた。

その広間に、十数体のメイド服を着た妖精がいる。

 

「さぁお嬢様のところに案内しますよ」

 

美鈴さんは私の手を引いて、大きな広間のような所の真ん中を突っ切っていった。

周りから、「何あのイケメン」

だとか、「かっこいいだとか」

聞こえてくる。

 

よせよ、照れる。分かってるよそんな事。

 

「着きましたよ」

 

連れてこられたのはある部屋の前。

美鈴さんは身なりを整えて、丁寧にノックをし、さっきとは違う凛々しい声で

 

「お嬢様、例の方を連れてきました。」

 

「入れ」

 

少女の声が聞こえて来た。

もっと厳つく怖そうな奴がこの屋敷の主だと思っていた。

が、可愛い子がこのドアの向こうにいるようだ。

部屋に入ると豪華な椅子に腰掛ける少女と紫色のダボっとした服を着ている少女が優雅にお茶を飲んでいた。

 

「お前が空か。まぁ座ってくれ、私は誇り高き吸血鬼レミリア・スカーレットだ。こっちはパチュリーだ」

 

目の前にいるのが吸血鬼?

超可愛いじゃん。

でも隣のパチュリーさんだっけ?

何か無愛想な人だな。

 

「レミリアさんと、パチュリーさんですね、分かりました。レミリアさんは珍しい物が好きだと聞いたのでこれを持ってきました。」

 

私は一輪の花を差し出した。

 

「それは!」

 

パチュリーさんが座っていた椅子から立ち上がり、私の持っている花に顔を近付けた。

 

「これは?」

 

「私が宝石で作った薔薇の花です、この珍しい花でしたらあなたも喜んで下さると思って」

 

「これを私のために?」

 

「はい!招待してくれたお礼です」

 

私が笑顔でそう言うと、レミリアさんの顔が少し赤くなったような気がした。

気のせいだろうか。

まぁ、雪を来させなかったから、代わりの花なんだけどね

 

「気に入ったわ!貴方、この屋敷で執事をしない?」

 

は?

いきなり何を言っているんだ?

 

「何言ってるの無理でしょ」

 

「私が気に入ったのよ、空!貴方どうなの?」

 

「私ですか?」

 

私はかなりの間考えた。

 

雪や秋、おばさんの事を考えると断った方がいいと思ったのだが、レミリアさんの純粋無垢な眼差しで見られると断るにも断れない。

 

どうしようかと思っていると部屋のドアが開いた。

 

「お姉様?」

 

レミリアとそんなに背丈の変わらない、よく似た子が扉から顔を出しレミリアを呼ぶ。

 

「フラン?何でここにいるの?早く地下に戻りなさい」

 

先程の幼い声とは打って変わって、低く大人びた声に変わる。

 

「レミリアさんこの方は?」

 

「…妹のフランドール・スカーレットよ」

 

「あなた私と遊ばない?」

 

「私の客人よ。勝手におもちゃにしないで」

 

おもちゃとか、ちょっと酷くない?

 

「うるさいな…もういいや」

 

フランはそう呟くと腕をのばし、手のひらをレミリアに向ける。

その瞬間、私はとてつもなく嫌な感じに襲われた。

言葉で説明出来ないがとても嫌な感じで、フランが何か邪悪な事をしようと思っている事は、術を使わなくてもわかった。

私はそれを止めようと、フランの手を掴み下ろした。

 

「まぁまぁいいじゃないですか、フランドールさん?私は空と言います。よろしくお願いします。」

 

「危険よ!」

 

「大丈夫です。子供の扱いには慣れてますから。これでも教師をやっているんですよ?何して遊ぶの?」

 

私が聞くとキラキラとした眼差しで私をみはじめた。

 

「空!一緒に来て!」

 

「ちょっとフラン!待ちなさい。」

 

レミリアの制止も聞かずフランはすごいスピードで屋敷の外へ出て行った。

あまりの早さに、私はついていくので精一杯だ。

外に出ると子供のように笑い始め、その瞬間すごい勢いで私に向かって多くの弾幕で攻撃してきた。

私はびっくりしたが紙一重で避けられた。

 

「避けた!!あはははは!!」

 

「こんな遊びでいいんですか?」

 

「いいの!私のおもちゃはいつの間にか壊れちゃうんだもん。でも空!あなたは簡単には壊れない!」

 

「少しだけですよ!」

 

私が構えるとフランは一瞬で間合いを詰めてきた。

私はフランの手を掴み一回転させる。

ボキッ、と嫌な音が私の耳に入る。

 

「ヒギャァァァァ!!!」

 

やり過ぎたかと思い一瞬だけ罪悪感に襲われたが、突然右肩に違和感を感じ、激痛に襲われた。

右を向くと右腕があるはずのところに右腕がなかった。

 

「アァァァァァァァ!!」

 

あまりの痛さに視界が滲み、痛みに耐えるために歯を噛み締めたときに、頬の内側を少し噛み切ってしまい、血の味が口の中に広がった。

 

「あはは取れた取れた!!」

 

「お前!……返せ」

 

口の中の血を吐き捨てて言葉を続ける。

 

「なんで?」

 

私はフランに手をかざし、高速で腕を動かしいろんな術を組み、フランから自分の腕を取り上げた。

 

「はい!遊びはもう終わり。そろそろ戻らないとお姉様に怒られてしまいますよ。」

 

そう言って私はレミリアさんのところに帰ることにした。

すると、さっきかけた術が効いてきたらしくフランは倒れ、地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。

 

そこに、騒ぎに気付いた美鈴さんが飛んできてフランを受け止める。

 

「空さん!大丈夫ですかって、腕が?!すぐパチュリー様のところへ」

 

「私は自分で行きますので、フランドールさんを運んであげてください。」

 

私はそう言ってレミリアさんのところに戻った。

戻るのも一苦労だ。

あの時のようにだんだん体が麻痺してきて、壁に手をついてしか歩くことができない。

片手を壁につけ、口に片腕をくわえて歩く姿は異常だろう。

壁には赤い手形が続いていた。

 

後で謝らなきゃ

 

「ひふれい」

 

口に自分の腕を加えていたので、はっきり喋れない。

 

「空!?腕が、パチェすぐに」

 

「ちょっと腕かして!」

 

私が腕を渡すとパチュリーさんは呪文を唱え始めた。

するとみるみるうちに腕がくっついて痛みも無くなった。

腕がくっつくのと同時に足から力が抜け、ドスッと尻餅をついた。

 

「凄い。雪より早い」

 

パチュリーさんの回復魔法のスピードに感心していると、レミリアさんが私の前にしゃがみこむ。

 

「本当にごめんなさい。妹がこんな事をして、あの子は少しおかしいの」

 

秋が『見えた』のはこの事か。

私が腕を取られたのが『見えた』から、私を引きとめようとしたのか。

 

「…何でレミリアさんが謝るんですか?私がフランドールさんと遊ぶといったんですよ?あなたは何にも悪くないですよ?」

 

「お嬢様?空さんの着替えをお持ちしました。」

 

後ろの扉がガチャッと開き、美鈴さんが雪から受け取ったものを持ってきてくれた。

 

「美鈴、今すぐお風呂を準備してちょうだい」

 

「お風呂ですか?」

 

「空は今、血でベッタベタでしょこのまま着替えてもダメ」

 

「レミリアさんちょっと待ってください。技の反動で体が少し麻痺してるので少ししたら麻痺も治るので」

 

「では運びますよ?」

 

あの時のように美鈴さんに運ばれて浴室に到着した。

 

「少しここで待っていてください」

 

「分かりました。運ばれてる時に麻痺もだんだんおさまってきたので」

 

「忘れ物よ美鈴」

 

レミリアが私の着替えを持ってきた。

どうやら部屋に置き忘れてしまったらしい。

 

「申し訳ありません」

 

「良いのよ、ねぇ空。あなたさっきの話なんだけど、どうなの?」

 

さっきの話?

ああ、執事にならないかって話か

 

「それはまた今度にしますよ。こんな私にも家族がいるので」

 

「そう、残念」

 

レミリアさんは諦めてくれたらしい。

よかったよかった。

 

「空?気になってることがあるんだけど良いかしら。美鈴が待ってきたのってあなたの着替えよね」

 

「多分そうだと思いますが」

 

「いや、中に入っていたものが女物の着物だったから」

 

女物の着物、その言葉を書いた瞬間雪のあざ笑うような顔が頭に浮かんだ。

 

「…………美鈴さん着替えって雪から受け取りましたか?」

 

「はい!雪さんがもしもの時にあれだからこれ持ってってと言いましたので」

 

このまま嘘もつき通せないだろう。

 

「レミリアさん私は実は…」

 

私は渋々変化を解いた。

男の姿は黒髪の細いがしっかりしている体、女性の姿は白髪のロングの華奢な体。

なので、レミリアさんはとても驚いた様子だ。

 

「あなた女だったの?」

 

「本当の姿は見せるわけにはいきませんが、この姿なら人間じゃないレミリアさんにも見せられます。」

 

「準備終わりました〜どうぞ入ってください?」

 

私はレミリアさんとの会話を一旦やめ美鈴さんが準備してくれたお風呂に入った。

浴槽はまたとてつもなく大きく、

「銭湯か!」

と突っ込みたい広さだ。

私は掛け湯をした後にゆっくりと湯船に浸かった。

 

「フ〜〜気持ち〜」

 

「着替え出しておきますね〜」

 

「有難うございます」

 

秋の能力は『先のビジョンを見る事ができる程度の能力』多分、いつも出かける家族のビジョンを見ているのだろう。

今日行くときに私のビジョンを見て、引き止めたのだろう。

 

「そろそろ上がろう…うわっ!」

 

「何しました?!」

 

私は浴槽の床に足を滑らせて転んでしまった。

まだ麻痺が残っていたらしい。

美鈴さんは慌てたように浴槽の扉を開けた。

 

「あなたその背中どうしたの?」

 

「しまっ、これは何でもないです!気にしないでください。」

 

「良いから見せなさい!」

 

そう言ってレミリアさんはずんずんと浴室に入ってきて私の腕を掴んだ。

 

「これは」

 

私はレミリアさんの手を振りほどいて、陣を背中に展開し紋章を隠した。

すぐに浴室から出て雪が美鈴さんにもたせた着物を着た。

見ると美鈴さんが私をじっと見ていた。

 

「美鈴さんどうかしましたか?何か付いてます?」

 

「い、いえ何でもないです。」

 

「貴方に見惚れてたのよ。紺の着物に白い髪はよく映えるわ」

 

「お嬢様!」

 

美鈴さんの慌てた姿は、とても可愛い。

 

「そうなんですか?」

 

「はい、とっても綺麗だったので」

 

「じゃあ戻りましょうか」

 

私と美鈴さん、レミリアさんと一緒に広間に戻った。

 

「レミリアさん」

 

「何かしら?」

 

「貴方は不思議な人ですね。初対面なのに…貴方にだったらこの背中の紋章の事教えてもいいかも知れませんね」

 

「そうか、座ってくれ。美鈴!席を外してくれないか?」

 

静かに部屋を出て行く。

 

「これは家族にも話してない事なんですけど、この紋章の意味分かりました?」

 

レミリアさんは手を軽くあげ、首を横に振る。

 

「これは私の原罪の証なんです。」

 

「原罪?」

 

「私は生まれながらの呪われた子供だったんです。その証拠に私の能力は誰にもくつがえません。なのでフランドールさんが自身の能力を使えなかったんです。」

 

「空、貴方の能力は?」

 

「相手の心理、心力、精神を操るんです。子供の頃は記憶を少し見る事ができる能力だったんですけど覚醒したんですよね。それで私は過去に『殺し屋』と呼ばれました。」

 

「やっぱり貴方ここに住まない?」

 

「それは私が妖狐の種だからですか?」

 

「あら、分かってたのね」

 

「分かりますよ。能力使えばすぐにね」

 

「そう、残念」

 

肩をすくませて一瞬悲しそうな顔に、その顔を見た時フランと戦った時の違和感を感じたのを思い出した。

 

 

 

 





慌てふためく美鈴……可愛いな

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