東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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久々に藍視点です。




十九話 キャー鬼よ、鬼が出たわ

 

 

 

 

「さぁ!探しに行くわよ!」

 

都に神器探しに行く準備が終わり早速向かう。

母はなぜかとても楽しそう。

 

「あの〜、なんでそんなにハイテンションなんですか?」

 

「目的はあれだけど都に戻れるんでしょ!」

 

母の言葉を聞いた瞬間、心がチクリと痛んだ。

なぜかは分からないけど、母を都に連れて行っていいのだろうかと、考えてしまう。

「橙はお留守番する?」

 

聞くとこっちを向いて頬を膨らませた。

 

「行きたいです!」

 

「危険かもしれないのよ?空……駿がもしも槍を取りに来てたら」

橙はビビリ気味だったが行く気は満々だ。

 

霊夢も連れて早速都に向かう途中、門に続く一本道を歩いて行くと、あの時の光景がフラッシュバックして来て頭を押さえしゃがみこむ。

 

私があの時、人間に捕まったりしなければ

 

私があの時、人間なんて助けなければ

 

私があの時、落とし穴に気付ければ

 

私があの時、空姉の言う事を聞いていれば

 

私があの時、駄々をこねなければ

 

私があの時………

私が……

 

「無理なら帰りなさい」

 

いつもの脳天気でふわふわとした声色ではなく、落ち着いていつもよりも低い声色で発せられたその一言に背中にぞくりとする感覚が。

母なりにいろんな気持ちを込めて言ったのだろう。

 

「いえ、大丈夫です」

 

トラウマの一本道を歩いて行く。

 

 

都に着くと異様な雰囲気にのまれる。

 

「これは、一体」

 

あの時と同じなのは粉々になった塀や門、抉れた地面、地面から突き出る氷柱、ところどころ破壊された屋敷。

 

だが明らかに違う点、それは、

 

「死体が消えてる?」

 

ところどころには血痕はあるものの、肝心の死体が見つからない。

 

こんな短期間で妖怪に食べられるような量じゃなかったし

どういう事だ?

 

あたりを警戒ついでによく観察すると、屋敷の奥に大きな石碑が建てられていた。

母はその石碑に近づき、刻まれていた文字を指でなぞる。

 

「亡くなったみんなの名前が」

 

「え?!」

 

近づいてみると、1番上に父の名前が書かれており、その下からはたくさんの名前が書かれていた。

 

「これは誰が、まさか空じゃないでしょうね」

 

「まだ分からないわ。けど、空が暴れてからこの都に誰かが侵入した事は確かね」

 

「善人かもしくは…悪人か…」

 

紫様が呟くと、それを遮るように霊夢がお札を構える。

 

「残念、先客…悪人ね」

 

霊夢の視線の先には黒い靄の塊と八本の尻尾が見える。

どうやら各部屋を漁っているようだ。

 

霊夢が足に力を込めると、床が軋む音がした。

その音で気づいたのか黒い靄の塊が振り向く。

靄の隙間から角が見えた。

 

「貴様ら」

 

 

 

 

 

 

 

 





橙
「行きたいです!」プクゥ〜

藍
(ほおを膨らます橙、尊い……)
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