藍の話を聞いて都に向かう一行。
彼女らを待ち受けるものとは?!
次の日、
私は慧音と霊夢、永琳、紫と共に狐の都へと向かった。
向かう途中は慧音と霊夢からの質問攻めにあっていた。
「都にはあんたの姉は居るのよね」
「分かりません」
「じゃあ何処に」
「それも、都についてみないと」
「何もわからないんじゃ、行く意味ないじゃない」
「雪さんが帰ってきていればいいのですが私もここ数十年帰っていないので」
「雪さん?誰なの?……そういえば永琳!なんであんたまで来てるのよ!」
「紫から一応ついてきてって言われなたのよ 。全く急患が来てたらどうすんのよ」
そんな会話をしているうちに、都に着いた。
そこの門は無残に壊されていた。
中庭には大きな氷の柱が突き出ていて、近くににある池は赤色に変わって、その周りには狐の兵士が倒れていた。
屋敷の中に入って襖を開けると、大きな氷柱で壁に貼り付けのような状態でいる狐がいた。
その時、藍が膝から崩れ落ち泣き叫んだ。
「いやあぁぁアァァァァァァァ!!!」
「落ち着きなさい、藍。」
永琳は急いで壁から降ろし脈を確かめる。
「まだ息があるわ、これならなんとか治せるかも。」
永琳が薬を飲ませていくと、傷がゆっくりと塞がっていった。
少ししたら荒かった呼吸もゆっくりになり、意識も戻った。
「あ 貴方は?天!良かった」
その人は藍を見るなり首に抱きつく。
「母上も、何があったのですか?母上をこんな目に合わせたやつは誰ですか。私が塵にしてくれます。教えてください」
「ぁ…貴方には、無理よ。」
最初何かを言おうと口を開くも、半ば諦めたように目を伏せる。
「何故ですか?」
「まぁ落ち着きなさい。彼女が貴方の母親か、初めまして、私八雲紫と申します。」
「まぁ、この子がいつもお世話になっております。この子の母でございます。」
「ちょっと、そんなことしてないで誰にやられたか言いなさい。ここまで強い『気』は初めてよ」
「これは…。空が」
「空姉が!なんでそんな人じゃなかったのに。そうだ雪さんは何処に」
「空を止めに湖の方に行ったわ。でも、貴方には無理よ。あの人が倒せなかったんだもの」
「まさか父上までも……雪さん!」
藍は部屋から飛び出しひとりで走って行く。
紫達は急いで藍の後を追った。
母には万が一の時のために慧音についてもらって、2人を置き、湖に向かった。
霧が深く、ゆっくりと歩くと二人の人影が浮かび上がってきた。
一人は立っていて、もう一人は地面に座り込みもう一人の方を見上げていた。
「ちょっとあなた達、聞きたい事が」
その声に気付いたのか一人が近づいてきた
それは、
足を引きずるように這いながら近づいてくる所々乱れた着物をまとった雪だった。
「雪さん!大丈夫ですか?」
「に…逃げろ……藍」
その声は掠れていて、やっと聞き取れるほどだった。
そのまま、雪は前のめりに倒れた。
背中には鋭い刃物で抉られたような傷があり、その部分は赤黒く、所々に白い部分が見えていた。
「雪さん!雪さん!」
「この怪我は、これを飲ませれば……藍?」
「雪さんは助かるんですよね?」
「傷が…再生しない?!」
「まさか!」
全員が残った人影に目を向けると、それを待っていたかのように、深くかかっていた霧が晴れて、もう一つの人影がはっきりと見えてきた。
その場にいた全員が息を飲んだ。
今まで倒してきた者達の返り血を浴び、深紅色の着物をまとって、狂ったような笑顔を顔に貼り付けている空の姿があった。
空の後ろには黒い靄がかかっていた。
その姿を見た瞬間、全員の足が固まったように動かなくなった。
その時、こっちに気づいたのか空が藍に近づいてきた。
「て………ン?」
空は何かを求めるように手を伸ばしてきた。
藍は恐ろしい声を発する姉から離れようと足を動かすも、目は空の異様な表情に釘付けになっていた。
なぜなら、目の前の姉である空が狂ったような笑顔を見せて、でもなぜか笑いながら涙を流していたのだ。
「空…姉?」
藍が伸ばされた手をとろうと自らの手を伸ばす。
キイイィィィィィィィィィィン
高い音が響く。
その場にいる全員が耳をふさぐと、空が笑い始め、何かに操られるように狐の都の門に向かって飛び出した。
その今にも見えなくなりそうな背中を追おうとする。
紫に腕を掴まれた。
「放してください紫様!今追いかけないと」
「駄目よ。」
「何故ですか今見失ったらまたあの時みたいにな…」
「藍さん。雪さんを永遠亭に運ぶわ 。付き添ってあげて。」
「でも空姉は?…」
「付き添ってあげなさい。家や橙のことは任せてちょうだい。」
「急がないと手遅れになるかもしれない」
雪は苦しそうに呻いていたと思ったら、激しく咳き込み、抑えていた手のひらは赤く染まっていた。
「任せて」
「私は神社に帰って色々準備してるわ」
「母上は?!」
「私が連れて行くわ」
そう言い紫は持っていた扇子で目の前を切るとそこに『スキマ』が現れた。
そこに入るとあっという間に永遠亭の近くに着いた。
私は雪さんを支え、永遠亭へと急いだ。
後ろを振り向くと、あの時のように一筋の血痕が続いていた。
思い出さないように首を左右に振って、前を向きなおした。
門を掃除していた鈴仙が慌てたようにこちらに走ってきた。
「師匠!その方は?」
「あとで話すわ。急いで部屋の準備をしてちょうだい。」
永林が指示すると、鈴仙が永遠亭に入っていった。それに続いて私も入った。
部屋に着くと永林が真剣な眼差しでこう言った。
「藍さん。部屋の外で待っていてくれるかしら。」
「分かりました。でも、雪さんは助かるんですよね?!」
その質問には答えてくれなかった。
「大丈夫ですよ。師匠ならなんとか」
「でも、もしもの事があったら」
「藍さん…信じて」
そう言うと、永琳と鈴仙は部屋に入っていき扉を閉めた。
一人なった私は、心配と恐怖で手足が震えて泣き叫びそうになった。
少しして扉が開き、準備を終わらせたのであろう鈴仙が部屋から出てきて隣にくる。
雪さんの苦しそうな声や、叫び声が聞こえてきて、いてもたってもいられなくなった時、鈴仙が肩に手をかける。
「一人ではない」そんな安心感で手足の震えは止まり、私は祈るように扉を見つめた。
隣にいる鈴仙が頼もしく思えた。
鈴仙視点
さっきまでは晴天だったはずの空がいつの間にかどんよりとした曇り空になっている。
「そろそろ掃除も終わらせるか…」
そう呟くと前方にスキマが開いた。
目を凝らして見ると、師匠と藍さんが走っていた。
私は急いで駆け寄って事情を聞いた。
師匠はまだ落ち着いてたのだが、藍さんの焦りようは今にも暴れだしそうな勢いだ。
師匠の指示を聞き私は急いで準備をした。
扉を開けると師匠が部屋に入ってきた。
応急処置が終わると師匠が私に言った。
「治療は私だけでいいわ。あなたは、藍さんのそばにいてあげなさい。目の前で家族が倒れて重傷だなんて、ショックも相当なものよ。だから行きなさい」
「でも……わかりました。何かあったらお呼び下さい。」
私は部屋を出た。
最初に目に入ったのは、向かいの壁に寄りかかり今にも倒れそうに震えている藍さん、次に耳に入ったのは、苦しそうな声だったり叫び声だった。
「大丈夫ですよ」と声をかけようとしたが、そんな藍さんを見てなぜか黙って隣に並んだ。
藍さんに私は近づき、少しでも安心させようと思い、藍さんの肩に手を置いた。
真剣な表情で扉を見つめる藍さんに何もすることができず、ただ隣にいることしかできなかった。
私の中での永琳は、なんの傷でもたちまち直す魔法の薬を持っています。
人の数だけ幻想郷はありますので、ご了承ください。