東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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「頭の中に流れてくるこれは…空の…過去?」




走馬灯episode あの日の思い出

 

 

 

 

◇◇◇

 

体を揺さぶられて目が覚める。

 

「空さん!」

 

目の前には秋がいた。

 

「秋?はよー」

 

寝ぼけながら起き上がると、着物を渡された。

少し慌ててるようだ。

 

「さっき春樹のお姉さんが来てて、居間で待っててもらってるんですけど」

 

「嘘!?今行くから!」

 

今まだお昼前だろ?

夜だったよな?約束

 

「起きたー?」

 

雪が顔を出す。

 

「もう来てるよー。早くねー」

 

急いで布団をしまって、寝巻きから男物の服に着替え、自分に変化をかける。

みるみるうちに姿が変わりあっという間に男の姿に。

部屋から走って居間に向かう。

 

「小春さん!」

 

息を整えながら小春さんの前に座る。

 

「空さん、勝手に来てすみません。どうしても一緒に来ていただきたいところがありまして」

 

「なんですか?」

 

「えっと、そのー」

 

小春さんはチラチラとこっちを見ながらも、もじもじしていて、一向に話す気配が無い。

 

「あー、空?外で話したら?買ってきて欲しいものもあるし、それに」

 

雪は小春さんと私を交互に見て、買ってくるものが書いてある紙を渡してきた後、私にしか聞こえない声で呟いた。

 

「外のほうがいいかもだし」

 

その言葉の意味が私には理解できなかった。

 

「…?じゃあ小春さん行きましょうか」

 

「は、はい!お邪魔しました」

 

「いってらーっしゃい」

 

玄関を開けて外を見ると、いつも以上に人が沢山居て、お祭りの屋台の準備をしているようだ。

そんなにお祭りって楽しいものなのかな?と思ってしまった。

周りの雰囲気を見るに、子供からババ・・・えー、お年寄りまでもが楽しみにしているみたい。

まだ開く前の屋台に『茶』や『お団子』と書かれたものがあった。

 

小春さんは持っていた小さな巾着袋の中を漁っていたが、忘れ物をしたようでオロオロしていた。

 

「えっと、お財布を家に…」

 

来た道を戻ろうとしていたので、急いで手を掴んで止める。

 

「お財布ですか?落とした訳じゃないですよね?」

 

「そうなんですけど…」

 

まぁ、お金は私がなんか適当なものをお金に見えるようにして払うだけだけどね。

 

「じゃあ大丈夫です。行きましょうよ、丁度食べてみたいものを見つけました」

 

「何ですか?」

 

「あそこに書いてあるお団子っていうのです」

 

お団子と書いてある屋台を指差しながら言うと、小春さんは驚いた表情になった。

 

「お団子食べたことないんですか?!」

 

え!?

なんでそんなに驚くの?変なこと言った?

食べたことないから食べたいって言っただけなのに

 

じゃあ…と言って私の手を引いて小春さんは商店街の外れの方へ引っ張っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連れられてきたのは小春さんを送り届けた時に来た屋敷。

小春さんの家だった。

 

門の前に着くと何人か人が出てきて、中に入ると一斉に頭を下げ、

「おかえりなさいませ」と、言った。

なんかびびって一瞬入るのを躊躇った。

 

「ただいま。お父様いる?」

 

「はい、書斎にいらっしゃいます。お荷物お持ちします」

 

「ありがとう」

 

屋敷の中は、私が作った家の中の空間よりも少し大きいくらい、うちよりも綺麗だ。

 

「どうぞ座っててください」

 

「は、はい」

 

客間のような部屋に通され、小春さんは部屋を出て行ってしまった。

 

何してよう

暇だ

えーっと

何もね〜

 

「失礼いたします」

 

先程、門のところにいた人の一人がお茶と、お餅のようなものが串に刺さっているものを2人分置いてった。

 

「あ、ありがとうございます」

 

どうしようかと迷っていると、小春さんが戻ってきた。

 

「あ、空さん、どうぞ食べて下さい。お団子食べたいんですよね」

 

「これがお団子ですか?美味しそうですね」

 

お団子を口に運ぶ、もちもちしていて、初めて食べたが、とても気に入った。

 

「ふふ、そんなに美味しいですか?」

 

「はい!美味しいです!初めて食べたのですが、ほんのり甘くて美味しいですね」

 

私が食べているのを見ていた小春さんは、静かに自分のお団子を差し出してきた。

 

「これも食べて下さい」

 

「小春さんは食べないんですか?」

 

聞くと、クスッと笑った。

 

「あんなに美味しそうに食べるので」

 

そんなに美味しそうに食べてたかな?

普通に食べてなかった?

 

「じゃあ遠慮なく頂きます」

 

差し出されたお団子に手を伸ばす。

食べるとさっきのようにもちもちしてた。

 

「ここって小春さんの家ですか?」

 

「え?えぇ、まぁ。春樹は母の家にいるのでここにはいませんが」

 

「…そうですか」

 

私はそれ以上深くは聞かなかった。

 

お団子を食べていると、小春さんが真剣な表情で私の方を見ている事に気付いた。

 

「ん?顔に何か付いてます?」

 

「いえ。あの、一つお願い良いですか?」

 

「俺に出来ることなら」

 

真面目な顔で見てくるのでどんな真面目な話かと思ったら、

 

「少しの間だけ彼氏の"ふり"をしてくれませんか?」

 

ん?

えーと

 

「彼氏の"ふり"?」

 

「はい、こんなこと頼めるのは空さんしかいないんです。お願いします」

 

よくわからない

人間の女性は男性に自分の彼氏のふりをさせるのが『普通』なのか?

なら、

 

「…良いですよ?」

 

「本当ですか?!有難う御座います!」

 

さっきとは打って変わって、いつもの小春さんのふわふわとした雰囲気になった。

 

「良いんですけど、具体的には何をすれば良いのでしょうか?」

 

「えっと、私の話に合わせてくれれば」

 

「分かりました。でも、ふりをして何をするんですか?」

 

「父と母にあってほしいんです」

 

小春さんは私に、

父親のせいで両親が離婚してしまったこと、母親と弟さんとほぼ離れ離れの暮らしのこと、昔のように家族みんなで一緒に暮らしたいという思いを話してくれた。

 

その話を聞いて、何故自分に頼ってきたのか、自分がここでうまくやれば、ここの家族は幸せな方向に向かうと事を察し、小春さんに協力しようと思った。

 

「そろそろ父が来ると思いますので、空さんは…」

 

「小春さん、空さんって言うの止めませんか?付き合ってる風なんですから。ね、小春」

 

一瞬小春さんがびっくりしたような表情になる。

 

「えっと、空」

 

「はい」

 

「私が彼氏を連れてこれれば、もう一度やり直すことを考えてもやらんこともないぞ、って父に言われているので」

 

なんて勝手な父親なのだろうか

 

「母もそれが出来たらもう一度って言ってくださったので、私の彼氏のふりをしてほしいんです」

 

女性が小春さんを呼び何やらヒソヒソと話しているので、お茶を飲みながら自慢の聴覚(ただ狐だから人よりきくだけ)を使い話を盗み聞く。

 

「あの方が」

 

「ええ、お父様は?」

 

「準備を完了しております。いつでも」

 

「お父様はなんでこんな事をさせるのかしら?お父様と寺子屋に春樹を迎えに行った時、空さんの事を見ていきなり私の彼氏の良いんじゃないか?なんて」

 

「旦那様の何かお考えがあるのではないでしょうか?では、私はこれで。……」

 

その女性が最後に言った言葉「狐のためにお嬢様まで」

狐だということがばれただと?

なぜ分かった

私の変化を見破るほどの妖力は感じられないのに、何でだ?

 

「空お待たせしました」

 

「小春、帰ろう」

 

「え?でもお父様に…」

 

「いいからっ!」

 

私は強引に小春さんの手をとって家の玄関に向かって走る。

玄関のところに居た人に止められそうになったが、振りはらい私の家に向かって走る。

 

追っては、来てないな

それにしてもあの女の人どういう事だ?

 

「空さん?あの」

 

「もう少しで家に着くので待ってください。ついたら説明しますので」

 

私達は家々の裏を全速力で走った。

 

 

 






さあ新章始めました。

これは空の過去の話になりますので、これ以前の話が分からない方は、過去の話を見てください。
お願いします。
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