東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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前話になんか、エヴァンゲリオンの碇シンジ君みたいなとこありましたよね。





走馬灯episode 小春の思い

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

空が走って行ってしまい、私はアリスさんと2人になった。

空が妖狐と分かった時なぜか震えが止まらなくなり、空を怖い存在として見てしまった。

「起きてたのね」

 

アリスさんは立ち上がり、私の方にきて隣に座る。

 

「あの、空は」

 

「彼…いや、彼女相当重いものを背負ってるわよ。一生離されない呪縛をね」

 

「彼女?ってことは女の人?」

 

アリスさんの言っていることはよくわからなかった。

2人が見ていた紙を見せてもらうと、手配書に私の名前と空の特徴など、捕まえる気満々の文章が書かれていた。

 

「あなた、これからどうするの?」

 

「え?」

 

「彼女、まだ若いから未熟で、正体が隠しきれていなかった。だからあなたの父親にばれたみたいね。でもなかなかのレベルね。これならまぁまぁの大妖怪とかにもならないと詳しくは探れないわね」

 

私はアリスさんの話を聞いて、これからどうしようかと考える。

 

このまま里に帰っても元の生活に戻れる保証はない。

お父様は私ごと殺そうとしているから、今戻ったら何を言われるかわからない。

かと言って、このまま空と一緒に隠れて生活するのにも限界がある。

このまま空を探して一緒に逃げたほうが私としてはいいのだけど、空は私に正体がばれたと思って何をするかわからない。

 

「空を探すのを手伝っていただけませんか?」

 

空の接し方から見てこの人ではないだろう。

今は人間以外の種に頼るしかないのだ。

 

「ええ、もう探させてるわ、あら?見つけたみたいね。再思の道にいたって」

 

「案内してくれませんか?」

 

「乗って」

 

アリスさんは箒を持って家の玄関に。

私は「本当に箒で飛ぶんだ」と思いながら恐る恐るまたがる。

箒は本当に浮き上がりまっすぐ飛んでいく。

 

「彼女…空だっけ。空とは走ってここまで?」

 

「はい」

 

「大変だったわね、妖狐の体力はそんなでもないって聞いたから。飛んだほうが楽なのに、よほど正体を知られたくなかったのね」

 

空はそんなにばれたくなかったのか、でも、私は空と一緒にいたい。

お父様にばれない様に隠れて暮らしたい。

 

「空さんはなんで知られたくなかったんでしょうか」

 

「あなたの家柄がそうだからじゃないからかしら」

 

「家柄ですか。私の家って何か他の家と違うのですか?」

 

質問するとアリスさんは勢いよく振り返る。

 

「あなた自分の家のこと知らないの?!」

 

「え?いや、なんで大きい家なのかな?とかは思ってましたけど。何かあるんですか?」

 

「あなたの先祖で狐と会って血だらけで帰ってきた話は聞いてるわよね。今はもう無いかもだけど、戦って生きて帰ると狐の種が分かるようになるみたい」

 

「分かるって、種族が識別できるってことでしょうか」

 

「そうね。あなたもわかるのかと思ったけど、あなたの代で血は薄れて識別できなくなったみたいね」

 

自分の家の事を知り、父親が恐ろしく思えてきた。

狐を恐ろしい存在として語り継がれていたのだが、私にはそうは思えない。

空がそうだからというわけでは無いが、今まで戦って帰ってこなかったから私の家が有名になったってこと。

傷だらけにしたとしても、殺さずに返してくれた。

そんなに優しい狐がいるのなら、私は恐ろしい、憎いなどとは思えない。

 

「そろそろ着くわよ。あれじゃないかしら」

 

アリスさんの指差す方には真っ白な尻尾のようなものを持つ人が。

 

「あれが空?」

 

「そうかもね、もう少し近くわ」

 

ゆっくりと箒が降下していくと、その白い生き物がはっきりと見えてくる。

 

それは人型の白い九尾の狐。

いや、八本だ。

空さんの服を身まとい、あたり一面に咲く彼岸花を眺めている。

 

「空」

 

私が声をかけると空らしきその狐は、私たちがいる方を見上げ、手を横に振り霧を出現させる。

 

その霧が晴れると空の服を着た、白い長い髪、透き通る様な綺麗な肌、整った顔立ちと、全てが完璧な女性が立っている。

頭には耳がぴょこっと生えていた。

 

「空、さん…ですか?」

 

「はい、私が空です」

 

「本当に?」

 

アリスさんも私と同じく驚きを隠せないよう。

 

「はい。アリスさんありがとうございます。ここまで小春さんを連れて来ていただいて、戻ろうと思ったんですけど道がわからなくて」

 

空は照れた様に頭をかく。

男の時の空にも、何か魅せられる様なものがあったのだが、今の空にはそれがさらに増した様な、異様な雰囲気が漂っていた。

 

「小春さん、アリスさんと里に帰ってください。帰ったら私の話をしていいので」

 

「どうして…ですか?」

 

「もう私には小春さんを守れる自信がなくなったんです。あなたが私の正体を知った時震えてたから…」

 

「あの時は!びっくりしただけで」

 

「でも怖かったでしょ?」

 

私は何も言えない。

怖くなかったと言えば嘘になる。

でも、怖かったのは確かだが空と一緒にこれからもいたいという意思は変わらない。

 

「空さんは私と一緒に居たくないってことですか?」

 

「ち、違います!」

 

「じゃあどうして」

 

「恐怖を覚えた相手といっしょに過ごす辛さを私が知ってるから…」

 

空さんは右手で左腕をさすりながら目を伏せる。

 

「私は空さんとこれからも一緒に居たいです。森まで走ってきたのも私を父から守るためだったんですよね」

 

「私…と?…でも、私は追手から逃れるためにあなたの家族を殺してしまうかもしれない。なので帰って…」

 

空は帰らせようと私に一歩近づく。

それでもひるまずに言葉を続ける。

 

「私には残念ながら、そのいうことを聞けない悪い人間なんです。恐怖とかはどうでもいい、私は空さんのそばにいたい」

 

空が硬直する。

それを見かねてアリスさんが口を開く。

 

「こう言ってるし」

 

「そうですね。じゃあ改めて、小春さん私と共に逃げてくれますか?」

 

「はい、喜んで」

 

 

 





空「なんかプロポーズみたい」

小春「そうですねぇ」

小春(マジで焦った。まじもんのプロポーズかと思ったん だけど?!)
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