東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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気まずっ




走馬灯episode 家事力

 

 

 

 

○○○

 

 

 

 

巫女さんと一緒に洗い場に立つ。

 

思ったよりも緊張するな

何か粗相のないようにしないと

無言もきついけど話しかける内容が思い浮かばない

 

「ねぇ」

 

「は、はい?!」

 

「これはどこに置いたらいい?」

 

何を話そうかと考えていると、拭き終わった数枚の食器を持ってこちらを見ていた。

 

「えっと、そこに置いておいてくれれば後から今洗ってるのも一緒に片付けますので」

 

「……そう」

 

一瞬寂しそうな顔になり、また真顔に戻った。

 

「あの、巫女様は」

 

「様はやめてください、割に合わないので」

 

割に合わない?

 

「えっと、巫女さんは料理とかってするんですか?」

 

「ええ、神社では1人ですから。時々紫が来るのですが、紫というのは…私の知り合いです」

 

そのあとも神社の事やその紫という人の事も話してくれた。

こんなに生き生きと話している巫女さんを見るのは初めてだ。

里にいた時は、近寄りがたいオーラが出ていて、そんなに話しかけようという気も起きなかったのに。

 

「小春」

 

「空さん?なんですか?」

 

空さんが玄関から呼んでいた。

お皿も洗い終わったので、巫女さんを置いて空さんのところへ行く。

 

「ちょっと里の方に行って買いたいものがあるので、家を空けたいのですが」

 

「はい、じゃあ留守番しておきますね」

 

「では行ってきます。すぐ帰りますので」

 

空さんを見送った後、巫女さんの話の続きを聞く事にした。

 

「巫女さん……あれ?」

 

台所にいると思ったけどいない。

家から出て周りを見渡すと、庭の隅の方に立って地面のある一点を見つめていた。

近づいてみると人間のものではない、とても大きな足跡がそこにあった。

 

「巫女さん、その足跡は?」

 

聞くと少し考えた後に口を開く

 

「何か獣の足跡か、こんなに大きな獣なんでいるのか?」

 

その言葉を聞いて、なぜか一気に変な汗が噴き出てくるように感じた。

 

そういえば空さんは狐の姿になった時、手足も狐のものになっていたような

じゃあこれは空さんの?

でもここで変化を解くなんて、そんな自殺行為するのか?

巫女は感知が優れていないと言っても、家に近い庭なんかで解いたらさすがにバレると思う。

 

私の事を訝しげに見る巫女さん。

 

「小春?顔色が優れないけど、どこか具合でも悪いですか?」

 

「いえ、何でもないです」

 

動揺を隠せずフラフラと歩き出す。

空さんの正体がばれて殺されると考えると、足元がおぼつかず目線も定まらない。

そんな私を危なかっしいと思ったのか、巫女さんが肩を支えて縁側に座らせてくれた。

 

「すみません、ありがとうございます」

 

「本当にどうしたの?急にフラフラと。何かあの足跡に心当たりでも?」

 

「え……あ、いえ、特に何も」

 

俯いていた私の顔を覗き込む。

前にしゃがみ、顔を見上げる。

 

「そういえば、私は過去にあなたを妖怪から救ったことがあったわね」

 

「覚えていたんですか?」

 

「小春の背中に傷があるだろう?それで思い出したんだ」

 

背中の傷、確かにこれは巫女さんに助けられた時に、妖怪に付けられたものだ。

なぜ背中に傷があることを?

確かあの時は、巫女さんは私が襲われた妖怪を倒したらすぐにいなくなったはず。

 

「もし、あの時の妖怪のことを思い出してしまったんじゃないかと思ってね」

 

確かにあの妖怪は獣のような四肢で、顔は鬼の様なものだった。

 

「いえ、あの時の妖怪はもういないじゃないですか。現に巫女さんに倒されてるんですから」

 

この心配されている状況から早く脱したいので、いつもよりも明るく振る舞い、縁側を立つ。

 

私が動揺してたのとはちょっと理由が違ったけど、心配?してくれたのかな?

ちょっと優しい一面もあるんだなー

 

残った巫女さんは縁側に正座をし、空を見上げていた。

 

 

 





人は見た目によらないって本当らしいですね。

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