東方妖狐伝〜雪空〜   作:鳶烏

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九話 侵入

 

 

誰かに頬を軽く叩かれて目が覚めた。

「藍かな?」と思ったが違った。

体を起こしてみると、信じられない光景が広がっていた。

なぜならここに居ないはずの空が笑顔で、小さな箱を持って立っていた。

じゃあ頬を叩いていたのは誰だろう?

 

首を向けると思わず涙が出てきた。

 

そこにはもう居ないはずの弟の秋斗が座っていた。

 

「あ…きと?」

 

「姉貴、久しぶり」

 

秋斗は逝ってしまった時と同じ、好青年の姿で座っている。

 

「おい雪、何してるんだ?行くぞ準備しろ」

 

「貴方達!何をしているの勝手に入っちゃダ…モゴモゴ」

 

永琳さんが部屋に入ってきた。

その瞬間、永琳さんの口が何かに塞がれた。

 

それは稲荷寿司だった。

見ると空が壁に凭れながら、箱に入っていた稲荷寿司を口いっぱいに頬張っていた。

 

「ははくいくほ」

 

「え、なんて?」

 

「早く行くぞって言ったんだよ」

 

「この稲荷寿司うまっ!じゃなくて貴方達!なんで勝手に入ってきたの。」

 

「"大切な家族を迎えに来た"って言う理由だけではダメなのか?」

 

 

私は人の前だってのに、秋斗の首に腕を回し大粒の涙を流しわんわん泣いた。

目が腫れるであろうほど泣いた。

 

バタン

 

「雪さん!空姉が」

 

真っ赤な藍が慌てたように入ってきた。

 

「お前さっきの。何しに来やがった。なぜ雪を知っている?それになぜ空姉と呼んでいる?その呼び方は天しかしないのに」

 

私は自分が着ているものの袖で涙をぬぐいながら空に尋ねる。

 

「空?誰だか分からないの?」

 

「あぁ知らん。雪お前知ってるのか?」

 

私は『天』という名前を口パクで伝える。

その瞬間、空は持っていた箱を落とし床に座り込んだ。

 

「嘘だ。嘘だ嘘だ!あいつがこんな所にいるわけがない。確かにあの時」

 

「本当なのよ。新しい主人に出会って名前を貰ったようね。『八雲 藍』それが今の名よ」

 

「お前、本当にか?」

 

「はい」

 

藍は空にすごい勢いで抱きついて、空の胸で静かに泣いていた。

空も嬉しそう笑っていたが、その顔の裏には哀しみの表情が隠れているように見えた。

 

「空?その声そろそろ直したら?」

 

「あぁ?変えてなかったか?じゃあ戻す」

 

空はそう言って小さく咳払いをした。

 

「この声が一番いいな」

 

空はさっきまでの男の声をやめ、元どおりの女の声に自分の声を戻した。

 

もうどんだけ変化の能力高いのよ!

 

「その声なんで変えてたの?」

 

「ん?お前は知らなかったか?あぁそういえば寝てたなぁ〜」

 

「あぁあの時ね」

 

「どの時ですか?」

 

「是非聞かせてもらいたいわ。その話」

 

「ちょっと貴方達!私の事を忘れてたでしょ!」

 

紫はスキマから、霊夢は扉から二人ともほぼ同時に声を発した。

 

「これはこれは博麗の巫女様?どうしてここに?それと…紫か久しぶりだな」

 

「ここに?じゃないわよ。あんたの後ろに誰がいるの?!教えなさい!」

 

「今の代の博麗の巫女様は、小柄で可愛いもんですね〜。先代はもっとデカかったぞ」

 

「まあまあ…藍。あの時なんで私達が都を出たのか知りたい?」

 

「是非」

 

「長くなるけど良いか?」

 

「はい」

 

「かなり前だなー。お前が人間にさらわれた後助けて、都に帰った後の話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっとその前に、秋。じゃあな」

 

「じゃあね空さん、姉貴。また会えるかわからないけど」

 

「何言ってるの空?秋斗はここに……?なんで?秋斗!秋斗?!」

 

 

「今さっきまでは『黄昏時』だから私の力で秋を連れ戻していたんだ。

秋に起こされた方がお前は喜ぶ思って。」

 

「また会えるのよね」

 

「あぁ。必ず」

 

「そう。じゃあ藍、あの時何があったのか話すわね」

 

 

 

 





秋斗はすでに死んでます

空はキザです
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