翌日。
月から日まである一週間の内の良く晴れた木曜日。
午前十時ちょっと前。
僕は、いつも出掛ける時の鎧姿──ではなく、まあそれなりに見れる服装で北西のメインストリート:通称冒険者通り、その真ん中に位置する噴水前のベンチに座っていた。
待ち合わせというやつである。
僕としてはホームから一緒に行ったほうが効率が良いと思ったのだが、ヴァレンシュタインから話を聞いたのかヒリュテ(妹)から「分かってない、十華は何一つ分かっちゃいないよ!」と謎の説教を受けた結果がこれである。
これでは本当にデートのように見えてしまうので抵抗があったのだが当然聞き入れてくれる訳もなく、例によって僕は女性には弱く。
故にこうして僕は一人寂しく待機しているという訳だ。
因みに今の季節は春夏秋冬の左から数えて二つ目、右から数えて三つ目。
つまり夏、それも真夏である。
真夏の、日。
要するに真夏日。夏は夏でも最も夏な日であった。
降りかかる日光は確実に肌を焼き、照らし出された大地からはもうもうと熱気を立ち込めている。
まあ、なんだ。
つまりは物凄く暑いってことである。
僕が後五歳若ければ後ろの噴水に飛び込み体の熱を一気に冷却しただろうという確信があるほどだ。
何もせずとも出てくる汗を拭いながら水を呷る。
これが無ければ今頃僕は熱中症でぶっ倒れていたと言っても過言ではない。
全く、誰だよ待ち合わせなんてものを考えたやつは…と下げていた頭を回そうとしたら上から
「……ごめんなさい、ちょっと、遅れちゃった」
と、声が降ってきた。
頭を上げる。
頭を上げたときは誰の声だったのかは分からなかったけれども、凡その予想はついていた。
というか、この局面、この時間に声をかけてくる人間なんてのは一人しかいない。
眼の前にいたのは、やはりアイズ・ヴァレンシュタインだった。
だがしかし、いつもと様子が違う。
いや、様子というか何というか。
彼女もまた、普段ダンジョンに潜る時の服装ではなかったのだ。
金の刺繍が施された白い肩出しのトップスに、下は短すぎるのではと思うくらいの蒼いスカート。
足は純白のストッキングに覆われていて、見え隠れしている肌色が眩しい。
心臓がちょっと大きく跳ねたのが分かる、散々デートだ何だと言われただけに変に意識してしまっていた。
少しだけ熱の上ってきた頬を押さえて数秒、息を吸ってから口を開いた。
「数分なんて遅れた内に入らないよ、気にすんな」
じゃあ行こうか、なんて言いながら僕等は歩き始めて、ふと止まる。
──女性の服装は褒めてあげること!
待ち合わせ云々の際に、ヒリュテ(姉)から言われた言葉を思い出す。
首を傾げてこちらを見つめるヴァレンシュタインに、僕は何度か口を半端に開閉してから咳払いを一つ。
「その服、似合ってる。すごく、可愛いと思う」
ヴァレンシュタインは少しの間フリーズした後に、顔を赤らめて、しょぼしょぼした声でありがとう、と呟いた。
はぁ、全く。
今日は暑いな。
「今日ははどういったご用件で?」
「ちょっと無理させすぎちゃったから、見てもらいたくてさ」
三つの槌のエンブレムが刻まれた扉を開き、店、というよりは工房、と言ったほうが正しい建物へと入れば、如何にも職人といった風情のアマゾネスが聞いてきたので、武器を見せながら返せば、それではこちらへどうぞと奥の部屋へと通される。
案内された部屋では、一人の老人が剣を丹念に磨いていた。
──主神・ゴブニュ。
数あるファミリアの中でも商業系のファミリア──具体的に言うのであれば武器防具全般の作成、整備を主とするゴブニュ・ファミリアの主神。
ヴァレンシュタインは知らないが──少なくとも僕の武器は団員を通さず彼に直接渡すように言われている。
と言っても慣れた足取りで着いてきた以上彼女も同じ待遇なのは見て取れた。
二人して彼に己の武装を渡す。
僕が出したのは片方にだけ刃のついた刃物──所謂刀、というやつである。
極東の方から輸入されてきたものであり、あまり使っている冒険者は見かけないが僕は今、何となくこれを気に入っていた。
そしてその隣で共に出されたのは蒼の装飾が入ったサーベル。
デスペレートと名付けられたそれは"
彼女曰く、不壊属性がついていないとすぐに武器を壊してしまうんだとか。
シンプルな感想として怖すぎる。
壊すってなんだ…? どんなちんけな武器だって鉄や鋼を使ってるし一級冒険者ともなれば特殊な鉱石を使っているのをオーダメイドしてもらうことも出来れば買うことも出来るだろ!?
それでもぶっ壊す自信しか無いとか、えぇ……怖すぎる……
「兄ちゃんの方は──派手にやったな。整備は結構かかるぞ」
「ん、それは承知済み、実際どのくらいになりそう?」
「そうさな……」
彼は悩むようにそう言って刀身に指を滑らせた。
改めて見てみれば僕の使っていた刀も結構刃がガタガタである。
自分で思っていたよりも傷は付いているし……うーん、他人のこと言えないな。
暫くそうやって眺めていれば、彼は静かに言った。
「早くても三日ってところだな」
「うーん……おーけー、任せた」
「スペアはあるのか?」
「まあ一応ね」
スペアの武器なら幾らでもあるさ、そう言えば彼はそうか、と刀を降ろした。
次いでヴァレンシュタインの剣を持ち上げて注視する。
彼は「うん…?」と疑問符を浮かべて彼女を見たが、彼女は少しだけ顔を赤らめて少しだけ首を横に振るった。
……? あの二人は何をしているのだろうか。
顔が紅潮しているのは、ここが鍛冶屋であり室温が高めであることから当然だとは思うが、二人して見つめ合って何をしているのだろうか。
ヴァレンシュタインは素早く頭を横に振るっているし、よく見れば目元が割りと本気である。
何だ、心で対話でもしているというのか……?
ついに口に出す会話を捨ててテレパシーを……!?
何だそれは非常に羨ましいぞ!? 僕にも教えろ!? と思ったところでゴブニュが「はぁ…」と大きくため息を吐いた。
「アイズ、お前も三日後だ。一緒に取りに来い」
それで良いな? と片方の眉尻を上げてゴブニュは言った。
「……ん、分かった、ありがとう」
そう言った彼女は少し破顔して、ゴブニュはやはりため息を吐いてやや呆れた顔で僕を見た。
ジッと見つめられて数秒、ふん、と鼻息を吐いた彼はじゃあもう行け、と僕たちを追い出した。
そう、追い出したのだ。
有無も言わせず三日後な、と言って僕たちをポイッと放り出した。
冒険者ならいざ知らず、神に向かって逆らえるはずもなかった僕等は無抵抗のまま投げ出され、無様に尻餅をついた。
「いたた……何時にも増して強引だなぁ……立てるか? ヴァレンシュタイン」
「うん……大丈夫、ありがとう」
先んじて立ち上がった僕はヴァレンシュタインへと手を伸ばし引っ張り上げた。
線の細い彼女の手の平は僕の手のようにゴツゴツしていなくて、何というか、こういうと変態染みているような気がしないでも無いのだが、スベスベしていて柔らかかった。
こういったことを一々気にするからからかわれるのは分かっているのだが、どうしても気にしてしまうのが僕の悪いところだった。
パッと手を離して、何となく自分の手の平を眺めてみる。
ほんのりとだけ残った感触を思い出すように握ったり開いたりしていれば、
「……どうしたの?」
と、ヴァレンシュタインがこてんと首を傾げてこちらを見た。
そう聞かれた途端、僕は無性に今していたことが恥ずかしくなって、誤魔化すように何でも無い、と逃げ出すように歩き始めた。
それから大体一時間と三十分後。
デートと言われた割りには特段それっぽいことも発生することは無く、それどころか正しく模範的な冒険者を体現しているかのような買い物をしていれば、正午を告げる鐘が響いてきた。
正午、十二時、お昼時。
リンゴンリンゴンとオラリオ中に陽気な音色が響いていく。
そうか、もうお昼か。なんて思えばふと、隣からクキュル……といった可愛らしい音が響いた。
横を向く。
当然のように隣を歩いていたヴァレンシュタインと目が合った。
暫しの沈黙。
見つめ合っていた彼女はまるで早送りで茹で上がっているのかのように顔を真っ赤にした。
……うん。
流石にここでご飯にしようか、何て尋ねるような愚行を犯さないほど僕にも良識というものは存在した。
何と言ったってあのプレイボーイたるフィンから小さい頃より手解きを受けてきているのだ。
ここは僕のエクセレントな会話術によって彼女を恥ずかしがらせること無く、また違和感なく適当な飯屋へ連れて行ってみせよう。
さぁいくぜ。
「……ご飯にしようか」
無理だった。
全然不可能であった。
良く考えてみれば僕はこれまで女性経験といったものが皆無である。
それこそこうして二人だけで出掛けるという状況にすら緊張してしまうほどのシャイボーイであったことを失念していた。
これが誤算ってやつか……自分の能力を過剰評価しすぎたぜ。
恐る恐るヴァレンシュタインを見れば、彼女はまるで早送りで茹でられているかのように真っ赤に紅潮していき、「うぅぅ……」と唸った後にしっかりと頷いた。
何か……ごめんな。
僕は心の中で謝った。
適当に腹ごしらえを済ませた僕等は、冒険者どおりを離れてフラフラと、当て所無くただオラリオを歩き回っていた。
というのも、正直午前中で買うべきものは全て買ってしまっていたのである。
だというのにも関わらず、僕等はホームに帰るという選択肢を取っていなかった。
正直に言えば、何故そうしているのかは僕には分からなかった。
それはきっと、ヴァレンシュタインも同じなのでは無かろうか。
ただ、強いて言うのであれば、僕等には帰るべき明確な理由はなかったし、また帰らない理由はぼんやりと、曖昧な形ではあったが存在していたからだ。
何となく、そう、本当にただただ何となく、こうして理由もなく他愛もない話をしながら露店を見ていくのがこの上なく楽しいように思えたのだ。
ヴァレンシュタインは、ダンジョンのことになると途端に饒舌になるということや、ジャガ丸くん(ジャガイモを潰して調味料と合わせてからサクッと油で揚げたおやつ。美味しい。)がこの上なく好きであること、青や白といった色を好むこと、お酒を飲むことを禁止されていて少し不満に思っていることとか、そういった、ともすればどうでも良いと一蹴できてしまうような話を聞くのが、この上なく幸せだったのだ。
そう、幸せ。
楽しいとか、面白い、とかではなく。
僕はこの時確かに幸せを感じていたのだ。
幸せという感情を、味わっていたのだ。
それこそどれだけ話し合っても、それがほんの一瞬にだって感じられてしまうほどに。
不意に、風が吹く。
お昼に大量に購入したジャガ丸くんを未だに頬張りながらこちらの話に耳を傾けていた彼女の金糸のような長い髪がふわりと舞って、袋へかかる。
彼女はムッと眼を細めて髪の毛を払ったが、食べる度に髪の毛は邪魔そうに彼女の横顔を擽っていた。
……ふむ。
ちょっと待っててくれるか、と彼女に伝え、僕は走り出す。
日も落ち込んできた中、目を凝らして周囲の露店を見回してみて、僕はそれを見つけた。
まあ、こんなもんでいいだろう。
「これ一つくれ、幾らだ?」
「うん? あー、それね、700ヴァリス」
「おっけー、これお代ね」
「おう、毎度あり!」
随分とガタイの良い兄ちゃんからそれを買った僕は、やや早足でヴァレンシュタインの元へと戻った。
彼女は僕に言われた所から、道の端っこに身を寄せて、ただ不安そうに、首を傾けながらモックモックとジャガ丸くんを頬張っている。
そんな彼女に、僕は言う。
「これやるよ、髪の毛、邪魔じゃないか?」
昼ごはんの時に気付ければ良かったんだけどな。
そうして僕は、青色に染められた紐状の絹物──分かりやすく言うならばリボンを手渡した。
渡されて数秒、彼女は呆然としたようにそれを見て、次いでハッとしたようにポケットからそろそろと何かを引き出した。
いや、何かではない。
それは髪ゴムだった、あまり使われた痕跡のない、如何にも新品然とした、髪ゴム。
……いや持ってんじゃねーか! てっきり持ってないんだと思って見栄張って買ってきちゃったんですけどー!?
何リボン見せられてから「ハッ……そう言えば……!」みたいな顔してんだヴァレンシュタイン──!?
いや恥ずかしい恥ずかしい! ついに僕の気遣いってやつが輝くときが来たか……とか思ってた数分前の自分を殺したい! いやいっそ殺してくれ!?
ぐわあああぁぁぁぁ………と、急激に熱が昇ってきたのを感じながら僕はそろっと出した手を引き戻そうとした。
そう、引き戻そうとした──もっと正確に言うのであれば、引き戻そうとした腕を掴まれた。
何かを思う前に、手の平からリボンが掻っ攫われる。
そのままヴァレンシュタインは、慣れた手付きで上手に髪を一つにまとめて垂らした。
ポニーテールというやつである。
「えっと……似合う?」
不安げに髪を触りながら、ヴァレンシュタインはそう言った。
──心臓が、バクリと跳ねる。
髪型一つで、見え方はこうも変わるものなのだろうか。
いや、違う。この時ばかりは髪型だけではない。
照れるように薄っすらと頬を染め、眼は伏し目がちに、されどこちらを探るように見つめてくる。
元より整いすぎているくらい整っている容姿も相まって、それは絶大的な可愛さとでも言うべきものを放っていた。
──────。
思考は一瞬にして吹っ飛んだ。
なにか言おうとしたけれども、言葉は出てこない。
ヴァレンシュタインはそれほどまでに画になっていて、僕の語彙ではどう言ったものか全く分からなくなってしまったのだ。
元から赤かった顔が、更に熱を増す。
思いっきりどもってしまうくらい、僕は挙動不審になって、何度か口をパクパクとした後にゆっくりと閉じる。
熱は頭にまで回ってショート寸前だった。
いつもなら無駄に出てくる言葉が今は全く出てこない。
ぼ、僕はどうすれば……と一人葛藤していれば、ヴァレンシュタインは眦を下げて
「やっぱり、似合わない……?」
と、結んだそれを解こうとした。
瞬間、身体が動く。
───それはもう脊髄反射の域だった。
解こうと動いた手首を掴み、反動で倒れないように彼女の身体を支える。
それからほとんど無意識的に僕はヴァレンシュタインの髪を撫でて口を開いた。
「いや、すげー似合ってる。それこそ、筆舌に尽くしがたいほどに、可愛い」
オブラートも何も無い本音だった。
ただただ感じたままのことがそのまま口から滑り落ちるように零れ出た。
彼女の真っ白な肌が、一気に茹で上がる。
そんな姿を見て、僕はようやく正気を取り戻した。
───やっちまった。
つい脊髄で身体を動かしてしまった!?
や、やばい……セクハラで訴えられても仕方がないぞこれは!?
いや、その前に殺されてもおかしくはないな───!? と、震え出した僕に、ヴァレンシュタインは声を震わせた。
「あ、ありがとう……嬉しい……」
と、それからあろうことか僕の片手をギュッと握りしめた。
未だに髪の毛に伸びていた僕の手の平を広げて、グッと握ったのだ。
────は?
ようやく戻ってきた正気がぶっ飛んだ───
「あ、見て、お母さん!カップル!」
「こら、やめなさい!」
───かと思われたが、突如として入ってきた見知らぬ少年の言葉に僕等は同時に、バッと離れた。
それから少しだけ目線を合わせて、やはり眼をそらす。
心臓は全力疾走でもした後かのようなスピードで早鐘を打っている。
……落ち着け。
トントンと自分の胸を叩きながらクールダウンさせていく。
そうして僕は思った。
きっと──二人して脳みそが茹だっていたのだ。
この暑さと、ヴァレンシュタインの可憐さ、それ故に起きた僕の突発的異常行動。
この三つが重なり起きてしまった不運……いやむしろラッキー……? いやいや、やはり不運な出来事であったのだと。
そう、思うことにした。
これは偶然起こり得た、ともすれば奇跡的とも言えた瞬間であったのだと、そう思い込むことにして、彼女に手を差し伸ばす。
言葉少なげに、行こうか、と。
ヴァレンシュタインは顔を赤くしつつも、当然のように僕の手を取った。
ん?
呆けたように違和感なく繋がれた手を見つめ、それからヴァレンシュタインを見る。
彼女は数秒フリーズした後に、ハッとしてから手を離す。
互いにごめん、と謝って、それから一緒に帰路へとついた。
───恐らくではあるが。
飽くまで僕の予想、予測に過ぎないものでは有るが。
僕等はやはり、急激に距離を詰めすぎたのだと思う。
何だかんだ幼い頃から互いのことを知ってはいたが、結局こうして言葉を交わすようになったのはつい先日からなのだ。
それから勢いづくように今日に至り、それこそ時間を忘れるように話し合ったが、僕等の関係で言えばやはり友人にすら満たない……いや、ギリ友人を名乗れる程度の仲でしか無いのである。
つい一昨日までは、赤の他人と言っても差し支えないほどであった僕等だ。
それもこの9年間積極的に関わろうとしてこなかった人間である。
僕等ほど特殊とも言えるような関係性の人間も中々いないであろう。
故に、間違えた。
距離を縮めようとして、無理に縮めすぎた。
だから、僕等は勢いのまま行動し、麻痺したままの頭で考えた。
その結果がこれである。
僕は反射的に動き出すし、彼女もそれに対応してきた。
まあ要するに、正気に戻ったようで、その実戻っていなかったということだ。
そして今、戻ってきた。
そんなところだろう。
僕もヴァレンシュタインも判断能力が鈍ってしまっていただけだ。
そろそろホームが見えてきたところで「ヴァレンシュタイン」と彼女を呼ぶ。
「今日はすまなかったな、その……色々ご無礼を……」
何だか畏まってしまった。
何だご無礼って。
いや、無礼ではあったのだけれども。
「……うぅん、私も、ごめんなさい。でも、今日は楽しかった、よ?」
十華のこともたくさん知れたし。
彼女はそう言ってはにかんだ。
「あ、あぁ、僕も楽しかった、ありがとうな」
またしてもそれに照れてしまった僕は、端的にそれだけ言って返し、ホームの扉を開いた。
それじゃあまた明日、と別れた彼女はやはりヒリュテ(姉妹)+ウィリディスに捕まっていて、僕の前には我らがロキ・ファミリア主神ロキが居た。
それも非常ににやけた面を晒して。
───因みにこれは豆知識なんだが。
ヴァレンシュタインは、ロキの大のお気に入りだ。
ついでに彼女は親バカで、それに加えて色恋ものは大の好物だ。
つまり何が言いたいかって言うと。
朝からずっとヴァレンシュタインを連れ回していた僕は、これからロキの尋問に遭うということだ。
僕は「はぁ…」と深い溜め息をついた。
僕はね、ポニテのアイズが見たかっただけなんだ……