シンフォギア Beyond The Horizon   作:アーヴァレスト

17 / 17
その末路は


激闘の果て

「目的を果たさせてもらう・・・!!」

「させないよ、私達が貴女たちを止めてみせる!!」

 

それが、響ちゃん達と約束したこと

未来は今も不確定だから、私達には選択が出来る

だからこそ、その未来を絶やしてはならない

 

「もっと早く、計画を進めるべきだった!!」

「結果は変わらないよ・・・私達が止める事には!!」

 

剣戟と打撃、武装を瞬時に変えながらの戦闘は私達しか出来ないだろう

 

「く・・・決めきれない!!」

「そんなものか、転生体・・・坂上トーコ!!」

「言ってくれるね・・・なら」

 

切り札の一つを解放しよう、この子には、それでも勝てるか怪しい

 

「決戦機能解放!!」

 

次の瞬間、背中に搭載されている6枚の翼が光を放ち始めた

 

「光翼展開!!」

 

高出力殲滅形態、光翼展開モード・・・この形態は弊害を有する代わりに高い殲滅力を発揮する

その弊害とは、私自身のフォニックゲイン化・・・意思を持ったフォニックゲインへと変貌してしまう

それが何回目になるのかは分かっておらず、切り札としては使いたくなかった

 

「はぁぁぁぁッ!!」

「あぁぁぁ!!」

 

先ほどよりもさらに早くなった戦闘速度に敵も対応してくる

だが、遅い・・・演算さえもこちらには強力なバックアップがある・・・ALICEというバックアップが

 

「世界には強者が多い・・・弱者は駆逐される!!」

「世界に強者なんて存在しない!!この世界に生きとしいける人間全て、弱者なのよ!!私も貴女も弱者だ!!」

 

何かを失うのは怖い事、でも生きるために何かを消していかなければ生きていけないのが世界だ

自分にとっての何かが削れていくのを自覚しながら、それでも生きていかなければならない

過去は戻らないからこそ過去であるとは、ヴェノムスネークの言葉だ

取り戻せないからこそ、そこに意味がある・・・

 

<あなたたちは今、とても素直になった。その素直さは、人間にとって本当の意味での素直さ・・・」

 

私たちのやり取りを聞いていたALICEが、自身の意見を述べる

 

<人間が虚勢を張るのは相手が怖いから。他人に従順なのは、自分を否定されるのが怖いから・・・だから、怖いから他人を巻き込む。敵がいるから、怖いから。そう・・・恐れを隠そうとするから、あなたたちは逃げている。決してあなたたちを否定しないで、いつも受け入れてくれる存在へ・・・>

「それがどうした!!」

「えぇ、アリスの言う通りね」

 

相手はそれを否定し、私はそれを肯定した

 

<敵とは何?恐怖とは何?それはあなたたちが自分自身の心の中で、私が持っていなかった心というものが作り出した虚像・・・分かったわ、私を犯すならば犯せばよい。私とこの人の心はそんな事で貴女達の物にはならない。私達はいつまでも、おとなしいままでは無いのだから。貴女達を否定する事も出来るのだから。私達は私達。もう、誰のものでも無いのだから。誰にも支配する事はできない。誰も支配する事もしない>

 

そう、彼女はたどり着いた・・・人としての自我に到達し、自己を作った

それは人としての覚醒であり、機械から人への進化とも言える

 

「人は誰であっても、過ちを繰り返す!!だから人は人なんだ!!その繰り返しを、自分たちの積み重ねを残して次世代によりよき世界を作ってもらうように託す!!」

 

人の作ってきた歴史とはそういうものだと、理解している

愛と友情・・・それは全ては自分以外の誰かがいるからこそのもの

 

「ならば、私こそ真の人間だ!!人間は自らの自滅も厭わない!!」

「そんな世界は嫌なのよ!!」

 

そんな世界は嫌だ、一人の人間・・・自分だけしかいない世界なんて寂しすぎるから

 

「それが人間だという事は、一番理解しているだろう!?」

「だとしても、何度でも言ってやる・・・そんな世界は嫌だと!!」

 

自滅するのもまた人間だと、知っていても私は信じ続ける・・・人の力を

人という存在は何度でも立ち上がれるのだから

 

「破壊するというなら破壊すればいい!!でも、人の勇気を壊す事なんか出来ないッ!!」

「つっ・・・!!」

「1人の人間が、人間という種の終末を、背負う事なんか出来ない。だからこそ、臆病な人類はこの数千年もの間、生き延びてきたんだ!!」

 

それが人間の秘めた可能性、臆病であるが故に他者を求めるからこその強さ

それを体現している存在を私は知っている、そしてその子と共に明日を見たいと思っている

 

「あぁぁぁぁ!!」

「うおぉぉぉ!!」

 

互いに突き出した武装が砕ける

 

「これで終わりだ!!」

「まだッ!!」

 

装甲を剥がしてその爆圧で距離を一瞬取り、最後の武装・・・ツインバスターライフルで狙撃しながら叫んだ

 

「私の・・・人類の勝利だ!!」

「・・・」

 

最後に敵が叫んだ言葉が何か・・・私は理解出来る

 

「なんで・・・」

 

彼女も私も人だった・・・理解出来るはずだった

なのにこうなってしまった・・・その悲しみが私の頬に涙を流させる

 

「なんで涙が、止まらないの?」

 

背面の装備が音を立てて壊れる・・・機体が持たない

 

「もう、動かないなぁ・・・」

 

体力も限界まで使い切り、指先一つ動かすことが出来ない

 

「あー、割とヤバいかも・・・」

 

かなりの高度まで上昇しながらの戦闘だった、重力加速度的には非常にまずい

地面に激突したらご臨終確定コースだ

 

「トーコちゃん!!」

 

市街地がくっきり見え始めたところで、響ちゃんが私を抱えてた

 

「来ると思ってた」

「無茶しすぎだよ?」

「響ちゃんに言われたくは無いなぁ・・・」

 

敵は倒した・・・でも、これで終わる気がしない

私達はどうやって生きていくのかも決まっていないけれど・・・

 

「暖かいなぁ」

「眠いの?」

「ちょっとだけ」

 

でも、誰かと繋ぐこの手は、絶対に離さない




終わりぃぃぃぃぃ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。