キングスピア < K I N G S P I A > 作:明暮10番
ジオウ側の時系列としては、『平成ジェネレーションズ・フォーエバー』並びに『フォーエバー・キング2018』の後、『ハッピーニューウォズ2019』の前です。
「地球史が46億年に対し、人類史はその内の200万年に過ぎないと言う」
「それ以前より存在した生物は、魚類、恐竜、鳥類と様々だった」
「しかし人類は200万年の月日の中で、地球上に君臨せし『種の王』となれた」
「脳の進化なのか」
「文明を作る能力故なのか」
「果ては高度な集団意識からなのか」
「数多の生物が生まれ、滅びる様を繰り返して尚、何故人類は存続出来たのか」
「そんな事を考えてみた所で分からないだろう」
「地球にとっては一瞬であれ、我々にとっては遥かなる過去だ」
「もし、人類の、『種たる所以』を見つけ出せた者がいるとすれば」
「間違いなくその者は、『王』になれる」
「万象が『存在』を誇る事すなわち、『歴史の重み』だ」
「歴史が深ければ深いほど、後世に存在を知らしめる」
「ただの殺人犯が何百年も見つからなければ」
「忌むべき狂人から『ロマン』に変貌を遂げる」
「当時の思想家が志半ばで朽ちたとて後世がその者を引き継げば」
「恐るべき暴徒から『英雄』に変貌を遂げる」
「長い歴史と言うのは記憶を流し、そこから煌めく逸話を抜き取る、巨大な濾過器だ」
「人類の歴史が刹那と言った所で、我々は我々だろう」
「他種を滅ぼし、それでも尚、歪に同族さえ滅ぼし合う人類」
「しかし人類は頂点に君臨出来たのは、積み上げた歴史の重みによるものだ」
「問題は、歴史が残した『意味』だ」
「上辺の『事実』ではない」
「……失礼。長話に付き合わせてしまったね」
「この本によれば、普通の高校生『常磐ソウゴ』……彼は魔王にして時の王者、『オーマジオウ』となる未来が待っていた」
「彼はタイムジャッカーが作り出した『アナザーディケイド』と交戦中」
「……『
【 D E C A D E 】
まるで九つの頭蓋骨を切り刻み、並べたかのような頭部。
身体中に塗りたくったマゼンタは、優雅さよりも下品さを全面に押し出していた。
そして胸には己を誇示するように、バーコードを継ぎ接ぎして表示させた【DECADE 2009】の文字。
背中に着たボロだらけのマントを翻し歩くその姿。
死んだ王が、蘇ったかのようだ。
「うわぁぁあ!?」
『ウゥ……!』
アナザーディケイドは民間人を掴むと、もう片方の手を横に翳す。
するとそこには灰色のオーロラが発生し、一思いにその中へ民間人を放り込む。
『あぁ……良いぞ……! このまま……破壊してやる……!!』
自らの力に酔い痴れるアナザーディケイド。
その天下は、すぐに落日を迎える事となる。
「あ! いたよゲイツ!」
「見覚えのある姿だな……」
アナザーディケイドの前に立ちはだかるは、二人の少年……『常磐ソウゴ』と『明光院ゲイツ』。
敵が二人の存在に気が付くと、人外的に腕を振り乱しながら攻撃を行う。
「うおっ!? こっち来た!?」
「チィッ……!」
アナザーディケイドの攻撃を、場数の分ゲイツは瞬時に回避するものの、ソウゴは横にすっ飛び、転んでしまう。
「何をしてるんだお前は!」
「そ、そんな、急に無理だってぇ!」
『ウォオオオぉおッ!!』
暫し無防備な姿を晒すソウゴ。それを逃す、アナザーディケイドではない。
腰にぶら下げていた剣を抜くと、刀身を手で撫でた後に斬りかかる。
「うわっ!?」
「さっさと変身しろッ!!」
「だからゲイツは急なんだってば……!」
「情けない魔王だ……」
その間ゲイツは奇妙な機械を取り出し、腰に当てる。
『ジクウドライバー!』
音声と共にベルトが側面より射出され、反対側へカッチリ嵌る。
そして腕部に付けていたホルダーより、一つの丸い装置を手に取る。
まるでストップウォッチのような機械。
彼が機械の竜頭を押すと、音声が鳴る。
『ゲ イ ツ』
即座にドライバーの右部のソケットに挿入し、ロックを解除。ドライバーはガクンと、右に傾く。
彼の後ろに、巨大なデジタル時計が出現する。
差し迫るかのような音、焦燥感を駆り立てるような二進数の列。
それらを背景にゲイツは腕を大きく回し、ガッシリと両手でドライバーを掴む。
「変身ッ!」
そしてそのまま両腕を引き、ドライバーを回転させた。
回転し、正位置に戻った時、讃えるような音声が響く。
『RIDER・TIME』
『カメンライダー・ゲイツ!!』
背後に出現したデジタル時計から、『らいだー』の文字が射出。
実体を持ったそれは、ソウゴに迫るアナザーディケイドを吹き飛ばしてから、また逆戻りするかのようにゲイツの方へ。
そこに立っていたのは、先ほどの凛々しい少年ではない。
赤を基調としたスーツと、時計を模したマスクに身を包んだ存在。
戻って来た『らいだー』が頭部に嵌り、『仮面ライダーゲイツ』の変身は完了する。
「おぉー。流石はゲイツ! マジで俺の親衛隊長にならない?」
「ふざけた事抜かしていると、お前から倒すぞッ!!」
「だ、だよねぇ〜」
ソウゴも立ち上がり、ジクウドライバーを掲げる。
しかし予想外の事が起きた。
『ぎぎ……ならばぁ……!』
アナザーディケイドは腰に吊るしていたカードデッキより、カードを一枚抜く。
それを、右から上に回転させた己のドライバーのソケットに差し込み、また戻す。
『 I L L U S I O N 』
嗄れた声と共にドライバーが発光。
光はアナザーディケイドを包み、なんと二つに分散した。
光が消滅すると、そこにはアナザーディケイドが二人立っている。
「分身だと……!?」
「あのベルトの操作の仕方とかカードとか……どっかで……あっ!!」
一方のアナザーディケイドが銃を構え、光弾を発射。
ゲイツは出現させた『ジカンザックス』で的確に撃ち落とす。
まだ生身のソウゴは急いで避けるしかなかった。その時迂闊にも、ジクウドライバーを手放してしまう。
「うわ、やっちゃった!?」
「さっきからなに、トロトロしているんだ!」
「それよりゲイツ! あいつ、『門矢士』のアナザーライダーだよ!」
「門矢士?……何故、あいつにアナザーライダーが……?」
「だから、これで勝てるね!」
ソウゴが懐から取り出した物は、『ディケイド・ライドウォッチ』。
しかし変身しようとすれば、アナザーディケイドの分身が迫って来た。
「ヤバッ!? ゲイツ、これ!!」
「ジオウ……!?」
ソウゴはライドウォッチを、ゲイツに投げ渡す。
そのまま二人は、襲い来るアナザーディケイドを回避。
「先にそれに変身してて!」
「お、おい!?」
「すぐ俺も変身するから!」
何とかアナザーディケイドの追撃を逃れ、命からがらジクウドライバーに近付くソウゴ。
「よし! これで変身……」
『させるかぁッ!!』
「へ?」
ジクウドライバーへ飛び込んだソウゴ。
その向こうに、見覚えのある灰色のオーロラが広がっていた。
「おおおお!?」
オーロラの前で止まろうとするものの、既に身体は制御不能なレベルに転がってしまう。
「うわあぁ!?」
「ジオウ!?」
ジクウドライバーを手にしたものの、ソウゴはそれと一緒にオーロラへ吸い込まれた。
救助しようにも、即座にオーロラは消失し、そこにソウゴの姿は無い。
「クッ……! 手間がかかるッ!」
ゲイツは一先ず、目の前の敵二体を倒す事を優先する。
『アナザー鎧武』の前例から、別世界に飛ばされた人間はアナザーライダーを倒すと、戻って来るハズ。
ゲイツはソウゴから受け取った、ディケイドライドウォッチを、左のソケットに差し込む。
アナザーディケイドの追撃をかわしつつ、もう一度ジクウドライバーを回す。
『ARMOR・TIME!』
『カメンライド』
『WOW!!』
『DECADE!』
『DECADE!』
『ディ・ケ・イ・ドーッ!!』
【ヒメノスピア2018】
【王】
「うぅ……い、イテテ……」
頭を摩りながら、ソウゴは目を覚ます、
そこは土煙舞う、何処かの砂地。
視界に広がるは、真っ青な空。
「……あれ?」
ソウゴは上半身を上げて、場所を把握する。
どうやら、中学校か高校の校庭のようだ。
「……えぇ……ここ、何処? 学校?」
服に付いた砂を払いながら彼は立ち上がる。
落ちていたジクウドライバーもきっちり入手。
「早くゲイツの所に戻らなくちゃ……って、言っても……えぇ? ここなに? 東京だよね?」
一先ず校庭から出ようと歩き出す。
その時、目の前を通り過ぎる虫。
「うおぉお!? は、蜂だぁ!?」
手をブンブン振り回し、蜂を引き離そうとする。
だが蜂はソウゴに興味を持っていないようで、すぐに何処かへブーンと消え去って行く。
「はー……焦ったぁ……でも、さっきの蜂……凄い、真っ赤だった気がする……」
奇妙な蜂を見逃し、ソウゴはまた歩き出した。
と言ってもこの学校の構造が分からない為、手探り状態ではあるが。
「あ。なんか……良い匂い」
花壇の近くに来ていた。
色とりどりの花々が、芳しい匂いを放っている。
「おぉ。めちゃくちゃ綺麗! ウチの学校、花が全滅寸前だからなぁ」
呑気に花を眺めていた時、耳に入る声。
「オラオラ!」
「キャハハハハッ!!」
「すげー! 本当に食った!」
意地の悪そうで耳障りな、女性の声。
気になったソウゴは、声のする方へ走る。
そこには数人の女子グループが、一人の少女を取り囲んでいる光景。
リーダー格と思われる少女が、眼鏡をかけた子の髪を掴み、何かを無理やり食わしていた。
すぐにイジメだと察したソウゴは、なに振り構わずそのグループの方に突っ込む。
「ちょっとさぁ! 何やってんの!」
「あ?」
女子グループは一斉にソウゴの方へ向き、次に怪訝な目になる。
「……え。誰?」
「俺の事より、ほらっ! イジメは良くないって! 同じ学校の生徒でしょ? 仲良くしなきゃ!」
ソウゴはイジメられている子を掴む手を引き剥がしてやり、前に立ちはだかった。
「突然出て来て……てか、なんで男子がいるの?」
「……え? 男子がいちゃ、おかしい?」
「ここ『女子校』」
今度はソウゴが面食らう番だ。
自分は知らず知らずとは言え、女子校に不法侵入していた。
「……マジ?」
「もしかして……こいつ、変質者?」
「いやいやいや違うって!? そ、それより、君大丈夫!?」
イジメられていた少女は嗚咽をあげながら、涎を垂らして何かを吐き出そうとしていた。
「これって……!」
それよりも驚いたのは、彼女の顔の右側。
酷い火傷の痕。
思わずソウゴは絶句してしまい、次に怒りが出て来た。
「これも君たちがやったの!?」
「それはちげぇよ! 元からだってば!」
「でも今のは君たちだよね! 俺見てたし! ねぇ、なに食べさせたの!? まさか土とかじゃないよね!?」
「いきなり出て来て説教とか……」
「ウッザ」
「大丈夫!? 何か、お水とか……」
彼女に何かを食べさせたであろうリーダー格の少女は、何事も無かったかのように立ち去り始める。
「ちょっと君! 謝るとかしなよ! ほら、君たちも!!」
「チッ……渚も冷めてんじゃん」
「行こう行こう」
「ホント真面目ちゃんってメンドくさ」
「そもそも男が女子校とかヤベー奴だって」
「偽善者偽善者」
「ねぇってば……ハァ」
完全に興味を失くした彼女らは、さっきの渚と呼ばれる少女の後を付いて行く。
花壇の前に、ソウゴと眼鏡の子だけが残った。
「げぇ……うぇぇ……!」
「大丈夫? ほら、そこの水道で口ゆすごう?」
「うぅ……え、えと……あの……あなたは……?」
「えーっと……向こうから君がイジメられているの見てね。つい侵入しちゃったんだ」
蛇口を捻り、少女に口をゆすがせる。
息を荒く整えながらも、濡れた口元をハンカチで拭う。
それでも口内に違和感があるのか、苦い顔をしていた。
「あ……ありがとうございます……」
「何食べされたの?」
「……蜂の、死骸を……」
「それ、酷い……渚って言ってたねあの子。これはもう犯罪だよ。先生に言ったら?」
彼女は首を振る。
「なんで?」
「……先生は見て見ぬ振りしますし……私の、せいですし……」
「だったら俺から説明してあげるよ。先生が駄目なら、お母さんは?」
「………………」
また首を振る。
その意味をソウゴは、深く知る事が出来なかった。
「お母さんに心配かけたくないんだね?」
「…………はい」
「でもあれは許せないよ! 決めた! 今からあの子たちだけでもお説教タイムする!」
意気揚々とさっきのグループを捕まえに行こうとするソウゴを、慌てて少女は止めた。
「い、良いんです! あの、これ以上やったら……あなたに迷惑が……!」
「俺の事は大丈夫だからさ! 侵入者だし」
「そ、そんなアッサリ……いや、でも……本当に良いんです……慣れっこ、ですから……」
少女から一切の、憎悪や怒りが感じられない。
彼女から注がれる感情は、労りと慈悲、そして諦観。
「……そう、なんだ」
負でもなく正でもない。その微妙な感情に、ソウゴは押し留められてしまう。
「……ん?」
彼女のいた所を見やる。
ジョウロと、水の入ったバケツが置いてあった。
「お花、好きなの?」
「え?」
突然、話を変えられたからか、それとも人との会話に慣れていないのか。当惑の表情を浮かべた。
それでも話を繋げようと、大慌てで「はい」と答える。
「……図鑑で調べたり……昔、ママと観察に行ったりした影響です」
「じゃあ、この花壇のお花は……君が?」
「全部って訳ではありませんけど……最近は係の人もずっと手入れしていませんし……専ら、私以外の人は触っていないと……」
「お花のお手入れって、どうやるの?」
「水は勿論ですけど……雑草を抜いたり、肥料を与えたり。たまに土を足してあげたり……」
ソウゴはニコッと笑って、彼女を指差した。
「決めたっ!」
「……へ?」
「君を、王室直属の園芸師に任命してあげる!」
ポカーンとした顔でソウゴを見つめる。
「……王、室?」
「あ、自己紹介まだだっけ? 俺、常磐ソウゴ」
「常磐さん……?」
「ソウゴで良いよ。王室直属園芸師になった君には、俺のお城の花壇を、綺麗な花で飾る使命を与えてあげる!」
「あの……え?」
余計に当惑する少女。
ソウゴは屈託のない笑顔を見せた。
「俺、『王様』になるのが夢なんだ!」
『ライドヘイセイバーッ!』
「ハァァァァッ!!」
ゲイツ・ディケイドアーマーの攻撃を受けたアナザーディケイドは爆発四散する。
しかし倒した一体は、イリュージョンによる偽物。本物は今も健在だ。
『ぐぅう……!! アナザーカメンライドだッ!!』
アナザーディケイドはカードを取り出し、自身のドライバーに挿入する。
【
瞬時に見た目が変わり、アナザーオーズになる。
「他のアナザーライダーに変身出来る能力か……!」
アナザーオーズは脚部に力を溜め、瞬時に飛び上がる。
そのまま急降下し、ゲイツに攻撃を加えようとした。
「来いッ!!」
待ち構えるゲイツ。
二秒後には二人が対峙するであろう。
その時だった。
『ファイナルアタックライド』
『オ・オ・オ・オーズ!』
横槍を入れる存在。
突如、アナザーオーズの横に発生した、巨大なメダルのビジョン。
「なにっ!?」
その三枚のメダルを突き破り、迎撃。アナザーオーズは吹き飛ばされた。
現れたのは仮面ライダーオーズ……いや。ケバケバしいマゼンタの『ディケイドライバー』が何者かを悟らせる。
「勝手に作られちゃあ、困るんだよ」
すぐに仮面ライダーオーズは、別のライダーの姿になる。
その姿こそ、本来の姿……『仮面ライダーディケイド』こと、門矢士だ。
「貴様……! 門矢士ッ!!」
タイムジャッカーと手を組み、ソウゴとゲイツの前に現れ妨害を繰り返した存在。
仮面ライダーでありながら、その歴史は存在しないと言う、特殊な存在だ。
故にライドウォッチが継承されてもディケイドは消えず、アナザーライダーが登場しても同様。
ゲイツからすれば敵だ。
何故、自分に味方をするのか。
「どう言うつもりだッ!!」
「別にお前を助けるつもりじゃない」
「なに?」
「俺は偽物が大っ嫌いなんだ」
吹き飛ばされたアナザーオーズは変化を解除し、元のアナザーディケイドに戻る。
「俺が半端にこの世界に来たもんだから、少し歴史が生まれた……それであいつらは無理やりアナザーライダーとやらを作ったんだろ」
「それがなんだ……お前の協力は受けんッ!!」
「協力するしないじゃない。俺が個人的に気に食わないだけだ」
ディケイドはカードを取り出し、ドライバーに挿入。
『カメンライド』
『ドライブ!』
彼が変身したのは、仮面ライダードライブの姿。そのまま、アナザーディケイドへ突撃を繰り出す。
「……クソッ! 気に食わないが……ジオウを戻す為だ」
ゲイツは『ファイズライドウォッチ』を取り出し、ディケイドライドウォッチの横ソケットに挿入。
『FINAL・FORM・TIME!』
『ファ・ファ・ファ・ファイズ!』
頭部の液晶型マスクと、胸部のバーコードが変化。
『アクセル』と呼ばれるファイズの別フォームに変身し、一瞬の隙にアナザーディケイドへ詰め寄った。
ドライブとなったディケイドと、ファイズアクセルフォームの力を得たゲイツが敵を突いたのは、ほぼ同時だ。
ソウゴの所持ライドウォッチは、クウガ ダブル オーズ フォーゼ 鎧武 エグゼイド ビルド ジオウ のラインナップとなります。