許嫁と幼馴染と同級生と後輩 虹ヶ咲学園編   作:kikukiri

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先にこっち投稿してしまった。。。。


弱さ故の拒絶

本日2日目の高校生活、まだ慣れ親しんでない新しいクラスの初々しい話し声が聞こえてくる。

「どこの中学から来たの?」「部活は何やってたの?」「何部に入る?」などと言った会話が耳に聞こえてくるなか、僕にも声を掛けてくる人物がいた

 

「おはよう!」

「…おはよう」

 

昨日失礼な態度を取ったのにも関わらず、彼女…上原さんから明るい笑顔で僕に挨拶をしに来た。

本来ならばこちらも明るく挨拶をするべきなのだろう。しかし、あまり関わるべきではないと思ってるが故に非常に覇気のない声で返してしまった

 

「昨日の夜はよく眠れた?」

「…お世辞にもよく眠れたとは言えないよ。でも、夢を見なかったんだ。そのおかげで少しマシに眠れたような気がする」

「そうなんだ!良かったね!」

「……」

 

微笑みながら言う彼女が眩しいと感じる刹那、朝のチャイムが鳴り響いてHRの時間を知らせる。

上原さんは「また後でね」と言い残して自分の席に戻る。

 

「また後でね…か」

 

関わる必要などない…と言うより関わるべきではないのにな…

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

朝のHRに午前授業と言う名目の様々なオリエンテーションが終わり、本日もお昼頃で放課後となった。

今日も昨日同様に学校のあちらこちらで勧誘に体験入部などが行われており、僕もクラスメイトの女子数人から誘いを受けたものの全部断った。特別興味がないわけじゃないけど…今の僕は部活に行きたいとは思えない。だから教室を出て帰ろうとしたのだけれど

 

 

「柴くん!一緒に部活回って見ない?」

「……」

 

また上原さんに声を掛けられた

 

「悪いけど帰るよ」

「…部活に興味ない?」

「…ないわけじゃない。でも気が向かないんだ。それじゃ」

 

別れの言葉を言い、そのまま上原さんの横を通って帰ろうとしたが

 

「待って!じゃあ私も帰る!」

「…はい?」

「いこ、柴くん」

「いや、部活見に行くんじゃ…」

「うーん…気が向かなくなっちゃった!」

 

上原さんはどうもよくわからない。昨日の事もそうだけど…

 

「…まあ、帰るなら帰るでいいけど」

「うん!じゃあ行こ?」

 

そのまま上原さんと僕は歩みを進め、玄関まで来たのだが…まあ昨日と同じ光景が広がっているのである。

このまま帰ろうと試みる物ならば間違いなく勧誘されるだろう。

それは嫌だな

 

「わぁ…やっぱり凄いね」

「……はぁ…仕方ないか……それじゃ」

 

一つため息混じりに上原さんに別れを告げ、僕は昨日の桜の木へ向かう事にした………のだが

 

「どこ行くの?帰らないの?」

「人混みの中で部活勧誘されたくないんだ。上原さんは帰るんだよね?それじゃ」

 

と僅かに吐き捨て気味でいい、くるりと背を向けたのだが…

 

「待って!どこ行くの?」

「……落ち着けるところ」

「そうなんだ、じゃあ私もついて行こうかな?」

「……なんでそうなるんだい?」

 

一体なんなのだ?この娘は…よく気のある人は声をかけてくるけど、上原さんもそうなのだろうか?

 

「うーん…私も勧誘されたくはないからかな?興味のない部活を見ても仕方ないし」

「…そうかい」

 

まあ、僕も同じ理由なだけ否定できない。しかし、僕はこれ以上彼女といるべきじゃない。まあ、遠回しに伝えても伝わらないだろうからここはひとつ話をしておこう。

それに…もしも僕に気があるならば迷惑だ

 

「昨日の桜の木のある場所まで行こうか」

「うん!」

 

そうして僕らは昨日出会った桜の木までやって来た。

そしてここで伝えよう、僕に関わるなと

 

「相変わらず目立たない場所に咲いてる桜だよね」

「…そうだね」

「なんか…まるで…君の為にあるみたい」

「!?…」

 

妙な発言をするなぁ…俺の心をまるで理解してるかのような発言だ。

まぁ昨日泣いてるとこを見られてしまったみたいだし、それに夢の話もしてしまったから…ほんの少しは察しているのだろうか?

 

「上原さん…あまり僕と関わらない方がいいよ?僕は普通に学校生活を送れる状態じゃない…関わってもいい事なんてないよ」

「……どうしてそんな悲しい事言うの?」

上原さんは悲しそうな表情で問いかける

 

「俺、歪んでるから」

「うーん…それじゃあわからないよ」

「…まあとにかく俺に関わらない方がいい…と言うか関わらないでくれないかい?」

 

うん、これで伝わった筈だ。もうまどろっこしい言い方じゃなくハッキリと告げたんだ。これで関わる事はないはず…

 

「……嫌…かな?だって放って置けないよ…苦しそうにしてる人を放って置けない」

 

苦しそうにしている?放って置けない?まさか…。同情している?

そう思った時、強烈な不快感が俺を襲った。

理不尽な理由で感じる不快感を抑えきれず、感情任せに口が開く

 

 

「なるほど…有難いけど同情ならいらない。同情されたって何にも変わらない。同情など迷惑だ!もうこれ以上俺に関わるな!」

「っ……」

 

感情任せに怒鳴った。もうそこに理性などなく、ただ不快感を吐き出す様にありのまま全てを口に出した。

上原さんは悲しい表情を一瞬見せて…俯いてしまった。

 

「……」

「…帰ってくれ」

「……」

 

「帰れ!」

 

「っ………」

 

上原さんは声にならない声を出し、俯いたままこの場を走り去って行っていった

 

「…………クソ」

最悪だ!最悪だ!…最悪だ………最悪の気分だ!…俺はどうしてこんなに弱いんだよ……疑うんだよ…信じられないんだよ!

 

「…最悪で最低の気分だ」

 

俺はそのまま倒れ込むように寝転がり、熱い目元を片手で抑えながら意識を闇へと手放した

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

彼と別れてから一目散に走り続けていた。部活の勧誘で声を掛けられても「ごめんなさい!」の一言だけ残して走り続けた。

どこに向かうかも決まってないのに学校を飛び出してしまった。

 

同情なのかな?私のこの想いは…同情じゃないって言いたかった、でも否定できなかった。出会ってまだ二日だよ?彼のことよくわかんないよ……でも…見ちゃったんだもん!泣いて辛そうにしてる姿を!

あんな姿を見て、放って置けないよ!

 

思考が悶々としたまま走り続け、気がついたら帰りの駅まで来てた。

 

「……今日はもう帰ろうかな?」

 

今は思考がまとまらない…今日はとりあえず……あ!…鞄、桜の木の下に置いて来ちゃった…どうしよう!?

 

 




感想あればよろしくお願いします!次も虹ヶ咲学園編を先に投稿するかもしれないです

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