ー変わらなきゃ
ずっとそんな思いを胸に15年、生きてきた。双子の姉を持つ妹として生まれ、真面目で優秀な姉、天才で天真爛漫な妹に挟まれ、
「あの子の妹なら期待できる」
「あの子の妹はさぞかし凄いのだろう」
そんな期待をされては全てを裏切り、挙げ句の果てにそれに耐えられなくなり、ブチ切れて、逃げて、自分だけの世界に閉じこもった自分をいっそ笑ってくれたら、どんなに楽だっただろう。不幸者、出来損ないの烙印を押してくれたら、自分は開き直って生きてこれたのに。彼女らは私に逃げ道すら与えてくれなかった。どうしてそんなに心配してくれるのか教えて欲しい。どうして私を見て優越感に浸ってくれないんだ。どうして、幾多もの期待を裏切ってなお手を差し伸べてくれるのか。私に「もう無理です」とこうべを垂れて許しを乞うてほしいのか。
考えすぎだってわかってる。全て自分の自意識過剰で、彼女らは家族だから私を救おうとしてくれてるんだって。それが彼女らにとって当たり前なんだって。
でも、仕方ないじゃないか。家族だから救ってくれるというのなら、きっと赤の他人だったらあなたたちは気にも留めないだろう。勝手に自己嫌悪してる哀れな少女一人なんか普通は見て見ぬふりをするが吉だ。だって明らかにめんどくさそうなのだもの。積極的に関わるものではない。
だから怖いのだ。いつか、自分が捨てられてしまうんじゃないかって。
…手を差し伸べられておきながら、それを振り払っているものが何を言うか。自分の心が未熟だから、人を信じられないから、剰えその心の弱さに縋っているから、こうなっているのに。人の優しさを無碍にし続け、悲劇のヒロインを勝手に演じ1人愉悦に酔いしれている私にはお似合いの末路だろうに。
嗚呼、頼めるのなら、教えてくれるのなら教えて欲しい。どうすれば人を信じれますか。どうすれば、弱く醜い自分を愛することが出来ますか。人に裏切られないと分かっておきながら、だれも期待していないと分かっていながら、それでも他人の視線に怯えてしまう私はどうすればいいですか。
だめだ。これ以上考えたらいよいよリストカットとか自傷癖に目覚めてしまう。現実逃避することでなんとかストレスを溜めずに入られているが、今の気分では恐らく痛みは麻薬のような快楽に感じてしまいそうな気がする。実物なんて吸ったことないけど。
朝は日菜姉さんも紗夜姉さんも学校に行くため鉢合わせないように早めに家を出なければならない。会わないために一度わざと遅刻して行こうとしたら紗夜姉さんに部屋に突入されたのだ。もうあんな失敗は繰り返さない。私は学ぶ女なのだ、多分。
氷川憂月は、今日も罪悪感と自己嫌悪を胸に毎日を過ごすのであった。