サイコパスは時に正しい道を   作:夜ノとばり

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平和って、なんだ。


晒せや晒せ、いじめ祭 (後編)

 

「平和な世界」は作れると思うか?

 俺は不可能だと思う。

 そもそも平和とは何だ?

 戦争がないこと?傷つく人がいないこと?みんなが笑顔でいられること?そんなところか。

 それでは問うが。

「戦争を無くそう」とプラカードを掲げて街を行進する人たち。

 あなた方は喧嘩(けんか)をしないのか?

 戦争は国家同士の喧嘩だ。

 それを無くそうと止めることは「私は誰とも喧嘩をしない」と(ちか)うようなもの。

 それだったら自分の周りの人間関係を断ち切らないとな。

「少々の意見の食い違いは我慢する」ってのは無しだぜ?いつか爆発するだけだから。

 意見の相違のない世の中?なにそれだったら誰の考え方に統一すんの?

 はいはい俺だ俺だ言わない。

 一緒にいるのに喧嘩しちゃダメとか拷問かよ。人類を皆賢者だと思ってない?

 喧嘩を無くせないなら戦争もなくせないね。

 よって戦争を無くすのは無理。

 

「誰も傷つかない世界」を目指す人たち。

 お前らは親の気持ちを考えたことがあるか?

 お前らの親が一度でも「こんな子生まなきゃよかった」と本気で考えなかった保証はあるか?

 人間は親やら先生やらに常に迷惑をかけながら生きている。

 存在は迷惑に直結するのだ。

 嫌いな人物の死を願ったことくらい誰でもあるだろう?

 親だから大丈夫だという考えが間違っていることは数々の虐待事件から証明済みだろ。

「そこは愛で受け入れろ」お前は鬼か。親をちゃんと人間としてみてる?

 自分すらたどり着けない理想論を他人に押し付けるんじゃない。

 よって誰も傷つかないのは無理。新世界でも創造してろ。

 

「みんなが笑顔でいられる世の中にしよう」と言う人。

 これ、理論上は可能だな。

 地球上にいる全員の表情筋を吊り上げればいい。

 頑張って。

 物理的に不可能だけどね。

 まあ「理論上」というのであれば、武器を用いた大規模な紛争という意味で「戦争」を無くすことは十分に可能だ。

 今の世の中とかがまさにそんな感じだろう。

 多種多様な思想が蔓延(まんえん)し、かつての多数派は分裂、数えきれない少数派へと形を変えている。

 武器を用いた戦争はネット上での口論へと変貌(へんぼう)を遂げつつある。

 ……ネット上なら誰も傷つかないってか?

 ちゃんちゃらおかしいわ。

 ネットでの悪口は、直接面と向かって言われるよりもダメージが大きいんだぞ。

 しかもその何の気なしに書き込んだ悪口は全世界に発信される。

 一言でより大勢の他人を傷つけられる時代なのだ、今は。

 マシンガンよりもたちが悪いじゃねえか。

 心の傷は見えないからな。

 

 おい。

 これが()()か?

 

 

 まあぶっちゃけ、今現在、世の中は平和であると思う。

 うちの国で今のところ戦争は起こっていないからな。

 他国にはあるよ。

「それは平和じゃない」何様だよ。

 平和平和と騒ぎ立てられるのは平和な国で生きているからだ。

 今は平和じゃないと思い込むことで、平和になれば自分は幸せになれると思い込んでいる。世界が変われば、自分も変われると思い込んでいる。

 自己矛盾の(かたまり)だ。

 自分は平和な地でのうのうと生きながら、「平和実現」を叫ぶのだ。

 そういうやつに心の平和はやってこない。

 お前なら分かるよな、中川。

 人間は傷つけあうものだ。定期的に戦争(けんか)して、どうにかこうにか仲直りして、やっとその関係性を保っていける(もろ)い存在だ。

 しかし、戦争(それ)が許されるのは、当事者の背後に「理解したい」という心情がある時だけ。

 逃げたな、中川。

 お前は自分が気に入らないものを始末するために、無関係なクラスメイトを巻き込んで残虐な行為に手を染めた。

 遠藤を理解してやろうとしなかったんだ。

 人は自分の欠点を他人の中に見出だす。

 怖かったんだろ?

 遠藤が自分とどこか似ているのが。

 自分の親と似ているのが。

 実はシンパシー感じてたんだろ?

 そのうち、嫌になったんだよな。

 大っ嫌いな親/自分に似てるから。

 だから、消そうとした。

 蹴って殴って懲らしめて、自分に言い聞かせていたんだ。

「こんなの自分じゃない」と。

 異論は認めない。いくらか自制心は動いたかもしれないがそんなことはどうだっていい。

 中川。

 俺はお前が気に入らない。

 だから傷つける。

 戦争だ。

 これじゃ俺も中川と同レベル、ってか。

 だったら何?

 人間を裁くのは人間。

 低レベルな人間を裁くのは、そいつと違う育ち方をした同レベルの人間だ。

 気に入らないから(おとし)めて。欲望のままに相手を(はずかし)める。

 結局のところ、俺も中川も、ストレスが溜まっていたんだろう。

 そうして愚かにも、やってはいけないことを犯した。

 同じだよ。俺もお前らも。

 相手を傷つけて快感を得ているのさ。

 今から俺のすることは馬鹿なことかもしれない。

 だが俺はやる。

 あいつらがあいつらのやり方でやるなら、俺は俺のやり方で。

 マウスのカーソルでなぞって動画のURLをコピーし、開きっぱなしにしていた三つのアカウントのそれぞれの投稿欄に貼り付け、貼り付け、貼り付け。

 同じ内容の投稿コメントが三つ。

 凝った首を回してほぐしながら椅子の背にもたれかかり、天井を見上げる。

 薄暗い電灯のともった半個室の上は天井まで抜けており、洋風のファンがゆっくりと音を立てずに回っている。

 キャラメルラテをまた一口。

 中川、一ノ瀬、荒川、南、××、大谷、倉田。今頃あいつらは何をしているのだろうか……。

 

―――平和な世界は作れない。

 どうあがいたって争いは無くならない。

 人間だもの。

 ところで。

 世の中には二種類の人間がいる。

 する側と、される側の人間だ。

 どちらかだけ選ぶのは不可能。必ず、人間はその両方を経験するようになっている。

 これは紛れもない真実だ。

 お前は人を傷つけた。

 だからお前は傷つけられなきゃならない。

 やられる側に回ってもらう。

 ××、辱めるのは楽しかったか?気持ちよかったか?

 自分が逆の立場だったら、なんて考えたことが一度でもあったか?

 それを俺が、ワンクリックで教えてやるよ。

 せいぜい辱められるといい。

 マウスの動きを確かめて。

 Facebookに投下。

 Instagramに投下。

 Twitterは文字数制限があるので、五回に分けて投下投下投下投下投下。

 動画がきちんと動くかどうかを確認確認確認。

 Facebookをログアウト。

 Instagramもログアウト。

 Twitterもログアウト。

 そしてこのパソコンに残されたすべての証拠を一掃すべく、再起動をかける。

 

 

 ……終わったな。

 終わった。

 PCとスマホからケーブルを取り外し、スマホの動画データは削除して、真実をすべてポケットにしまいこんで俺は店を出た。

 人の不幸の味のするキャラメルラテは最後まで飲まずに置いてきてしまった。

 

 

 中川はいじめを後悔してくれるだろうか。

 いや、後悔しろ。

 取り返しのつかないことだと反省しろ。

 絶望しろ。

 謝罪しろ。本気の涙を流せ。

 なんとか許されろ。

 演技なんかしなくたって許してもらえるさ。

 そして「()()()()()()」ものだと知れ。

 

 

 一ノ瀬宅。

『それでは次のニュースです。昨日○○時頃にあちこちのSNSにアップロードされた動』

「……!」

 テレビを見ていた父が突然硬直した。

「?どうしたのお父さん」

 お父さんは恐る恐るテレビの画面を指さした。

真琴(まこと)……これ、お前じゃないか…?」

 違った。

 お父さんが指さしていたのは、画面の中の……私だった。

「え……嘘…でしょ…?」

 

 

 大谷宅。

 居間で一人で適当にテレビを見てくつろいでいた。

 何の気なしに切り替えたチャンネルで、それは取り上げられていた。

 ……僕だ。上からの撮影でわかりにくくはなっているが、それは確かに××や中川とやったいじめの映像だった。

 呼び鈴が鳴る。家族が帰ってきた。慌ててテレビのチャンネルを変え、うなだれ、呟いた。

「……マジ有り得ないんですけど」

 

 

 倉田宅。

 スマホでSNSをスクロールしていた。そのツイートが視界に入るまで延々と。

 まず目を疑った。俺の苗字が「××」「大谷」という見覚えのある名前と一緒に並んでいるではないか。そして……それに添えられた動画。

 再生するまでもなくスマホの電源を落とした。乾いた笑いと共に自分に言い聞かせる。

「何かの間違い☆」

 

 

 南宅。

 家族団らんのひと時に、それは耳に飛び込んできた。お父さんもお母さんもすぐにうちの学校の生徒だと気づいた。

 ……()()()()()()()()()()()()()

 気づいてくれても良かった。怒って、罵ってくれて良かった。私はテレビの映像に釘付けになっていた。

 春乃ちゃんが……泣いていた。直前に蹴ったのは、私だ。

 嫌だ。見たくない。見たくない。涙が出る。でも、見なきゃ。見ておかないといけない。なぜだかそう思った。

「春乃ちゃん……っ」

 

 

 ××宅。

「××!なにこれ!」

 母に服の(すそ)を引っ張られて自室からリビングに引きずり出された。

「ああもうなんだよ、今勉強しようと…」

 TVの画面を一目見ただけで、俺はその場に崩れ落ちた。

「これ……あんただよね…」

 動画が再生されていた。それも、それも……一番決定的なあのシーン。

 その時はつい、ノリでやってしまった。女子はドン引きしていた。その一部始終が…撮られていた。

「あ、あ」

 全てが凍り付いていく。これまで部活動で積み上げてきた実績も、高校に入ってやっとできた彼女も、高得点のテストも、みんなみんな。

 俺は自分の両の手を見つめ、自分の行動を悔いた。

 そうして、叫んだ。

 自分はここにいると、自分自身に、知らしめるように。

「うわあああああああああああ!!!」

 

 

 荒川宅。

「くそッ……誰がやりやがった……!」

 中川有紗(ありさ)の舌打ちが飛び出す。

 なんだこれは!?

 荒川から電話をもらってきてみればこれだ。

 液晶テレビの画面に私たちの姿がでかでかと映っている。

「ど、どうしよう有紗ちゃん」

 横で荒川桃花(ももか)が泣きそうになりながら、私の袖を握りこんでいる。

 その仕草と顔の良さも相まってとても可愛らしいが、今はそれどころではない。

 どうすればいい?

 考えろ。考えろ。

 とりあえずしばらくは家の電話線を抜くしかない。

 学校もここまで大々的に報道されてる手前、電話を掛けないわけにはいかないはず。

 こんなこと親が知ったら大変なことになる。

 絶対に知られては駄目(だめ)だ。

 横で青くなっている荒川の家はかなり裕福という話だから、娘の経歴に傷をつけないためなら少々金を出してでもどうにかするだろう。

 けれど私は……。

 ……!

 ……まだいける。無かったことにできる。

「荒川」

「有紗ちゃん……」

 荒川に耳打ちする。

「話があるの」

 

 

 今日の朝のニュース。『■■高校でいじめ告発 生徒によるものか』

 昨日もやっていた気がするんだが。

 今日は月曜日。

 ついに遠藤が安息を得る日である。取材はされるだろうけど。

「あれ、■■高校って、あなたが通ってる高校じゃない?」

 母が横で驚いている。

「そうだよ」

 朝食のトーストをほおばりながら適当に答えておく。

「いじめなんてある高校だったかしら……?」

 いじめくらいどこにでもあるだろ。俺は今まで知らなかったけど。

「あるよ。……うちのクラスでは」

「え、それじゃ、あなたのクラスの人がネットに動画を上げたってこと?」

「かもね」

 犯人は母さんの目の前にいるが、俺はそのことを顔には出さない。サイコパスのたしなみである。

「ということはこれで、今までいじめられていた子も助かるのね。……取材の嵐に巻き込まれないといいけど」

 おお……親子の思考って案外似るものだな。

 それもそうか。かれこれ十六年も一緒にいるんだもんな。

 少なからず影響も受けるさ。

 虐待する親の子供がいじめをするのも道理だ。別に俺の親は裁判官ではないが。ついでにアルセウスでもない。

「くれぐれも気を付けてね。いじめられそうになったら先生に言うのよ」

「動画上げるからいいよ」

「そうね」

 そう言って母さんは笑った。

 

 

 

 やってきました我らが母校、■■高校。

「神子柴神楽とは誰なんですか!」

「神子柴神楽とは誰なんですか!」

「神子柴神楽とは誰なんですか!」

 正門は新聞記者やら取材班やらでごった返していたので、裏門の方から入るかとUターンしかけたところで、報道陣の声に紛れて、聞きなれた声が聞こえてきた。

「神子柴神楽とは誰なんですか!」うるさいこいつじゃない。

「いじめを止められなかったのは私たち教師の責任です!すぐにでも遠藤さんの親御さんに謝罪に行かせていただ」

「雨宮先生!」

 大柄な体育教師と思しきジャージ姿の教師がマイクと彼女の間に割って入る。

 あれはキレ性の家庭科教師、雨宮……。

 彼女は号泣しながら報道陣に向かって叫び続ける。

「気づいてあげられなかったんです!遠藤さんは苦しんでいたのに!私は、私は……」

「先生どうか落ち着いてください、雨宮先生」

 ジャージの教師はなだめようとする。

「遠藤さんごめんなさい、ごめんなさい……!」

 その姿を最後まで見届けることなく、俺は裏門から登校した。

 きっと彼女は、十日ほど前に授業の用意を忘れた遠藤をこっぴどく叱りつけてしまった時のことを言っているのだろう。

 以前はただのキレ性だったのに。

 いじめが人を良い方に変えたのだ。

 このように、いじめは加害者や被害者及びその周辺にいる人間にも反省を促す。

 だからいじめはいいことである。

 は?

 あくまでそれは結果論だ。「いじめのおかげで強くなれた」と言ってる有名人もいるけど、あくまでそれは結果だよ。結果。

 いじめが無いに越したことは無い。

 でも、あるんだから仕方ないよね。

 反省できるようにしてやらなくちゃあ。

 いじめたやつはいじめられちまえ。

 もっとも俺は自分の手は汚さない。中川、お前がそうしたように。

 お前をいじめるのは……世間だ。

 誰かの死を願った人間は、誰かに死を願われるのがお似合いだぜ。

 

 教室に入ると、中川ファミリーは一人残らず欠席していた。遠藤も学校を休んでいた。

 ……だろうと思った。

 道理で教室が平和なわけだ。

 わいわいがやがや、今までよりずいぶんと心地良い喧騒(けんそう)だ。

 数あるグループの話題はただ一つ。

「神子柴神楽とは誰か」これだけ。

 俺が戸惑う演技をしながら席に着いた。

 隣の席の軽部が話しかけてくる。

「なあなあ、今日のニュース見たか?」

「見たよ」

「あの映像って、スマホで撮ったんだろ?すごいよな」

 どこがすごいんだろうか。

「そういう話だね」

「ちょっとお前のスマホ見せてくれよ」

「え?うん、いいよ」

 ポケットからするりとスマホを取り出し、軽部に見せる。

「うーん、お前も違うか」

「何が」

「や、『神子柴神楽は屋上のどこかにスマホを固定していたはずだから、神子柴神楽のスマホには細かい傷がたくさんついている可能性がある』って昨日の昼のワイドショーでやってたもんで。悪いな」

 スマホをポケットにしまう。あと、いちいちフルネームで呼ぶの?

「別にいいけど、俺、あんまり遠藤と仲良くないからな」

「だよな。やっぱ女子を助けるっていったら彼氏とかだよな。いるのか知らんけど」

「神子柴神楽っていう名前は女っぽいけどねー」

「まさか百合!?…なんつって」

「これはキマシタワー」

「や、それにしてもさ、神子柴神楽って、相っ当傲慢(ごうまん)な奴だよな」

「なんで?漫画でよくありそうだとは思うけど」

「だってよ、『神』っていう字が二回も出てくるんだぜ?これはもう自分=神だと思ってるでしょ、って話」

「何で聞いた風なの?」

「これもワイドショーで言ってたんだよ」

「そこまで言うか……?」

「それな」

 

 

 会話が終わった後で、俺は心の中でにやりと笑った。

 名前の意味?

 あるわけないだろう。「かっこいい名前」で調べたら出てきた苗字に、同じく調べたら出てきた名前を引っ付けただけだ。

 頭でっかちな専門家は在りもしない意味を求めてさまよってるといい。

 あとな。

 スマホは傷をつけないようにガムテープで補強したんだよ……。跡も残らないようにはがせるものとはがせないものの二種類を使ってな……。

 屋上と同じ白い色のガムテープを使ったことでカモフラージュにもなった。

 これぞ一石二鳥。

 俺は大人から見ればまだ子供だし、金もないから大規模な仕掛けも準備できなかったが、その代わり、少なくとも大人より柔軟な発想をすることはできた。

「たかが子供のやること」だからってあまり舐めていてはいけない。

 ……。

 子供のやることだからどこかに必ず穴があるなんて考えは、一体、いつの時代からあるんだろうな。

 

 

「相手が嫌だと思ったらいじめ」という名言がある。迷言というべきだろう。

 この理屈だと中川達は今いじめられていることになるわけだ。

 気の毒に思ってはいけない。

 いや、そんなこともない。何を思おうと自由だ。

 あくまで一意見として俺は思う。

 因果応報だ、と。

 遠藤をいじめるのは楽しそうだったな。

 世間にいじめられるのは楽しいか、中川?××?

 

 

 その後一週間ほど、中川ファミリーの大半は学校を無断欠席した。

 ほとぼりが冷めるのを待ったのだろう。マスコミに住所を特定されるのを避けたのかもしれない。

 ただ一人、××だけは、それから二度と学校に来ることは無かった。

 県外に転校していったという話だ。

 こことは違う土地で新たな人生を歩み始めてくれるといい。

 一度の失敗くらいでそう簡単に人生は終わらないっての。

 挫折も恥ずべき過去も、長~い一生の中ではほんの小さなものだ。

 いい経験したな、××。

 お前は二度とこの失敗を繰り返さない。誓ってもいいぞ。

 遠藤はその次の日から学校に来ていたが、校門付近で毎日「神子柴神楽に心当たりはあるか」と取材されるらしく、その対応に疲れているようだった。

 それでも、遠藤にとってはうれしい悲鳴だろう。

 待ちに待った平和がついに訪れたのだから。

 南は遠藤に泣いて謝っていた。

「いいよ。謝ってくれたし」

 そう言って南の手を取った遠藤の優しい微笑みを俺は忘れない。

 なぜだかわからないが。

 俺にはどうしても、理解できなかった。

 友情ってなんだろうか。

 

 

 

 ……これで終わりならよかったのにな。

 惨劇(さんげき)の舞台はまだ幕を閉じようとはしなかった。

 これは始まりだった。

 (みにく)(みにく)内輪揉(うちわも)めの、始まりだったのだ。




これにて第一章が完結しました。

今後この物語は、作者の受験勉強の本格化に伴い、更新が滞ることが予想されます。
もしかして楽しみにしててくれた方、ごめんよ……。
ちなみにストーリーはまだ三分の一も進んでないんだよな……。

一応、ここまで物語を作ってきたうえで参考にした文献を紹介しておきます。

いじめ 心の中がのぞけたら―漫画 明日がくる 本山理咲
いじめ 心の中がのぞけたら2―漫画 明日がくる 本山理咲
いじめ 心の中がのぞけたら3―漫画 明日がくる 本山理咲


それではまた、作品の前書きか後書きでお会いしましょう。
できれば早いうちにね!
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