ハリー・ポッターと金銀の少女   作:Riena

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28.賢者の石

『クィディッチ、グリフィンドールの完全勝利!!』

『最高のシーカー、ハリー!!』

 

 談話室に飾られた大きな垂れ幕。そこにはでかでかとその文字が書かれていた。

 今日の試合はグリフィンドール対ハッフルパフ。セブルスの審判に、好青年セドリック・ディゴリーがシーカーというハンデを持ちながら試合に挑んだのだが、そんな心配を余所に、ハリーが最速でスニッチを取ったらしい。らしいというのは私が観戦に行っていないからであって、その間に闇祓い局でひと汗かいてきたというのはフィナ達には内緒の話である。

 

 それはさておき。

 

「ハリー、凄かったぜ!」

「君は世界一のシーカーさ!」

 

 おかげでハリーの周りは人で溢れかえり、背があまり高くないハリーはうもれて見えなくなっていた。

 そういう私はと言うと、過度な運動を禁止されている、という口実で人混みから逃げ、一人隅の方のソファでその様子を見ていた。双子はもちろん、フィナもリーもハリーの周りにいるため、隣には誰も居ない。ふと、誰かが私に声をかけた。

 

「ちょっといいかな……」

 

 ネビルだった。私は緊張している彼に微笑みかける。

 

「何か、私に御用でしょうか?」

「そ、その……スネイプ先生から頼まれたんだ」

 

 そう言うとネビルは私に小包を渡してきた。

 

「これは?」

「中身は教えてくれなかったんだけど……スタージェントさんに渡しておいてって」

「そうですか。ありがとうございます。ロングボトム」

「僕のことはネビルでいいよ」

「では、ネビル。私のこともシエルで大丈夫ですよ」

「じゃあ、シエル!」

 

 ぱあっと顔を明るくしてネビルはまたねと言った。

 ネビルが去ると、私はセブルスからの小包みを開き、中身を確認した。すると、小瓶と紙が一つずつ入っている。

 

 『明日の放課後、私の自室に来る様に』

 

 紙にはそう書いてあり、瓶の中には銀色の液体が入っていた。

 蓋を開け、匂いを嗅ぐと、明らかに生臭い匂いがした。ついでに少量を手に取り指になじませてみる。

 ユニコーンの血だった。

 そっと瓶をポケットにしまった。手についた血は魔法で落とす。

 

 たしか、ハリー達が森に行くのはもう少し後のはずだ。その前にセブルスが気づいていたということなのだろうか。原作外の話だから、全く行動が読めないな。

 万能ではない自分の能力に不満を漏らしながらも、私は思考を巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の放課後。私はセブルスの自室の戸を叩いた。

 

「失礼します。シエル・スタージェントです」

「入りたまえ」

 

 扉を開けると、セブルスは宿題のチェックをしている様だった。

 

「取り敢えず、座りなさい」

 

 言われた通り目の前にあった椅子に座り、セブルスを見る。すると、コップが私の目の前に浮いて来た。

 

「紅茶だ。長くなるかもしれん。飲むといい」

「ありがとうございます」

 

 いつもより口数の少ないセブルスに少し違和感を持ちながらも、私は紅茶を飲んだ。ハーブティーの香りが鼻からふわりと抜ける。その余韻に浸っていると、セブルスがやっと本題に入った。

 

「ロングボトムから例の物は受け取ったか?」

「はい」

「では、瓶の中身が何か分かったか?」

「ユニコーンの血ですね?」

「ふむ。先週、禁じられた森でたまたま見つけたものだ。まだ死体は見つけていないが、森の奥でこの血を見つけた」

「厄介ですね……ユニコーンが襲われるなんて。永遠の命と引き換えに永遠の呪いだなんて、笑えませんよ?」

「その口振りだと犯人が誰か分かっている様にも聞こえるが?」

「そう言うセブルスこそ、目星はついているのでしょう?」

 

 数秒間の無言・無表情の戦いの後、折れたのは意外にもセブルスだった。

 

「吾輩が思うに犯人は『例のあの人』だ」

「……ヴォルデモートですか? 冗談はよして下さい。彼は死にました。殺した英雄がこの学校にはいるじゃないですか」

 

 心笑瑠(転生者)としてヴォルデモートが生きていることはもちろん知っている。しかし、それは私が転生者であることを知られるのはまずい。私は演技をしていた。

 

「吾輩は冗談は言わん」

「確かにそうですね……では、ヴォルデモートが生きているということを前提で話を進めましょう。彼が狙っているものはなんですか?」

「永遠の命だ」

「そうではなくて、ホグワーツの近くにいる理由はなんですか? 何か狙っているものがあるのでしょう?」

「…」

 

 セブルスは私の問いに黙り込んでしまった。しかし、少しするとその口が開く。

 

「『賢者の石』」

「何ですって? ヴォルデモートに『賢者の石』だなんて。これは絵本か何かですか? 戯言も大概にして下さい」

「そう思われても仕方がない……しかし、これは校長からの伝言なのだ」

「ダンブルドアさまから?」

「うむ……」

 

 セブルスは頷くと、何も言わずに私の目を見た。

 

「何が望みですか?」

「……一緒に()()()()を守って欲しいのだ」

「賢者の石じゃなくて、ポッターを?」

「そうだ」

「……セブルスはポッターが憎いのではなかったですか?」

「憎い……が、吾輩が亡き彼女のためにできるのはこれくらいしかないのだ」

「真っ白ですね。貴方は」

 

 独り言の様につぶやくセブルス。私はその純粋さについ言葉が出てしまった。

 

「それで、お願いできるか?」

「分かりました。では、具体的に何をすればいいのですか?」

「それがだな……」

 

 セブルスとの話し合いの結果、ハリーの監視をする、二日に一度森に偵察をする、週一で情報交換をする、などが決まった。

 

「取り敢えず、今日はもういい。また明日からだ」

「分かりました。では、失礼します」

 

 セブルスの自室から出ると、クィレルが目の前にいた。

 

「お、おや、君は、み、ミス・スタージェントじゃなないですか。こ、こんな時間に、と、特別授業ですか?」

「はい、そうです。先生はなぜここに?」

「い、いえ、少し、スネイプ先生と、お話が」

「そうですか。では、私はこれで」

 

 私は背中に敵意の視線を浴びながら、その場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日から、ハリーの監視兼護衛をしつつも、授業を難なくこなし、二日に一度森に偵察にも行き、なんの異常もなく一週間が過ぎた。

 強いて言えば、クィレルの後頭部の寄生虫がよく私に敵意を向けて来るが、別に無視をしておけばいいので、差ほど問題ではない。

 けれど私はヴォルデモートが現れることに少し期待を持ち始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ハリー達はシエルの監視に気づくことなく、日常を過ごしていた。

 

 クィディッチの日にクィレルがスネイプに脅されているのを見てから、ニコラス・フラメルの『賢者の石』が学校に隠されていることを知った彼らは、スネイプがクィレルに少しでも抵抗し続けられる様に、クィレルに対する態度を変えた。

 しかし、それも長くは続かず、試験に向けての大量の宿題などに追われる日々。

 しかもそんな時にハグリッドがドラゴンなんかを飼い始めるのだから、忙しいどころではなかった。結局ドラゴンはロンのお兄さんが預かってくれることになり、土曜日の零時にドラゴンを運び出せばいい。

 しかし、そうも簡単にはいかなかった。

 

「信じられません! 貴方達は一体何をしていたんですか!」

 

 マクゴナガル先生は強い口調に僕たちはびくりとした。あの時、マントを持って来るのを忘れなければ――

 

「一晩で四人もベッドを抜け出したなんて、あきれかえったことです。どんな事情があっても、夜に抜け出していい理由にはなりませんよ! グリフィンドールから五十点減点です!」

「五十点?!」

「一人、五十点です!」

「そ、そんな……」

 

 合計一五○点の減点。

 折角クィディッチで得たリードをたった一晩で水の泡にしてしまった。その日からハリーは一番の人気者から一番の嫌われ者になってしまった。

 

 ――処罰は夜の11時からだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここ最近のハリーたちの様子を見ていると、喜怒哀楽が激しい様だった。全ては一五○点の減点が理由なのだが、寮杯などにあまり興味のない私は彼らに対する態度を変えることはなかった。というか、ここの学校の生徒たちは精神年齢が低すぎるだろう。好き嫌いがはっきりし過ぎだ。そんなことを心笑瑠目線で思いながらも、私は彼らの行動を監視続けた。

 

 その日の夜は、私が森へ偵察に行く日だったため、私はいつも通り森へ向かっていた。ハグリッドの家の前を通り過ぎようとして、彼がそわそわとドアの前に立っているところがみえた。

 しばらく見ていると、フィルチが生徒を四人連れてこちらへと向かってきた。あれは、ハリー、ハーマイオニー、ネビル、ドラコだ。

 

「もう時間だ。遅かったぞフィルチ。ここからは俺が引き取る」

「あんまり仲良くされても困るねぇ。夜明けにはこいつらの残ってるところを引き取りに戻って来るよ」

 

 フィルチが校舎の方へ歩いて行く。ドラコがまだブツブツと言っている様だったが、少しすると、ハグリッドを含めた五人とファングが森の方へ向かって行った。

 

「仕事と行きますか……」

 

 私も彼らに続いた。

 

 森に入ると、ハグリッドは今日やる、傷ついたユニコーン探しを説明し、グループ分けをした。ハグリッドとハリーとハーマイオニー、ファングとネビルとドラコという分け方だ。もちろん私はハリー達のグループについて行った。

 

 少し歩くといつもは聞こえない物音が聞こえ木陰に隠れた。

 また少し歩くとケンタウロスに出会い『火星が明るい』と予言をされた。彼らの言う意味は人間には計り知れないが、私が森に行くといつも『星が明るい』と言われる。今日はきっと『危険が訪れる』などの意味に近いだろう。

 そんなことを考えていると、ふと、赤い火花が空に打ち上げられた。ファンググループからの危険信号だ。

 

「お前さんたちはちょっと待っとれ。すぐに戻る」

 

 ハグリッドはそう言うとハリー達を置いて、火花が放たれた方向へと走って行く。ハリーたちの顔は恐怖で蒼白になっていた。

 少ししてハグリッドが二人とファングを連れ戻って来ると二人に怪我はなく、ドラコがネビルを脅かしたため誤って火花を打ち上げただけだった。

 そんなことが起こらないよう、ハグリッドとハーマイオニーとネビル、ファングとハリーとドラコに分け直し、ユニコーン探しを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから2、30分歩き、さらに森の奥へと足を進めた。ユニコーンの血もどんどんと濃くなり、暗黒なる気配も少しずつ近づいているのを感じた。もう少し歩くと、開けたところが見え巨大な樫の木がそびえ立っていた。そしてその下には――

 

「ヴォルデモート……」

 

 ハリー達の視線はユニコーンに向いていたが、私はマントを着た影、ヴォルデモートを睨みつけていた。

 

「ぎゃあぁぁァァ!!!!!」

 

 叫び声とともにドラコが逃げ出した。ファングもすごい勢いで吠えながらその後をついて行く。

 ハリーとヴォルデモートの視線が交わり前者へ後者へと近づいた。ハリーは額を抑え、微動だにしない。

 私は杖を向け呪文を唱えた。

 

((エクスパルソ(爆破)!))

 

 私の呪文が当たると同時に頭上からケンタウロスが飛び出してきた。ケンタウロスはハリーを庇うように立ち、ヴォルデモートを睨みつける。

 

 ヴォルデモートは呪文が当たった右腕を押さえ、影のように立ち去った。しばらくすると、見えなくなる。

 

「怪我はないかい?」

「うん、ありがとう……あれは何だったの?」

「ポッター家の子だね? ハグリッドの元へ早く戻った方がいい。君は特にだが……森は危険だ。私に乗ってくれ。その方が速いだろう」

 

 フィレンツェと名乗ったケンタウロスは、そう言うとハリーを背中に乗せた。すると、私の方を見て、「君も今日は帰った方がいい」と口パクで言った。私は頷くと転移カードを使い部屋に戻る。精神的に疲れた私はシャワーを浴びるとすぐに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日からクィレルは、ヴォルデモートは私に向ける敵意を殺意に変え、出会う度に減点をするようになった。しかし、その減点以上の加点をしていたため、あまり意味はない。

 それはそうと、試験が始まった。真夏のような暑さに耐えながら、試験を受ける。魔法カイロの理論を反対にして、魔法保冷剤を作りフィナ達にプレゼントしたらとても喜んでいた。

 テストの内容はシエル的には退屈なものだった。なにせ、習ったことがそのまま出るだけなのだ。

 筆記では時間が余り、空いているスペースに各問題に対する考察などを書いて暇を潰し、実技は言われた通りのことを行った。魔法薬学のテストでは忘れ薬を作っていたらたまたま思い出し薬になってしまったため、減点されたかもしれない。

 まあそんなこんなで、試験が終わり学校全体が解放感に包まれた。

 ふと、視界の隅でハリー達が寮から飛び出して行くのが見えた。

 

 決戦は今日か。

 

 私はフィナに適当な都合を言い寮を抜け出すと、四階の立ち入り禁止の場所へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの老いぼれが帰って来る前にさっさと終らせるぞ、クィレル』

「はい。勿論でございます」

 

 皺がれた、人に恐怖を覚えさせるような声が四階の立ち入り禁止の場所で響いた。クィレルはそのドアを開き中へと入る。

 すると、すぐにケルベロスがクィレルに向かってきた。慌てるクィレルに"声"が冷静に指示を出す。

 

『計画通りだ。ハープを出せ』

「は、はい」

 

 クィレルが杖を一振りすると、ハープが現れる。勢いよく向かってこようとしていたケルベロスはぐうぐうと眠り始めた。

 

『次だ。その仕掛け扉の中に入れ』

 

 ケルベロスの手をどかし、仕掛け扉を開き、飛び込む。

 次は何かつるのようなものがクィレルにぐるぐると巻きついた。

 

『これは悪魔の罠だ! 火を出せ』

「い、インセンディオ(燃えろ)!」

 

 少し焦げた服をパタパタとしながら次の部屋に入る。今度は羽の生えた大量の鍵が飛び回っていた。真ん中に箒が置かれている。

 

「ご主人様、わ、私はその……箒に、の、乗れません」

『なんだと?! この役立たずめ。取り敢えずその扉と同じ色の大きな鍵を探せ!』

「は、はい! ありました。あれです!」

『では、それに向かってフリペンドしろ!』

フリペンド(撃て)!」

 

 鍵の右羽に呪文が当たると、フラフラと鍵が落ちてきた。それをキャッチすると鍵穴に差し込む。ガチャリという音と共に扉が開いた。

 次の部屋はチェスの部屋だった。

 

「どうやら、勝たなければいけないようですが……」

『相変わらず、マクゴナガルはゲーム好きのようだな……よし、破壊しろ』

「え? ですが、ご、ご主人様、これは勝たなければ……」

『時間がない。早くやれ』

「こ、コンフリンゴ(爆発)レダクト(粉々)!」

 

 駒達が爆発し、粉々になり、その間をクィレルは走り抜けた。次の部屋への扉を開く。その扉を閉じた時にはチェスの駒達は元通りになっていた。

 

「ヴォロブバァー!!」

 

 扉を開くと、咆哮と共にトロールが襲いかかる。

 

『これはお前の仕掛けだろう。とっとと殺れ』

「もちろんです。プロデュス(造れ)! オパグノ(襲え)!」

 

 クィレルの呪文で棍棒が現れ、それがトロールの頭を鈍い音を立てながら襲う。数秒後には頭のこぶは血だらけになり、気絶したようだった。

 

『最後はスネイプの仕掛けか?』

「そ、その様です」

 

 扉を開くと、七つの瓶と巻き紙が置かれたテーブルが一つ。

 

『どうやら論理のようだ。あいつらしいな……』

「一体、どう解けばいいでしょうか?」

『安心しろ、こういうのは俺の得意分野だ』

 

 "声"はそう言うとたった数秒でその論理を問いた。

 

『どうやら、一番小さな瓶が次の部屋へ行ける薬が入っているようだ。あいつが来られる様に一人分は残しておけ、いいな?』

「はい……」

 

 クィレルは体の芯からひんやりとするのを感じた。しかし、逆らえる筈もなく炎の中に飛び込む。目を開くと、そこには大きな鏡、そして…

 

「遅かったですね、ヴォルデモート」

 

 銀髪碧眼の少女が微笑みながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なぜ、こんなところにいるのですか? み、ミス・スタージェント。今は、べ、ベッドにはいる時間ですよ。グリフィンドールは……」

「すみませんが、少し黙っていただけますか? 私が話したいのは貴方ではなく、ヴォルデモートです」

 

 少女、シエルは減点と言われる前にクィレルの言葉を遮った。

 

「な、何のことかね……『例のあの()()』がこ、こんなところにいる筈が」

シレンシオ(黙れ)

 

 鬱陶しくなったシエルは、彼の声が出ない様にする。

 

「これで、やっと話ができますね、ヴォルデモート」

『小癪な娘だ……お前の母親にそっくりだな』

「すみませんが、私は母のことをよく知らないのです」

『そうか。お前は……まあいい、世間話は終わりだ。俺が欲しいのは『賢者の石』だ。それ以下でも以上でもない』

 

 有無を言わせない様子でヴォルデモートはそう言う。しかし、シエルはそこで引く気はなかった。

 

「では、取引をしましょう。貴方が欲しいのは『賢者の石』。私の任務はポッターを守ること。それならは、ポッターに賢者の石を取らせた後、貴方はポッターに一切手は出さず、『賢者の石』をポッターから貰った私は貴方に渡す。双方にいい話でしょう?」

『ふざけるな! 貴様の話になど乗るか!』

「それでこそ闇の帝王。もし、ポッターの身に何かあれば……おっと、そろそろ彼が来る様ですね。それでは、私はこれで。フィニート(終われ)

 

 最後に私はクィレルにかけていた呪文を解くと、自分に目くらまし呪文をかけ、その場を去った。

 

 チェスの部屋まで戻ってくると、丁度ダンブルドアがロンに治癒呪文をかけているところだった。私は目くらまし呪文を解き、彼らの前に現れる。

 

「ダンブルドアさまは早くポッターの元へ。ここは私が引き受けます」

 

 いきなりの登場にハーマイオニーは驚いていたが、ダンブルドアは気づいていたのかあまり驚いてはいなかった。

 

「それでは、頼むぞシエル。手当てを済ませたらポピーの元へ行く様に」

「はい」

 

 ダンブルドアがいなくなると、私はロンを魔法で持ち上げ、ハーマイオニーに声をかけた。

 

「ハーマイオニー、怪我はありませんか?」

「え、ええ。大丈夫よ。それより、ハリーは? 彼が心配だわ!!」

「安心して下さい。ダンブルドアさまは生徒を傷つける様なことは絶対にさせません。私たちは医務室で彼の帰りを待ちましょう」

「……分かったわ」

 

 渋々といった感じだったが、私たちは医務室へと向かった。

 何故がシエルがここにいるのだろうと考える前に、疲労に押しつぶされたのか、ハーマイオニーは医務室に着くなり眠ってしまった。

 それから数時間後。目覚めた時には彼女の疑問はさっぱりと消えてなくなっていた。

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