ハリー・ポッターと金銀の少女   作:Riena

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7.任務

 周りにいるのはホグワーツの卒業生や大人たちばかりで、私のような子供は一人も見当たらなかった。それもそのはず、ここは闇祓い本部の適性検査場なのだ。子供が居ていい場所ではない。だが私はそこにいた。

 

「シエル!」

 

 突然、自分の名前を呼ばれ、私は振り向いた。

 

「ソード。来てくれたのですね」

 

 ソードが叫んだせいか、私の年齢のせいか、どうやら随分注目されているみたいだ。私は綺麗な笑顔を作って、ソードに応えることにした。しかし、ソードは

 

「何その気持ちの悪い笑顔は」

 

 全く空気を読んではくれないようだった。

 

「……見られてるんですよ!!」

 

 小声でそう言うと、ソードは納得したような顔をした。

 

「それで、今日は復職届けを、局長へ出しに行くんじゃなかったのですか?」

「それなんだけど、局長がオフィスにいなくてね……」

 

 丁度その時、局長が集まっていた野次馬たちの間を縫いながら、私たちのところへたどり着いた。

 

「これは、()()()()()()()殿、確か検査は今日でしたな。それとソード、お前は復職届けを出しに来たのか?」

「ええ、そうです」

「はい、そうですよ」

 

 二人重なった声に、局長は苦笑した。

 

「本当に仲がよろしい。スタージェント殿が合格されたら、間違いなくペアになりますな。おっと、もうこんな時間か。では、また後程」

 

 そう言うと、局長は同じように戻っていった。

 すると、周りの人達がざわめき始める。

 おっと不味い。私の正体がバレてしまったでは無いか。

 すぐさま私はマントのフードを被り、ソードは目くらましの術をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして、検査が開始された。当たり前だが、とても厳しい検査だった。とっても。

 

「ソード、よくあなたは合格できましたね」

「ふふ、これでも私はホグワーツで学年3位よ。甘く見ないで頂戴」

「それは絶対嘘」

「ええまあ、ざっと10位は上乗せしたわ」

 

 さらっと嘘をつき、また、悪びれもせずにウィンクまでしてくる。

 私は大きくため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。私は無事、合格発表の日を迎えた。

 

「シエル、オメデトー」

「ソード、アリガトー」

 

 驚きの結果に思わずカタコトになっていると、局長から声が掛かった。

 

「もっと喜びたまえ諸君。スタージェント殿()()なのだぞ、合格したのは。去年はいなかったしな」

 

 そう、数十人が検査したのにもかかわらず、合格者はたった一人、私だけだったのだ。局長に聞けば、そうとうギリギリ合格らしいが。

 

(合格者のいない年もいるってホントなんだ……)

 

 こうして私は無事、正式な訓練を受けられるようになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早いわね」

 

 初任務の日。集合場所でソードを待っていると、しばらくして声がかかった。

 

「ソード、遅かったわね」

「それじゃあ、早速行きましょうか。姿現しの経験は?」

「屋敷しもべのなら」

「それなら大丈夫ね。手を」

 

 ソードが手に私は自分の手を重ねた。

 

 2人が消える直前、シエルのペンダントが光った。

 

 ――ふっ、 ははっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場に着くと、錆びた鉄の様な臭いが、2人の鼻をついた。

 

「なに、これ……」

「人間の血ね」

 

目の前に広がる、真っ赤な池。所々、人と言う名の黒い島が浮いている。訓練時に何度か血を見て慣れていたシエルだったが、さすがにひどい有様だった。ソードも動揺を隠しきれない様子。

 

「随分派手に殺ったみたいですね」

「それにしても酷いわ……」

スコージファイ(清めよ)テルジオ(拭え)

 

 シエルは呪文を唱えそこを片付けた。繋がった人体は見る見るうちに女性へと変わり、血の池のあった場所には、きれいな刺繍の施された絨毯が浮び上がった。辺りにあった、布を女性の顔にかけたのは、一応の配慮か。

 

「マグル? いや、半純血ですかね……にしては襲うものが」

「シエル。きっとこれが狙いだわ」

 

 そう言って、ソードは箱を取り出した。

 

「中は?」

「空っぽよ」

「中身を盗んだという訳ですね」

「最近、泥棒が増えているって噂、ホントみたいね」

 

 簡単に行き着いてしまった答えに、少し違和感を覚える。

 

「どうかしたの?」

「いや、なんて言うか。ただの泥棒がここまでするのかな、と」

「確かにそうね……けれど、愉快犯かもしれないし、こうして何か盗まれているわけだから」

「そうなのだけど」

「まあ、犯人を捕まえてみれば分かるわ。アパレ・ヴェスティジアム(現れよ)

 

 ソードの呪文で犯人の足跡などが現れる。

 

「ここで姿くらましをして、それから……」

「漏れ鍋ね」

「それじゃ、さっさと終わらせましょう」

 

 そう言って、2人は姿くらましをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 漏れ鍋に着くと、早速ターゲットを発見した。適当な席に座り、頼む。

 ターゲットとの距離は約6メートル。

 シエルとソードは目配せをすると、シエルは立ち上がった。少しずつ、ターゲットに近づいて行く。あと、1メートル……数センチ……

 

「あっ」

 

 あたかも過って躓いたかのようにして、相手の注意を削ぐ。そして、相手の意識外にいるソードが相手を確保する。

 

 はずだった。

 

 シュバッ――

 

 グルグルと視界が回る。これは、姿現しだ。

 次の瞬間、たどり着いた場所は魔法省だった。

 

 素早く頭を回し、杖を出す。だが、人混みだと言うことに気がつき、一瞬躊躇ってしまった。

 その一瞬に呪文が飛ぶ。

 

エクスペリアームス(武器よ去れ)

「はっ!!」

 

 避けようとしたが、間に合わない。

 杖が体ごと吹き飛んだ。

 人に使う時は威力を抑えるんだぞ!!

 

モリアーレ(緩めよ)!!」

 

 後ろから呪文が聞こえ、床とシエルの間に見えないクッションができる。視界の中に敵が杖を上げるのが見えた。私ではない、標的はソードだ。

 

「ソード!!」

 

 その言葉で意思疎通し、ソードが伏せる。間一髪だった。周りの人々は、悲鳴を上げて逃げ出し、たまたま居た闇祓い達は、速やかに参戦する。

 

ステューピファイ(麻痺せよ)

コンフリンゴ(爆発せよ)

フリペンド(撃て)

 

プロテゴ・マキシマ(護れ)

 

 呪文が、閃光が、飛び交う。1対複数人。いくら、腕が良くても、人数で負けてしまう。

 勝てる……そう油断した時、ターゲットの援護が到着した。

 集まった闇祓い達がみな、息を呑む。援護に来たのは………

 

 

 

 

 

 

 

 死喰い人(デスイーター)の集団だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 呪文が行き交うその場所で、私は焦りを感じていた。

 騒ぎを聞きつけ、徐々に闇祓いが増えているが、それと同時に戦闘不能者も出ている。対する死喰い人は、数は少ないが腕は確かだ。

 

 ――全滅――

 

 そうなるまであと、どれくらいの時間が残されているか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇祓いで残っているのは、シエルとソードを合わせて6人だけとなってしまった。その他は、命を落とした者こそいないが、全員が重傷だ。しかも、6人ともに、体力、魔力も限界を越えようとしている。

 

エクスペリアームス(武器よ去れ)

 

 先程まで無言呪文を使っていた一人の死喰い人が、呪文を声に出した。どうやら、相手も余裕がなくなって来たらしい。と、思ったのもつかの間。

 

インペディメンタ(妨害せよ)

「きゃっ!?」

「ソード! プロ…デパルソ(退け)!!」

 

 シエルはとっさに守ろうとするが、前方から来た死喰い人に応戦するのに精一杯。

 不味い、このままじゃソードがやられてしまう。どうする。どうする! 援護を呼びに行けない。誰か、誰か助けて……。

 

 

 次々と襲いかかる死喰い人。

 今にも殺される寸前であるソード。

 周りに倒れる闇祓い達。

 味方の血に汚れる杖。

 真っ赤な血。血。血。血。

 

 

――ペンダントが深紅に染まっていく。

 

 

 視界が眩み、胸の辺りが熱くなる。そして次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディフィンド(切り裂け)!!!!」

 

 視界の全てが紅く染まった。

 




本来この時代の魔法大臣はミリセント・バグノールドですがこの作品ではコーネリウス・オズワルド・ファッジが大臣にしました。
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