ハリー・ポッターと金銀の少女 作:Riena
ホグワーツの校長室でダンブルドアは1人、額に汗を滲ませていた。
そろそろなのだ。あと少し、もう少しで。
一つの肖像画が叫んだ。
「ダンブルドア! 魔法省に
その言葉を合図に、ダンブルドアはすぐさま魔法省へ姿現しをした。
いつもと違い、人気がなく
「遅いぞ、若いの。私を待たせるな」
"ソレ"がダンブルドアに声をかけた。どこか懐かしい声。だが、あの時とは少し違う。ダンブルドアは、少し顔を引きつらせながら答えた。
「うむ。こんなにも早く出て来るとはのう。儂も予想外じゃった」
「まあ、そうだろう。私もこんなに早く事を成せるとは思わなかった。それにしても若いのも少しは成長したな」
「そう言うあなたは、変わらないのう。あの時のままじゃ…」
ダンブルドアを『若いの』と呼ぶ"ソレ"は、ダンブルドアより年上と判断するには大分無理があった。
銀髪碧眼。深紅のペンダントを身に付けた少女。シエル・スタージェントがそこにいた。
「一体、何が望みじゃ?」
単刀直入に聞くわしに、"ソレ"は答えた。
「若いの、忘れたとは言わせんぞ。私は随分待った」
そうだ。わしは、"ソレ"に聞かずとも分かっていた。だが、認めたく無い。
"ソレ"が望むのはただ一つ。それは、大いなる力だ。全てを支配する権力、魔法力、そしてわしが持つ
「済まんが
そう言って見つめた先には少女がいた。
「この子だけではあるまいよ。他にも多くの守るべきものができたのじゃ。もう、あの時のようなことは絶対に起こさない」
「守るべき? ふっ、笑わせてくれる。お前が守るなど無理だ。守るのでは無く、見捨てる。違うか? あの時もそうやって見捨てた。一ミリも躊躇うことなく、な」
ダンブルドアは口を噤んでしまった。
あの時、彼女に手を差し伸べていれば、こんなにも後悔することはなかった。彼女も、親友も、アリアナも……。
「……若いの。私はお前と戦う意思は無いのだ。もし拒否をしたら、どうなるかは分かっているだろう? そして何より、
「そう、じゃ……じゃが、なぜあなたはこれだけの人を殺したのじゃ?」
わしは、足元にある大量の死体と、血を見た。わしを呼び出す
「……私が殺した? 若いの
「な、んと……今、何と?」
「もう一度言わせるのか?
「あり得ない、そんな事は絶対……この子がこんな事を
そこで、ダンブルドアはハッとした。
「できないこともない。そうだろう? この子はスタージェント当主。生まれつき魔法力は膨大なはずだ。しかもこの子は……っとこれはこの子のために秘密にしておこうか。とにかく、私では無いのだ。
………そろそろタイムオーバーだ。闇祓いが来たら厄介だしな。どうするか決めろ、
「分かった……もう少し時間が欲しい。わしの守るべきものを守り抜けた時、儂があなたを呼ぶ。それまであなたは、眠っている……それでどうじゃ?」
「ふんっ。お前はいつも抜け道を見つける……分かった。だが一つ、この子が
「うむ、分かった」
「ではな、若いの」
少女の胸にあった深紅のペンダントが消えると同時に、少女は崩れ落ちた。体には無数の傷。きっと自分の魔法にやられたのだろう。
「シエル……なぜ
少女からの返事は無い。
もう少しで到着するだろう闇祓い達は、きっとシエルをアズカバン送りにするだろう。まだ8歳の少女を
考えが甘かったのだ。少女をスタージェント家の当主にし、過酷な場所に置くことで“アレ”を出す。彼女の父親との約束も同時に守る。
全て上手くいったはずだった。なのに、どうして、こんなことを。
ダンブルドアは血塗れの少女を抱きしめた。
徐々に闇祓いたちの足音が近づいてくる――