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ビーストØ/ D(ディスペア)
それは世界を救った。星を救った。未来を救った。本来であればその功績から、死後、救世主を象徴する新たな英雄として登録されるはずであった。
『救う』という概念を突き詰めた存在は、しかしとある魔術師にその英霊としての可能性を無理矢理引きずり出されようとした結果、反転して顕現した。救世主の反転体は獣であり、本来全てを救うために振るわれる力は、全てを滅ぼすために振るわれる。
ステータス
筋力 ? 耐久 ?
敏捷 ? 魔力 EX
幸運 ? 宝具 ?
身長:158センチ~ 体重:49キロ~
出典:Fate/Grand Order
地域:人理継続保障機関カルデア
性別:女性 属性:混沌・悪
自己改造により、現在把握されている最大規模の英霊のサイズまでの膨張が可能。
元々、獣としての可能性が零だった訳ではない。人知れず世界を救ったそれは、(本人は全く無害であるにも関わらず)危険視され迫害される宿命にあった。それに絶望し、自分を救おうとあがけば容易に獣へとなりうる。絶望しながらも諦めたが故に、それは救世主だったのである。則ち、救世主の皮を被った悲劇の獣。今回はその可能性を(結果的とはいえ)人為的に引きずり出されたに過ぎない。
救世主としても獣としても、『全ての英霊を従える』という性質は変わらない。故に振るう力は全て他の英霊のものであり、本人の攻撃力は一般の魔術師にすら劣る。身体能力も同様である。
今回の変生体は人為的かつ無理矢理なものであったため、本来顕現するであろう獣とはやや性質を異にする。
仮に彼女が自分の意志で獣に堕ちた場合、きちんと自我を有した状態のビーストが現れる。その場合の攻撃対象は『カルデア以外の世界』に限定され、決して他のサーヴァントやカルデア職員に危害を及ぼす存在にはならない。
〇無辜の怪物:EX
元々の魔力量は一般的な魔術師にも劣るが、『数多のサーヴァントを従えた』逸話ばかりが独り歩きした結果、カルデアの魔力炉に匹敵する魔力炉心を獲得。ステータスのうち魔力のみがEXなのはこのスキルが原因である。
〇単独顕現:E
単体で現世に現れるスキル。
彼女がビーストになるにはどうしても何らかの外的要因が必要であるために、ランクはかなり低い。
〇従える者:EX
固有スキル。救世主としてのスキルをそのまま持ってきている。
『全ての英霊を従える』という概念をスキル化したものであり、その恩恵として、『全ての英霊の宝具を使用する』ことが可能。ただし、一度に真名解放できる宝具は一つだけである。加えて神霊の宝具の一部(山脈震撼す明星の薪など)は本人の元々の属性が人であるため再現が物理的に不可能であり、対人魔剣などの奥義も十全には使えない。さらにビースト時には対悪宝具が使用できない。つまり、『いまは遙か理想の城』は使用不可。
〇黒の聖杯:A
聖杯の探索者、保管者である性質が反転したもの。本来なら正しい聖杯を正しく保管するそれが、汚染された聖杯の中身を惜しげも無く使用する厄災の実現者と化した。則ちそれは、聖杯の泥を纏う獣である。このスキルを発現させるため、ビースト化の材料には中身の入った聖杯が必須となる。
〇自己改造:EX
自身を改造するスキル。
先に述べた通り、本人の能力自体は普通の人間のそれそのものであり、簡易な魔術すら装備品に頼らねば発動できない。
よって全てを滅ぼさなければならない獣としての顕現時は、貧弱な自身の能力をブーストするため、他の英霊の特性を自身にコピーペーストすることでその一般人と同等の肉体を神に近いものまで作り変える。例えばそれは竜の魔力炉心であり、コルキスの魔女の魔術素養であり、叛逆者の耐久であり、探偵の思考パターンであり、ゴルゴンの末妹の筋力である。故に獣としての顕現時、ステータスはこのスキルのために魔力以外全て『?』となる。
ちなみに、救世主としての顕現時はこのスキルを好んで使わないため、ステータスはほとんどE表記となる。その時の戦闘能力は某この世全ての悪と同じくらい。つまり最弱。
〇ネガ・ビースト:A
救世主としての『獣を殺すスキル』。ビーストⅠを破壊したことによりこのスキルを得る。ビーストクラスに対する特攻及び特防状態、さらにビーストクラスが持つ全スキルに対しAランクの耐性を有する。
世界を救ったが故に、ただ一人『自分』のみを救うことができなくなってしまった救世主の成れの果て。本来の反転体は『自分が救われない』現実を覆すために『自分が救われない』世界を破壊しようとする。則ち、自分というたった一人の人類を救済しようとするのである。このため本来の獣は決してカルデアに危害を加えない。カルデアこそが彼女を受け入れてくれる唯一の居場所であったからだ。
しかし今回、反転の際の暴走により、彼女はカルデアすら分からなくなった。目に映るもの全てが破壊すべき世界であり、そこに彼女の自我は介在しない。最早見境なく全てを滅ぼす殺戮兵器である。
救った世界に見放されたという結末を受け入れた、否、諦めきったのが救世主としての彼女である。彼女は決して自分を救おうとしない。わずかでも自分を救おうとあがく獣としての彼女は、本来ならば存在しえない。彼女はそういう性質を持っていなかったし、救った世界を愛していた。
したがってこの獣の成り立ちは、本来有り得なかった存在を人為的に引きずり出されたという点からジャンヌ・ダルク・オルタのそれに非常に近い。ただし世界を恨まなかったジャンヌ・ダルクと異なり、彼女は絶望と憤りを封じることはできても捨てきることができていなかったので、この獣は全くの空想の産物とは言えない。
本来の攻撃対象は自分を捨てた世界、つまりカルデア以外の世界だが、今回の変生ではその制限は外れている。彼女はただ目についたものに対する最適解を最速で実行する殺戮者である。正確には、獣としての彼女の残留思念が受肉したものと言える。最早目的は無く、辿り着く未来も無い。
が、彼女自身、そこまでやっても自分を救うことはできない。そういう風にできていない。そもそも獣と化した時点で救われないことは決定している。――結局、守りたかったものを己が手で滅ぼしてしまうのだから。
それでも、何故救った世界に排斥されなければならないのか、何故救った人類に恐れられなければならないのか――何故自分だけ救われないのか。諦めきったつもりで、けれどその胸の奥深くに蟠っていた、絶望から生まれた『救われたい』という思いを無理矢理体現させられたもの。
聖人でも狂人でもなかった、一般人であったが故に捨てきることができなかったその願いを、最悪の形で引きずり出され歪められた被害者。
以上の惨劇を以て彼女のクラスは決定された。
人類最後のマスターなぞ偽りの名。
其は救った世界から閉め出された、最も多くの人類に裏切られた大災害。
その名をビーストØ/D。
七つの人類悪から逸脱した番外個体、『絶望』の理を持つ獣である。
ビーストØ/ H(ホープ)
それは世界を救った。星を救った。未来を救った。
けれどそのために、それは人間であることを諦めた。自身の生命を諦めた。救った世界で笑うことを諦めた。
――この個体は、とある並行世界で彼が辿った末路の一つ。
ステータス
筋力 ? 耐久 ?
敏捷 ? 魔力 ?
幸運 ? 宝具 EX
身長:172センチ~ 体重:63キロ~
出典:Fate/Grand Order
地域:終局特異点 冠位時間神殿ソロモン
性別:男性 属性:秩序・善
Ø/Dと同様、自己改造によって膨張する。
時間神殿で生まれ時間神殿で死んだ、『救世の獣』。
自分自身を救うことができない少女を救うため、運命共同体である彼が愉快型魔術礼装カレイドステッキを用いて引き出した可能性。ひいては、とある世界線において彼がグランドオーダー遂行のために変生した獣。この世界の彼は救世主にならなかったが、別の並行世界ではその役目を果たしていた。
無理矢理反転させられたのではなく自分の意志で変生した存在のため、Ø/Dと違い理性を有する。自身の内から発生する泥に常に汚染されながらも、決して目的を見失うことはない。
ビーストに対抗するだけならば同じビーストよりも救世主の方が適しているが、今回彼の救世主としての変生は不可能であった。それはこの世界線における彼が『救世主とならなかった方』の藤丸立香であり、彼と彼女はどちらかが眠りにつき、どちらかが世界を救うという概念の運命共同体だからである。よってセイヴァークラスとしての顕現は概念的に不可能――一つの並行世界につき、『グランドオーダーを遂行した救世主の藤丸立香』はどちらか一人しかいないのだ。逆に言えば、たとえ救世主の役割を果たせるとしても、ビーストクラスならばかろうじて顕現は可能である。
スキルはほぼØ/Dと同一のものを所持しているが、獣としての在り方が全く異なるため、Ø/Dとランクの異なる同一スキルや、固有スキルもいくつか存在する。
〇単独顕現:B
単独で現世に現れるスキル。
Ø/Dより高ランクであるのは、この獣が自分の意志で変生したからである。
〇黒の聖杯:A+
そもそもの成り立ちに泥の聖杯が使用されたため、こちらのスキルもØ/Dよりランクが高い。
また、こちらの獣は理性を有するため、このスキルがA+ランクの精神汚染スキルとしても作用する。それに耐えられるのは後述の対獣スキルの恩恵である。
〇従える者:EX
Ø/Dと全く同一、同ランクのスキル。
彼ら二人は元々運命共同体、たとえ行き着く先が異なれど、行き着く役割は同じである。
〇自己改造:EX
Ø/Dと全く同一、同ランクのスキル。
ただし、彼の敵は世界ではなく獣であるため、自己改造もそのために適した作用となる。
〇救世の獣:EX
世界を救った獣という、一見矛盾した存在としてのスキル。このスキルから、この獣は破壊ではなく救済を象徴する。
彼の戦った世界線では、ソロモン王の『訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの』発動後、ビーストⅠを英霊たちだけでは倒すことができなかった。令呪を使いきり、召喚した英霊たちは倒され、万策尽きた少年の手にあったのは、とあるこの世全ての悪が託した、汚染された聖杯。願いは一つ、『力が欲しい』。それだけだった。
汚染された聖杯に歪んだ方向で叶えられてしまった願いの結果、少年は救世主ではなく獣に変生し、ビーストⅠを打倒してみせた。しかし元には戻れない彼はそのまま崩壊する神殿に居残り、生き返った、神殿の出口で泣き叫ぶ後輩に別れを告げて自害した。自分が(たとえそのつもりが無くても)世界の排除対象になってしまったことを分かっていたのである。
〇ネガ・ビースト:A
『獣を殺す獣』としてのスキル。
ビーストⅠ打倒を成し遂げるために生まれた獣であるが故に、この状態の彼は自身も含めたビーストクラスに対し圧倒的性能を発揮。ビーストクラスに対する特攻及び特防状態、さらにビーストクラスが持つ全スキルに対しAランクの耐性を有する。
宝具『変生の時きたれり、其は世界を愛するもの』
種別:対獣宝具 レンジ:E~A++
ランク:EX 最大捕捉:一人
ロード・カルデアス。
本来はビーストⅠを打倒するために彼が作り出した宝具。ネガ・ビーストのスキルを宝具という形で瞬間的に超出力で発現させ、その効果は様々。また、発現する効果は自動的に『ビーストから何かを救うために最も適したもの』となり、その他の効果は現れない。それは獣を殺すだけに留まらず、彼の救いたいものを救う、ただその一点を追求した概念宝具。
ビーストⅠに対しては(とあるシールダーの影響か)『絶対防御(ダメージカット+防御力アップ)』、加えて『絶対破壊(自身に防御無視状態及び無敵貫通状態を付与+敵単体に超強力な[ビースト]特攻攻撃)』として、自身の対になるØ/Dに対しては彼自身や周囲の『絶対生存(リジェネ+ガッツ)』として、そして獣である自身に対しては――『絶対殺害(即死)』として。なお、もしこの状態でビーストⅡと戦闘した場合、この宝具は『絶対破壊』と『絶対殺害』、さらに『絶対抑制(ケイオスタイドの広がりを防ぐ)』の三つの効果。ビーストⅢ/Rに対しては、自身と周囲の『絶対耐性(精神異常無効)』の効果を現すと推測される。自分自身にすら特攻を発現するのは、彼自身の設定したセーフティである。
外見上は彼の使役していた英霊たちの宝具を模して発現することが多いが、その中身、本質は全く異なる。
その最終目的はただ一つ、『救済』である。
本当は生きて帰りたかった。
本当はまだ死にたくなかった。
けれど、何があっても救うのだと心に決めたのだから、この獣は止まらなかった。止まる訳にはいかなかった。
欲しかったものは大切な人たちの生きる未来。ただそれだけのために、その身を擲って。
世界を救うために、世界の敵となりながらもビーストⅠを打倒したもの。
その先で何もかも手放さなければならないと理解していながら、それでも愛する者の生きた世界を守ろうとした、救世主になり損ねた救世主。
以上の犠牲を以て彼のクラスは決定された。
人類最後のマスターなぞ偽りの名。
其は世界を救うために泥に沈んだ、人類を最も愛した大災害。
その名をビーストØ/H。
七つの人類悪から逸脱した番外個体、『希望』の理を持つ獣である。
なお、彼及び彼女を表す『Ø』は『Φ(空集合)』でもある。
藤丸立香
それは世界を救った。星を救った。未来を救った。その功績から英霊として成立した少女の一つの可能性。
『人類最後のマスター』、救世主である。
ステータス
筋力 E 耐久 E
敏捷 E 魔力 EX
幸運 C 宝具 EX
身長:158センチ 体重:49キロ
出典:Fate/Grand Order
地域:人理継続保障機関カルデア
性別:女性 属性:中立・善
全盛期はグランドオーダー遂行時であるため少女の姿で現界する。
この少女の場合、セイヴァークラスの他、ルーラー、キャスター、ランサーの適性を持つ。
人理焼却事件の発生した世界線、そこから派生したありとあらゆる並行世界の中の一つで世界を救った少女。
座に存在する英霊『藤丸立香』とは、彼女のみならず運命共同体の彼を含めた、ありとあらゆる並行世界の『人理焼却を(人のまま)防いだ藤丸立香』の集合体である。召喚される分霊は男のときも女のときもあるし、好んで使う宝具もそれぞれ違う。持ってくる記憶も微妙に異なる。
故に、可能性によってセイヴァー、ルーラー以外の適性クラスが異なっている。例えばルーン魔術を教わったとある可能性はキャスター、ファラオから下賜されたスフィンクス・ウェヘムメスウトを従えたとある可能性はライダー、神槍だの宝蔵院だのに槍を教わったとある可能性はランサー、といった風に、『藤丸立香』自体は理論上、基本七クラス全てに適性を持っている……のだが、本人は元一般人であり身体能力もその域を出ない上、ぶっちゃけどの分野での才能もないへっぽこであるため、基本七クラスでの召喚の場合非常に弱体化する。さらに『従える者』のランクがDまで落ち、後述の第一宝具も封印されるため、通常の聖杯戦争でこの英霊を召喚するのは全くの愚策と言える。
なおルーラークラスでも『従える者』のランクはB程度まで落ちる。彼/彼女は『救世主』にしかなれない存在なのである。
可能性によって多少の誤差はあるものの、最終的に得るスキルは(ランクの高低はあれど)同じである。
〇単独顕現:B
単独で現世に現れるスキル。
後述の第一宝具にて彼/彼女と接続したサーヴァントに対しても、Dランクの即死耐性などの形である程度の恩恵を与える。
〇無辜の怪物:EX
ビースト時と同一のスキル。
これにより、へっぽこ魔術師のそれであったはずの魔力量がカルデアの魔力炉と同等まで押し上げられている。が、悲しいかな有り余る魔力を自分で上手く使う才能が無いので、宝具使用やサーヴァントの使役以外にこの魔力の使い道はほとんど無い。
〇従える者:EX
固有スキルにして主力スキル。能力とそれに伴う制限はビースト時と全く同じ。
〇白の聖杯:A
彼/彼女は聖杯の探索者であり、保管者である。このスキルは聖杯関連限定で『直感』と酷似した効果を発揮し、また泥の聖杯をある程度だが浄化することもできる。
〇ネガ・ビースト:A
ビーストⅠを打倒した功績がスキル化したもの。能力はビーストØ/Hの同名スキルと同じである。
第一宝具『我が使命にて集えよ盟友』
種別:対界宝具 レンジ:E
ランク:EX 最大捕捉:六人
ロード・カルデアス。
英霊召喚を行い、サーヴァントを使役する宝具。多くのサーヴァントを使役した彼/彼女の人生が宝具に昇華されたもの。
召喚したことのある英霊なら同時に六人まで召喚可能。ただし疑似サーヴァントの召喚は不可能である。
第二宝具『愛と希望の物語』
種別:対記録宝具 レンジ:E
ランク:D 最大捕捉:不明
グランド・オーダー。
人理修復を成し遂げた彼/彼女の記録(記憶)そのもの。
ただそこにあるというだけで意味を持つ宝具。第一宝具による英霊召喚の際に触媒の役割を果たし、召喚されたサーヴァントにグランドオーダー時の記録を強制付与する効果を持つ。
本来起動どころか展開することすら不可能な、形の無い宝具である。他の魔術や宝具と併用することによって強制展開が可能だが、元より『使う』ことを想定していない宝具であるため多大なるリスクが存在する。加えて藤丸立香自身と切っても切り離せない関係にあることから、多くの場合、この宝具は展開と同時に彼/彼女自身の霊基ごと『消費』される。喩えるならば、別の魔術や宝具といった『溶媒』に、ある属性を付与するための『溶質』といったところであろう。
なお、疑似・憑依サーヴァントとしての召喚時にこの宝具を強制展開しても、依代自体はダメージを受けない。消滅するのは『英霊 藤丸立香』のみである。
正しく座に召された、この並行世界の藤丸立香。
生前決して救われることはないと諦めていたが、『守護者となり殺戮を行うか、獣となり殺戮を行うか』という選択からはエミヤオルタによって救い出され、それでもなお懸念材料だった死骸の獣はもう一人の藤丸立香とエミヤに食い止められ誰も殺せなかった。こうして死後齎らされた二つの救済のおかげで、彼女はビースト化の原因であった『救われないことへの憤り』を完全に克服。彼女は金輪際、獣になることはないだろう。
「――あらいらっしゃい、クー・フーリン。今日は一人なの?」
「おう。師匠は特例だったから今は連れてこれねえし、ディルとフィンは今回はいいってよ。フェルグスは女のとこで、余計な分霊作ってる暇無し」
「またそういう感じか……座でもそれってすごくない?」
「あ、いらっしゃいクー・フーリンさん」
「おうマシュの嬢ちゃん、邪魔してるぜ」
「マシュ大変だ、リツカが起きない!」
「またですか!? お父さんはすっこんでいてください、わたしがなんとかします! 先輩、せんぱーーーい! 朝ですよ、レムレムはお終いです!」
「またやってんのか……あっちのお前も大概よく寝るよな」
「まあそこはね、私は彼で彼は私だから」
「リツカ! 朝ご飯の献立は何でしょうか!」
「で、何で入り浸ってんだよこの騎士王様は……」
「ご飯が美味しいからに決まっています! というかアーチャーまで来るのに私が来ない訳ないでしょう! そっちこそなんですか光の御子、もうあなたが四人なんて摩訶不思議な現象もないのにわざわざキャスタークラスの分霊など」
「だーってこれだと『こっち』の嬢ちゃんの機嫌が良いんだもんよー」
「……うっそ」
「本人に自覚が無かったぜ」
「終わってますねこれ。いや始まってる……?」
「集合体だからって油断しすぎた……? この『私』の比重が原因なのかな。とりあえずちょっと別の『私』に交代して」
「その『リツカ』より確実にあなたのご飯の方が美味です! なので暫くあなたのままで!」
「……オレ、こっちに来る分霊増やしてみるかな」
「余計ややこしくなるから自重しようね?」
「おいお前ら、廊下を塞ぐな邪魔だ」
「「で、何でお前(あなた)は普通にオルタなんだよ(なんですか)!!」」
「なんか、あの人はこの『私』のときだといつもこっちを一緒に連れてきてくれるの。『私』としてはエミヤがいるの嬉しいから、いいんだけど」
「あの弓兵、分霊二個同時とか器用じゃね? やっぱオレもやろ。記録分割して入れたら面白いよなたぶん」
「……私も、やるべきでしょうか?」
「あなたがやるとシャレにならないよアルトリア」
時間の軸から外れた場所に、その観測所はあるという。
英霊であれば、誰もが分霊を訪れさせることのできる観測所があるという。
白銀の雪原に聳え立つ天文台。そこに行けば、薄紫の髪をした少女が出迎えるだろう。
そうして二人で一つの救世主が、青く輝く地球儀の下で待っている。
そこは人理継続保障機関、カルデア。
世界を救った少年少女が眠る、白き星見の館である。
終章 祈りの涯
「なあ、キャスターって呼んでくれねえの?」
「……本当に、今日の私がこの『私』じゃなかったらどうするつもりだったの。記録まで合わせてきて」
「直感ってやつだな。合わない訳ねェだろうよ、オレとお前だぜ?」
「………………キャスター」
「おう」
「キャスター」
「おうさ、どうしたマスター?」
「………………何でもないよ、ばか」