申し訳ない、二式大艇だ   作:さっちぇみー

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皆様はじめまして、初投稿です。ついでに小説も初。
メタルマンのSSがハーメルンで中々書かれないため我慢ができませんでした。
艦これを選んだ理由は6-3回っていたからです。
よろしければオリ主の混乱具合をご覧ください。
(括弧の使い方などは意図的です)

3/17 追記

3/18 追記
Z級への耐性がない場合、前半部分が拷問文章と化します
その場合は後半の博士登場~後書きか、1話を飛ばして2話に行っても問題ありません



第2次K作戦
申し訳ない、憑依転生だ


────ゴォォォォォォォォォォォォォォ

 

 

(なんだ、煩いな……どこかで工事でもしてるのか?)

 

 

 それは獣の遠吠えのようだった。

 ビリビリと肌がしびれた錯覚を受ける。

 どうやら寝ていたらしい俺が目覚めることになったのは、その音が原因らしい。

 

 

(いや、なんで俺は寝ていたんだ?)

 

 

 脳裏に浮かぶいくつもの疑問。

 だがしかし、それらの思考を吹っ飛ばすモノが、視界に入り込んできた。

 

 

(なんじゃこりゃぁ!?)

 

 

 思わず叫んでしまうのも無理は無かったと自己弁護したい。

 なんたって────

 

 

 

(お、俺は……空を飛んでいるッ!?)

 

 

 

 眼下には白い雲の小さな群れ。

 頭上には万物を焼き尽くす表面温度約6000℃の怪物、太陽がこちらを睨み付けていた。

 

 

 

 いや、どういうことだよ。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 疑問はいくつもあるが、とりあえず状況整理からはじめよう。

 気がついたら空にいた。

 ……だめだ、訳がわからなすぎて脳が働いてないぞ。

 まず、まずだ。大前提として、俺がなんでこんな、大空の旅をさせられているのかを考えよう。

 

 いや、わからんがな。

 

 うん、わからん。考えるだけ無駄だな!

 そもそも、俺は…………

 

 

 俺は?

 

 

 なにしてたっけ……

 

 

 

 

 ああ! 思い出したぞ。そうだ、博士が新しい実験に付き合ってくれと言って来たから、地下の実験施設に向かったんだ。そこで、胡散臭い表情の博士に2Pカラーヘルメットとボディスーツもどきを着せられて…………記憶はここで途切れてるな。

 まさか、睡眠薬で眠らされた挙句スカイダイビングでもさせられてるの? 俺は。

 そんなことは……ナイと言い切れないのが悔しいな、博士だし。

 スカイダイビング?

 そういえばそうか。俺は今空にいるんだよな、訳がわからないけど。

 ……妙なことに気がついたぞ。

 そいつは道路が車道と歩道から成り立っていて、歩道を歩いていれば車道を通る車が目に付くくらい、ちょっと気をつければわかることだ。

 

 

(俺、一向に落ちる気配がないな?)

 

 

 そう、俺は目覚めた高さから落下していないのだ。

 普通、地球上のものは重力によって地球の中心に引っ張られるものである。

 仮にも空中に俺自身がいるのであれば、落下を妨げる存在がいない状況下で、そのままの高度を保つことはありえない。

 念のために頭上を確認したが、パラシュートなどの俺を支えるものは存在しなかった。眼下は言わずもがな。見えない物質は考えないものとする。

 

 

(まるで意味がわからんぞ……)

 

 

 この状況にただただ、俺は困惑するしかなかった。

 静止画の世界にでも迷い込んだって? ご冗談を。

 二次元と三次元の区別を俺はきちんとつけている。そんなことを考えるのは妄想癖の持ち主だけじゃなかろうか。

 まぁ、俺もそこそこゲームはするわけだが……。

 ともかく。これはもう、考えたところでわからない、という結論に至った。

 ならばどうしようか。

 幸いにして風は心地よいし、日光の熱も肌を焦がすわけでもなく、丁度いい暖かさだ。

 まるでピクニック日和だな。

 焦ったところで状況が好転するわけでもなし。童心に帰って、日向ぼっこでもしよう。

大空を枕にできるなんて今後訪れないだろうし。せっかくなら大の字がいいかな。

 

 

 そう思ったのはいいんだが……

 

 

(手も足も動かないのはどういうわけだ?)

 

 

 手も足も動かなかったのである。どういうことだよ。

 誰かに手足を縛られている、というような感じではない。こんな状態だから、触覚も頼りないわけではあるけど。

 というか、どうやって俺は手足を動かしていたっけ?

 おかしいな、赤子でも出来るはずの動作を俺は思い出せないでいる。これは異常事態だ。

 ……いまさらだよ。

 どうやら、俺はよほど緊張しているようだった。

 

 

(ん?)

 

 

 そのとき、新しい違和感を覚えた。

 風が当たるのはいい。たしか雲の上にも気流うんぬんがあるから風自体は吹いているらしいし。

 問題はそこじゃない。

 俺の頭の上にあるはずの大事な感覚がないのが問題だ。

 そう、林より多く、森より深く、山より豊かな俺の…………

 

 

 

 

────髪だ。

 

 

 

 

 いや、流石に盛ったな……それでも一般成人男性くらいはあるはず!

 まさかとは思うが、俺は禿げたのか? 寝てる間に?

 俺はまだ20代だぞ! これじゃ最近円形脱毛症に悩んでいる隣の木下さんを笑えないじゃないか、勘弁してくれよ……。

 これも全て博士って奴の仕業なんだ。間違いない。

 よく考えれば、ヘルメットしてるんだから髪の感覚がないのは当たり前じゃないか。

 何を焦っていたんだか。HAHAHA!

 はぁ…………。

 ちょうど雲の群れがどこか行ったし、改めて下を見てみるか。

 

 

 おお、どうやらここは大海原らしい。

 眼下には青より青い綺麗な群青色が視界いっぱいに広がっている。

 時折見える黒い小さな点や棒らしきものは島であろうか?

 大陸は……見えないな。

 一面の海、小さな島の数々、大陸なしとくれば、真っ先に浮かぶのはフィリピン諸島。

 あれ、フィリピン諸島ってこんな小さいっけ? たぶん握りこぶしくらいしかないぞ。

 これマリアナか? イギリスのほうにもなんかあったような……。

 だめだ、高校の勉強なんて忘れてやがる。世界史30点は伊達ではなかったな……。

 とりあえず、ここをフィリピン諸島とする!

 仮定を決めなければ議論はできないからな。なお、議員は一名。

 ええい、このまま進めるんだよ!

 この考えが正しいなら俺はフィリピン海だか南シナ海だかの上空にいるってことになる。

 雲の上だから……積乱雲は見えず、となれば高度3000~5000mか? よく生きてるな、俺。

 めまいや吐き気などの高山病の兆しは見えないし、呼吸も安定している。

 これがスーツの力か……これだけは博士に感謝しなきゃ。

 さて、仮説が正しいなら西にいけばユーラシア大陸が、北に向かえば日本があるはず。

 ……まぁ、コンパスも推進力もないから意味ないんだけど。

 やっぱ夢かね? これは。熱や風は妙にリアルではあるが。

 手足が動かないから、こういったときに古典的な頬をつねれないからどうともいえない。

 まぁ。十中八九夢だろうけどさ。

 

 サバイバルのプロとかでもない俺は、これ以上出来ることもないわけで。そもそも動けないし。

 それからは滅多に見れない海をぼーっと眺めていた。

 強いていうなら、この夢が早く醒めることを願って。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

(ん……寝てたのか、俺は)

 

 

 どうやらいつの間にか眠っていたようで、あたりは茜色になっていた。

 夢から醒めることは敵わず、ため息が漏れる。

 さて、こうなっては仕方ない。何か変化があれば……そう思ってあたりを見渡せば。

 

 

(島が……なくなってる?)

 

 

 視界から、島が消えていた。

 いや、小さな島がいくつかは残っているが大きな島、特にこぶし大のものはなくなっていた。

 島って動くものだったか?

 ……聞いたことがある。島に見える巨大な亀の存在。

 そう、島亀だ!

[島亀]

星4/水属性/水族/攻1100/守2000

 

 この夢は遊☆戯☆王だったのか。

 遊戯王はGXまで見ていたし初期の通常モンスターには世話になってたなぁ。

 シンクロ? エクシーズ? ペンデュラム? 知らんな。

 そう考えれば空にいるのも納得できなくもない。OPでもパラシュートなしでスカイダイビングしてたし。

 この空中浮遊バグ……みたいなものも遊戯王なら仕方ないあるまい。うん。

 海馬コーポレーションが何かやらかした設定なんだろう。

 しかし遊戯王の世界か。たとえ夢でも、人外魔境の世界でどうやって生きていけばいいんだ。

 

 

 

 

 …………現実逃避はよくない。 

 後ろのほうを見ればこぶし大ほどの塊がいくつか見えるし、その配置は寝る前に見たものと一致する。

 考えてもみればわかることで、"全ての島が同一方向、同一速度で移動する"なんてのはありえないわけだ。ファンタジーでもない限り。ファンタジーだったら諦めるしかない。

 つまるところ────

 

 

(移動してるのは俺なんだよなぁ……)

 

 

 どうやら、動いているのは俺自身だとしか考えられない。

 でもどうやって高度も落とさず横だか縦だかに動いているのか?

 しかも俺がその事に気がつけないなんて。手も足も動かせないんだけど。

 誰かに担がれている感覚はなかった。

 まぁ、やっぱり、うん。

 意味がわからない。

 

 

『エミリー、聞こえるかい』

 

 

 そんな時だった。俺の耳が、聞き覚えのある声を拾ったのは。

 その声は────

 

 

(博士!)

 

 

『そうだ。正確には私の存在を模した人工知能だ。』

 

 

 俺の視界の隅、声と共に現れたのはワイプ窓のようなもの。

 そこに記憶の中と寸分違わぬ白衣姿の男が立っていた。

 表情の読めない顔にひげを蓄え、ちょんまげを真似て失敗したかのような頭髪、人の神経を逆撫でするしぐさ。

 間違いない、アーサー・ブレイク博士だった。

 訳のわからない場所に投げ出され、話し相手もいない中、困惑していた俺にとって事情を知っていそうな人物が現れたことは僥倖といえる。

 思わず息をついた。

 そもそも、俺の記憶は博士に呼ばれたところで途切れているのだ。

 博士が何か知っているんじゃないか、と考えるのは当然の帰結といえる。

 むしろ知らなかったらどうしたらいいのか、いよいよもってわからない。

 

 

(それで、博士。この状況は一体? というか人工知能?)

 

 

 だから俺は博士に尋ねたのだが。

 

 

『私にもわからん。』

 

 

 えぇ…………。

 しかし返ってきたのは、余りにも残酷な言葉。

 おれのきぼうはうちこわされてしまった!

 

 真っ白になった頭で何か考えようとするも、思考はまとまらず。

 ほんとどうしたらいいんだ……。

 と、そこで思わず気になったことがあった。

 

 

(というか、博士。そのエミリーって?)

 

 

『君のことだが?』

 

 

 …………?????

 別人と勘違いしてるのか? この人。

 

 

(博士、俺の名前は■■です。とうとうボケたんですか?)

 

 

『まったく失礼なことを考えるな君は。エミリーとは君の事だよ。それ以上でもそれ以下でもない。』

 

 

 やはりボケているのでは? ボブはいぶかしんだ。

 

 

(博士、繰り返すようですが俺は────)

 

 

『エミリーだ。』

 

 

 しかし、反論しようとする俺に、間髪いれず博士は告げる。

 

 

(いや、だから)

 

 

『エミリーだ。』

 

 

(あの)

 

 

『エミリーだ。』

 

 

 オレ、エミリーニナッチャッタヨ……。

 




・エミリー
連合軍における二式大艇のコードネーム。
元男の一般人。運の切れ目はカイルの代わりに目をつけられたこと。
ハッピバースデー!エミリマン!

・博士
人類悪、顕現
知的風ハット氏のメタルマン解説動画やメタルマン本編を見ればその具合がわかる

・二式大艇
火力も防御力も最大の、二式大型飛行艇だぞ!
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