(筆をおいていた間)何かあったの?
いいや、何も。
新元号が発表されてからR18がトレンドに乗るの早すぎる
誤字報告ありがとうございます。小学生並の間違いでした
あと10万字で完結させる試みは頓挫したので開き直ります
場面転換が多いです
本日は坊ノ岬。されど坊ノ岬艦隊は誰も出てこない
◇◆◇
太平洋のとある場所。
陽も遮る薄暗い雲の下、高度500に小型飛行物体あり。
一見鳥にも見えるがその実、鉄で身を包む立派な航空機である。
名を深海棲艦戦。識別番号は603627。
黒い体に瞳の様な明かりを灯すそれはしかし、艦載機でありながら彷徨う亡霊然としていた。
というのもこの個体、帰るべき母艦を失っているのだ。
基地から「正体不明機探知」と連絡を受けて出撃した当機の母艦を含む哨戒部隊は、謎の潜水艦に襲撃され壊滅。
護衛の水雷戦隊は初撃で轟沈し、数機を
母艦が沈むぞ! 俺たちはどこへ帰ればいいんだ!
当時無線の先で仲間……同じ哨戒機が叫んでいた。
哨戒機たちは襲撃の下手人を探したが、何の成果も得られず一機、また一機と燃料不足で落ちていく。
603627とて捜索はしたものの、見つけることはできなかった。
せめて付近の味方に潜水艦の襲撃を伝えるため、残り少ない燃料で飛んでいる。
無線も距離があっては繋がらないからだ。
だがどうやら味方は当機の航続可能距離にいないらしい。
どうしたものか。
やや波の高い水面を眺めながら603627は己がコンピューターで計算する。
近い基地に向かう──燃料が持たない──
下手人の潜水艦を探す──近くには居まい──
正体不明機とやらを探すか──他にあるまい──
使い捨て同然の深海棲艦戦に積まれたコンピューターは大した回答をよこさない。
そのときだ、レーダーに感あり。11時の方向、上。雲の中。
識別シグナルは味方ではない。かといって敵でもない。
となれば例の「正体不明機」だろうか。
ちょうどいい、ならばアレを落とすことこそが今の最善と言えよう。
航空戦において高度というのは重要な項目である。
603627は上昇を始めた。
雲を突き破るように現れたそいつは煙を吐いていた。右翼が半分消えている。
しめた、手負いだ。燃料の少ない今ドッグファイトはしていられない。一撃で仕留める。
奴は真っ直ぐ突っ込んで来る。ますます好都合な獲物であろう。
603627に表情はなかったが、火器制御システムの軽快な音を聞いた。
しかし、機が近づくにつれてコンピューターは数値に合わない異常を検知する。
でかい。
デカすぎる。
奴は我が母艦と同程度の大きさを持っている。どういうことだ?
あれが航空機だと? じゃあ俺はなんだ。
ハリネズミのように銃座を四方へと向けている。あれに撃たれてはひとたまりもない。
まるで巡洋艦ではないか。空飛ぶ巡洋艦。
機首に顔のペイントが見えた。笑っている。
その笑みを603627のカメラ・アイは酷く不気味に映した。
自分より小さな存在をあざ笑うかのように。
エラー。エラー。エラー。
ありえない、こんなものはありえない。
データに照合、該当なし。
いや、もしかしたら我らの秘密兵器なのかもしれない。
でなければあれだけ巨大なものは造れないからだ。
エラーを吐き、正常でなくなった
いくら下っ端といえどそれが正常なら迎撃などさせはしない。
そんな前提すら抜け落ちていた。
友軍ならば無線を送ってみよう。そうすれば反応があるはずだ。
603627が通信を試みるべく正体不明機の様子を窺う。
さてなんと送ろうか────
そいつは目の前にいた。
口をあけている。大きい。
何時の間に。どこにそんなものが?
その疑問が回答を得ることはできず。
603627は
空に鉄を砕く咀嚼音だけが響く。
◇◆◇
「■■、もう行くんだ。時間がない」
「博士! 無茶です、逃げたほうがいいですよ」
聞き覚えのある声だ。というか俺?
目を開ける。
そこはやはり見覚えのある場所だった。
コンクリートに四方を覆われ、パソコンや計器などが設置された研究室。
けれど薄暗く、コンクリートにはヒビが入っていて、砂埃も地面に積もっていた。
見慣れた光景ではない。
「無理だ。もうすぐやつらの空襲が始まるからな」
「それならなおのこと!」
俺が周りを見ているうちにも声は会話をしている。
というか目の前にいるのは博士じゃん。ちょっと老けた? 髭増えてるよ。
じゃあ博士が見ているのは俺? 声も俺の目の前から出ているし。目線を下に向ける。
おお、手足があるぞ! でもなんか違和感があるな……航空機に慣れすぎた?
体は……動かないな。残念。
「話は聞け。どの道ここら一帯が爆撃されればどこへ逃げても助からんよ。ソラの者たちと違ってもう限界なのだ」
「博士…………」
というか博士と何を話しているんだ? 意味がよくわからん。俺はどういう状況なの? さっきまで空にいたのは夢?
疑問はいくつかあるが、あの2Pカラースーツを着せられているのは理解できた。
嫌な予感がするぞ、実験的な意味で。
「だからな、■■。だからこそ変えねばならん。人類が滅ぶ定めなど認めてはならんのだ」
「だとしても、俺だけがなんて」
「君は私が選んだ人間だ、心配はいらんよ。さぁ、早く入るんだ」
滅ぶ? 俺だけ? ちょっと話についていけない。某白い奴じゃないけど訳がわからないよ。
おーい、ねぇ、俺なら俺の声聞こえないんですか、ねぇー。
…………。
駄目だ、俺の意思では暫定俺の体を動かせないし声も聞こえないらしい。
そっかぁ、これも夢だな! そうに違いない。俺知ってる。これ明晰夢だよ。体動かないけど。
リアルな夢だなぁ。夢? うっ、デジャヴ。
まあいいや。夢なら見るしかないわけだな。
俺がやや達観していると、博士は俺を大きな扉の部屋に押し込んだ。
ギゴゴゴゴ、重たい音を立てて閉じる扉。
博士はその上電子ロックを施した。もう俺は出られない。
部屋の中には人1人が丁度入れそうな筒があった。
筒の下からチューブのようなものが壁に伸びている。
ここではない機械に繋いでいるのだろう。
「さぁ、装置を機動させるぞ」
扉の向こうで博士が言う。
俺の体は一度立ち止まり、筒に入った。
「入りましたよ、博士」
「よし」
筒は俺が入ると完全に密閉された。何も見えなくなる。
ズドン! 部屋が揺れた。俺も揺れる。
続いて何かが落ちる音。
なんだなんだ、夢の中だとしても死にたくないぞ。いや、死んだら醒めるだけか?
「ぐぅっ」
博士の呻き声が聞こえる。
「博士!」
俺の体はどうやら博士をさっきから心配しているらしい。そんな心配する必要ある? あの博士だぜ?
「私のことはいい。それより聞くんだ」
どこか怪我をしたのか、苦しげな声で話す博士。
「そのヘルメットとスーツは生存に必要なあらゆる機能を備えている。君は必ず向こうでも生きていけるだろう」
博士の息遣いが荒くなる。
目を封じられた今の俺にとって外界からの情報は耳しかない。自然、そちらに集中する。
「博士、もういいんです、もう逃げてください」
「聞けと言ったろう。話は最後までな」
ガコン、スイッチらしきものを入れたか、機械の駆動音が部屋に響く。
バチバチという雷じみた音も聞こえてきた。
「それと、君は自分の両親がなぜ殺されたのか知りたがっていたな」
「そうですけど、もう終わったことじゃ」
突然博士はそんなことを言った。
俺も思い出せないんだけど博士何か知ってるの?
「いいや。彼らはある大事な実験を行っていた。この未来を変えられるかもしれない実験をだ。だが奴らに知られ、殺されたのだ。私はその研究を完成させたに過ぎん」
「そんな、突然言われても」
未来? 奴ら? 夢とはいえ話が見えてこない。やばそうなのは伝わってくるけど。
でも俺の両親が実験とかしてた記憶は……ないなぁ。いつも家にいた気がする。
「わかっている、だが大事なことだ。それと向こうへ行った後は私にもどうなるかわからん、時間がなくて手が回らなかった。向こうの
肝心なところが抜けてるし他力本願。
「彼らのためにも、そのスーツを正義のために使え」
何を抜かすか。
「こんな未来を許してはいけない」
また揺れた。さっきより強い。
「……の……せ……ん……から問題は出るだろう。あとは、任せたぞ」
ちょっと前半聞こえなかったんだけど何言ったの?
ガラッ、ガララララララ────
大きな音を立てたっきり、博士の声は聞こえなくなった。
そして俺にも変化が起きる。
機械音が煩くなり、急に頭の方へと引っ張られ始めたからだ。
その力は強力で俺が抗うことなんて出来ない。
無限に引き伸ばされる俺の体。最後に想像したのはガムだった。
◇◆◇
(ん…………)
何があった? 記憶が混乱している。
確か俺は作戦任務中だった。太平洋の嵐を見つけて、それで……何だっけ。
<機長、やっぱりやりすぎたのではないでしょうか>
<まぁいいんじゃない? これくらいはさ>
妖精さんたちが何か言っている。
周囲を見れば雲の中にいるようだ。
高度4000、地点はエリアFF近辺。あれ、ハワイから遠ざかってる。
(あの、ハワイから遠ざかってますけどいいんですか?)
<おはようございます。いえ、もうハワイ方面は偵察したのでいいんですよ>
もう終わってる? 記憶にはない。けど妖精さんが嘘をつくとも思えない。
(そうなんですか?)
<ええ、でもトラブルがあってエミリーさんは気を失ってしまいましたから、覚えていないのも無理ないですね>
え、また何かやらかしたの?
(それは……お世話になりました。肝心なときに)
<助け合いですからね、大丈夫ですよ>
(ありがとうございます。今は?)
<今は次のミッドウェーに向かっています>
そっか、偵察はハワイ・ミッドウェー方面だっけ。
雲の合間から月明かりが覗く。もうそんな時間らしい。
一応艇体をチェック……特に問題はなさそうだ。
<それじゃあ任せてもいいかなァ?>
(ありがとうございます。変わりますね)
赤ヘルさんから操縦権を受け取る。
さて、ミッドウェーまで行くか。
マップ頼みだけど。
時刻上で黎明、ミッドウェー島から30マイルに到達した。
相変わらずの雲、雨まで降り視界はほぼ零。マップとレーダーが頼りだ。
<感あり。3時下方>
(多くなってきましたね。機動部隊がいる証拠でしょうか)
<その可能性が高いですね。当たりと見ていいでしょう>
これまで敵を数機捉えたが、戦闘を回避して大回りでやってきた形になる。
<ここらで高度を7000にあげましょう>
と、緑髪さんの進言。
(今のままじゃ駄目なんですか?)
<今までは天候の悪さを利用して隠れていました。レーダーに映ろうと結局視認するのは敵の偵察機ですから、見つからなければ問題ありません>
(それじゃあもう敵のレーダーに?)
<ハワイ偵察の時点で敵に探知された節がありました。警戒自体は既にされています>
(だからこんなに反応が多いと)
<恐らく。しかしこれから敵の拠点に乗り込みます、この高度だと対空砲火の餌食です>
(それで高度を?)
<はい>
(なるほど……でも敵の姿は確認できるんですか?)
<その為のわたし>
(うおっ、茶髪さん起きてたんですか)
ぬるっと出てきたな。
<……仕事くらいやる>
(ほんとですか?)
寝てるイメージしかない。
<うるさい。それより、わたしの担当は偵察。たかが7000なんて障害にならない>
担当……ああ、なんとなくやってることで判断してたけどやっぱりあったのか。
(なるほど、それなら安心ですね。お願いします)
<何言ってるの? やるのは貴女だよ>
さも当然とばかりに彼女は言った。
(え、やってくれないんですか?)
<嫌だよ眠い>
えぇ…………。
(でもどうやれば?)
写真とかやり方なんてわからないぞ。そもそもあったのかそんなの。
<こうする>
言うなり、茶髪さんは俺の体……というより内側の壁を触る。すると、手が壁の中に沈んだ。
(うぇ!?)
<とこう>
手が沈み始めると、彼女の体はどんどん壁に吸い込まれていってしまった。その姿はもう見えない。
だというのにも関わらず、彼女の声は頭に響く。
(これはどういう……?)
気分は目隠しされた状態で「わたしは誰だ」をされているようなもの、はっきり言って怖い。
他の妖精さんは艇の内部が見えるようになった時点で確認は出来てるんだよな。
<権利の譲渡。今の貴女はわたしの偵察能力が使える>
権利の譲渡?
(俺が操縦以外できなかったのはそういうことです?)
<そう>
<ごめんなさい、1人で複数人分の作業は大変でしょうから……>
(ああいえ、元々手伝ってもらっている身分ですし謝らないでください、むしろこちらが感謝しなくちゃ)
『だらしない。ヘルメットをつけておいて10秒しか並列思考が出来ないなどと』
(博士は黙っててください)
<あはは……>
<まぁまだ地下のゴミムシ共のリーダー程度の腕じゃなぁい?>
(辛辣)
けどまだ何か見落としているように思うのは気のせい?
<そもそも一部は貸していたよ。"スキャンモード"って奴?>
(え、そうだったんですか)
<そうそう。じゃあわかるよね、おやすみ>
(ちょちょちょ、待って、待ってくださいよ!)
茶髪さんの声が遠くなったので慌てて呼び止めた。
<なに>
よほど睡眠を邪魔されたくないのか、露骨に不機嫌な声。
(いや、それとこれとは別問題というか……)
あれは元々表示のON/OFF機能だし……。
<はぁ……はい、じゃあさっきの3時下方を"視たい"と思って>
ため息交じりに指導する茶髪さん。
えー、3時下方を見たい……見たい……。当の方角を注視する。
が、だめ、黒い雲と霧越しでは何も見えない。
(駄目です、何も見えません)
<だる……もう強引に行くよ、面倒だし>
(え?)
<ヴァ○ス>
視界を閃光が埋め尽くした。
(ほぁぁぁぁぁぁ目が、目がァぁああぁぁあぁぁぁああぁあ!)
その呪文はまずいし痛い! なんもみえねぇ! 3分くらい待って!
痛みが治まって目が見えるようになるのは数十秒後だった。失明とかしなくてよかった……。
<電探、位置>
<5時下方へ移動中>
<了解。じゃあほら、さっさと見て>
(うぅ……ひどい……)
<泣き言言わない>
これパワハラだよ。労基に訴えてやる……。
5時、5時……。意識を後ろに向ける。
(これは────)
不思議な光景だった。
最初に見えるのは黒い雲。
だが、意識をその先に向けようとすれば、雲の中を本当に飛ぶような感覚で俺の"視界"が進んでいく。
そして捉えた。
(見える……見えるぞ……俺にも敵が見える)
<ん、写真は瞬きすれば撮れるから。おやすみ>
瞬き……あ、なんか撮れた。
はぇー、脳内に1枚の写真が浮かぶ。あのコウモリだ、写真で視ると気持ち悪さ1,2倍。
(ありがとうございます)
返答はなかった。
<もう、偵察ちゃんったら……>
(いえ、多分詳しい説明されてもわからないですからこれでよかったと思いますよ)
<そ、そうですか……>
心配事はなくなったし、機首を上げる。
目標まであと少しだ。
高度7000にて進むこと暫し、太平洋の嵐を発見した。
一際黒い雲が海面から天上まで渦巻く暗黒圏。
嵐の向こうは……流石に見えない。
(電探で探れます?)
<駄目だ!>
駄目かぁ……。
「ァァァァァァァ────」
(ん?)
『どうした』
声が聞こえたような……いや、ありえないか。
雲の流れに顔らしきものが巻き込まれていたのも見間違いだ。
(いえ、なんでもありません)
『そうか』
(それよりあの中……いるんですよね、敵の機動部隊が)
<はい、心していきましょう>
『エミリー。長く留まるのは得策ではない、最大速度で通り抜けるのだ』
(了解、突入します)
<バンザァァァィ>
直線で突っ切る。エンジンパワーを巡航から高速、最大へ移行。
単排気の焔が勢いを増した。
渦に入った途端、体を押し流さんとする暴風と飲み込みたがる豪雨、叩き落とす雷に襲われる。
ガタガタ揺れる艇体をなんとか水平に保ち、寒さも耐え、雷が当たらぬよう祈りながら嵐を突き進んだ。
<アンチアイス、オフ>
<オフにしないで!?>
やがて眼前に捉えた一筋の光、雲の切れ間。
決して明るいものではないが、確かな道。
嵐を抜ける。視界が晴れる。
眼前に広がる空も海も毒々しい紅に染まった世界、それが敵地だった。
<敵の陸上施設を発見! 敵艦隊発見! 敵機多数!>
矢継ぎ早に報告が齎される。
『エミリー、下を見るんだ』
(これは……)
そこにあったのは、化け物たちの狂宴と呼ぶにふさわしい光景。
海は異形で溢れ、空は見たこともない敵機が覆いつくす。
中心に存在する陸地は鬼ヶ島めいて邪悪な気配を振りまいていた。
敵が"図鑑"に該当。
──駆逐イ・ロ・ハ級──軽巡ホ・ヘ・ト級──重巡リ級──雷巡チ級──戦艦ル・タ級──軽母ヌ級──空母ヲ級──潜水ソ・ヨ・カ級──輸送ワ級──
──深海猫艦戦──深海地獄艦爆──深海復讐艦攻──
脳内に情報が飛び交う。
だがそれを理解するには時間が足りない。思考をカット。
他に目立つのは3体。
1つ、異形に跨る女。
1つ、異形を従えた女。
1つ、白い球形の殻。
これらは"図鑑"に反応なし。
特に島の中央にある殻は一際大きい。赤いヒビが走っているものの、壊れているとは判断できない。
むしろこれから生まれるかのような────
<敵艦隊、こちらに気づきました!>
その言葉にはっとする。そうだ、考え事の余裕などない。
白くて丸い飛行物──深海猫艦戦が高度を上げてこちらに向かって来ていた。
『急げエミリー、時間がない』
(言われずとも!)
再び嵐に身を任せた。
・エミリー(///)
ナニカサレタヨウダ
・博士
語尾に置いた「。」が予想以上に邪魔なのでオミット
・妖精
分担作業
・二式大艇
自己修復(意味深)
・深海棲艦
幻の5スロ目
果たして艦娘がほとんど出てこないものを「艦これ」と呼んでいいのか?
「私にもわからん」
一章は次で終わる……はず。