今回から数話は前書きはなしです。
side 切島
林間合宿襲撃事件から3日目緑谷の容態を見に
飯田たちが緑谷に状況を伝える。
もちろん、爆豪がまだ行方不明なことも。
「僕は...手の届く場所にいた。
必ず助けなきゃいけなかった。」
けど
「体...動かなかった。」
悔し涙を見せる緑谷に向かって提案する。
「じゃあ、今度は助けよう。」
昨晩、轟と一緒に盗み聞きした内容をクラスメイトに伝える。
「オールマイトのおっしゃる通りだ!プロに任せるべき案件だ!」
飯田に反対をされてしまう。
…だけど。今度こそ!
「んなもん分かってるよ!
でも、あの時何っにもできなかったんだ!
何にもできなかった!しなかったんだよ!
ここでまた動かなきゃ俺はヒーローとしても
なぁ!緑谷!
まだ手は届くんだよ!」
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夜になった。
八百万には話をつけたといったが実際はまだ保留にしてもらっている。
集合場所には俺と轟しかいない。
「八百万。...考えさせてくれっつってたけど...どうだろうな。
ノアのやつも連絡付かないし...」
「まぁ、いくら逸っても結局あいつ次第。」
そう、この作戦は結局八百万次第なのだ。
もし協力してもらえなければ俺たちはどこへ向かえばいいかすらもわからない。
今この瞬間にも
この待っている時間がもどかしい。
病院の入り口から二人の人影が見えた。
「...おっ、来た。」
病院から出てきた八百万の表情は決心がついたようで、少し強張っていた。
しかし、手荷物を持っていて、遠出することのできる格好だった。
内心で、助けに向かうことを確信する。
すると、八百万がチラリと自分の後方に目を向けると、緑谷がそこにはいた。
緑谷も決意を込めた表情でこちらを見ており、ここにいる全員の意思が分かった。
重苦しい空気だったが、確認のために八百万に訊ねる。
「八百万、答え...」
「私は―――」
その時、八百万の答えを遮るように新たな声が加わる。
「待て」
「...飯田。」
「...何で、よりにもよって、君たちなんだ!」
君たち?
救助作戦のことを言っているのか?
「俺の私的暴走をとがめてくれた!共に特赦を受けたハズの君たち2人がっ!!
────なんで俺と同じ過ちを犯そうとしている!?」
あんまりじゃないか。
消え入りそうな声で飯田は俺たちに語り掛ける。
「何の話してんだよ...」
状況を飲み込めない。
俺以外のメンバーでしか分からない話かよ。
説明を求めようとするが轟に手で制される。
「俺達はまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変な時だぞ!君らの行動の責任は誰がとるのか...わかっているのかっ!!」
「飯田くん違うんだよ!僕らだってルールを破っていいだなんて...」
ゴチッ
緑谷の言葉に飯田の琴線が触れたのか。
飯田に限界がきて、手が出た。
あの飯田から。
「俺だって悔しいさ!!心配さ!!当然だ!!
俺は学級委員長だ!クラスメイトを心配するんだ!!爆豪くんだけじゃないッ!
「僕の気持ちは...どうでもいいって言うのか...!」
詳しい事情は分からない。
だけど、飯田が自分に重ねて俺たちを見て心配してくれてることは痛いほど伝わった。
だから、俺たちは飯田が納得できるように説明しなきゃなんねぇ。
「八百万にと言ったが...俺たちだって何も正面きってカチ込む気なんざ、ねぇよ。
「要は隠密活動!それが俺らにできるルールに触れないギリギリの戦い方だ!」
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in 神野区にあるバー
薄暗いバーの中に爆豪を囲むようにしてヴィラン連合の面々が思い思いに液晶から流れる「雄英高校謝罪会見」の様子を見る。
俺は煙管から紫煙を吐き、黒霧さんの今日のオススメ『スティンガー』を舌の上で転がす。
雄英の状況といい、
イレイザーヘッドも災難だな。
むしろあの状況で死傷者0、逮捕者3名にできたことを賞賛すべきなのに。
「不思議なもんだよなぁ...」
「何故
「奴らは少ーし対応がズレただけだ!守ることが仕事だから?誰にだってミスの1つや2つある!「お前らは完璧でいろ」って!?現代ヒーローってのは堅っ苦しいなァ、爆豪くんよ!」
弔が爆豪のほうへ向き直り両手を広げてこの不平を爆豪へと語りかける。
「守るという行為に対価が発生した時点で、ヒーローはヒーローでなくなった。これがステインのご教示!」
壁に背中を預けていたスピナーが続ける。
そういえば、切島からの連絡に返事をしていなかったな。普段使いのケータイを確認する。
▷『緑谷たちのお見舞い行こうぜ!』
▶『悪い。家族が心配してほとぼりが冷めるまで家から出してくれなそうだ。』
▷『そうか...事件が解決したらまた
▶『おうともよ!』
▷『18:00に緑谷の入院している病院に来てくれ。大事な話がある。』
▶『』
時刻はすでに22:30になる。
何ともならないな。
どうしようかと考えて打っている間に弔の動きが大きくなってきた。
ようやく本題に入るつもりになったらしい。
「俺たちの戦いは『問い』。ヒーローとは?正義とは何か?この社会が本当に正しいのか1人1人に考えてもらう!俺たちは勝つつもりだ。」
────君も勝つのは好きだろ。
『保須事件』以降こうやって弔は悪のカリスマとでもいえるような雰囲気を出すようになってきた。
「子供大人」の愉快犯から、人を操る、使うという考え方に変わった。
『先生』の意向通り自分で考え育っている。
しかし、爆豪のほうも様子が変だ。
いつもの調子ならヴィラン相手に囲まれていても捨て台詞が出ると思ったんだがな。
「荼毘、拘束外せ」
「は?」
「いいんだ。スカウトだから対等に扱おう。この状況で暴れて勝てるかどうか、わからないような男じゃないだろ?雄英生。」
「トゥワイス外せ」
「はァ俺?!嫌だし!」
トゥワイスが爆豪の拘束をすべて外す。
弔が爆豪に近寄るが爆豪が手で制しこちらに視線を向ける。
「...おい。そこのタキシード。」
「こっち見ろや。」
『スティンガー』を一口、口に含み飲み込む。
ブランデーの深い香りをペパーミントの爽快感があいまって、その味わいを鋭いものに変える。
弔ではなく俺をご指名のようなので体を爆豪のほうへと向ける。
目線が合う。
硝子の表に思いッ切り疵を付けるような無気味な歯ぎしりの音がバーの中に響く。
液晶から流れる音声のほうが大きいはずなのにどうしてかその音が鮮明に聞こえる。
「なぁ...その目!その泣きぼくろ!」
「おい!何スカしたツラしてんだよ!?」
しばらくの静寂の後、爆豪の勢いに気圧された弔がフォローしようと喋りだす。
「...何を言ってるんだ、お前は?俺たちに捕まって混乱してるのか?」
「いや、弔。もういい」
爆豪は確信している。
もう、あの甘い生活には
いつか終わる。
分かりきっていたがこの瞬間とは『皮肉』が利いてる。
「どうして気付いちゃうかねー。大将は。
眼鏡を外したのは体育祭のときだけなのに」
懐にしまっていた瓶底眼鏡を爆豪に見せる。
椅子から立ち上がり、爆豪へ歩く。
お互いが手を伸ばせば届くような。
そんな距離感で向かい合い、爆豪と視線を合わせる。
『
『通形ノア』
ヴィラン連合所属『ティキ・ミック』だ。』
「
『...初めから。』
「俺たちを騙してたのか?」
『...ああ』
「俺たちを嗤ってたのか!?
全然正体がバレなくて!」
『...いや、そんなことはない...多分。』
「いつもの馬鹿騒ぎも!」
「USJの時も!」
「体育祭でも!」
「この合宿中も!」
「どっからだ!?」
「どっからどこまでが本当だ!?」
『...仮に答えたとしてもどこまで信じる?
爆豪...いい機会だから教えてやる。
人は1回ウソをつかれたら他のことも全部信用できなくなるんだぜ?』
「クソがぁ!」
BOOOOM!!
叫びながら爆豪の掌が爆発する。
不意打ちの爆破を至近距離で食らう。
だが、無意味だ。
今の俺は全てを『
攻撃後無防備になった爆豪に詰め寄り腕を胴体から貫通させる。
『悪ぃ、またウソあったわ。
俺の個性『透過』じゃないんだ。
ほんとはすり抜けている中の物も触れる。』
『なぁ、生きたまま心臓を盗られるのってどんな感じだと思う?』
今の俺の表情なんて見なくてもわかる。
『嗤っている』
普通だったら
まるで、誕生日にヒミツのプレゼントを用意して驚かせる子供のような気持だった。
心の奥底から可笑しくってたまらない。
なぁ、こんな時
...
なんだよ。その表情は。
まるで
とでも言いたげな表情は?
手を引き抜き両腕を広げて落胆をあらわにする。
『はぁ、シラけた。
盗りゃしねぇよ。
今のお前はスカウト中だもん。』
「なぁ、大将。お前も
そう言い爆豪へと手を伸ばす。
BOOOOM!!
また、爆豪の爆破が俺に向けられる。
「なんでてめぇがヘラヘラ困ったような顔で笑ってやがんだよ!
要は『嫌がらせしてえから仲間になって下さい』だろ!?
無駄だよ!
俺はァッ!!オールマイトが勝つ姿に憧れた!
例え
そこァもう...曲がらねぇッ!!!!」
『...ザンネン♪』
最後まで読んでいただきありがとうございました。
本っ当に長かった。
今までの話はこのシーンを描くための前振りと言っても過言ではないです。
原作でのこのシーン大好きです。
感想欄で雄英体育祭の際の伏線を当てられてしまった時はドキリとしましたが、ストーリーはおおよそ変更なしで進めているので当ててしまった方はご安心ください。
ちなみに今話のタイトルは原作の『D.Gray-man』からリスペクトの意味も込めて使っています。第何夜のタイトルか分かる人はいるかな?
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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