「言っとくが俺ァまだ戦闘許可解けてねえぞ!!」
ヤケなのか、本気なのか、どちらとも取れそうな表情で爆豪は俺たちを威嚇する。
「自分の立場...よくわかってるわね、小賢しい子!!」
「刺しましょう!」
「いや...馬鹿だろ」
「そっか...じゃあ、俺たち敵同士だな。」
ひょっとしたら、
「その気がねぇなら懐柔されたフリでもしときゃいいものを...やっちまったな。」
「したくねーモンは嘘でもしねんだよ俺ァ。こんな辛気くせーとこ長居する気もねえ!」
それに答えるようにヴィラン連合の面々は戦闘態勢を取ろうとする。
────が、
「...手を出すなよ、お前ら。こいつは大切なコマだ。」
弔に制された。
やっぱり成長している。
以前ならば言うことを聞かなかったら殺していたのに、独裁者から指導者へと変わっている。
「出来れば...耳を傾けて欲しかったな。
君とは分かり合えると思ってた...」
「ねぇわ」
「...仕方ない。ヒーローたちも調査を進めていると言っていた。悠長に説得してられない
『先生』力を貸せ。」
『...いい判断だよ死柄木弔。』
「先生ぇ?てめェがボスじゃねえのかよ、シラけんなぁ!!」
「黒霧、コンプレス。また眠らせてしまっておけ。」
「ここまで人の話きかねーとは...逆に感心するぜ。」
交渉不可能と判断したらすぐに無力化の指示を出す。
黒霧さんがゲートを開いて、コンプレスの手で触る。
それだけで終わる。
次に会うのは『洗脳』された後か。
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
「─────どーもォ!ピザ〇ラ神野店ですぅー」
SMAAAAAASH!!!
突如、スピナーの真後ろの壁が破れる。
「だれだぁ?!」
振り向いて状況を確認する。
すぐに対応できていたのは弔だけだった。
ただ短く黒霧さんに指示を出す。
「黒霧!ゲート!」
が、その黒霧さんでさえこの状況に対応できていなかった。そして、そのスキを逃す相手じゃなかった。
「先制必縛!ウルシ鎖牢ォ!」
別のヒーローが腕の木を伸ばして
炎の個性を持つ荼毘がその木を燃やそうとするが、素早く気絶させられた。
「すみません!一人取り逃がしました!」
「ッチ!使えないなぁ!」
『我々が来た!』
土煙が晴れた先にはオールマイトがいた。
「なー、弔。この数のヒーロー俺が相手すんのか?」
「『ティキ・ミック』大丈夫だ。増援も有る。」
「オールマイト!このタキシードは!」
「もう大丈夫だ!少年!」
「黒霧!持ってこれるだけ持ってこい!」
「すいません。死柄木弔。所定の位置にあるはずの脳無が...ない。」
どうやら、増援は望めないらしい。
さぁ、弔どうする?応戦か撤退か?
少し
「
ヴィラン連合所属『ティキ・ミック』だ。」
「これはどうも!話は警察の人から聞いているよ。
でも、おいたが過ぎたな。ヴィラン連合!」
「
「多くの
「...そうか。それは...」
爆豪に吹き飛ばされ、カウンターの近くに落ちていた瓶底眼鏡を拾い、髪の毛をボサボサにし、眼鏡をかけて
オールマイトに向き直り視線を交わす。
「
「...なっ!!通形少年!!」
「やっ!
「ふざけんな、仲間も集まりだした...ここからなんだよ!黒霧!」
弔が指示を出すと共に黒霧さんに向けて黒い線が伸びる。
「エッジショット」まだプロヒーローがいたのか。
こっちはオールマイトを引き付けておくので精一杯だというのに。
「通形少年がなぜ
「...デジャブ。何だっけか?
最近そんなこと言ってた
あぁ!思い出した!『紅頼雄斗』か!」
「君ってやつは!」
「『紅頼雄斗』をやったのは貴様か!」
爺さんが俺に向かって高速で突っ込んでくるが、透過で躱し、懐からティーズを取り出す。
相変わらずの『ギャガガガガガガ』と不快な笑い声とともに顎が動き出す。
翅を広げ、爺さんに向き直る。
「そうだけど。爺さんから死んどくか?」
「その前に...お前さんらの『ボス』はどこにいる?」
「...さぁね。」
爺さんと交戦しようと構えてると、弔がキレだした。
「...ふざけるな。
...こんなあっけなく。
...ふざけるな。...消えろ。
お前が!!嫌いだ!!」
瞬間、
「ヒュー♪『ボス』もいい演出するねぇ。」
それと同時に
爆豪を確認すると黒い液体に包まれていくのが見えた。
ん?俺だけなんでないんだ?
「あっ、いけねぇや。全部『
この黒い液体を『
すると、俺の身体も黒い液体に包まれていった。
「バイバイ、
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
side 切島
オイオイどういうことなんだよ!マジで!
振り向くことさえできない。
一瞬の出来事で何が起きたのかさえ分からなかったけど、爆音とともに俺たちの後ろが
一瞬で全部かき消された。
もしあそこにいたら…なんて考えると吐きそうになる。
体中から汗が止まらない。『アレ』に見つかったわけでもないのに、距離が離れているのに、『アレ』からは濃密な死の気配を感じる。
USJに現れたやつらとは比べ物にならない。
本能が『アレ』に見つかるなと警告を上げているのがわかる。
身体が...動かない。
「ゲッホ!!くっせぇ!
んじゃこりゃ!」
―――爆豪!
『悪いね。爆豪君。』
「あ!?」
爆豪の周りにヴィラン連合の奴らも現れる。
助けに行かなきゃ!何のためにここまで来たんだ!動け!動いてくれよ!俺の身体!
駆けだそうとする俺を横から八百万の手が止める。
すると、一つだけ遅れたかのように黒い液体が現れ中から、
『遅かったね。どうしたんだい?』
「いやぁー、すんません。
(…なんでいんだよ!!
side out
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
黒い液体を受け入れ、ワープした先は『先生』のところだった。
どういうわけだか辺りは更地になっていて、『先生』も素顔ではなくて特製のマスクを着けていた。
『遅かったね。どうしたんだい?』
「いやぁー、すんません。
『へぇ、やっぱり君は素晴らしいね。』
「...あげませんよ。」
瓶底眼鏡を外し、前髪をかき上げオールバックにする。
シルクハットを被り、服装を整えて『
この人に会うときは正装でなきゃいけない。
そう思うのもひとえにこの人のカリスマのせいだろう。
『うん、大丈夫だよ。
また失敗したね。弔。
でも、決してめげてはいけないよ。
またやり直せばいい。
こうして仲間も取り返した。
この子もね。君が『大切なコマ』だと考え判断したからだ
それに『ティキ・ミック』。
ようやく
僕は君のその覚悟が嬉しいよ。
ようこそ。
君たちのために
そういい、俺たちに向かって手を差し伸べる。
弔は茫然とその手を見つめ、俺は手を出さずに視線で返事を出す。
突如、爆風とともにヴィラン連合のメンバーが吹き飛ばされる。
「全て返してもらうぞ!オールフォーワン!」
『また僕を殺すか。オールマイト。』
そこにはこぶしを振りぬいた「オールマイト」とそれを受け止める『先生』の姿があった。
オールマイトがオールフォーワンに一直線で突撃した。
ただそれだけのはずなのに、2人のぶつかる衝撃がバカみたいなものだった。
『遅かったじゃないか。衰えたね、オールマイト。』
「貴様こそ、だいぶ無理してるんじゃあないか!?」
近くで見ているこっちの身にもなって欲しい。
周りの被害とか考えろよ。
弔たちとも距離ができちゃったし、どーしたもんかね?
目の前で繰り広げられる大迫力バトル。
『先生』がオールマイトを吹き飛ばす。
『ここは逃げろ弔。その子を連れて。』
『先生』から赤い筋が黒霧さんに伸びる。
アレに当たると個性が強制的に使わせられるらしい。
意識がないのに黒霧さんから靄がたちこめる。
『常に考えろ弔。君はまだまだ成長できるんだ。』
「...『先生』。」
「逃げるぞ!死柄木!コマ持ってよ!」
ヴィラン連合のメンバーは爆豪を持っての撤退を決めたようで全員で確保にかかっている。
ここで静観を決め込むのも悪いし手伝うか。
ティーズの翅を広げる。
正面に立ち、爆豪を挑発する。
「よぉ、爆豪。
「てっんめぇ!」
パキパキパキ
挑発に乗ってきた瞬間、空気が一気に冷たくなる。
後方を見ると大きな氷柱が出来ていた。
体育祭の時食らったやつとそっくりだ。
氷柱の頂上から飛ぶ人影が見える。
―――あぁ、
「来い!!」
目の前の爆豪が飛んでいくのを見送る。
無理やり止めることもできたかもしれない。
でも、
飛んでいる爆豪が俺に振り向いた。
「お前も来いよ!!」
―――手を差し伸べられる。
「俺ぁ切島鋭児郎!これからよろしくな!」
「センスねぇな!タコ!」
「おれが目指すのは完膚無きまでの1位なんだよ!」
「へへっ、そうか。
「うん。許すぜ!ノア!」
「おい、笑うな。ぶっ殺すぞ!」
『『8:2坊やが怒った~!』』
「憶えておけ、その顔吠え面かかせてやる。」
「わりぃ、大将。俺ヴィランなんだわ。」
その手を見送る。
視線の先では爆豪と切島が何かをこらえるような表情をしていた。
今の俺はどんな表情をしているんだろう。
「逃がすな!遠距離あるやつは!?」
「荼毘に黒霧!両方ダウン!」
「あんたらくっついて!いくわよ!」
ただ、茫然と事態が進んでくのを眺める。
「ティッキィー!アンタも手伝い...ヒィッ!」
マグネの声で我に返る。
「悪い悪い。あっ!」
「また会ったな小僧!」
さっきのバーにいた爺さんにマグネ達3人が昏倒させられる。
「ッチ!本っ当に使えないなぁ!」
「『紅頼雄斗』はワシの同期でな。仇とらせてもらうわい!」
「地獄で会わせてやるよ!」
この爺さん巧い。ティーズの刃にも当たらず、俺に体を触らせようとしない。
まぁ、向こうの攻撃も俺には全然当たらないのだけど。
『やられたな。一手でキレイに形勢逆転だ。』
『先生』から赤い筋がマグネに向かって刺さる。
「やー、そんなに急に来られても!」
トガに引き寄せられる弔だったが地面に腕をつき抵抗する。
「待て!ダメだ!先生!俺まだ―――」
『弔。君は戦い続けろ。』
ワープゲートに吸い込まれて消えていった。
この場に残るのは、俺、『先生』、オールマイト、グラントリノのみとなった。
『ティキ・ミック、君は残るんだね。』
「えぇ、俺くらいは見届け人にならなきゃ。」
『そうかい。君はいつまでも『自由』でいるんだよ。』
「モチロン♪この戦いも最後まで見させていただきますよ。」
ここからは『先生』とオールマイトの
俺みたいな木っ端ヴィランが手を出していい戦いではない。
オールマイトの踏み込み。そして急接近。
しかしそれは『先生』に読まれている。
────転送、対象は「グラントリノ」
オールマイトの拳が僕に叩き込まれようとしたその位置に、黒い液体からグラントリノの顔を出現させる。
オールマイトの拳が顔面に突き刺さる。
と同時にさらなる個性を発動させ、オールマイト自身にもダメージを通す。
────衝撃反転
「...すいませんっ!!」
凄まじいな。
一撃一撃が必殺の一撃をお互いにラッシュする。
DETROIT SMASH!!
『心おきなく戦わせないよ。ヒーローは多いよなあ?守るものが。』
『先生』がヒーローの守るべき存在がこの周りに多いことを忠告する。
これだけ破壊しておいてよく言うよ。
『僕はもうないよ!
その言葉がやけにストンと胸の中に落ちた。
そうか、俺らは
弔、俺達ちゃんと『先生』にお礼言えてなかったな。
今回の騒動が終わったら一緒に言うか。
恥ずかしいけど。
でも、んなこと言ったら、お前はキレるなー、そんな俺達を黒霧さんがなだめるんだろうな。
その様子を見ながら『先生』がモニター越しに『元気がいいね。「おつかい」行ってきたらどうだい?』とか言うんだろうな。
そんなこれからのifを考えているといつの間にか先生のマスクが壊れており、オールマイトが上空へ打ち上げられているところだった。
空撮用のヘリコプターにオールマイトが当たりそうになる。
この戦闘中継されてんのか。
いやだねぇ。一気に有名人になっちゃうじゃんか。
『オールマイト君にはできるだけ惨たらしく死んでほしいんだ。避けていいのかい?』
瞬間、『先生』から凄まじい衝撃が飛び、その放射線状の物が土煙に覆われる。
俺のシルクハットもどこかに飛ばされて行ってしまった。
土煙の晴れた先には、貧相なガイコツが立っていた。
オールマイトが弱っているということは聞いていたので、あまり驚きはない。
『恥じるなよ。それが
「どんな姿をさらそうとも...私の心は依然平和の象徴!!一欠片とて奪えるもんじゃぁない!」
あぁ、なんでさっきあんなifの想像をしたか分かっちまった。
『先生』は俺達から離れることを決めたんだ。
だから、訪れることのないifを思い浮かべた。
ヒーローは必ず勝つ。
悪役の結末はえてしてそういうものだ。
「...バイバイ。...『先生』」
オールマイトは右腕だけをいつもの筋骨隆々な形にして、先生は右腕をひどく歪な破壊に特化した形にして、お互いがぶつかりあった。
この映像を見ている一般人はオールマイトを応援するだろう。
だけど、
お互いの渾身の一撃で土煙で覆われる中
オールマイトの2回目の右のストレートが『先生』にヒットする。
決着は
――――左拳を、高々と上げる、オールマイト。
勝負の付いた2人をそばで見つめる。
あぁ、確かに受け取ったよ『先生』。
────いままで、ありがとう。
心の中で呟き、地面へ潜り逃亡した。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
拙作ですがようやくひと段落付きました。
でも、まだ続きます。
朝確認したら日間7位に入っていて驚きました。
ここまで来れたのも皆さんの応援があったからだと思います。
これからも拙作をよろしくお願いします。
原作のように皆さんの心を振るわせられることができたでしょうか?
作者はこの話を描くにあたり神野編を何十回も読みましたが未だに読むときに震えが止まりません。
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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