英雄と敵の二重生活   作:毎日健康黒酢生活

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親友〜表〜

side 爆豪勝己

 

『神野の悪夢』から半月が過ぎた。ネット上では昨日アップされたあいつ(ノア)の動画が話題になっている。ここ1ヶ月でオレの周りの状況は目まぐるしく変化していった。林間合宿、ヴィラン連合の襲撃、誘拐、再会、『神野の悪夢』、『平和の象徴(オールマイト)』の引退、そして『ティキ・ミック』の演説動画。

 

俺は()()()()どうすれば良かったのだろうか。

 

そんな堂々巡りの考えばかりが浮かんでは消える。

 

ピンポーン

 

またか、多分警察か。誘拐されたこともあり警察がよくウチに訪ねて来るようになった。 しばらくは家から出るのさえ自粛するよう警察にも言われた。

 

「勝己ー!降りて来なさーい!」

 

ッチ、また事情聴取かメンタルがどうのこうのってやつだろう。ふざけんな、こっちはそれどころじゃねぇんだよ。

渋々、階段を降りると玄関には切島が居た。

 

「…よぉ、ちょっといいか?」

 

「…あぁ。」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

警察には外出を控えるよう言われていたが、家の中でするような話ではないなと思い近くにある公園へと移動した。辺りは既に日が沈みかけ、墨を混ぜたような重苦しい夕焼けに包まれていた。

2人してブランコに腰掛け、沈黙が俺たちの間に流れる。

 

「…なぁ、動画見たか?」

 

「あぁ、ムカついた。」

 

「あいつ『ノア』なんだよな。」

 

「そうだった。目の前で変わるのも見たし、()()()()()()()()ことも言ってやがった。」

 

「…そうか。」

「お前の手…掴んでくれなかったな。」

 

「…ヴィラン(あっち)を選んだだけだ。」

 

それを聞いた切島はブランコから飛び降り、「スゥー」っと大きく息を吸い込んだ。

 

 

「なんなんだよ!訳がわからねぇ!」

 

 

「クッソ!なんだよ!やっと顔を見せたと思ったらヴィラン連合(あっち)にいて!目の前でオールマイト達に敵対するし!実は爆豪を誘拐してたって!挙句にあの動画じゃあヴィラン連合(あっち)のリーダーみたいじゃねぇかよ!訳がわからねぇよ。

 

なぁ…爆豪。

 

全部夢だったら良かったのにな。」

 

振り返り、こちらを見る顔には涙が頰に伝っていた。

だけど。

その一言を聞いた瞬間、俺の心の中からかあっと血の匂うような闘いの気持が起きた。ブランコから飛び降り切島に駆け寄り、気が付いたら拳を振りかぶって切島の顔面を殴っていた。

 

 

「てめぇがそんなこと言うんじゃねぇよ!」

 

 

「ってぇな!」

 

切島からも俺の顔面に向けて、おお振りの右ストレートが放たれる。

避けれる、けど、()()()()()()()()()()()()()()

その拳を頰で受け止めて、切島を睨みつける。

 

「『あいつ』が!ヴィラン(あっち)を選んだ時俺は目の前にいたんだ!俺が!『あいつ』にその選択をさせたんだ!」

 

「俺だって!お前のことを助けるのに必死で『あいつ』に手を伸ばしてやれなかったんだよ!お前には伸ばせてたのに!」

 

言葉とともにお互いの拳が顔面に振り抜かれるが、お互いにガードなどせず、俺達は今まで言葉にできなかった気持ちを拳に乗せながら、会話にすらならない気持ちをぶつけ合う。

 

「クソがぁ!」

「俺は!」

 

「俺があの時!」

親友(ダチ)なのに!」

 

「手を跳ね除けたから!」

「手ぇ伸ばせなかった!」

 

ああ!!」

んがぁー!」

 

 

言葉にならない言葉を発しながら殴り合った。

お互いに気が済み、ボロボロになった体で、公園の地面へと座り込む。

 

「「はぁっ、はぁ。」」

 

肩で息をしていたのをゆっくりと戻していく。

移動して来た時は夕暮れ時だったのに、いつの間にか辺りは墨を塗りたくったような空模様に変わっていた。

お互いに顔面しか殴っていなかったのにやけに胸が痛みやがる。

 

「なぁ、爆豪。…痛ぇな。」

 

「…痛ぇよ。」

 

「学校始まったら、ゼッテー仮免受かって…んで、ヒーローになろうな。」

 

「あぁ、()()親友(ノア)を捕まえる。」

 

「おう!ゼッテー他の奴らにはやらせねぇ。」

 

「ケジメは()()でつけさせる。」

 

「卒業したら速攻事務所作ろうぜ。」

 

「最初の逮捕者は『親友(ダチ)』だ。」

 

「いいなぁ。()()。上鳴と瀬呂も誘うか。」

 

「あぁ、()()がケリをつける。そこはゼッテー誰にも譲らねぇ。」

 

「俺の()()()()()()()()()の名言教えてやるよ。『一度心に決めたらそれに殉じる。ただ、後悔のねぇ生き方。それが漢気。』らしいぜ。」

 

「はっ!言ってろ!」

 

 

 

 

 

「…帰るか。」

 

「…あぁ。」

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

「なんだ!勝己!2人とも随分と男前になって帰って来たじゃない!」

「あっ!切島くんだっけ?今日ウチ泊まってきな!」

 

「ぶっ飛ばすぞ!バッバァ!」

 

「あっ、すいません。いいんですか?」

 

「いいのいいの。ちゃんとそっちの親御さんに確認取れたら泊まりな!いやー!勝己がお友達とお泊りなんて初めてだよ!ほらケータイ貸すから連絡しな!勝己は手洗っておいで!」

 

「うるせぇ!」

 

「じゃあお願いします。」

 

爆豪が離れたところで、母親が切島に語りかける。

 

「切島くん。ありがとうね。勝己はあんな性格だから中々さ、本当の友達ってやつが出来なくてね。詳しいことは分からないけど、仲良かった友達がヴィランになっちゃったんでしょ?最近ずっと悩んでたみたいでね、あんなスッキリした勝己の顔久し振りにみれたよ。難しいやつだけどこれからも仲良くしてやって下さい。」

 

「いや!そんな頭下げないでください!」

「俺だってあいつには助けられました。…俺も今回の件でずっと悩んでたんで。」

 

「うんうん。切島くんはいい子だね!」

 

 

「おい!ばばぁ!余計なこと言ってんなよ!」

 

「あー、ハイハイ。」

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

作者のどうしても入れたかった話。
親友が犯罪者になる。その事実って1人で向き合うには重すぎるものだと思います。

障害を前にして立ち止まることはない。
壁にぶち当たっても、
振り向いて諦めてはいけない。
どうやってそれを乗り越えるか、
突き進むか、
回り込めるかを考え出すんだ。

その方法を一緒に悩み、考えてくれるような人が親友と言えるのではないでしょうか。自分で描いていて青臭い話ですが、この話を描いていて作者は周囲の人をもっと大事にしようと考え直しました。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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